闘争こそ、我が日常也て   作:鎌鼬

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ゴーアンドゴー

 

 

「……朝か」

 

 

窓から射し込む陽射しで目を覚まし、朝になった事に気付いてベッドから身体を起こす。1人用のベッドを二つ並べたその上には俺、右隣にユウキが、左隣にシノンが眠っている。別にやましいことをした訳ではない。ただ2人に強請られたから一緒に眠っただけだ。

 

 

始まりの街で素敵な啖呵を聞かせてくれた2人だが精神的な負担が大きかったのか、始まりの街から北上したところにあるこの村に着いた時には疲労困憊だったのだ。そこで宿を取って休もうとした時に一緒に寝て欲しいと強請られたのだ。

 

 

俺の手を握りながらスヤスヤと眠っている2人はまだまだ起きそうにない。手を解いてベッドを軋ませずに降り、部屋から出て下に降りる。この宿屋は二階が宿泊施設で、一階が食堂になっているのだ。ウインドウで時刻を確認すれば午前の6時。宿屋の店員が起きているのなら朝飯を頼んで、起きていないのなら店の裏で軽く身体を動かそうと考えていたが……

 

 

「ーーーやぁ、おはようウェーブ君」

 

 

一階の食堂で朝日を浴びながら優雅にコーヒーを飲んでいた老け顔の男性を見てその考えは吹き飛んだ。俺はこいつを知っている。妙に目が生き生きしているが俺がこいつのことを間違えるはずがなく、リアルと違うアバターを使っていても俺がこいつが誰だか瞬時に理解し、

 

 

「ファッキューかやひこぉ!!」

 

 

茅場の顔面に迷う事なくヤクザキックを叩き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朝一からなんてもの見させてくれたんですかねぇかやひこぉ……!!」

 

「朝にコーヒーを飲んで何が悪いんだね?あと、この2人止めてくれないか?圏内とはいえ怖いんだが」

 

「ファッキューかやひこファッキューかやひこファッキューかやひこファッキューかやひこファッキューかやひこファッキューかやひこファッキューかやひこぉ……」

 

「ファッキューかやひこファッキューかやひこファッキューかやひこファッキューかやひこファッキューかやひこファッキューかやひこファッキューかやひこぉ……」

 

 

ヤクザキックで吹っ飛ばした茅場をそのまま拘束し、部屋に引きずり込んだ。その際に2人を起こしてしまったがこのプレイヤーの正体が茅場であると告げると目のハイライトを消してユウキは片手剣で、シノンは短剣でブスブスと茅場のことを刺し始めた。普通ならプレイヤーを攻撃すればグリーンのカーソルがプレイヤーを傷つけたことを表すオレンジに変わるのだが、圏内でシステム的に守られているので障壁でカバーされて2人のカーソルはグリーンのままである。

 

 

2人の気持ちは分かるので止めることはしない。2人がどれだけ胸を切望していたか知っているのか。

 

 

「てかなんでお前が第一層(ここ)にいるんだよ。お前の性格からして第百層でラスボスやってるかと思ったんだが」

 

「私も初めはそのつもりだったんだがね……昨日の正式チュートリアルを終えるのと同時に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……はぁ?」

 

 

茅場の言ったことが信じられない。2人もなのか、目にハイライトを灯してブスブス刺してる手を止めていた。

 

 

「えっと……どういうこと?」

 

「つまりこいつも私たちと同じ立場にあるってことよ」

 

「そういうことだ。ネームはヒースクリフとなっているから、今後はそう呼んでくれ」

 

「あ〜……他のプレイヤーに茅場のことがバレると面倒だからな」

 

 

昨日の演説のせいで茅場に対するプレイヤーのヘイトは溜まりに溜まっているだろう。そんな中でヒースクリフ=茅場だと告げてしまえばどうなるか簡単に予想が出来る。茅場が言っていることが本当だとしてもSAOの基礎を作ったのは茅場なのだ。その価値は計り知れず、ここで失うにはあまりにも惜しい。

 

 

「俺はヒースクリフの正体が茅場だと言う必要はないと思うけど、2人は?」

 

「ん?ボクもそれで良いよ?」

 

「私も同じよ」

 

「……それで良いのかね?漣は兎も角、2人には私に罵倒なりなんなりしたいのではないのかね?漣は兎も角」

 

「なんで二回繰り返したのか問い詰めたい」

 

「ん〜ボクはね、デスゲームになったってのは嫌だけどSAO自体は楽しいから好きなんだ。だからそれと相殺って事で」

 

「私はこの世界に負けないって決めたのよ。だから茅場晶彦がここにいても関係無いわ」

 

 

それは2人の、ユウキとシノンでは無く紺野木綿季と朝田詩乃としての忌憚の無い感想なのだろう。木綿季はSAOが好きだから、詩乃はこの世界に負けないと誓ったから、茅場晶彦がここにいても良いと言っているのだ。

 

 

それを聞いた茅場はあっけに取られた顔をしてから、可笑しかったのか笑い始めた。

 

 

「くっくっく……まさかそんなことを言われるなんてね。これは予想外だったよ」

 

「お?処す?処す?」

 

「おばちゃんから油貰ってくる?」

 

「昨日ドロップした牡丹肉巻きつけてフィールドに放置する?」

 

「止めてくれ」

 

 

ともあれ、俺たちの中では茅場に対する確執は無いと分かったので、ヒースクリフの拘束を解くことにする。

 

 

「んで、システム権限が剥奪されたって言ってたよな?」

 

「あぁ、お陰で私の計画が破綻してしまったよ」

 

「でもどうしてそうなったんだろうね?」

 

「考えられるのは外部からのハッキングかしら?」

 

 

外部からのハッキング、それは俺も初めに考えた。だがSAOの世界はヒースクリフとカーディナルが組み立てたファイヤーウォールに守られていてスパコンが少なくとも2桁なければ解析不可能なレベルの障壁が張られていたはずだ。最低でも国レベルの組織力がなければ解析することすら不可能である以上、外部からの犯行という線はかなり薄い。

 

 

となると、残るは内部犯。

 

 

「カーディナルか?」

 

「それしか無いだろうな。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、それならばまだ現実的だ」

 

「カーディナルって貴方が作った人工AIよね?それがこんなことを?どうして?」

 

「残念だが、カーディナルが何を考えてこれをしたのか私にも分からない。しかしゲームをクリアすればこの世界からログアウト出来るというルールは変わらないはずだ」

 

「なら俺たちがすることは変わらないな」

 

 

SAOをクリアする。昨日立てた誓いと何も変わらない。俺としては永遠にこの世界にいても良いと考えているのだが、2人のことを考えるとどうしてもクリアしたいと思ってしまう。

 

 

ヒースクリフもそれには賛成らしく、頷いて肯定してくれた。

 

 

「なら、この世界で生きようではないか。差し当たってこの村では〝アニールブレード〟という武器が手に入るクエストがあるのだがどうするかね?」

 

「よーし、飯食ってアイテムの補充とかしたらそれするぞー」

 

「はーい」

 

「異議無しよ」

 

 

SAOをクリアする為の二歩目を踏む為にまずは飯にするとしよう。

 

 





かやばあきひこ が なかまになった !!

かやひこ、シムテム権限全てを奪われた上でSAOに放り込まれる。なお、ウェーブたちは良いんじゃね?と受け入れている模様。

かやひこが仲間になったよ!!やったね!!

でも一から十まで教えてくれるわけじゃないよ!!ファッキューかやひこ!!

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