蒼空を夢見たことりの恋話   作:ソウソウ

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 更新早めです。
 というのも、引っ越したばかりなのでまだ環境が整っておらず暇なのです。ですので、感想ください(唐突)。感想くれぇぇぇ………最新pvの果南ちゃん可愛いぃぃぃ。
 ………失礼しました。

 さて、今回は初登場が二名。名前だけだとさらに二名追加となります。ですが、場面転換は飛びまくります。お気をつけてください。

 ーーーでは、どうぞ!!


4曲目『男の恋愛相談』

 ◇◇◇

 

 蒼真の家、リビング。

 

「ふふふ」

「………何事」

 

 テーブルで数学のワークを広げ、問題を手あり次第潰しているとことりが目の前に着席した。

 普段は一目見て作業に戻るが、今回は二度見した。何故なら、ことりがニコニコ笑顔でこちらを見ていたからだ。

 

「あのね、ソウ君。ついにねμ'sに新メンバーが入ることになったんだよ!三人とも一年生なんだけど全員がもう可愛くって、もうことりのおやつにーーー」

「落ち着け。いいから落ち着け。じゃないと頭撫でてやらねぇぞ」

「ーーーえっ!?うん!!」

 

 よしよし。えへへ。

 

「まず最初には凛ちゃんからいこうかな」

 

 凛ちゃん?

 名前だけ聞いてもどんな子なのかイメージつかないな。

 

「活発な女の子で、ソウ君もすぐ仲良くなれると思うよ?ラーメンが一番大好物だって」

「まじか!」

 

 俺、大好物、ラーメン。

 

「次に花陽ちゃんだね。花陽ちゃんはアイドル好きの女の子。ちょっと恥ずかしがり屋さんでもあるからソウ君と仲良くなるには時間かかるかもね」

「ふむ」

「最後に真姫ちゃん。真姫ちゃんはなかなか皆と素直に喋ってくれないんだけど、根は良い子だよ」

「ふむ」

 

 将来有望の個性派が集まったようだ。

 

「てか、その一年生達とは朝練で会うんだろ?その時にやってくれれば」

「あっ、それもそうだね。じゃあその時にソウ君も紹介しないと」

「いや、別に俺の紹介までしなくても」

「いいの!!私がするから!!」

「あ、そう………」

「ちょうど明日から朝練に来てくれるらしいからその時に、ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 蒼真の家、リビング。放課後。

 

「んで、話って?」

「………その前に失礼承知で言いますけど、まだ知り合ったばかりの私を家に上げちゃって大丈夫なんですか?」

「確かに俺達は最近からの関係だけど、その前から色々君の話は聞いてたから大丈夫だ、きっと、うん。それに君も今となっては“μ's”の一員なんでしょ?」

「………はい」

 

 今日の来訪者は初者。

 赤毛の巻き髪に釣り上がった青紫の目。一言で言うなら、クールビューティーさん、かな。

 そんな彼女も今は顔を俯かして隠してるようだけど、ちょっと嬉しそうな表情。既にμ'sは彼女の居場所となっていそうだ。

 

「それに君だってよく俺の家に来ようと思ったね。一応俺も男だけど、そういう事は考慮しなかったのかな?今、二人きりだぞ?」

「ーーーっ!?………それは先輩方からあなたなら変なことも起きないと何回も言われたので………」

「なるほど」

 

 ことりか海未辺りだな。

 悪い気はしないけど、些細なことで彼女の信用は一気に壊れそうな感じもする。なんか嫌だなぁ。

 早めに本題に入るか。

 

「それで?最初に戻るけど、俺に話があるって?」

「あ、はい。その事ですけどーーー」

「ごめん」

「え?」

「その前にさ、敬語止めよか。凄く話しにくそうに見えるのがちょっと気にかかる」

「あ、そうです………いいの?」

「あぁ。先輩としての威厳を保ちたい時以外は構わないぞ」

「ふふふ、ならそうさせてもらうわ」

 

 “西木野真姫”。それが彼女の名前だ。

  μ'sの新メンバー三人の内の一人であり、彼女の存在は μ'sの核を担うほどの重要人物でもある。

 何故それほどかと問えば、それはーーー

 

「まさかと思うけど、君の話って作曲についてじゃないよな?」

 

 ーーー μ'sの作曲者であるからだ。

 これまでもことりからたまに耳にしていた噂のピアノの上手い一年生はまさに彼女のことである。初ライブに使用された曲も彼女が作曲したらしい。

 らしい、と曖昧なのは本人が頑固として認めないらしいからだ。外堀は既に埋まっているのだから認めれば良いものを。

 

「その前に私からも一つ良いかしら?」

「何かな」

「私の名前は君じゃなくて西木野真姫よ」

「なんて呼べば言いかな?」

「別に変な言い方じゃなければ、何でも構わないわ」

「なら、真姫ちゃんで」

「………そう」

 

 いきなり攻めすぎたかな。

 満更でもなさそうなのは気のせいだろう。少し話しただけだけど、この子は相当プライドが高そうなのは分かった。

 後、友達いないタイプだ。言わないが。

 

「俺の事はなんて呼びたい?」

「そうね………普通に先輩でいいかしら」

「その前に名前付けてくれても良いぞ?」

「………考えておくわ」

 

 流石に初対面では仲良くなれそうにないか。彼女から許すその時を待つ他なさそうだ。

 

「話がだいぶ逸れたけど、これからμ'sの曲を作っていく上でどうしても私だけじゃあ無理な部分があるの。そこを先輩にやって欲しいのよ」

「俺にやれることならやるけど」

「曲のドラムパートがどうしてもね、私がやるとマンネリ化してしまうから、そこを代わりにやって欲しいのよ」

 

 曲においてパートというものが存在する。例えば、ギターとボーカルとか。

 さらにその中から一概に断定は出来ないが、大抵の曲にはリズム隊と呼ばれるパートの存在が必要不可欠となる。具体的にはベースとドラムだ。

 実際、その二つが曲の骨格を形成してると言っても過言ではない。それらが不安定なら曲全体も不安定となり、完成度が一段と落ちてしまうもの。

 彼女の頼みは新曲でのドラムパートの打ち込みだ。確かに実際にやる人でなければ、なかなかドラムパートを考えるのは厳しい。

 

「今まではどうしてたんだ?」

「適当よ」

「適当か」

 

 それであの完成度か。

 “START:DASH”。どのパートも結構しっくり来てたのにまさかの本人からはあまり手応えなしと。

 ………まじかぁ。

 

「OK、分かった。俺で良ければやるよ。曲のデータさえ何かしらで渡してもらえれば」

「これでいいかしら?」

 

 テーブルに置かれたのはUSB。

 

「USBなら全然OK。どれくらいの期間で仕上げて欲しいかは要望あるか?」

「先輩もスクールバンドがあるし、そこまで強要はしないわ。一ヶ月間までにやってくれれば十分よ」

「ふむ。まぁ大丈夫か」

 

 今後彼女がどういう曲を持ってくるかは予想つかないが、楽しみだ。自分の実力以上の技術を要する曲は遠慮したいけど。

 と、真姫の様子が変わる。

 

「それともう一つ聞きたいことがあるのだけれど」

「ん?何?」

「学校ではいつもあんなことしてるの?」

「………どういうこと?」

「だからあの………南先輩との会話よ!!」

 

 真姫はどん、と立ち上がりそう叫ぶ。

 正直心当たりがない。ことりとの学校での世間話のことを指摘しているようだが、特におかしい点はないはず。

 

「今日の晩御飯どうする?とか!!お風呂借りていい?とか!!明らかにおかしいでしょ!!」 

「そうかな?」

「そんなのまるでふう…………っ!!」

 

 ふう?

 

「ただいま~」

 

 あ、ことりが帰ってきた。

 そして見事にリビングにいる真姫と鉢合わせ。なんというタイミング。

 ことりの背後には優季の姿もある。

 

「あ、真姫ちゃん!!」

「っ!?先輩!?」

 

 予想通りことりは真姫の元へと近寄るが、先程まで会話してた真姫自身は状況整理が追い付いていない。

 抱きついたことりは真姫の頬をすりすりしている。真姫の表情は真っ赤だ。大人しくされるがままになっている。

 妹の優季はこんな状況でも普通に晩飯の支度を始めようとしている。

 

「兄さん、晩御飯何人いるの?」

「………ちょっと待ってな」

 

 ここでようやく抵抗を見せる真姫。

 

「ななななっ!!」

「言っておくが、ことりの家は向かいだからな」

「なっ!?」

「そうだよ?家が近いから私が色々とお世話してるんだ」

「逆だろ」

「むっ!!そんなことないもん!!」

「………さっき言ったのはこれのことよ」

 

 これか。いつも通りなんだけどな。

 

「そう言えば、真姫ちゃん。晩御飯食べてくか?」

「え?でも………」

 

 ことりの両眼がぎらりと光る。

 

「真姫ちゃんも一緒に食べよう!!私、折角の機会だからもっと真姫ちゃんと仲良くなりたい!!おねが~い」

「………分かったわ」

 

 ことりのお願いもあって、真姫撃沈。

 真姫の家に連絡もして四人で食卓に並んだ。今日のメニューはオムライスだ。ケチャップで一騒動あったがそれは別の話。

 勿論、食後はちゃんと俺が真姫を家まで送ることになった。帰り道、ずっと真姫は黙っていたけど何でだろう。居心地は悪くなかったから、良いけど少しだけ気になる。

 

「………ほんと、バカ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 秋野楽器店、一階受付。

 

「暇だな………」

 

 俺は受付にて頬杖をついてぼやいている。ここ専用のエプロンを着ている格好から分かるが、現在アルバイト中だ。

 場所は秋葉原のとある一角。店名から察するが俺らのバンドのギターボーカル“秋野藍斗”の両親が経営している楽器店だ。品揃えも、高価なギターから初心者用のギター、アンプやドラム用のシンバルやスネアも数十種類兼ね備えている。評判も結構良い方だ。

 さらに地下にはスタジオも完備しており、俺らの普段の練習場所候補の一つでもある。

 ありがたいことに藍斗の両親の気遣いによって俺達のバンドのスタジオ練習は無料で利用させて貰っている。ただし、条件として他のバンドの予約があった場合はそちらを優先とし、両親二人だけでは店番をするのは流石に大変らしく俺らがアルバイトして代わりを務める、の二つだ。

 因みにバイト代はちゃんと貰っているので実質条件は一つだけのようなもの。

 正直藍斗の両親には感謝しきれない。今度、穂むら饅頭でも差し入れしようかな。

 そんなことも考えれるほど、俺は退屈していた。店内に人の気配はない。掃除も先程終えたばかりで手持ち無沙汰の状態だ。

 ーーーと、誰かが入店してきたのか電子音が鳴り響く。

 

「いらっしゃいませ~」

 

 俺は声だけ出してその場を動かなかった。一見やる気皆無のようだが、これで良いのだ。

 客層はある程度限られてくるし、一年もここのバイトをやってると自然と顔見知りとなってくる。それに客側も静かに楽器を見たいだろうし、用があれば向こうから話しかけてくるだろうと言う理由からだ。

 一応何者かだけ確認しようと視線を上げると、例の人物は既に目の前にいた。

 

「なんだ、藍斗か」

「蒼真は暇そうだな」

「いや、お前の店でもあるぞ、ここ。そんなこと言っていいのか?」

「確かにそうだが、この時間来る人は珍しいしな、問題ねぇ」

 

 現在時刻、夕方六時前。

 客かと思えば、ただ単に家に帰ってきたウチのボーカルさん。宿題提出を忘れ、居残りを喰らっていたのでこんな時間になっているのは知っている。てか、そのせいで俺が店番してる。

 会話も一段落して、俺は藍斗との世間話も区切りがつき次第店の奥に行くだろうと思っていたのだが、藍斗はカウンター前に突っ立ったまま動こうとしない。

 

「どした?何かやらかした?」

「なんでそうなるんだ。ちげぇよ………」

「………」

 

 今、気づいた。気持ち悪いぞ、こいつ。

 明らかにいつもの藍斗と様子がおかしい。歯切れが悪いというか、態度が曖昧になっている。お調子者のあいつはどこに消えたのだ。

 そして訪れた沈黙の間。

 

「取り合えず、聞いてやろうか?」

 

 藍斗は近くのイスを受付前へと運んで置いた。俺はその様子を黙って見ていた。

 

「俺さぁ………」

 

 息を飲み込んだ。

 

「好きになっちゃったかもしれねぇ………」

 

 ………ん?今、何と言った?

 

「好きって………あれか。マジの方か?」

「………多分な」

「Oh………だとすれば誰を?」

「………副会長」

「副会長と言えば東絛さんのことか」

「東絛さんって言うのか」

「知らなかったのかよ」

 

 藍斗の言う人は俺も知っている人だった。

 “東絛希”。音ノ木坂学院生徒会副会長。

 俺がその人と初遭遇したのは生徒会室だ。その時は確か軽音部の詳細を尋ねようとしたはず。生徒会室に入ると会長と副会長が仕事の真っ最中で忙しそうという印象が強かった。

 俺が入ると必然と視線は上がる。副会長との初対面の印象は包容力が凄そうぐらい。というのも結局、俺が生徒会室で喋ったのは会長のみで副会長はずっと見守っていたからだ。

 

「さっき帰ってくる途中でさ神社に寄ったんだ」

「急に語り出したな」

「ほんの出来心だ。折角だし、久しぶりにお参りしていこうと階段を上ったらさ、そこに居たんだ」

 

 東絛さんが居たのかな。

 誰がとか、はっきり言って欲しいものなのだが。きっと恥ずかしいのだろう。

 

「巫女の服着てたからアルバイトでもしてたんだろな。俺が初めて彼女の姿を見たとき、感じたことのない感情が稲妻のように脳裏を過ったんだ」

「あ、そう」

「そして俺はついさっきこの感情の正体に辿り着いた。これがあの初恋なんだって…………!!」

「………」

 

 藍斗が熱論してる。

 イスから立ち上がり、拳を握りしめ天を仰ぐその姿に俺は特に何も反応はない。ただ、面倒なことになりそうだなぁとのんびり現実と向き合っていたぐらい。

 藍斗はそんな俺の様子に気付く様子はなく、力強い台詞を吐き続ける。

 

「綺麗ってレベルじゃねぇ!!あんな女神がこんな世界にいるのがおかしいぐれぇだ!!」

「はいはい………」

「可愛すぎて思わず黙ってしまったがな!!あれは人生これからにおいてもお目にかかれねぇ!!」

 

 思わず店の扉を確認。

 よし、誰も来ないな。

 

「てことでさ、蒼真も協力してくれ!!」

「何を」

「ここここく………言わなくても分かるだろぉ!!」

「えぇ~」

「はっ!?蒼真もまさか………!?」

「いや、確かに東絛さんも綺麗な人だとは思うがそれだけだ。安心しろ」

「そうか。蒼真には既に予約があるもんな」

「………意味分からんこと言うなら手伝わねぇぞ」 

「それは止めてくれ!!」

 

 どうやら藍斗は告白をしたいらしい。

 まだ一対一で楽しく話せるほど進展してないので、まずはそこから徐々にしていかないとだろう。

 ひとまず俺がサポートできることと言えば………何かあるのかな。てか、そもそも他人の恋はあまり知らないが故に口出し出来る立場ではないと改めて認識せざるを得ないな、俺。

 

「なら、今度生徒会室に一緒に行くか?ちょうど用があるし、お前はその間副会長と話せるかもしれないぞ?」

「なるほど。それなら………っ!!やっぱ二人きりで喋るなんて想像しただけでも無理だぁぁぁ!!」

「………まずはそこからか」

 

 親友の恋だ。彼が本気で結ばれたいと望むのなら、俺だって全力で応援しよう。

 というか、あの藍斗がバンドの中で一番目に挑むことになろうとは誰が予想できたんだろうか。将来は分からないことだらけだ。

 俺自身のことも脳裏にちらりと浮かび上がるが、そもそもーーー

 

 ーーー恋とは一体何だろうね。

 




『人物紹介』
名前:秋野 藍斗 
性別:男
性格:お調子者
担当:バンド ボーカル(Vo.) ギター(Gt.)
概要:
 蒼真と同じバンドを組む。蒼真とは転校する前の高校一年生の頃、同じ軽音部に所属しようとして知り合う。
 ボーカルとしての実力は未知数。声は聴いた者を情熱的にさせる何かがあるが、歌唱力は特訓の最中。ギターは初めて四年目ということもあり、結構上手い。
 家族構成は母、父、兄の四人構成。両親は楽器店を経営しており、父の方は若い頃バンドマンでもあったらしい。五つ上の兄はとある会社に就職しており、既に独り立ちしている。
 偶然訪れた神田神社でバイトしていた希を思わず一目惚れする。が、ヘタレでもあるのでその時は話しかけれず、晩はしばらく落ち込んでいた。



*藍斗の恋の行方は蒼真の話が終わり次第書くかも(多分)


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