秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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皆様お待たせしました、第85話目更新です。
今回は短い会話回、次回からいよいよ蓮子の一世一代の戦いです。
後少しでこの章も終わりになります、もう暫くお付き合い下さい。
では、本編へどうぞ!


第85話「運命のファイト、開幕」

真夜中1時頃、蓮子達は約束の時間の前に博麗神社へと集まり母屋にてこの1時頃になるまで軽く睡眠を取り、そして目覚めて明かりを点けて霊華が淹れたお茶を飲みながらその時が来るのを待っていた。

 

「……待っててメリー、貴女は必ず……「肩に力が入り過ぎてるわ、少し力を抜いて深呼吸なさい」あ、霊華さん」

 

蓮子は肩に力が入り、表情が重くなって行くと霊華が話し掛けて来て深呼吸をし、肩の力を抜く様に言って来る。

するとブロントさん達やレミリア達も蓮子を見ながら任せなさいと自信に満ちた表情を見せ、蓮子の気を楽にさせようとしていた。

 

「……そう、ね。

今此処には私の仲間が、メリーを助けてくれる為に集まった皆が居る……皆さん、思いっきり頼らせて貰いますよ!」

 

「任せて貰おうか、私に操れぬ運命など存在しないのだからな」

 

「これで貴女達へのお詫びとなるなら、私は永遠亭を預かる者として幾らでも力を貸すわ。

安心なさい、きっと上手く行くわ、今と言う時を生きる宇佐見蓮子さん「蓮子で良いですって」……分かったわ、蓮子」

 

「私は結界術は不慣れな方だけど、それでも博麗流結界術、霊術は全て会得しているわ。

結界の方も任せなさい」

 

「俺達も蓮子の仲間、だからお前の心をずっと支えてやるさ、最後までな」

 

「だから安心して下さい」

 

「メリーはしっかりと救えるわよ、これだけの人に思って貰えてるし、力を貸して貰えてるしね!」

 

「そしてその手でしっかりと親友の手を掴むだ

決して離さない、離れない様にしっかりと強くな!」

 

ブロントさん達や魔理沙達はそれぞれ蓮子に言葉を掛け、蓮子に今回の事は必ず上手く行くと安心や自信を持たせるのに十分な程にその想いを伝える。

蓮子はそれが嬉しくて泣きそうになりながらも、しかしメリーがちゃんと隣に立つその時まで涙を堪え皆に笑顔を見せる。

 

「……ありがとう、皆!」

 

「………………さて、そろそろ1時50分になる。

そろそろ最終確認をする、外に出て欲しい」

 

すると『シャドウ』は空気を読みながら蓮子が感謝の気持ちを口にした後に最終確認をする為に全員に外へ出る様に言い、蓮子達は外に出て準備は万端なのかを確認しその時が来るのをじっと待ち始めた。

そんな中で蓮子は霊華と『シャドウ』を見て、あの心が繋がった空間での最後の方を思い出し準備確認を終えた直後にそれらの事を聞き始める。

時刻は1時53分。

 

「あの霊華さん、少し聞きたい事が」

 

「何、蓮子ちゃん?」

 

「あの、霊華さんは『全てを打ち抜く鬼すら震える滅殺の拳』や『魔を封じる守りの力』、それと『空を飛び何者にも縛られない自由の力』、後…………『他者と心を繋ぎ、互いに理解し全てを受け入れる力』、これらを知ってますか?」

 

「……蓮子、お前それをどこで知ったんだ……⁉︎

まさか『シャドウ』、アイツに教えられたのか?」

 

蓮子は『シャドウ』が最後に口にした三つの力に加えて、未だ誰にも言っていない蓮子自身の力である『他者と心が繋がる程度の能力』をそれら三つの力の言い回しにしながら言い、 それを聞いた魔理沙が驚きながら蓮子に誰から聞いたか聞き、『シャドウ』は溜め息をしつつ何処かやらかしてしまったなと自身に言い聞かせる様な態度をしながら蓮子達に近付き口を開いた。

 

「ああ、ついボロっと言ってしまったんだ。

PSYクオリアの繋がったイメージの中でな。

それに関してはすまない、こちらのミスだ」

 

「……いや、ミスって程じゃないでしょうね。

それに君がつい口にしてしまったのは多分必要な、蓮子ちゃんが知るべき事であったからでしょうね。

だから魔理沙ちゃんはそこまで噛み付こうとしないで今は少しだけ押さえてね。

……さて、それらの四つの力を知っているかと言えばYESだし、そもそも一つは私の能力であり最終奥義よ、その鬼も震える必滅の拳がね」

 

『シャドウ』は自分のミスであると言い、更に蓮子が『他者と心が繋がる程度の能力』、その最終形を使った事をPSYクオリア同士の共鳴で繋がったと偽りの情報を上乗せしつつ事実を言い、魔理沙はそれを聞いて『シャドウ』の足を何度か蹴ったり踏みながら何やっているんだと口にしながら怒り、霊華がそれを押さえつつ四つの内必滅の拳が自分の物であると答え、蓮子はそれに何故か納得がいってしまいやや苦笑していた。

 

「で、魔を封じる守りの力、これは先々代……私のお母さんの『魔を封じる程度の能力』ね。

だからお母さんは封印に関しては歴代の中でも指折り、下手したらそれに関しては現博麗の巫女である霊夢や『初代博麗の巫女』様……この幻想郷の時に残酷で時に温かい本質である全てを受け入れるを体現し形作った偉大なお方、『他者と心が繋がる程度の能力』を持ったご先祖様よりも上かもと言われたわね。

そして最後の空を飛び、何者にも縛られない自由の力は現博麗の巫女であり、初代様の先祖帰りと言われその潜在能力は正に初代様

と比肩し得る霊夢の『空を飛ぶ程度の能力』ね。

あの子は本当に自由奔放で修行嫌いで我が強かったりしたけど、巫女としての力は間違い無く出来の悪い方の私なんかよりずっと上ね〜、経験や磨いた技術は私の方が上だけど」

 

「……だな〜、霊夢はマジで自由だったな。

私も偶に引く様なガメツさや面倒くさがり、かと言えば巫女の仕事をきっちりやったりと振り回されたもんだよな〜」

 

「…………ああ、それの尻拭いを魔理沙や俺、ブロントさんなどがやってたな……」

 

「だな(しみじみ)」

 

更に霊華は先々代の巫女が魔を封じる守りの力を持ち、霊夢が『何者にも縛られない自由の力』を持ち自由奔放過ぎて魔理沙達に該当するエピソードを思い出させ、その尻拭いをしたりと呟きながらスルッとズレた肩の服や鎧を戻しながら苦笑していた。

その中で蓮子は聞き逃さなかった、『他者と心が繋がる程度の能力』を持っていた者が歴代博麗の巫女の中に居た事を。

それも初代博麗の巫女……現在の幻想郷の本質を形作った偉大な巫女だと語られている事を。

そして、『シャドウ』の言葉が正しいならそれと全く同じ力を持つ自分は一体なんなのかを改めて理解し、そしてメリーを止める気持ちがより一層強くなり、手に不思議と力が込められるのだった。

 

「まぁ、それをボロっと口に出そうが今は蓮子には関係ない話なのは明白に明瞭、今大事なのはメリーをしっかりと抱き止めてやって手を離さない様にする事だな。

そしてそれが出来るのは蓮子だ」

 

「そうだな、1番メリーって言う女の子を理解してるのは親友の蓮子だ。

バックアップは任せろ、存分にやって来い」

 

「……はい!(そう、今は私が何なのか、この力の意味なんて関係無い。

今はこの力で、メリーを救うんだ!)」

 

しかしブロントさんが今は何が大事かを説き、魔理沙がケアをしながらバックアップは任せてくれと言い、それと同時にレミリア達が頷き、『シャドウ』は目を伏せながらもその雰囲気から失敗はしない、させないと言う意志を示し、蓮子は頭を切り替えて強い意志を灯した瞳で前を見据えた。

すると『シャドウ』が懐から1枚のカードを蓮子に渡す。

 

「……?

これって」

 

「餞別だ、使うか否かは今決めて置くと良い。

もし使うなら良く考えて入れて置くべきだ、何を抜き、それを入れるか、な」

 

『シャドウ』はその1枚を餞別とし、使うか否かは今短い時間で決める様に、そして使うなら何を抜き使うか考える様にも言う。

蓮子はその1枚を見て、確かに自分のデッキに使うなら何を抜いて入れるか迷いそうになる……が、蓮子は自然と1枚を抜いてそのカードを入れた。

ブロントさん達はそれに対して特に何も言わず、蓮子が決めたならそれに賭ける気でいた。

そうこうしている内に蓮子の瞳に空間が裂け、中から自分が良く知る少女の姿が出て来る光景が映った。

時刻はジャスト2時だった。

 

「……結界術に不慣れとは言え、その道のプロたる先代博麗の巫女、運命を操る紅魔の吸血鬼、永遠と須臾を操る月人にして罪人が雁首を揃えてこの場に集まるとは……成る程、狙いは何なのか理解したわ。

ただそれが出来るかはまた別の「させると思うか?『ギュウン‼︎』っ⁉︎

これは呪縛(ロック)……〈リンクジョーカー〉の力!

まさかこちらがスキマを開いた瞬間にそれを封じて機能そのもの封殺するとは…………しかしこれは何処か……それに貴方はこんな力は持っていなかった、ネタあかしをするべきでは?」

 

「ほうほう、これが『メサイアの先導者』の力の一端か。

私達3人の周囲に現れたスキマに呪縛(ロック)を…。

そして今はそれを行使出来る場面であったと、成る程な」

 

「うん、どう見ても〈リンクジョーカー〉を宿した人の力にしか見えないわ、何か禍々しい感じが減ってるけどね」

 

メリーの身体を乗っ取る運命の修正力はこの面子の役割をそれぞれ理解した上で、それが出来るのかとレミリア達の足元や背後などにスキマを生成した瞬間に『シャドウ』が手を振り、そのスキマに〈リンクジョーカー〉の力たる呪縛(ロック)、しかしそれはメサイアの使うそれを生み出しスキマを機能不全にして閉ざし、レミリアの言にはその力を行使するのに制約が存在し、今現在はその制約に引っ掛かって居ないのだと蓮子達にも分かる様に言う。

そして修正力はそれらを聞きその為の面子、その為の『シャドウ』と言う一見して完全に場違いな者が適任だと理解していた。

 

「尤も八雲紫様に同じ事をやろうが止められなかっただろうがな。

呪縛(ロック)にも境界がある為それをゼロタイムで操作されこの行為自体が無意味となっただろうな。

だが今目の前に居るのは大成もしていないマエリベリー・ハーン、だからこそこんな邪魔をやれたがな」

 

「……メサイアの先導者……成る程、そう言う事か。

確かにこの身体はマエリベリー・ハーン、境界を操る妖怪たる八雲紫になる前、同じ力を行使出来たとしてそれは不完全、この様な邪魔を許すのも必然か。

ええ良いでしょう、貴女達が考えた策に乗りましょう。

それを真正面から喰らい尽くした上でこの運命の流れを実現しましょう」

 

『シャドウ』は目の前に居る修正力はあくまでもメリーの身体を使ってる為能力も何もかもが大成してない為妨害出来たとし、修正力もそれらを聞きこの面子を何処かへ跳ばして時間稼ぎしようと言う考えを捨て、敢えて策に乗りそれを全て破り自らの目的を成すと宣言した。

その瞬間霊華が博麗流の結界を張り、輝夜が能力を発動したのか身体が微かに光り始めた。

そして蓮子は前に出てデッキを構えた。

 

「ヴァンガードファイト……アンティルールか」

 

「その通りよ、私が勝てば『アンタは私がOKとするまで何もするな』、これが私のアンティよ‼︎」

 

「成る程、では私が勝てば『このまま運命の流れに従え』としましょうか。

これなら貴女にとっては釣り合いが取れてる筈……」

 

両者アンティを課し、デッキを構えファイトテーブルを生成する。

いよいよ蓮子とメリー、2人の未来が決まるファイトが始まろうとし、ブロントさん達は異変解決時の特有の緊張感を持って蓮子を見守る。

すると蓮子はふと振り返り、ブロントさん達に笑顔を見せる。

 

「あ、蓮子……」

 

「心配しないで、絶対に勝って来るから」

 

魔理沙が声を掛けようとした瞬間、蓮子は勝つと言いながら目を閉じ、そのまま修正力、メリーの身体の方に向き直り鋭い表情となりながらFVに手を掛ける。

 

「(メリー、少しだけ待ってて。

直ぐに行くわ…‼︎)スタンドアップ‼︎」

 

「スタンドアップ」

 

『ヴァンガード(‼︎)』

 

「『道標の賢者 エルロン』‼︎」

 

「『真鍮の羽のギアホーク』」

 

FVがスタンドアップし、遂にアンティが課されたヴァンガードファイトが始まった。

勝てば蓮子は希望を繋げられ、負ければ全てが断たれてしまうこの運命の1戦。

蓮子の絶対に負けてはならない壮絶な戦いの火蓋が、此処に切って落とされたのであった。




此処までの閲覧ありがとうございました。
今回は前回一緒にしようと思いましたが、長さ的に分ける事になった話でした。
そして蓮子が修正力が現れる前に行った行動、これが吉と出るか凶となるか……そして蓮子とメリーの運命は如何に?

次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します

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