Fate/NamelessPhantasm   作:神倉棐

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特異点F【その日、私はFateに出会った】

【Z+1】

 

 

────2015年、世界は滅びた。

 

疫病が流行った訳でもなく、

第3次世界大戦が起きた訳でもなく、

天変地異の大災害が起きた訳でもなく、

何処かの国が核をぶっ飛ばした訳でもなく、

地球に大質量隕石が落下してきた訳でもなく、

とあるこの世全ての悪が生まれ落ちた訳でもなく、

とある何処か平行世界の誰かさんの様に誰かが人類史上最悪の災害を引き起こした訳でもない。

 

ただ唐突に、誰ひとりとして自覚する事なく、まるで元から人類など存在しなかった(・・・・・)とでも言うかの様に世界から人が歩んだ軌跡の全て(人類史)消去(焼却)された。

 

 

()、誰ひとりとして気付かなかった訳ではない。

 

 

人理継続保障機関 フィニス・カルデア

 

 

100年後に時代設定した擬似地球モデル『カルデアス』の表面の文明の光を観測する事により、未来における人類社会の存続を保障する事を任務とする国連承認機関であるカルデアでは観測されていた未来領域が消失。人理焼却が観測されその計算の結果、人類は2016年で絶滅する事が判明―――いや、証明されてしまった。

 

 

 

故にカルデアはその人理消滅を阻止する為、人類史の中で『特異点』として存在する歪みにタイムワープし、歪みを修正する事を決定。世界中から集められた48人のマスター候補(戦力)を元にその原因に向けレイシフトを行おうとしていた。

 

しかしそこで起きた爆発事故、とある一般公募の1人の少女を除き全てのマスター候補達は死傷し戦えなくなってしまった。それに加え勝手に起動したレイシフトシステム、それによりその少女は1人の死に掛けの少女と共に最初の特異点、【特異点F】に放り込まれたのだった。

 

 

♦︎•♢♦︎♢•♦︎

 

 

特異点F 炎上汚染都市冬木

 

いつの間にか英霊と融合しデミサーヴァントと化したマシュと思い掛けず人類最後のマスターとなってしまった私は迷子になっていた所長と合流、霊脈にサークルを設置して戦力の補充の為新たなサーヴァントを召喚しようとしていた。

 

「良いわね?貴女は私が言った通りに唱えなさい」

「は、はい」

 

所長が口ずさむ呪文に次いで私もその呪文を唱え始める。

 

「素に銀と鉄

礎に石と契約の大公

降り立つ風には壁を

四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

成功するかなんて分からない、それでも私は所長の言った通りに呪文を唱える。

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

 

繰り返すつどに五度

ただ、満たされる刻を破却する」

 

人理は焼却され、最早(もはや)マスターは私ただ1人……それでも私は諦めない。諦めたくない。だって……私はまだ……

 

「────告げる、Set(セット)

 

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 」

 

死にたくない、まだ生きたい生きていたい

 

誰かの為でなく自分の為にそう願ってしまった私は間違っているのだろうか?そう考えてしまった私の声になぞる様に誰かの声が響く。それに気付いたのは私だけ、側にいるマシュも私の前で呪文を口ずさんでくれている所長さえ気付かない。それでもその声は私には聞こえたのだ。

 

「誓いを此処に(『約束をここに)

我は常世総ての善と成る者、(私はセイヴァー、)

我は常世総ての悪を敷く者」(私はアヴェンジャー』)

 

それは男の人の声だった。夜明けとも黄昏ともとれる狭間の宙の広がる草原にただ1人立つ黒い人影、見えたのはほんの一瞬、1秒にも満たない僅かな時間だったが間違いない。この声はあの人の声だ。

 

そう確信してしまった私は最後の一節を唱える。

 

「汝三大の言霊を纏う七天、(『我救世主にして復讐を受ける者、)

抑止の輪より来たれ、(英霊の座より来たれ、)天秤の守り手よ───」(星の選定者よ───』)

 

マシュの盾の上で廻る金色に輝く光の帯は三つに分かれ、そして一つの形を成していく。私の手元にはひとつのセイントグラフが現れ、その裏面と表面のデザインが明らかになった。

 

「……貴方は」

 

そこに記されていた紋章は『朱い剣十字架とその両側に羽ばたく傷付いた翼』をあしらった、そんなかつての誰かの令呪(マスター)の印であり、そこに書いてある筈のクラスには【Avenge(Saver)】と書かれていた。

 

「サーヴァント【アヴェンジャー(セイヴァー)】、召喚に応じ馳せ参じた。貴方が私のマスターか」

 

毛先の色素が抜け白髪となった黒髪に黒い少し長めの外套(コート)を着た夜色の男の人が私の目の前に立っていた。

 

 

 

 

……この日、私は運命(Fate)に出会った。

 

そして人類の未来(明日)かけた(取り戻す)時を超える旅、7つの特異点を巡る人類を守る為に人類史に立ち向かう、運命との戦い、聖杯探索(過去最大規模の聖杯戦争)───『冠位指定(GrandOrder)』は幕を開けた。

 

 

さあ、聖杯戦争(遥かな明日を手にする旅)を始めよう。

 

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