Fate/NamelessPhantasm   作:神倉棐

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全てが終わった末に至る/始まる地、それが『座』

 

【0】

 

 

『座』

 

嘗ての英雄達が死後、何者かにより回収され保管されている場所。時間という概念が存在しない不変であり絶対不可侵の空間でありながら過去から未来まで関係無く古今東西の英雄達の魂達がそこに集められている。

 

そして、俺もまたそんな『座』に招かれていた。

 

「……なんでまた俺はこんな所に居るのやら、俺は英雄でも反英雄ですらもない凡百の殺戮者でしかないと言うのに」

 

野花の咲く丘に夜明けとも黄昏ともとれる狭間の宙が広がるその場所に俺は居た。そこには今まで俺により登録され続けていた無銘からかの有名な剣や銃、果てには戦艦や空母、戦闘機に戦車までもが保存されており、正しくそれは俺が歩んだ人生の軌跡でもある。

そんな物の1つである俺のお気に入りの『零戦64型』の主翼部分に俺は1人座っていた。

 

「何故俺がここに居るのかはともかく、ここが世に聞く『英霊の座』である事が確かなら……居るかもしれないな。あの2人が」

 

思い返されるは最終決戦にて『絶対悪』たる自分を倒した白髪の男と黒髪の女の2人組の『正義の味方』、最期に願った願いはこの身と同化しかけていた何時の間にか魔力の満ちていた『聖杯』により叶えられたはずであり唯一の心残りと言えばあの『少女達』を泣かせてしまったという事だけである。

 

「……あ、あの2人も居るかもしれない……謝って許してくれるのだろうか」

 

ふと、平行世界にてあの2人もまた『英霊』となる資格を得ていた筈だと思い出し少し恐怖に身を震わせる。なに、前に勘違いで『影』と『銀糸』でガッチリ拘束された上で若干ヤんだ目であんな事やこんな事をされかけて正義の味方2人組に助けられた事があるから……勿論貞操は危機一髪だったが守り抜いた。オンナノヒトコワイ、カンチガイサレルコトダメ、ゼッタイ。

とても身に染みた冤罪っぽい教訓だった……。

 

「う、そんな事考えてたらなんだが寒気が……気の所為?」

 

気の所為ではないかもしれない……あの2人はやたらと勘が良かったな……と俺は遠い宙を眺めつつそう思う。もしこの時誰か他人がこの場にいたのだとしたら恐らく「あ、駄目だこれ。目が死んでる……」と呟くような状態である事に間違いはなかった。

 

と、その時その空間に『声』が響く。

 

 

『◼︎◼︎◼︎ちゃんに救いを、そして幸せを‼︎』

 

『生きたい、私はまだ生きていたい。死にたくない、もっと世界を見てみたい‼︎』

 

『人理は焼却され、最早(もはや)マスターは私ただ1人……それでも私は諦めない。諦めたくない。だって……私はまだ……』

 

『誰も死なせる訳にはいくかよ!絶対に!』

 

 

誰かが求めた切なる願い、誰か願った優しい想い。それを、そんな尊き(美しい)ものを否定する事など俺に出来ない、絶対に。

 

ならばそれ故に、

 

「応えよう、その願いと想いに。此の身は紛い物で、しかも贋作でしかないただの『影』。それでもなお、それが間違ってなどいないのだと信じて」

 

自らを求めた者の代わりに自分もかつて詠い上げたその文言(約束)をくちずさむ。

 

 

素に銀と鉄

礎に石と契約の大公

降り立つ風には壁を

四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

 

繰り返すつどに五度

ただ、満たされる刻を破却する

 

────告げる、Set(セット)

 

()の身は我が(貴方の)下に、我が(貴方の)命運は()の剣に

聖杯の寄るべに従い、この意(想い)この理(願い)に従うならば応えよ

 

誓い(約束)此処(ここ)

我は常世総ての善と成る者(セイヴァー)

我は常世総ての悪を敷く者(アヴェンジャー)

 

三大の言霊を纏う七天(救世主にして復讐を受ける者)

抑止の輪(英霊の座)より来たれ、天秤の守り手(星の選定者)よ───

 

 

「サーヴァント【アヴェンジャー(セイヴァー)】、召喚に応じ馳せ参じた。貴方が私のマスターか」

 

 

これはとある無銘の幻想(英雄となった反英雄)が再び紡いだ英雄譚。かつて自らを悪とし、その自らの敗北を持って善を成した、他人が不幸になる事を認められなかった愚者(英雄)が起こした1つの奇跡。

 

止まった筈の運命(Fate)の歯車は再びまわりだす。

 

 

 

さあ、聖杯戦争をはじめよう(その願いと想いを叶えよう)

 

 

 

 




誰がマスターになるかは台詞だけで勘の良い人は気付くかも知れない。そして最後のは絶対に分からないだろうけどそれは『異世界召喚』枠だからです。

気が向いたらまたつぎ足すけど……どれからがいいとかありますか?
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