何度か構想していた話が頭の中で纏まったので、少しばかりお付き合い下さい。
この物語の主人公は秘封倶楽部となりますが、『鉄』の文字がありますのでその成分が嫌いな方はブラウザバックをお願い致します。
なお、現在一般公開中の他作品に関しましては後書きにてお話しします。
序章「秘封倶楽部にようこそ」
ーーー暗い、見えない、聞こえない、分からない、近付けない、触れられない、感じない。
モノクロの少女は真っ黒塗りの少女に走り、手を伸ばし、叫び、涙を流す。
ーーーしかし、真っ黒塗りの少女は聞こえない声で何かを呟き、深い闇の中に堕ちて行く。
モノクロはそれをただひたすら追い掛け、追い掛け、追い掛けて行くが距離は縮まらずに離されて行く。
ーーーそして、モノクロの少女は何も掴めないまま転び、真っ黒塗りの少女は見えなくなった。
真っ黒塗りの少女を見失ったモノクロの少女は、無音状態の中で見失った少女………たった一人の親友の名を木霊させる…………。
「…………はっ!!?」
自らの自室のベッド、人間の肉体にとっての安息である睡眠を取る家具の上でモノクロの少女…………『宇佐見蓮子』は目覚めた。
それも、悪夢で魘された上に汗を掻いて気分も悪いと言う最悪の状態で。
そしてその悪夢は自分の記憶に鮮明に残り、嫌な気分をより確固たるものにする。
「…………嫌な夢…………」
ベッドの上でそう一言だけ呟き、悪夢を直ぐに忘れようとそのまま起き上がりパジャマから普段着に着替えて自室からリビングに行き、簡単な朝ご飯(トーストとスクランブルエッグ)を食べ、通っている大学へと足を運ぶ。
自分の相方で親友の…………真っ黒塗りの少女の姿を見る為に。
家を出た蓮子はいつもの通学路にて見知った顔を見かける。
それは悪夢に出て来た親友の真っ黒塗りの少女………『マエリベリー・ハーン』、メリーその人だ。
蓮子は直ぐに駆け寄ろうとするが一瞬、あの悪夢の内容が頭を過る。
自分が幾ら駆け寄ろうと、幾ら手を伸ばしても届かずにメリーが消えると言うあの悪夢が。
しかし、所詮は夢だと片付け頭から悪夢を振り払いメリーに駆け寄った。
「おはよう、メリー!」
「おはよう、蓮子………?
蓮子、貴女顔色が良くないわよ?」
「えっ?」
メリーに何時もの様に声を掛けた蓮子だったが、親友たるメリーは蓮子を一目見て顔色が良くないと口に出す。
顔色が良くないのは勿論先程頭を過ぎったあの悪夢の所為である事は明白である。
その顔色を一目で見分けるメリーにさすが親友と思った蓮子。
そんな彼女に悪夢の内容は全てを話さずぼかして伝えようと口を開く。
「あ〜そうなんだよね〜、この秘封倶楽部部長にして才色兼備文武両道、道行く男共は皆私に注目するこの完璧美少女蓮子ちゃんともあろう者が嫌な夢を見てバッドモーニング状態なんだよね〜」
「あらそう、貴女みたいに頭スカスカで能天気でおバカな子街道まっしぐらな蓮子でもそんな事があるのね〜w」
「ちょっ⁉︎Σ(゚д゚lll)
メリーさん私は頭スカスカでも能天気でもおバカ街道まっしぐらでもなく才色兼備にして文武両道、道行く男共は「あーはいはい、遅刻するから早く行くわよおバカ蓮子」あっ⁉︎
メリー待ってよまだ話は〜…………」
メリーと話したおかげで何時もの調子を取り戻した蓮子は、何時ものマシンガントークをメリーに浴びせるが、そのメリーは微妙に鋭い言葉のナイフで茶々を入れた上に走って先に大学へ行こうとしていた。
そんなメリーを追って蓮子は慌てて、しかし何時もの他愛無い会話を走りながらも交わし何の曇りもない笑顔を二人は浮かべていた。
そして、そのまま大学に行くのであった。
「成る程、あれが宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン………秘封倶楽部、運命の…………」
しかし、それを背後側にある木の陰から見ている少し身長が低い青年の存在に気が付かないまま……………。
午前の講義を終えた二人は昼休みに集合場所と決めてる喫茶店に入り、これまた他愛のない会話を交わしていた。
「………と言うわけで、その怪異の全貌を我ら不良オカルトサークル『秘封倶楽部』は暴こうと思うんだけどどうかな?」
「うん、良いわね。
最近アテが外れた物ばかりだったから漸くマトモな怪異が出て来て私としても是非暴いてやりたいわ」
「よし、じゃあ今日の夜にでも「失礼、ここに座っても良いかな?」………まぁ、勝手にどうぞ」
蓮子とメリーは自分達が結成したサークル、秘封倶楽部の活動について話し合い、今日の夜に目的地に向かおうと決めようとした所、記憶力の良い二人が大学内でも見た事の無い、見知らぬ青い瞳とマロン色のミドルヘアーのやや低身長の青年が隣に座って良いかと尋ね、蓮子が少々顔をしかめつつも了承するとメリーの隣に青年が座る。
二人はこの見知らぬ青年に少々警戒してると青年は口を開く。
「突然の来訪にすまない。
僕は今日大学に編入した所でね、交友関係も何もかもが0の状態なんだ。
そこで、何かサークルに参加しようかと思っていた所に不良オカルトサークルなる物があると聞いてね。
興味が湧いたので可能なら参加出来ないかと君達を探す為にカカッととんずらを使って偶然にも普通ならまだつかない時間に来た訳なんだ」
「(カカッ………とんずら?)は、はぁ…………ふっふっふ、秘封倶楽部に入りたいと………?」
蓮子とメリーは青年の話に要点を纏め、『今日編入したばかりの新顔で秘封倶楽部の噂を聞いたので自分達を探していたが、土地勘が無いので迷った挙句此処に偶然此処に行き着き話をする為に隣に座った』と言う情報が分かった。
一応メリーは青年の話に嘘がないかを簡単に確かめてみたが、メリーには青年が嘘を言っているとは思えず蓮子もメリーの表情からそれを察した。
そして、秘封倶楽部に入りたいと言うのが真実と分かると蓮子は不敵な笑みを浮かべて青年を見やった。
「この不良オカルトサークル、秘封倶楽部は才色兼備文武両道、道行く男共は皆私に注目する完璧美少女蓮子ちゃんと、その相方にして大親友で私と同じ位美少女なメリーとが牛耳る謂わば絶対不可侵の領域!
其処に入ろうものならそれなりの対価…………妙な能力かオカルトアイテムでも貢がなきゃダメダメよ〜ん‼︎」
蓮子は青年に他人からは超ウザい、自分では完璧美少女的な顔と口調で二本の人差し指を指しつつ話す。
これに対し青年は少し引き気味になりながらも「はぁ…」と相槌を打つ。
するとメリーが青年に普通に話し掛けて来る。
「ゴメンね、あのおバカの言う通り「ちょっ、メリーさんΣ(゚д゚lll)」この秘封倶楽部は私達二人が結成したサークルで、他の人を入れようにもオカルトに寛容的で且つ何らかの妙な能力かオカルトアイテムでも無いと入れさせる事が出来ない………まあ適性試験的な物があると思って構わないわ」
「適性試験………ふむ、確かに能力は無いですがオカルトには寛容的ですね。
それと………」
メリーの言葉に青年はそう答えると持って来たリュックサックの中を漁り始め、中からカードケースが9個と筆記用具にノート(教科書は置き勉らしい)、そして何だか嫌な雰囲気を纏ったそれなりに分厚い黒い本を取り出した。
「…………あの〜、付かぬ事をお聞きしますがこれは一体………?」
メリーが恐る恐るその本が何なのかを青年と少女に問う。
すると青年はその本を見ながら流す様に答える。
「ああこれ、最近文献を漁って漁って漁り抜いた上で何処にあるのか予想を立てて漸く見つけた魔導書『ネクロノミコン』です。
無論中身は確認済みですが、見たらSAN値直葬待った無しですから見ない方が身の為です」
『………………………( ゚д゚)ポカーン』
蓮子達は自分らの隣に居る青年が戦利品として出した品が魔導書、しかもクトゥルフ神話などで有名なSAN値直葬魔導書であるネクロノミコンだと言うのに驚きを隠せなかった。
否、とても信じられる内容じゃなかった。
何故ならクトゥルフ神話とはあくまでもコズミックホラー、人間では如何しようもない宇宙的恐怖とそれに纏わる地球外より飛来した邪神と配下達を題材にした創作上の神話であり、現実に存在する訳では無いのだ。
「……これが偽物かって表情をしてますね?
そもそもこれはギリシャの写本であってオリジナルの『アル・アジフ』ではないから『偽物ではないけどオリジナルのコピー』、不完全本です。
まあそれを偽物って言うならそうかもしれませんが」
「は、はぁ…………まさか碌でもない本を持ち歩くなんてどんな神経してんの貴方」
「下手に保管して盗まれて悪用されて邪神を呼ばれるよりも安全且つ迷惑にはならないと思うんだが?」
そんな会話を他の人に聞かれない様に小声で話す蓮子達と青年。
この青年の会話の内容に確かに邪神を呼び出す術が書かれた魔導書を利用されてしまう位なら自身の肌身離さず持ってた方が安全だと妙な納得を得てしまう。
そして、魔導書を見つけたと言う実績と非常識への飽くなき探究心を持つこの青年は秘封倶楽部に参加する資格を持っていると確信する蓮子達は互いに見やり、一度頷いたら蓮子は青年に握手を求めた。
それを見た青年は手を取り握手を交わす。
「貴方達の探究心に感心したわ、秘封倶楽部へようこそ。
改めて私は部長の宇佐見蓮子、こっちは親友で副部長のマエリベリー・ハーンよ」
「どうやら参加を認めてくれるみたいですね、では…………初めまして部長、副部長。
僕は『シャドウ』と言います、以後よろしく頼みます」
こうして蓮子とメリーは青年、シャドウを秘封倶楽部に受け入れた。
この行動が如何なる結果を齎すかはまだ分からないが、蓮子は不思議とシャドウから新たな非常識の謎が舞い込んで来ると感じ、メリーも蓮子と同じ様な事を感じたのであった。
そしてその夜、蓮子が仕入れて来た怪異の噂を確かめに行くが、それがガセネタだと知り肩透かしを食らうが、新メンバーを加えた秘封倶楽部の日常はここから回るのである。
夜中の3時、新月の為月光が無い不気味な暗さを醸し出す暗夜の廃棄にて、ランタンの小さな光が灯る中で『カードファイト‼︎ヴァンガード』と言うカードゲームをする二人が居た。
一人はフードを被った人物…………声と低い身長からすると女性だと断定出来る人物と、もう一人は鋭い目付きでフードの人物を睨む青い瞳とマロン色のミドルヘアーが特徴のやや低身長の青年…………そう、昼頃に秘封倶楽部に入った青年、『シャドウ』がカードファイトを行なっていた。
フードの人物:布陣
ヘスペリス ミネルヴァ カモミール
R アメノホアカリ メリッサ
ダメージ:3/6
シャドウ:布陣
ガタリヲ ヲクシズ ヱッダ
グヰム ガノヱク ヱディ
ダメージ:5/6
「くっ、何故だ!
お主と我らの目的は同じでは無いのか⁉︎」
「…………ファイナルターン………ドロー。
『
ヲクシズのパワーを+10000し、ヲクシズでアタック………ダブルクリティカルトリガーゲット、ヲクシズに全て付与し………終わりだ」
フードの人物が慌てふためく中、『シャドウ』のヴァンガードのスキルで相手ヴァンガードのパワーは0になり、フードの人物はパワー21000を防ぎ切れずそのままダブルクリティカルで敗北した。
フードの人物は俯きながらそのフードの中にあるグレーの瞳で『シャドウ』を睨み、それに対し『シャドウ』は意に介さずデッキをしまい、指を軽く鳴らすとフードの人物の足元に黒い穴が開きフードの人物は落ちそうになり穴の端を手で掴み踏ん張る。
「く、くう………お主、いずれ後悔するぞ!
我らに牙を剥く事、それ即ち世界に仇なす事!
それを理解しての狼藉か‼︎」
「………俺の目的はただ一つ、その目的はお前達と相容れない物。
ならば後悔はしない…………時間だ、消えろ」
二人は短く会話のドッジボールをすると黒い穴が更に大きくなりフードの人物はそのまま暗闇の中に落ちて行った。
それを淡々と見ていた『シャドウ』はそのまま振り返り、廃ビルのから外に出て夜の街の中に足を運ぶ。
「………そう、目的はただ一つ。
その為にならば、俺は………」
『シャドウ』はそう小さく呟き、その瞳に強い意志を秘め、ただ目的を達成する為にその足を進めて行った。
例えそれが、誰にも理解されない孤独な道だったとしても…………。
閲覧ありがとうございました。
さて、前書きにもありました様に一般公開中の2作品についてお話しします。
まず先に結論から言いますと………あの2作品は、ひっそりと打ち切り宣言させて頂きます。
何故そんな事になったのかと言えば、原因は大きくて分けて2つ程(しかも全部自分の所為)あります。
まず1つ目は自分が怪我をしたのが原因で生活環境を変化させざるを得なくなり、とてもじゃないですが複数の作品を書いてる余裕が無くなってしまった為です。
そして2つ目…………実はこれこそが最大の原因なのですが…………前記の2作品は生活環境が変わる前、しかも自分が最も苦しい時に書いていた為、途中から現実逃避をする為に作品を更新し、無理矢理空元気を作っていた為です。
その為、作品のクオリティ向上や継続へのモチベーションが完全に絶たれてしまったのです…………。
2作品を楽しみに待っていた皆様、本当に身勝手な理由で打ち切りをしてしまい、申し訳ありませんでした。
また、この作品は2作品の教訓を活かして『リアル事情を持ち込まない』、『無理して更新しない』を守っていきます………最後にもう一度だけ、『バカテスファイト‼︎ヴァンガード』と『東方光剣輝』を待っていた皆様、本当に申し訳ありませんでした………。
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