と、前回から何となく気になってましたが、ようやくその違和感が判明しました。
ーーーラブライブ!出場権を賭けた中間テストの描写がない!!
時期列的に会長にダンスをお願いする前の話辺りになりますが、すっかり飛ばしてました!!すみませ~ん!!
ということで、蒼真編ではダイジェスト並の会話シーンのみでその描写を済ますことにします。
また今回は長いです。ぶっちゃけ次の更新が未定であるから保険をかけてるわけですけど………頑張ります。
―――では、どうぞ!!
◇◇◇
音ノ木坂学院、第二音楽室。
「~♪………ふぅ」
藍斗のそれを切っ掛けに静寂が訪れる。
現在の俺達はバンド練習中。新曲の音合わせでもあるからして、いつもより各々の気合の有り様は楽器を通じて伝わる。
先程でこの曲を通したのも三回目だ。藍斗の声量は段々落ちるどころか調子が上がってきているようにも感じる。良い傾向だ。
本人も普段から喉のケアは大切にしていようで、色んな対策を試しているらしい。俺からは程ほどにしておくように、と釘を刺しておいた。
「んじゃあ、ようやく休憩だ!!」
「はぁ~今日はなかなか疲れるね」
藍斗の一声に一人の少年が軽い愚痴とギターを所定の位置に置いた。
ばちばちの金髪だが、本人の主張では地毛らしい。容姿も日本人離れしていることからある程度想像つくが彼は日本人とイギリス人のハーフである。
“吉宮ルーズ”。それが彼の名前だ。
10歳まで海の向こう、イギリスに在住。両親の仕事柄、日本へと引っ越しをしてからそのままここに住んでいるそうだ。
英語は勿論、日本語は普通に堪能。余計なほどにペラペラと喋る。性格はお調子者だ。
「というか藍斗、テストの結果はどうなったの?」
「ん?ルーズや、俺にそれを聞いちゃうか?」
「うん、容赦なく」
俺が水分補給してるとギター陣がそんな会話を始めた。光はというと音楽室から姿を消している。トイレかな。
内容はついこの前あったばかりの中間テスト。
「余裕で赤点セーフだぜ!!」
「おおっ!!」
ガッツポーズを決める藍斗。
「何が余裕だ。殆んど赤点ギリギリだっただろうが」
「ぐはっ!でも、セーフはセーフだ!」
「蒼真はどうやったの?」
「ん?俺?良くも悪くもあらずって感じ」
「へぇー」
「ルーズ聞いてくれ………蒼真は順位20位以内だ」
「んぎゃー!!」
ルーズが悲鳴を上げる。
そんなに驚くことでもないだろ。毎日ちょくちょくやってた積み重ねの結果なんだから。
「そう言うルーズは?」
「僕はね、英語は満点!!どや!!」
まぁ、ルーズの英語は万能だしな。
俺だって作詞の時には彼に何度か訳を頼んでいる。便利なもんだ。
とは言え、世間はそう簡単でない。
「他の科目は?」
「………」
やはり駄目だったようだ。
「テストで思い出したけどさーーー」
と、藍斗が唐突に話題変更へ。
これ以上ルーズのテスト結果を聞くのもあれだったので丁度良かった。
「μ'sの奴等の結果はどうなったんだ?」
「あー赤点一人でも居たら、ラブライブ?に出れないんだったかな?」
ルーズの言っていることはこうだ。
最近判明したことだが、どうやらラブライブが開催されるそうで。勿論、そこにμ'sも参戦しようとする。
ラブライブは云わば、スクールアイドルの甲子園のような大会でそこで優勝すれば注目度は一気に跳ね上がる。と、なると音ノ木坂学院も注目を浴びて入学希望者もしくは興味を持つ人が増えるかもしれない。そんな希望から参加を決めた、と数日前に俺はことりから聞いた。
ただラブライブに参加するには理事長の許可が必要で、その理事長本人からは許可を出すにはある条件を提示された。
ーーー次の中間テストで赤点を誰一人としてとらないこと。
これを聞いた各々の反応は違っていた。
余裕、と普段から勉強してる勢の海未や真姫ちゃんは思ってそうだが、逆にそうでない者もいる。
穂乃果と凛、それに矢澤さんだ。
皆が選んだ対策は取り敢えず猛勉強。部室で出来る者が穂乃果達にひたすら教えた。集中力が切れそうになってもひたすら勉強させられていたので、第三者から見ていた俺としては御愁傷様と手を合わせて見守るぐらいしか出来なかった。
「あーそれなら大丈夫だそうだ」
「誰も赤点取らずに済んだんだね」
「となると、ラブライブ出場か………いいなぁ。俺らもライブしてぇな~」
「というと、僕達ではスターライブになるかな?」
「イエス!」
スターライブ。
世間一般ではスクールアイドルは“ラブライブ”、スクールバンドは“スターライブ”の優勝が全国の者達の目標となっている。どちらも野球界の甲子園的な扱いだ。
ただ、ラブライブとスターライブの決定的な違いは二つ。
「スターライブか………まだ先の話になるけど、いつぐらいにあるの?」
「蒼真!」
「おい藍斗………はぁ………確か来年の三月辺り」
「詳しい日程はまだ決まってないんだよね?」
「あぁ。第一回スターライブで初めてだから分からないことだらけだろうな、きっと。主催者側も慎重になってるはずだ」
一つ目。スターライブはまだ一度も行われていないのだ。
それに伴い、“A-RISE”のような絶対王者がスクールバンドには存在しないということになる。ていうか、そもそもスクールバンドの絶対数が少ないのであれだが。
二つ目。スターライブ応募にあたって、男女どちらも出場可能だ。因みにラブライブでは女子のみ出場可。
これはバンド数が少ないので少しでも増やそうとする意図が見られる。とは言え、それでもまだ全然知名度は低い。
「ねぇねぇ」
ルーズがそう呼び掛ける。
「僕達ってさスクールバンドとしての実力はまだ未知数じゃない?」
「確かに。他のやつらがどれ程上手いかは全然わかんねぇ」
加えて、そもそもどういうバンドがいるかも現在時点では不明である。スクールアイドルのサイトはあるのである程度バンド名とかバンド数は調べられるが、どういう音楽を奏でるかは動画すらもないので予想がつかない。
となると、自分達のバントとしての完成度もまだだ。例えるなら、花の蕾が膨らむ寸前の状態。
俺が思考を巡らせていると、ルーズは高々と宣言する。
「やっぱり僕達も誰かに徹底的に磨きあげてもらうべきだと思うんだ」
「磨きあげる?もう既に各々楽器は教えてもらってるだろう?」
「蒼真、ちょっと違うんだ。詳しく言うと個人の技術はもう大丈夫だと思うんだけど僕としては楽器の技術力と同じくらい皆が合わさったバンドとしての一体感も大事だと思うんだよ。僕達四人の場合は十分に出来るはず」
「………つまりだ。ただ単に上手いプロの演奏では出せない俺らだけの何かを出したいと」
「流石、蒼真!理解が早いね!」
「………どういうことだぁ?」
「藍斗は考えずにひたすらライブで盛り上げることだけに集中しといたらOKだよ」
ルーズの藍斗に対する提案はまるで勝手に藍斗が合わすように調整しとくから、的な意味合いを感じる。
確かに藍斗にとってはバンドの味を出すって意識下にあるより、純粋に藍斗自身が音楽を、バンドを楽しんでボーカルをしてもらうべきだとは思う。
「………なんか馬鹿にされた感じするが了解したぜ!」
「とは言え、ルーズ」
「ん?」
「俺らがそれを意識しても、そう簡単に出せるもんでもないと思うぞ。観客がそう感じなければ意味がないし、俺らも観客がどういう風にに俺らの曲を解釈してくれるかはその人次第だ」
「うん、分かってるけど………でも、頭の片隅にあるかないかで聴く人の印象もちょっと変わってくるじゃない?」
「………そうだな。それは俺も思う」
「ルーズや、なんで急にそういうこと言い出したんだ?」
「μ'sも同じこと始めたって聞いたから僕達もさ負けてられないよね!」
「あ~あれね~………」
ことりから聞いた話だ。
拉麺屋で凛ちゃんと花陽ちゃんの言っていた会長にダンスを教えてもらう件はその後、本人にどうにか了承を貰えたらしい。
やっぱり会長の指揮する練習は厳しいようだ。柔軟では凛ちゃんが、ダンスでは体力面で花陽が、テンポのずれで海未が指摘されたり、とやはり相当しんどいらしい。さらに会長自身が有言実行で指摘したことを再現しまうため、練習内容にも文句をつけられない状況だ。
夜の俺の家ではことりに「柔軟体操するから背中押してくれない?」と手伝わされた。ことりの体は柔らかいので足を広げて座った状態から上半身を折り曲げると、余裕で地面に顎が届く。端から見てて、すげぇと思うしかない。
話の路線がちょいずれた。
第三者からは、明らかに会長はダンスのつらさをあえて全力で彼女らに叩き込んで、μ'sの解散という結末に持っていこうとしているように見える。まぁ、そんな事はあり得ないと俺はいつも通り傍観しているが。何よりあの会長だ、それなりの分別は弁えるだろう。
ーーーと、音楽室に物音が響く。
「大変です」
それは光が唐突に扉を開けたのと同時だった。
その姿は珍しく慌てているように思える。
「どうした?」
「蒼真、今すぐ来てください」
「どこに?」
「案内しますから」
「お、おう………」
ん?と首を傾げる俺。
まさか俺関連のこととは………正直、予想がつかない。心当たりと言えば、μ'sぐらいだが最近は練習に精を出しているだけだからいつもの日常のはず。何も大変な事は起きないだろう。
が、次の光の一言で俺は驚くことになる。
「μ'sと会長との間に何か問題があったみたいなんです」
………まじかぁ。
◇◇◇
音ノ木坂学院。屋上。
「あ、ソウ君………」
俺は屋上へと続く扉を開ける。
そこにはμ'sのメンバーが勢揃いしていた。が、彼女達の表情は全体的に暗いという印象を受ける。
ここまで来るまでにある程度の状況説明は隣の光から光自身の憶測込みで聞いていた。
彼曰く、生徒会長が脱走した。動機は恐らく彼女達の頑張る姿に己の信念がぐらついて、何もかもが分からなくなってしまったからではないか、と。
「………どうしたんだ?」
「蒼君………それが………」
こちらを見つめる穂乃果の瞳は震えていた。穂乃果自身も事態の把握が追い付いていないみたいだ。
そんな穂乃果の様子を見かねたのか、にこさんが前へと出てきて。
「私が説明するわ。端的に言うと、突然逃げ出したのよ」
「逃げた?」
「えぇ。私達はただいつも通りに練習してただけよ」
他のメンバーに視線を向ける。
誰もにこさんの台詞に否定を見せる様子はない。つまり、生徒会長はいきなり唐突にこの場から逃げ出した、ということになる。
―――訳が分からん。
μ'sにはその気がなくとも、生徒会長にとっては核心に触れる何かに彼女達が触れてしまったのだろうか。現場にいなかったので、推測しか出来ないのが悔しい。
「取り敢えず、生徒会長を探す」
「見つけてどうするのよ」
「分かりません?」
「………?」
「本人に直接聞くまでです」
「はぁ………そんなこと出来たら苦労―――」
「分かった!!」
「えっ!?穂乃果!?」
穂乃果はにこさんの制止を無視して、扉へと走り出した。周りの皆も動揺を隠しきれず、そわそわしている。
「どうするにゃ?」
「それは………」
「私達も行くわよ!」
「真姫ちゃん!?」
「行くにゃー!」
一年生組も駆け出し―――
「穂乃果ちゃん、行っちゃったよ………」
「ことり、私達も行きますよ!」
二年生組も後に続く。
と、ことりが俺の隣を通りすぎようとした所、俺はことりの腕を掴んだ。
「ソウ君?」
「ことり、俺が手助け出来るのもここまでだ。後はお前ら全員で乗り越えてくれ」
これ以上、第三者である俺が介入するほど柔ではないほど、これは厄介な問題であることは元々承知していた。
ことりを通じて俺はアドバイスも時々している。でも、それが正解だとも限らないし、そもそも最終的な判断は彼女達に全て委ねると念を押して言っている。
故に後はμ'sに任せるしかない。
「うん、分かった。ありがとうね」
「………早く行ってこい。置いてかれるぞ」
そう言うと、ことりは走り去っていた。
屋上に残ったのは俺と光、それとにこさん。
「あぁもう!!分かったわよ!!」
やけくそに叫んだにこさん。
「後で覚えときなさいよー!」と捨て台詞を残して階段を下りていった。
やがて、二人だけとなった屋上は寂しくなる。
「本当に良かったのですか?しばらく一人にさせておいた方が良かったでは………」
「………確かに光の言う通り、その判断も無難だと思う」
「では、どうして?」
光は再び尋ねてくる。
「簡単だ」
―――俺は空を見上げた。
「生徒会長ももうそろそろ素直になってもいい頃なんだろうなぁって思っただけ」
生徒会長として、母校の廃校という無理難題な問題の解決に勤しんだ彼女。彼女の責任感ある性格もあってか、一人孤高の戦いを続けてきた彼女の心はもはや限界すれすれだったのだろう。
そして、μ'sを間近に見て、それは爆発した。
自分は己の気持ちも犠牲にしても結果は無意味に終わる。なのに、μ'sは確実に一歩ずつ前へと歩んでいっている。そして、周りは段々と彼女達を応援していく。
となると、自然と考えてしまうだろう。
―――何の為に私はしているのだろう、と。
生徒会長が心の奥へと隠したその気持ち。それを俺はこの先知ることはない。きっと、引き出してあげるのは穂乃果を筆頭とした彼女達の役目。そういう運命にμ'sは選ばれた。
それで良いのだ。生徒会長は一人で頑張りすぎた。もう一人で泣く必要もない。仲間は既に周りにいるのだ。後は手を差し伸べてあげるだけで、彼女は救われる。
―――俺が昔そうであったように。
「そういう蒼真も素直になれば良いのでは?」
「………俺が?最近は結構素直だと思うけど」
「本当ですか?」
「変な聞き方をするなよ。本当だって」
光の異様なその質問に俺は戸惑う。
「そうですか」
練習に戻りますよ、と光は歩き始める。
俺も光の後を追う。生徒会長とμ'sの結末は例のごとく後日談として、のんびりとことりから聞けば良い。
今はバンド練習あるのみ。
「………手遅れになった当の本人にはもうどうにもすることは出来ないのですね」
―――俺が先を行く光のその言葉を聞くことはなかった。
◇◇◇
オープンキャンパス当日。
『皆さん、ありがとうございました!!この後もオープンキャンパスは続くのでぜひ見ていってください!!』
μ'sのライブも、無事大成功に終わっていた。
中学生らしきセーラー服や制服を着た子達もたくさんライブ会場に足を運んでみてもらったのでμ'sの目標も達成したと言っても過言ではない。
優希や雪穂もことりはステージ上から確認できていた。雪穂の隣にもう一人いたけど、名前は分からない。金髪で可愛い子だ。
ライブ終了後は皆で感動を分かち合う。
―――良かった!
―――楽しかった!
―――たくさん人いた!
―――緊張しました~!
興奮が収まるまで随分と時間がかかった。仕方ないと言えば仕方ない。
練習も重ねて、苦しいことや辛いことも全部皆で乗り越えてたどり着いたこのステージ。胸に込み上げてくるものがある。
『30分後に特設ステージでバンド演奏が始まります。ぜひ、ご覧になってくださーい』
そんなアナウンスがグラウンド中に流れたのはその時だった。
―――と、穂乃果が。
「そうだ!!蒼君のバンド!!皆で観に行こ!!」
全員少なからず興味はあったようで外せない用事があった者はそちらへと優先したものの、残りの者は特設ステージの観客側へと足を運んだ。
ステージ上では、既にライブに向けての設置作業が執り行われており、先程のステージとはうって変わって随分と雰囲気が変わっていた。
「あれは何だろう?」
「アンプね。あそこからギターとかの音を出すのよ」
「あそこもそうなのかにゃ?」
「あれは………ベース用かしら?」
花陽と凛の疑問に音楽に知識のある真姫が答えていく。二人とも初めて見るようで、興味津々だ。
一方で二年生組の会話はドラムだ。
「ドラムにたくさんマイク付いてるね~」
「そうですね。一個ずつ音を録っているのでしょうか」
「録る?」
「ほら、穂乃果ちゃん。あそこのスピーカーから録った音が出るみたいだよ?」
「ほぇ~」
「ことり、よく知ってますね」
「ソウ君が言ってたからだよ?」
「あ、蒼君!!」
「え!!どこ!?」
と、楽器の調整に出てきた男子に観客がちょっと騒いだりしたりもあったりと観客のテンションも徐々に上がっていくのが実感できる。
開始時間が少なくなるにつれ、どんどん人が集まる。中学生は勿論、高校生もちらほらと確認できる。
元々、彼らへの注目度は高い。
試験的な導入として来ている、この学校唯一の四人の男子。学校新聞でも大々的に取り上げられており、一人一人のインタビュー記事も掲載されるほど。
何回もソウ君の記事を読み返したことりもライブが始まる前からそれは知っていた。
「………すごい人ですね」
「うん、私達よりも多いかも」
だけどこれは想像以上の人だかり。
海未ちゃんも同じ感想を抱いていたようで、ちょっと安心する。
「あと、少し!!」
ざわざわ、と緊張が高まる。
初めて観るソウ君のドラム姿。自分でも楽しみになってきて、そわそわしているのが分かる。
「どんな曲するんだろうね~」
「私達でも知ってる曲は出てくるのでしょうか」
「ことりちゃん、何か知ってる?」
「ううん、私も聞いてない」
と、その時だ。
「あ、来た!!」
一瞬で大歓声に包まれる会場。
ステージでは一人の青年が着崩した制服姿で現れる。
「おーい、そーくーん!!」
「穂乃果!!興奮しすぎです!!」
「海未ちゃんも呼んでみてよ!!ほら!!」
「そ、それは………そ、そ~ま………」
………駄目です、と崩れた海未。
ソウ君はステージの前の方へと歩み寄る。
そして一礼。頭をあげる。
数秒後、近くのマイクスタンドからマイクを取り、スイッチが入ってるかを確認。
『あーあー入ってる?あ、入ってますね。ありがとうございます』
手を振った彼が観客側からも手を振り返されたのでどうやら一安心した様子。
『まずは軽く挨拶から。皆さん、ここ、音ノ木坂学園に来てくださって、ありがとうございます。ここまで様々なイベントがありましたが楽しめて頂けましたか?』
イェーイ、とちらほら飛び出る。
『音ノ木坂学園、大好きになりましたでしょうか?』
再びの、イェーイ。
『あれ?思ったよりも反応が………もう一回いきます!音ノ木坂学園、好きになりましたかー?』
イェーイ!!と音量が上がる。
『今日は楽しめたかー!?』
イェーイ!!!!
「すっごい迫力………」
「えぇ………皆さん楽しんでますね」
『だけどなぁ!!』
「「っ!?」」
ソウ君の唐突な声にびっくりする二人。
『まだまだオープンキャンパスは終わってないぞ!!先に言っておく!!ここからは俺達、超ハイテンションでいくから置いてかれるんじゃねーぞぉ!!』
―――刹那。
イェェェーーーイ!!!!
今日、最大音量の歓声がステージのあるグラウンドいっぱいに響き渡る。
『体調悪くなったらすぐに安全な場所まで行くように!!周りの人も見つけたら誘導してやって欲しい!!それから他の人に迷惑をかけない程度になら存分に騒いでOK!!皆、楽しんでいこう!!以上!!』
観客のボルテージが収まることを知らないまま、彼のMCは幕を閉じた。
「いつもの蒼君じゃ………ない!?」
「い…………いぇーい!!」
「海未ちゃん!?」
「ソウ君………」
「ことりちゃんも!?帰ってきて!?」
海未ちゃんがやけくそになった。
ことりはどこか上の空だ。
これがスクールバンドの力なの!?、と穂乃果は驚きながらも幼馴染みの肩を揺さぶる。
その間に、マイクを戻した蒼君はドラムの方へと行き、イスへと座った。スティックを手に持つ。
そして―――ライブが始まる。
◇◇◇
ライブ終了後。
「ごめんなさい、呼び出してしまって」
生徒会室に呼び出された俺。
昨日の夜、生徒会長からスマホにメッセージが届いた時は何事かと思ったが、どうやらそんな深刻な話でもないっぽい様子。
他のバンドメンバーには予め抜ける事は伝えてあるので、時間はたっぷりある。
「それでなんですか?」
「えっと………」
生徒会長が視線をずらす。
「私………」
と、視線を再びこちらへ戻した。
彼女の瞳は強い決意を持っていた。
「μ'sに入るわ」
「知ってます」
「あなたには色々迷惑を………え?」
今度は驚いた表情になった。
噂では冷徹な生徒会長とか言われてるらしいが、こうしてみると表情はコロコロ変わる。
「会長が入ったその日にことりから聞いてますよ?てか、どうして今更それを?」
「………あの日、あなたにも迷惑かけたみたいだからそれで………」
義理を果たそうとした訳だろうか。
別に迷惑も何も感じていないのだけど、その気持ちが責任感強い本人に通じるかどうか。
と、生徒会室の扉が開いた。
「言ったやん、エリチ。蒼真君、既に知ってるって」
「でも、一応言っておいたほうが良いじゃない!!」
「色々ことりから聞いてますよ?」
「ふふふ、具体的に聞いても?」
「希!?」
「良いですよ。黄昏てる会長可愛いとか最後まで素直になれず粘る会長可愛いとかμ'sに入った途端、笑顔で"練習よ!"って言う会長可愛いって聞きました」
「全部可愛いってどういうことよ!?」
「ふむ、確かにね。ことりちゃんもよく分かってるやん」
「~~~っ!?!?」
あ、会長がオーバーヒートしてる。
最終的には机に俯いて両腕で顔を隠してしまった。
「まぁ俺的には会長の加入は海未についで真面目な人にあいつらの面倒任せれるんで安心です」
「因みにウチはどっち?」
「………頑張ってください」
「ん?どっちなん?」
副会長のそれは答えづらいんだよ。
「では、ステージの撤収作業も残ってるので俺はこれにて」
「あ、待って!!」
会長が復活した。
「最後に一つだけ。μ'sの名付け親は誰か知ってる?」
「―――っ!?………エリチ~?」
副会長の邪心を秘めた視線が会長へと突き刺さる。
会長が一瞬にやついた。
「いや、知りませんけど」
「なんでそこは知らないのよっ!?」
何でもは知らないのです、会長。
『人物紹介』
名前:吉宮 ルーズ
性別:男
性格:お調子者、負けず嫌い
担当:バンド ギター(Gt.) コーラス(ch.)
概要:
蒼真のバンドのメインギター担当。たまにキーボードもこなす器用貧乏。藍斗のギターには負けない、と常日頃から思っている負けず嫌いな一面も持つ。
ムードメーカーも兼ねており、ライブの時も観客のアクションの誘導も行っている。とは言え、喋るとうるさい為にライブ中のトークは蒼真から禁止されている。
μ'sの面々との交流はある方。特に凛や穂乃果と端から見るとアホすれすれの会話をして、楽しんでいる。
*会長!!既にポンコツが出てきてま(殴