高町なのは一等空尉。
わたしはきょうも、そらをかけぬける。

1 / 1
【一発ネタ】なのはさんはいいこ

__いい子だから、おうちで一人でお留守番、できるよね。

__……うん、だいじょーぶ、なの。だから、おかあさん、あのね、

__桃子さーん、ホールの方手伝ってもらっていいですかー?

__あっ、わかったわ、少し待ってて!それじゃあ、お母さんとお兄ちゃん、お姉ちゃんはお店の方にいるからね。

__……いってらっしゃい。おみせ、がんばってね。

 

 わたしのおうちは、みどりやっていう、おみせをやってるの。おかあさんが、うでのいい“ぱてしえ”っていうひとで、おとおさんは、おかあさんのつくるおかしがだいすきだったんだって。

 でも、おとおさんは、わたしがうまれるまえに、おしごとのじこでしんじゃったんだって、おねえちゃんがいってたの。

 むずかしいことはよくわかんないんだけど、でも、おとおさんのこと、きかないほうがいいんだって、なんとなくわかったから、わたしのおとおさんはもういないって、それしかわからないの。

 でも、さみしくないよ。だって、わたしにはおかあさんも、おにいちゃんも、おねえちゃんも、おみせのおてつだいのひともいるもん。なにより、わたしは、なのはは、いいこだから。

 いいこは、いつもげんきで、あかるくて、おてつだいだってするんだって、てれびばんぐみでやってたの。おてつだいはまだできないけど、でも、なのははいいこだから。

 なのはは、いいこ、だから、さみしくなんて____。

 

 

「高町一等空尉、準備はよろしいですか」

 

モニターを出さず、本部から声だけが通信によって送られてくる。

 高町なのは、十九歳、出身である地球を高校卒業を機に出て、現在の職場である異世界、ミッドチルダの時空管理局に就職。

 住居は当初は金銭も不足していたため職場が提供している寮にいたが、階級が上がり給金も増えたことでミッドチルダに一軒家を購入し、そこで暮らしている。

 去年の終わりに幼い頃からの友人に新しく部隊を作るから、と入隊を勧められたが、それを拒否。そして……。

 

「……もんだい、ありません」

「__それでは速やかに任務を遂行してください」

「……たかまちなのは、にんむを、かいしします」

 

一般には隠されている内部の闇。第ゼロ部隊。通称殲滅部隊に入隊。

 現在最前線にて敵部隊を殲滅するエース・オブ・エースとしてその名を馳せていた。

 

「わたしは、いいこだから。だから、あなたはわるいこ。わるいこは、ころさなきゃ。レイジングハート、おねがいできる?」

<問題ありません、マイマスター。迅速に敵部隊を殲滅することであなたは“いいこ”になれる。頑張りましょう>

「……うん」

 

今回の任務は大雑把に言えば敵部隊の殲滅。細かに言えば、管理局に逆らった、反乱分子の殲滅。

どちらにしたって最終的には殲滅。たいした違いはないのかもしれない。

いや、違いなんてどうだっていい。

必要な情報はただ一つ。

彼らは“いいこ”なのか、それとも“わるいこ”なのか。

それだけわかれば十分なのだ。

 

「……生体反応を感知。数20未満。うち魔力保持者は極数名、陸戦魔導士と判断。器物の破損については一切の考慮は必要なし。真っ先に魔導士のコアとデバイスを破壊。後に頭をぶち抜く」

<マスター、砲撃準備完了しました。指示を>

発射(ディバインバスター)

 

的確にコアとデバイスの中心部を破壊。砲撃は敵の脳天を貫いた。

あたり一面が血の海と化す。

同時に嗅ぎ慣れた鉄臭いような、生臭いようなにおいがあたりに充満する。

風が吹けばそれも薄らぐだろうが、あいにくと今日は風がない。これでは最低でも数時間はこのままだろう。

ふと、見覚えのあるものが視線に映りこむ。

 

__きれいな、ながい、きんいろ。

 

海の見える公園で、交わした言葉。

お互いのリボンを交換して、それで__。

 

__友達が泣くと、自分も悲しくなる。きみが、おしえてくれたんだ。

 

優しげな声で、表情で、わたしを呼んでくれた。

綺麗な、長い、金色の髪の毛。宝石のような、まっかな瞳。

わたしの、たいせつな、おともだち。

どうして名前が思い出せないんだろう。

だって、去年あったはずなのに。

あの子と一緒に、新しい部隊に誘われてたんだ。

 

__ここは危ない。でも、ここにはたくさんの守りたい命がある。私は一つでも多くの命を救いたい。だから二人にそれを手伝ってほしい。

 

短い、茶色い髪の女の子の言葉。

長い間ずっと一人で戦って、大切な人たちに出会って、一緒に困難を乗り越えて。

たくさんたくさん、頑張っていた。

わたしの、わたしと彼女の、大切なおともだち。

 

本当に大切なのに。何よりも大切だったのに。

なのに、なんでわたしは、

 

 

<マスター、マスター、大丈夫ですか?バイタルに少し異常が見られます>

「__え? あ、ごめんね、レイジングハート。すこしぼーっとしてたみたい。つかれちゃったのかな」

<少し出動数も多かった気もしますからね。帰還後、本部に少し休暇を頂いては? どうやら最近、管理局が職員が快適に過ごせるように娯楽施設を作ったようです。評価も高く、利用後の仕事効率も上がるとか>

「へぇ、そんなばしょ、あるんだ。あとでほんぶに、きいてみる」

 

もう、顔も名前も思い出せない、わたしのおともだち。

でも、思い出せないなら、きっと大切じゃなかったって、そういうことでしょ?

なら、いい。

大切なひとを忘れるのはわるいこだけど、大切じゃなかったなら、わるいこじゃ、ないよね。

 

「ねえ、レイジングハート。わたしが、もっともっと、もーっと、いいこになったら、おかあさん、わたしといっしょに、いてくれる、かな?」

<……ええ、もちろんです、マスター。いい子にはいつだって褒美がある。お母様はマスターの願いをきいてくれるはずです>

「そっか。えへへ、じゃあ、おしごと、もっとがんばらないと、だね」

 

高町なのは一等空尉。時空管理局第ゼロ部隊所属。通称エース・オブ・エース。

わたしはきょうも、そらをかけぬける。

 

 




大前提として原作開始前になのはの父である士郎さんは任務によって死亡している、とらいあんぐるはーとの世界に近い状態となっています。
仕事にかまけて桃子さんは世話を放置、兄と姉もそれぞれ学校と店の手伝いがあるとって誰もなのはのことをみない。
ことあるごとに”いいこ”であることを求められたなのはは仕事の邪魔をするのは”わるいこ”のすること。”いいこ”にならなければ、自分を見てもらえない。
幼いながらにそう考え手間のかからない子供に育ち、家族はそんななのはならば自分の介入は必要ないと考えより一層なのはを見ることをやめる、そんな悪循環。
人格形成に最も影響が出る時期に家族の愛情に不足していたなのははどこか精神を病む。
無印、エースは基本原作通りに進むが、心の闇と呼ばれる部分を管理局の上層部にみつかり、そこに付け込まれる。
それが現在のどこか幼げななのはさん誕生につながります。
説明結構あやふやで申し訳ない…。数時間クオリティってことで勘弁してもらえないっすかね…?
ちなみにレイジングハートは管理局に弄られて思考回路があやふやになるような魔法…ジャミング的な?そんなのをきっと発してる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。