闘争こそ、我が日常也て   作:鎌鼬

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ワイルドライフ・6

 

 

「ーーーさてっと」

 

 

第二層迷宮区、そこで左手に〝アイアンランス〟を、右手に〝アニールブレード〟を握り、二本足で徘徊していた牛型の獣人モンスター四匹と正面から対峙する。トーラス族と呼ばれるRPGならば定番のミノタウルス型のモンスターは牛の特徴といえば足の蹄と頭だけしか無い。キリトによればミノタウルスのタウロス部分を英語読みしてトーラスだとか。

 

 

「ぶっちゃけた話、筋肉ムキムキだから〜とか自分より大きいから〜なんて言って敵にビビる必要なんてカケラもありません。怖いのは超が付くくらいに怖いけど全然怖くありません。何を言ってるか分からない?それを今から説明するから黙っとれや」

 

 

俺の事を敵だと認識した〝トーラス〟は鼻息を荒くして手にしているハンマーを振りかぶりながら駆けてくる。

 

 

「筋肉ムキムキだから膂力はある、デカイからリーチが長い。だから中途半端に距離を取ろうとしたら相手のリーチ内で攻撃に当たったり、その一撃で御陀仏なんて事もあるから超怖い」

 

 

そして〝トーラス〟はそのままハンマーを振り下ろして来た。それに伴い発生するのは衝撃波。〝ナミング・インパクト〟と呼ばれるそれは直撃しなくても衝撃波に当たれば行動不能(スタン)のバッドステータスを与えるというソードスキル。だが所詮は衝撃波で、床に接していなければ行動不能(スタン)を喰らう事はない。〝ナミング〟されるのと同時に跳躍し、〝トーラス〟の足元に潜り込む。

 

 

「デカイって事は融通が利かないって事だ。リーチが長い分、懐に潜り込まれればどうしようもなくなる。足元に張り付かれたら堪ったもんじゃないだから怖くない」

 

 

〝アニールブレード〟を薙ぎ払って〝トーラス〟の膝関節を叩き割る。人型であるが故に支えとなっている足を失えば地面に倒れる事しか出来なくなる。

 

 

そして二匹目の〝トーラス〟が振り下ろしてきたハンマーを避けて、膝関節を叩き割った〝トーラス〟に攻撃させる。

 

 

「膂力が強いって事はフレンドリーファイアのダメージもデカイって事だ。いくら一撃必殺だろうが当たらなきゃ意味は無いし、同士討ちさせちまえばご覧の通りに敵を減らしてくれる便利な敵になってくれる。だから怖くない」

 

 

仲間から攻撃を食らって生きていた〝トーラス〟の股間を蹴り上げてHPゲージをゼロにする。そしてそのまま残っている三匹の〝トーラス〟の中に飛び込み、視線や身体向きから次の攻撃の予測をし、それを呼吸を合わせる事や視線を誘導する事で同士討ちする様な攻撃に仕向ける。その結果、三匹の〝トーラス〟は自慢のハンマーで互いを攻撃して自滅する事になった。

 

 

「ハイ、レクチャー終わり!!それじゃあみんなもやってみよう!!」

 

「「「「ーーー出来るかぁ!!」」」」

 

「解せぬ」

 

 

生きていた〝トーラス〟の股間を蹴り上げてトドメを刺していた俺は攻略メンバーからの叫びにそう返すしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそもの始まりは第二層への攻略に向かう途中でディアベルから効率的な倒し方を教えてくれないかと頼まれたから。正面から倒すというのはゲームでは当たり前だが、デスゲームとなったSAOでは危険が伴う行いだ。正面から戦っても倒せる実力や人数がいるのなら話は別だが安全に倒せるのならそれに越した事はないという理由で。

 

 

それに俺は了承し、さっきのレクチャーをした訳だが出来るかと返されてしまった。5歳の時に爺さんに遊びに行くぞ〜と町に連れられて、そこにいたヤクザと喧嘩した時にはこんな感じだった。

 

 

ドスや拳銃を持ち出された時には焦ったが、同士討ちを誘導させてしまえば簡単に同士討ちしてくれたので楽と言えば楽だったのだが。

 

 

「んじゃ、さっきのは不評だったみたいなので次のレクチャー。動物型や人型のモンスターなら当然のように手足があります。手は武器を持ったり振り回されると超怖い、足は踏みつけやけたぐりされるのが超怖い。だったらどうする?使えなくしてやりましょう」

 

 

先に進んで出てきた二匹の〝トーラス〟に、今度は気付かれてからではなく見つかる前にこちらから奇襲を仕掛ける。見つかって、〝トーラス〟が戦闘態勢に入る。その直前に〝アイアンランス〟を投げてハンマーを持つ手を穿つ。穿たれた〝トーラス〟は手を押さえながら後ろに仰け反り、その隙に両足を切断する。

 

 

残りの〝トーラス〟がそれを見て激昂するのに先んじてナイフを眼球目掛けて投擲、視界を奪うのと同時に痛みによって行動を封じ、その隙に一匹目の〝トーラス〟の両腕を切断。達磨になったトーラスを放置して片目で睨んでくる〝トーラス〟の死角に潜り込み、手と足を切断、片足が無くなって崩れ落ちた隙に残りの手足も切断してしまう。

 

 

「こんな風に切断してしまえばもう怖くない。だって無いんだから。植物型とか爬虫類型とかだったらまた新しく生やされそうだけど哺乳類型ならそこまで再生能力は高く無いはずだからこれで安心です。切断が無理だったら杭みたいなので手足ブッ刺したり、鈍器で手足をグチャグチャにして使えなくしてやれば大丈夫」

 

 

達磨になった〝トーラス〟二匹の股間を蹴り上げてトドメを刺す。

 

 

「んじゃ、やってみようか!!」

 

「これなら……いけるか?」

 

「まぁさっきのよりはマトモだな」

 

「切断するとなったらSTRと切れ味が必要になってくるぞ?」

 

「それだったら転ばしてからサブ武器で手足刺したらいいんじゃないか?」

 

「ところでなんで股間を蹴ってんだ?」

 

「こいつらの見た目がセクハラだってユウキとシノンに聞いたから。2人がアウトって言ってる時点でギルティだから」

 

 

そう言われても止まない。さっきと同じ様に新しく現れた〝トーラス〟を達磨にして、死ぬまで股間を蹴り上げ続ける。

 

 

「セクハラはッ!!重罪なんだよぉ!!」

 

「止めたげてよぉ!!」

 

 

絶対に止まない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーみ、みんな!!準備はいいな!?」

 

 

ボス部屋の前に着いた時、〝トーラス〟へ過剰なまでに股間を攻撃したからなのか、ディアベルは内股気味で前に出ていた。よく見ればヒースクリフと俺を除いた男性プレイヤー全員が内股になっている。流石にあれだけ股間に攻撃してたら男なら来るものがあるだろう。

 

 

だけど止まない。〝トーラス〟族見つけたら股間を狙う。セクハラ、ダメ、絶対。

 

 

「〝鼠〟からの情報によればβ版だと第二層のフロアボスは〝バラン・ザ・ジェネラルトーラス〟、取り巻きは〝ナト・ザ・カーネルトーラス〟という話だが……クエストの報酬でボスの情報が開示され、その二匹と思われる〝トーラス〟を従えた王冠を被った〝トーラス〟が描かれていた壁画が見つかったそうだ。恐らく、本当のフロアボスはその王冠を被った〝トーラス〟の方だろう」

 

 

ディアベルが話す内容は先日の攻略会議の時と変わらない、事前の最終確認のようなものだ。アルゴがエギルたちと共に行なっていたクエストの報酬で開示されたボスの情報だ。これにより偵察を行わなくてもボスの情報が手に入った。正確な情報とは言えないがボスが学習する事を考えればこれでも十分過ぎる情報である。

 

 

もしβ版と同じだと考えて突撃していたのなら、本当のフロアボスが出現した時に混乱していたかもしれない。

 

 

「暫定的にその王冠を被った〝トーラス〟の事を〝キングトーラス〟と呼ぶ。そしてその壁画には、ブレスの様な物を吐き出す〝キングトーラス〟と、〝チャクラム〟の様な物を投げられて硬直している〝キングトーラス〟が描かれていたそうだ。よって、〝チャクラム〟を使えるネズハさんのいるパーティーは〝キングトーラス〟に集中してもらう」

 

「んで、俺たちのパーティーは〝カーネルトーラス〟を狙って、残りのパーティーで〝ジェネラルトーラス〟をフルボッコするんだよな?」

 

 

つまり〝伝説の勇者(レジェンド・ブレイブス)〟のF班は〝キングトーラス〟を専門、俺が率いる殺意溢れるG班で〝カーネルトーラス〟を抹殺し、残りのA〜E班で〝ジェネラルトーラス〟を担当するという事だ。ディアベルは申し訳なさそうな顔をしながら頷いているが問題ないだろう。キバオウのパーティーが抜けてフルレイドには一班足りてない現状では俺たちの班に一切制限を付けずに任せた方が殲滅力は高い。下手に役割を任せられると犠牲が出てしまうかもしれないから。

 

 

ちなみに殺意溢れるG班のメンツは俺、ユウキ、シノン、キリト、アスナ、そしてストレアだ。ヒースクリフはエギルの班に入ってタンクを務める事になっている。

 

 

「よし、準備は良いな?みんな……勝つぞ!!」

 

「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」

 

 

気合も指揮も十分。叫びからそれを感じ取ったのか、ディアベルは満足そうに頷いてボス部屋の扉を蹴破った。

 

 

 






セクハラトーラス処刑回。女性プレイヤーからしたらムキムキマッチョの海パンはセクハラだと思うの。それをユウキチとシノノンがウェーブに訴えた結果、セクハラ絶対殺すマンが誕生しました。きっとこれから先現れるトーラス族は股間を攻撃されて死ぬ事になるでしょう。

アルゴの活躍によりフロアボスの情報が開示されたので偵察の必要は無くなりました。これで学習させずに殺すことが出来るぞぉ!!

キバオウ不在、だけど問題ないので先へゴーゴー。

そしてボス戦はネズハ無双が始まるだけだからカット。次は二十五層攻略まで時間を飛ばして、オリジナルで二十五層攻略に入ります。

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