今俺は、土蔵にいて衛宮が創り出したと言う投影品を調べている訳だが少し気になるところがあった。それは既視感があるという事。
こう、なんというかこの投影品と衛宮は繋がっているというか分身というか……。どこで見たんだっけな?
そんな事を考えていたがいつまで経っても判らないと判断した俺は自分の寝床へ帰る事にした。そして、求めていた答えの一つが目の前にいた。
「おいおい、仕事サボって良いのか?」
「どうせこの屋敷に攻め入る奴は誰もいないだろう。」
黒いボディアーマーに赤い外装を纏うアーチャーだ。そうか、衛宮の投影品はこいつの使う武器と
「そんな事言ってたらまた昨日みたく敵を見過ごすと思うが、そこんところどうなんだ?」
「お前の従者が人外過ぎるだけだろう。」
「ジアナは従者じゃねえよ。あとその後半部分、本人の前で絶対言うなよ。マジで傷つくから。」
それを言ったら、すっげー落ち込んだのは六年前の記憶だ。
「で、本題は何だ?」
「ふむ、では簡潔に言おう。古崖創太、ジアナ・ドラナリク、貴様等は一体何者だ。」
「はっ?」
何者と言われても知らねえとしか言いようがない。
「……何を見てそう思った?」
「さあ?私も身元が判らない他人に情報を明かすほど阿保ではないのでね。」
くっそ、腹立つなこいつ!どういう意味で訊いてんのか判らねえから訊き返してんのに!
……落ち着け、よく考えろ。何故今出てきた?それは、俺と二人で話すためだ。いや、それならもっと他にタイミングがある筈だ。アーチャーは俺が土蔵から出てくるのを待っていた。そして、その前の会話。そこから導き出されるのは
「衛宮の属性と起源が何故判ったのか、という事か。」
「……。」
ボソリと呟く。そうか、確かにそれはおかしな話だ。衛宮は投影魔術が向いてるというのは土蔵にあるものを調べればわかる事。けれども属性と起源は判らない。なるほど、
「俺達は『力』を見ることができる。そして人の才能も同じだ。ジアナはそれを使って衛宮の属性と起源を見抜いた。それがアーチャーのような特異なものであっても見抜ける。」
「……っ!」
すんません。嘘ッス。ブラフッス。俺はできないっス。できるのはせめて、あの人とあの人の力の感じが似てるなーとか、あの人、周りより力持ってるなーとか、あの魔術はああいう事ができるなーぐらいだ。才能とかそういう詳細は見えません。ジアナは多分できる。ていうか出来たから、ああ言ってるんだろう。直接聞いた事はないけど。
「今度は俺から質問だ。
「……さて?」
「さっきも言ったが俺は力の性質が判る。同じような奴はいても同一は無かった。けれども、お前と衛宮の力の性質は
「……長い歴史の中ならばそのような奴もいるだろう。」
「ああ、そうだな。でも、そこまで特異な能力を持っている奴はそうそういない。」
淡々と喋っているが、本当は心臓が張ちきれそうで、バックバックです。力の性質とか特異だとか言っているが、そもそも衛宮の投影品の異常性は一生消えないとかぐらいしか判ってないし。もう少し何かがあると思っているが今は全く見当がつかない。
「本当にお前は誰なんだ?お前と衛宮が同じ道を辿ったが故の結果がそうさせたのか、お前が言っているようにただの偶然なのか、はたまたどちらかは先天的なものでもう片方は後天的だったのか、それとも……同一人物だとか?」
考え始めればキリがない。もしもは無限だ。けれども
「……悪い、今の話は聞かなかった事にしてくれ。」
これが一番であった。
「今は聖杯戦争。正体をバラされたくはないよな。それなのに正体を聞き出そうなんて、教える訳がないし。」
「ならば、最初から訊かないことだな。」
言うな。
「……さて、俺は寝るよ。
そう言って俺は今度こそ、寝床へと向かう。寝よう。こんな無駄話する暇があるなら寝よう。
「じゃあなアーチャー。また明日だ。」
「日付はとっくに過ぎているぞ?」
言うなって。
俺が今見ている夢。
それは昔の思い出だった。
数少ない父親との思い出。
小さな縁側に二人で座り、月を眺めていた時に、父さんは俺に色んなことを話してくれた。その中で、今回はある事が夢に出てくる。
「父ちゃんはな、昔、世界中旅をしてんたんだ!」
「えっ、本当⁉︎どのくらい昔?」
「母さんと出会う前からだな!」
父親が語ってくれた昔話がそれだ。
「その途中で
「そうなの⁉︎」
「ああ、本当だ!もう駄目かと思った時に目の前現れてだな。」
「うんうん!」
何故今になって夢に出てきたのだろう。
「確か、その人の特徴は……」
覚えているのはそこまでだった。
ーー2月4日ーー
「って、下宿ってなによ、士郎ーーーーー‼︎」
虎の叫び声が朝一番に聞こえるとは、最悪だ。その後にも吠え続けていてうるさいったらありゃしない。
「うーん……ねみい。ジアナ……はもう起きてんのか。」
隣にはいないので先に居間に行ったのだろう。ん?待てよ。まさかとは思うがさっきの声が聞こえた場所は……
「……考えんのは止めよう。それより現状把握だ。」
何故、動物園から虎が逃げだしたのかを知らなければ。いや、あの人の場合は野生なのか。そんなふざけた事を考えながら居間に向かった。
そうだ。虎と通い妻はほぼ毎日のようにここにくるのだった。
「朝からうるs「士郎は私のものよ!!誰にも渡さないんだから!!」……」
襖を開けた瞬間から堂々とした私物宣言ありがとうございます。じゃなくて、どうなってんじゃこりゃ。今、居間にいるのは(謎シャレ)衛宮と遠坂と藤村先生と間桐(妹)とジアナだ。ジアナを除いた四人は言い争っていて、残ったジアナは飯の用意をしている。
「創太か⁉︎頼む、藤ねえをどうにかしてくれ!」
どうにかしてと言われても暴れてる虎を対処すんのは無理っす。どちらかと言えば衛宮自身がどうにかできるんじゃねえか?
「古崖くんもここで泊まってるの⁉︎まさか、貴方も遠坂さんを襲おうとしてるんじゃないでしょうね⁉︎」
「ちょっと何言ってんのかよく分かんない。」
サンドイッチ食いてえ。
「とりあえず、状況説明してくれ。」
「という訳なんだ。」
うん、説明ありがとう。衛宮。
今聞いた話を纏めると、藤村先生あんど間桐(妹)、遠坂発見。なんでじゃー!!遠坂『ここに泊まる事になりました。』虎『男と女が同じ屋根の下なんて、けしからん!!』今ここ。
「うーん、そういう事ならしょうがないわねえ。」
「説得速っ!!」
いつの間にか遠坂が藤村先生を納得させていた。
「話は終わりましたか?なら朝御飯にしましょう。」
「あり?ジアナさんがなんでこんなところに?」
おい藤村先生。今まで気づいてなかったんかい。
「どうも、藤村先生。ご無沙汰しております。実は家でガス漏れが発生してしまい、その時はなんとかなったのですが、また発生してしまうかもしれないと思い業者に連絡をしました。
しかし、最近ここの近くではよくガス漏れがあるというせいで他の依頼もあり、点検をするには日数が掛かると言われ途方に暮れていたところを士郎君に相談させていただきました。
そう結果、以前から彼に料理を学びたいと言っていたのも相まって、ここに泊まる事になったのです。」
「あら、そうなの?そっちも大変ねぇ〜。」
ナイス、ジアナ。即興でよくそこまで言えた。
「ねえ、古崖くん。」
「なんだ、遠坂?」
「私のときよりスムーズに話が進んでない?」
確かに。ジアナも女性なのだからまた藤村先生がうるさくなるのが普通だと思うだろう。しかし、
「前に今と似たような事が起きてな、そん時に納得はさせてあるんだよ。」
「ふーん……あ、なるほど。」
どうやら察したようだな。面倒なので簡潔にいうとジアナが三者面談に参加したとだけ言っておこう。あの時は凄まじい戦いだった。叔父にも実家から来てもらうというまでに話が大きくなったが、なんとか説得に成功した。
「ジアナさん、皿出し手伝いましょうか?」
「助かります。シロウ君。」
「あ、あの私もお手伝いさせてもらっても?」
「サクラもですか?ならよろしくお願いします。」
一件落着という事で朝飯を食う事になっていく。ただその中で間桐が不満そうだったのを俺は見逃さなかった。
ーーーーー
「遅い!」
「そんなに騒ぐなって。もう少し待とうぜ?ここで何をしても衛宮が早く来るとは限らねえしさ。」
「それはそうだけど!」
俺達は今、昼休みを使った作戦会議を開こうとしていた。しかし、衛宮が遅刻というハプニングが起きていた。いや、下手をすればこれをすっぽかして何処かへ行っているかもしれない。
「朝にもちゃんと集合するようにって言っておいたのに!」
「遠坂、落ち着け。」
「大体、創太がちゃんとすればこんな事にはならなかったのよ!」
「俺のせいかよ⁉︎」
何という理不尽。
「そうよ!同じクラスなのになんですぐ見失うのよ!」
「仕方ないだろ!授業終わってすぐに衛宮の席見たら、いなかったんだからよ!」
な……何を言っているのかわからねーと思うが(ry
まあ、何処へ行ったのかは大体検討はつく。朝にあんな事が起きて間桐(妹)は不満そうだし、衛宮もそれに気づいていた。なら、そこからの予測は簡単にできる。
「と・に・か・く!衛宮はここにいねーんだし、探しに行ってもその前に昼休みが終わるかもしれない。もし見つけても結局時間が無いっいうのがオチだ。なら、ここで別の事を話し合うっていうのが一番だ。」
「創太の意見はもっともだし、話し合うのはいいけれど、何を話すのかしら?」
「間桐桜についてだ。」
「……。」
一瞬、遠坂の顔が歪んだ気がした。
「はっきり言おう。あいつはマスターだと思う。」
「それは無いわ」
それは即答だった。
「何故それが言い切れるんだ?」
「今の間桐家は衰退し切ってる。それだけで理由は充分よ。」
間桐家。始まりの御三家、その一つ。力は年々衰えているとジアナからも聞いた。けれども、
「本当にそれだけで充分なのか?」
「ええ。そうじゃないとしても、慎二の方はどうなの?あいつは間桐の第一子、そっちの方がよっぽど可能性としては大きいわ。
「確かにな。だけど、俺は他に理由がある。」
「……その理由って?」
「間桐桜の中に
「何かって何よ?」
「それは知らない。」
「知らないって……それだけじゃ彼女がマスターだっていう証拠にはならないじゃない。」
「そうかもな。でも、俺が見た所、魔術的なモノだというのは確かだ。なら、必然的に魔術には関わっている事になる。そして、マスターだという可能性もある。」
これが俺の考察だ。何かっていうのが魔術的なモノだと判っていてもその他は判明していないし、ただの憶測でしかない部分もある。だが、警戒しておくに越した事はない。
「この事は衛宮には話すなよ。あいつはそんな嘘を隠せるほど器用じゃねえし。」
「……解ったわ。」
遠坂は何か言いたげな表情だった。間桐桜がマスターではないと本気で思っているわけではないと思うが、少し心配だ。とか考えていると予鈴が鳴った。
「もう昼休みは終わりか。そろそろ教室に戻ろうぜ。」
「ええそうね。今度は士郎を見失わないようにね。」
「へいへい。」
どうも作者です。
不定期更新過ぎるのは許してください。
作中では原作の説明を端折ってる所があるのでご了承を。
次回。まだ何も決めてない。