闘争こそ、我が日常也て   作:鎌鼬

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ハーフポイント・4

 

 

執務室から出た俺たちは外で待っていた秘書のNPCから現状について説明された。

 

 

五十層は元からモンスターが多く、度々〝アルゲート〟が襲われる事があったのだが二ヶ月前からモンスターの襲撃が過激になったとか。アルジェントの奮闘によりなんとか持ち堪えている状態だが、それでもなんとか拮抗させているというもの。アルジェントは後一月もすればこちらが疲弊して押し潰されると予想していた。モンスターが無尽蔵に湧き続けるのに対してNPCと物資の数は有限なのだから仕方がない。なんとか打破しようとするもモンスターの犠牲も考えない物量押しによって何も出来ず、このままズルズルと押し切られるのでは無いかという時に俺たちが来た。

 

 

一言で言えば、崖っぷちというしか無い。向こうがほぼ無尽蔵なのに対してこちらは有限。むしろよくぞここまで保ったと感心したくなる。中層プレイヤーや普通の感性の人間がここに来ていたら武器を投げ捨てて逃げ出したくなる様な状況だろう。

 

 

だがここに来たのはSAO攻略に命を賭けている攻略組と、強さを求めている人で無し。この状況を喜び、立ち向かうだけの意思を持っている俺たちが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

ヒースクリフとアスナは四十九層で待つ他の攻略組のプレイヤーたちにここの現状を説明するために転移門をアクティベートして転移し、キリトはモンスターが退いている内に周りの地理を調べてくるとユウキとシノンを連れてフィールドに出て行った。

 

 

そして俺とストレアは〝アルゲート〟の街を調べるために散策しているのだが……

 

 

「迷ったね〜……」

 

「そうだなぁ……」

 

 

見事に迷いました。広い上にモンスターの侵入を遅らせるために迷路の様な作りで、しかも似た様な街並みが続いていて方向感覚があやふやになりやすいのだ。土地勘が無いのに案内も無しで歩き回ればこうなることは目に見えて分かっていた。

 

 

「ここどこなの?」

 

「壁が近くに見えるから街の外側だって分かるけど……せめて目印の一つや二つあればな」

 

「はぁ……やっぱり大通りから外れたのは失敗だったわね」

 

「おう、何さりげなく自分は悪く無いっていう風にしてやがる。ストレアがフラフラと裏路地の方に行ったんだろうが」

 

「ウェーブだって止めなかったから同罪だよ」

 

「止めたところで聞かねえだろうが」

 

 

確かにストレアの言う通りに止めなかった俺も悪い。しかし止めたところで大丈夫だと押し切られて止まらないことは目に見えていたので止めなかったのだが……裏目に出たな。

 

 

「まぁぶっちゃけ、通った道は覚えてるんでそのまま辿れば大通りまでは帰れるんだけどな」

 

「そうなの?だったらそうだって言ってくれれば良いのに」

 

「覚えてないのか?」

 

「一時間くらい歩き続けて道をそのまま覚えられる人は少ないと思うけど……」

 

「爺さんは普通だって言ってたけどな……おのれジジイ」

 

 

デタラメを教えてくれた爺さんのことを思いながら中指を立てるが、それを煽る様に白目ダブルピースで反復横跳びをする爺さんの姿が簡単にイメージ出来てしまう。文句を言ったところであのキチガイはそうするだろうとこれまでの経験から分かってしまうのだ。

 

 

取り敢えず、リアルに戻ったら爺さんの顔面にドロップキックをかますことを誓う。

 

 

「だったらもう少し探検を……ん?」

 

「どうした?」

 

「なんか良い匂いが……花の匂いかな?」

 

 

ストレアにそう言われて嗅覚に集中すると、確かに風に乗って花の匂いが届いているのが分かる。いつもなら真っ先に俺が気がつくのだが、五十層は血の匂いが強過ぎて嗅覚をある程度まで削ぎ落としているのだ。

 

 

ちなみにこれは母さんから教わったことで、普通だと言っていたがユウキとシノンは出来ないと言われて普通じゃ無いと分かった。思い出したらイラついて来たので、リアルに戻ったら母さんにコークスクリューブローをかます事を誓う。

 

 

「こっちからね」

 

「はぁ……」

 

 

ここに来た経緯を忘れたのかフラフラと匂いがする方に向かうストレアに溜め息を吐きながら後を追う。そして数分も歩けば花の匂いと青臭さがする区画に出た。何かの店なのだろうが、昼間なのにどこも閉まっている。

 

 

「あぁ、だからか」

 

「何かわかったの?」

 

「ここは色街だな」

 

 

色街、現代風に言えば風俗。SAOではNPCが情婦をしているし、その気になればプレイヤーだって情婦になる事が出来る。そしてコルを払えば情婦を買い、夜を共にすることが出来る。ただし未成年のプレイヤーは倫理コードを外しても店から断られる。そんな事をするくらいなら始めっから無くせよと思うのだが、デスゲームとなってから色街を利用しているプレイヤーは数多くいる。

 

 

デスゲームをしていると言うことは常に命のやり取りを、殺し合いをしていると言うことになる。どんなに頭がイかれた奴でも戦うことが生き甲斐だと謳っている奴でも、命のやり取りによる緊張からストレスを生じさせて蓄積させているのだ。ストレスを解消する方法は人それぞれである者は金を使ったり、ある者は食べたり、ある者は寝たりと思い思いの方法でストレスを抜いている。

 

 

その中には無論、性行為も含まれている。ヤって気持ち良くなることでストレスを解消しているのだ。

 

 

「あぁ、夜がメインだから今は閉まっているのね」

 

「そう言うこと」

 

 

花の匂いは香水か何かだろう。そのままの女の匂いも悪くないが、香水の匂いの方がいいと感じる人間はいるのだから。もっとも青臭さを消すために振り撒いている可能性もあるが。

 

 

「ねぇ、ウェーブは性欲が溜まったりとかしないの?」

 

「おう、唐突にぶっ込んできたな?」

 

「Hey,俺も気になるぜ」

 

「そしてお前はどこから湧いてきた」

 

 

ストレアの女性らしからぬ発言に戦慄しているとどこからか現れたPoHがフードを被ったまま俺の肩にもたれかかってくる。カーソルがグリーンになっているので転移門を使ってやって来たのだろうが、こいつは一体どうやって俺を探し出したんだ?〝追跡〟でも使ったのか?

 

 

「はぁ……確かに溜まるが情婦買ったりとかはしてないぞ」

 

「もしかして自家発電?」

 

「待て、その言い方は正しいが止めろ」

 

「……不能なのか?」

 

「よっし、喧嘩は買うぞ?ここは圏内設定無いからそのまま殺し合いになるけどな!!」

 

 

憐憫の目で見て来たPoHにイラっとしてサブ武器の片手剣〝冥犬の牙〟を構えるとPoHがフードで顔を隠していても分かる程の喜色を見せながら肉切り包丁の様な短剣を取り出した。だがそこまでやって虚しくなって来たので〝冥犬の牙〟をしまう事にする。

 

 

「別にそこまで性欲は強くないから発散させるほどに溜まってねぇんだよ。そもそもストレスは酒飲めば抜くことが出来るしな。それに俺のレーダー舐めんなよ?ストレアにしっかり反応してるからな?」

 

「ふぅん……ん?ってことは私はウェーブからそう言う目で見られてるってこと?」

 

「That's right!!そう言うことだな……ところで俺のradar、この間鉢植えに反応したんだけど……」

 

「ざまぁ」

 

 

俺の反応にPoHがハイキックをかまして来たのでそれを後ろに仰け反ることで躱す。というかPoHのレーダーが鉢植えに反応するとか完全にイかれてるじゃねえか。爺さんなんて犬の尻まで反応したって言って首吊りかけた事があったぞ。

 

 

そもそも性欲が無いわけではないのだが、ユウキとシノンの事があるから他の女を抱くという事をしたくないのだ。真っ直ぐな好意を向けてくれる2人を無視して他の女を抱くとか畜生過ぎる。

 

 

ともあれ、開いているのなら情報収集でも出来たかもしれないが閉まっているのならそれも期待出来ない。一先ず大通りに戻ろうと2人に提案しようとしたところで、

 

 

上空から、小型の竜が落ちて来た。

 

 

 






SAOには色街があるんじゃよ。ただし未成年お断り。流石のかやひことカーディナル様もそこら辺は自重したらしい。

悲報、PoHニキのレーダーが壊れている。全く性的な物とは関係の無いもので反応するらしい。だからホモに目覚めたのか……?

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