闘争こそ、我が日常也て   作:鎌鼬

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クォーターボス

 

 

〝アインクラッド解放隊〟をセクハラで黒鉄宮へと送り込むというアクシデントがあったもののその後は予定通りに砦に大砲とバリスタを輸送し、20時間程かけて現地で組み立てることができた。その間〝ザ・ファフニール〟に目立った動きは無し。〝ブランデンブルグ〟に陣取り、夜明け頃にボス部屋へと一度帰るという行動パターンを取っていた。

 

 

予定通りに進み、計画に変更は無し。つまりこれから二十五層フロアボスの攻略が始まる。

 

 

「憎たらしくなるくらいに堂々としてやがるな」

 

「フロアボスの風格漂わせてますね……」

 

 

コタローとシュピーゲルと共に〝ブランデンブルグ〟から1キロほど離れた場所から〝ザ・ファフニール〟を観察する。街の中心部らしき大きな建物の上で丸まって横になる黄金の鱗を持った龍の姿が見え、眼は眠っているのか閉じられている。

 

 

攻略の準備は整ったが、準備をした砦は〝ザ・ファフニール〟の行動範囲外。まずはあれを砦にまで誘き寄せる事から始めなければならない。

 

 

「んじゃ、予定通りに行こうか」

 

「分かりました」

 

「了解」

 

 

シュピーゲルだけをこの場に残し、コタローと共に〝ブランデンブルグ〟に向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〝ザ・ファフニール〟は滅ぼした街で眠っていた。滅ぼした理由は無い、ただそこにあったから滅ぼした。巣である長年封じられていたボス部屋には集めた宝を見るためだけに朝日と共に一度帰るのだがそこで住みたいとは思わなかった。そう言う意味ではこの街を滅ぼして縄張りにしたのはちょうど良かったと言える。時折武器を持った人間が来るが、暇潰しで遊ぶオモチャとして殺していた。

 

 

そこに一切の理由は存在しない。この身は邪竜、人間の不倶戴天の敵。如何なる悪性であれど、それだけで全てが許される。

 

 

気になるのは遠巻きからこちらを見てくる存在がいる事か。手を出すつもりは無いのか見ているだけだが、鬱陶しく思う様になってきた。オモチャも来ない様だしそろそろ消すかと微睡みの中で考えていた〝ザ・ファフニール〟の思考はーーー

 

 

「ーーー乱破ッ!!」

 

「ーーー〝暗黒剣:衰弱の闇(斬る)〟」

 

 

ーーー突然全身を襲った爆撃と、逆鱗を斬り付けられた痛みで強制的に遮断させられた。

 

 

混乱、そして驚愕。何も感じなかった、何も聞こえなかった、何も嗅げなかった。いなかった筈なのに突然そこに現れたかのように出現した人間により〝ザ・ファフニール〟は目覚めてから感じた事のなかった痛みを与えられた。

 

 

「結構な数の爆弾ばら撒いたんですけど……」

 

「弱点斬ってもHP全然減ってねぇな」

 

 

痛みに悶えながら目を開けば、そこにいたのは2人の人間。自身の体躯と比べれば豆粒のような存在が、ここ最近で挑んできた者たちよりも貧相な存在が、自分に痛みを与えた。それを認識して、〝ザ・ファフニール〟は激昂する。

 

 

「第1段階最高」

 

()()()()

 

 

轟咆を聞いて怖気付いたのか、人間たちは迷う事なく背中を向けて逃げ出した。それを許さない、自身に痛みを与えた不届き者を、〝ザ・ファフニール〟は絶対に許さない。例えどこに逃げたとしても滅ぼしてやると、翼を広げて空へと飛び立つ。人間にしては速いが自身よりは遅い。街を抜けて、野に逃げられたが森に入られる前には捕らえることが出来る。そう考えーーー

 

 

「ーーー〝威嚇(金ピカ蛇さんこっちよ)〟〜!!」

 

 

ーーー別の人間が目に入った。先の2人よりも幼い見た目の人間。挑発するかのように叫んでいる。注意が逸れる。2人の人間に向けられていた怒気が全てあの人間に向けられる。滅ぼしてやると、まずはあの人間から殺す事にした。

 

 

「ヤベッ、煽り過ぎた」

 

 

人間が逃げる。背後にあった森に入らずに野を駆けていく。森に入らない事に一抹の疑問を覚えたが、そんな些細な事は怒りに塗りつぶされてなかった事になる。どうやらこの人間は先の2人よりも疾く駆けれるらしく、中々間を詰めることが出来ない。ならばもっと速く飛んでやろうと翼に力を込めるが、その分だけ人間も速さを増して間は縮まる事がない。

 

 

それでも〝ザ・ファフニール〟は止まらない。自分を侮辱した人間を殺さねば気が済まぬと、怒りに任せて突き進む。そうして追いかけている内に人間に限界が来たのか徐々に間が詰まっていく。決して楽に殺さぬ、ズタボロにして嬲り殺してやると誓って急上昇し、人間目掛けてダイブしようとしーーー正面から飛んで来た矢が眼前で爆ぜた。

 

 

驚き、そして硬直。痛みこそ無かったが、音で耳がやられ、爆発で目が眩んで身体が固まり空から転落して地面に叩きつけられる。〝ザ・ファフニール〟は爆発の直前に見た。ここの正面の岩場に立っている人間が自分に向かって矢を放ったところを、そしてそこは追いかけていた人間の進行先だった。

 

 

〝ザ・ファフニール〟は轟咆した。嬲り殺すのは止めた。絶滅させてやる。邪竜である我に逆らった人間という種族を絶滅させてやると。まず手始めにこの階層から、そして終わったら下の階層へと向かい、人間を殺し尽くしてやると。

 

 

怒りにより鱗が逆立つ。全身から毒の瘴気が上がる。眼は血走り、身体中に真紅のラインが浮かび上がる。そして飛翔、空ギリギリまで飛び上がり、自身を射った人間のいた場所目掛けてダイブを繰り出す。

 

 

翼を畳んで空気抵抗を無くした身体は高速で落ちる。この身体を動かすのは殺意だけ。殺す、殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……仮に、欠片でも冷静さがあったのなら、〝ザ・ファフニール〟は気がつく事ができただろう。たが、気がつく事はなかった。

 

 

〝ザ・ファフニール〟が人間とまともな戦いをしたのは一度だけ、自身が封印された時の一度だけだ。その人間は剣を持ち、堂々と自分に真正面から向かって来た。戦いとはそういう物だと〝ザ・ファフニール〟も認識している。

 

 

だからこそ気が付かない。これは戦いでは無くて攻略だという事に。誇りなど欠片も存在しない、ただの殺し合いだという事に。

 

 

「ーーー撃てぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

そして〝ザ・ファフニール〟の全身を槍のような弾丸が貫いた。一つや二つでは無くて10や20、もしかしたら100に届きうる弾幕をただ落ちていた〝ザ・ファフニール〟に躱す手段は無い。全身を貫かれてバランスを崩した事で目的から大きく逸れた場所に落ちる。

 

 

そこは石の壁で囲まれた場所だった。壁は〝ザ・ファフニール〟からすれば乗り越えられる程度の大きさしか無いが、その上にあるバリスタと大砲が全て〝ザ・ファフニール〟に向けられていた。

 

 

「撃て撃て撃て撃てぇ!!!弾なんて気にせずに撃ちまくれぇ!!!」

 

 

人間の声共に弾丸が、そして砲丸が容赦無く〝ザ・ファフニール〟を襲った。

 

 

 






ファフニールをボコろう作戦

1、ウェーブとコタローの2人でファフニールの知覚を乗り越えて奇襲、ついでにどのくらい硬いのか調べる。
2、シュピーゲルにバトンパス。シュピーゲルはファフニールを挑発して砦まで誘き寄せる。
3、近づいて来たファフニールをシノノンが狙撃。
4、シノノンに気がついてやって来たファフニールをバリスタで落とす。
5、大砲とバリスタでめっちゃ撃つ。

ねぇ?簡単でしょ?

さりげなくウェーブがユニーク使ったけど、どんな効果なのか分かるかな?

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