オリ主と衛宮士郎との友情ルート   作:コガイ

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無自覚

 くそ、体の調子がおかしい。なんか手足が震えてやがるし、まともに立っていられない。

 さっき俺は隔離の魔術を使った。完璧とまではいかなくとも、結界の効果を緩和できているはずだ。実際に魔力や生命力が取られていく感覚は無い。それなのに身体に力が入らない。どういう事だ?

 そんな考えが頭の中を駆け巡る内に教室の外では、いつの間にか衛宮と間桐が対峙していた。ということはやはり、間桐がこの結界を張った犯人か。どうやって延長された結界の発動期間を短縮させたのかは後で聞くとしてだ。今はあいつを止めなくては。

 

「力ずくでも止める!」

 

 衛宮の奴何やってんだ!サーヴァントがいるかもしれないのに、敵に突っ込むなよ!

 

「慎二!」

 

 確かにあいつの体のキレが昨日よりも多少なり良くなっている。けれどもそれまでだ。先ほどの三本爪の様な形をした物に掠った時点で、サーヴァントには対抗できないと証明される。爪の攻撃速度は今まで見てきたサーヴァントのソレよりも明らかに遅い。だから、

 

「あがっ……⁉︎」

 

 ライダーの攻撃(蹴り)をあっさり喰らうんだよ。

 くそ、あのままでは殺される!

 

 殺される?誰が。

 

 死ぬのか、衛宮が?

 

 嫌だ、嫌だ、いやだ……!

 

 

 

 そして、体の不調なんてどうでもよくなった。

 

 

 

 ライダーが杭のような短剣を衛宮に投げるのが見える。

 

 一歩目、体を起こすためモノ。

 

 そして、衛宮の腕にその短剣が突き刺さる。

 

 二歩目、それは間桐の真後ろに踏み出された。

 

「おい、間桐。今すぐライダーを止めろ。」

「ひっ……!」

 

 一瞬のうちに、俺は間桐の首を腕で固定し、もう片方の腕を銃に模した形で銃口にあたる部分を頭の横へと突き刺した。ふざけているように見えるが、魔術という引き金を引けば、魔力の塊が間桐の脳を貫通する。

 

「早く!」

「と、止まれライダー!」

 

 その言葉通り、ライダーは衛宮に追撃を行おうとしていたのをピタリと止めた。

 

「創太?」

 

 衛宮は間桐の前まで転がり落ちて来た後、間抜け声で話しかけて来た。

 

「よう、助けに来たぜ。……さて、間桐。早速だが、結界を解け。」

「ふ、古崖か?なんだよ僕をビビらせないでくれないか。」

「今の状況を分かって言ってんだろうな?」

 

 今の間桐は本物の銃を向けられているのと同じ状況だ。

 

「ああ、分かってるさ。どうせ、お前は僕を殺せやしない。いや、僕どころか誰も殺せないんだよ!」

「今、イライラしてんだよ。さっさと言うこと聞かねえと、」

「そう言う割には、手が震えてるぜ?だからさあ、その手を」

「チッ。」

 

 舌打ちをした後、銃声に似た音が鳴り響く。

 

「うあああ!あ、足がああああ!!」

 

 それは間桐の足に穴が空いた時とほぼ同じ瞬間だった。

 

「うるせえ、さっきのを脳みそにくらいたくなかったら、結界を止めろ。」

「わ、分かった!分かったよ!

 おいライダー、マスターの危機だぞ!さっさと結界を止めるんだ!」

 

 間桐が命令した後、ライダーは頷く。それと同時に周りを包む赤い空気は元に戻る。

 

「さて、次は令呪だ。それを寄越してもらおうか。」

「なんでお前なんかに!」

 

 うるせえ。さっさと……まずい。吐き気が……どんどん……戻って……

 

「いいからはや……っ!」

 

 やばい!力が抜けた瞬間、ライダーに間桐を救われてしまった!

 

「ああ、くそ……!」

 

 せっかくの流れを相手に渡してしまうなんて……!

 

「シンジ、ここは一旦逃げますよ。」

「はっ⁉︎何言ってんだよ、今こそチャンスだろ!古崖はふらついてるし、衛宮も……」

「ですが、サーヴァントを呼ばれてしまえば厄介です。」

 

 そう言って、ライダーは短剣を構え

 

「なっ⁉︎」

 

 首に刺した⁉︎

 

「衛宮、来るぞ!教室に飛び込め!」

 

 直感がそう叫んだ。

 正確には分からないが、あれは宝具だ。そんなモンをくらってしまえばタダでは済まない!

 

「そう言ったって、創太は……!」

 

 ああ、体は満足に動きやしない。けれど

 

「うるせえ!」

「うごっ⁉︎」

 

 俺は残っている力を振り絞って衛宮を突き飛ばし、教室に無理矢理押し込んだ。だかしかし、俺の体は廊下、つまり攻撃の範囲内に残ってしまった。

 ああ、死が目の前まで来てやがる。なんだ、あの光?羽が見えるけど、ライダーって羽が生える英霊だったのか。

 今回も衛宮を庇っちまった。衛宮を庇うなんて何回目だ?だけど、それも今回が最後かもしれないな。

 そういえば、死ぬ間際に走馬灯を見るって嘘だな。俺何回も死にそうになったけど見たことねえもん。

 そんなどうでもいい事が頭の中を駆け巡る。

 

「セイバー!」

 

 衛宮の声が聞こえる。という事は、俺はまだ死んでないのか。もう死んでるのかと思った。衛宮を突き飛ばしてから、かなり時間が経ったかのように感じる。

 

 だが、いつの間にか校舎の外に出ていた。

 

「へっ?」

 

 俺、誰かに抱かれてる?どーゆー事?

 なんか、横から誰か来たと思ったら、窓ぶち壊して外に出たんですけど。

 そして、俺を抱きかかえた誰かは地面に着地した。

 

「大丈夫ですか、ソウタ。」

「……セイバー?」

 

 なんと、俺を抱きかかえていたのはセイバーさんでした。

 

「とりあえず、一刻も早い状況説明を。まだ全てを理解できていませんので。」

「……いや、戦闘自体はもう済んだ。セイバーが呼び出されたのは敵が逃げる時に繰り出した攻撃から衛宮が俺を助けるためだと思う。」

「そうでしたか。しかし、サーヴァントと戦闘をしたのですか?」

「衛宮がな。俺はそのマスターを捕まえて結界を解除させただけだ。」

「シロウが、ですか。あれほどサーヴァントと戦うなと言っておいた筈ですが……」

 

 どうやら衛宮は後でセイバーからの説教を受けそうだ。まあ、そんな事はどうでもよくて。

 

「……。」

「どうかしましたか?」

「いや、どうかも何も」

 

 今の状況を考えてくれればねえ?

 

「……そろそろ、お姫様抱っこから解放してくれないか?」

「あ、すみません。その……殿方がこれをされるのは不快な事でしたね。そこまで頭が回りませんでした。」

 

 そう言いながら俺を丁寧に降ろしてくれるセイバー。

 

「いやいや、助けてくれたんだからそこまで贅沢言えねえし。むしろ、礼を言わなくちゃいけねえんだから。とりあえず、ありがとな。」

「いえ、それはシロウに言ってください。彼が令呪を使って貴方を助けたのですから。私はそれに従って行動したまでに過ぎません。」

「そうだな。でも、礼は素直に受け取ってくれ。」

 

 後であいつにも礼は言っとかないとな。

 

「……うっ。」

 

 くそ、まだ吐き気がする。

 

「すまん、セイバー。結界の影響で少し吐き気がするから、ちょっと離れる。多分すぐ治るけど、ジアナがここに来ると思うから、俺は大丈夫だと伝えてくれ。」

 

 ジアナなら、結界の発動にすぐ察知しそうだし。

 

「分かりました。しかし、本当に大丈夫ですか?何か顔色が優れてような……」

「気にしなくていい。セイバーは衛宮の所に行ってくれ。場所は分かると思うけど、三階に居るから。ジアナが来たらよろしくな。」

 

 そう言って俺はその場を立ち去り、この喉から出てきそうな物を出しても大丈夫な便所へと向かった。

 

 

 

 =====

 

 ソウタが吐き気がすると言って、何処かへ去った後、私はシロウがいるであろう学校の3階へと向かいました。

 ソウタはおそらくですが、厠へと向かったのでしょう。敵の気配も無いですし、一人にさせておいても大丈夫でしょう。

 問題はシロウです。あれほど、普通の魔術師(メイガス)では英雄(サーヴァント)に太刀打ちできないと言っておいた筈です。しかし、無謀にも彼は英霊に戦いを挑んでしまった。ソウタを助ける為に令呪を使うならば、最初からソレを使えばそのような事にならずに済んだかもしれません。

 言いたい事は山程ありますが、それは本人の目の前で言いましょう。

 

「セイバー!」

 

 どうやら、三階に着いたようです。

 

「創太は、創太はどうなったんだ!?」

「彼なら心配要りません。少し気分が悪いと言って一人になっていますが、すぐに治るとも言ってました。」

「そうか、良かった。」

 

 彼はシロウにとっての友人。心配するのは仕方ありません。しかし、

 

「ところで、シロウ。貴方、サーヴァントと戦っていたようですね。」

 

 自分の身の事も少しは気にしてほしいですね。

 

「うっ……。」

「うっではありません。今朝も言ったでしょう。サーヴァントとの戦闘は避けるべきであると。」

「いや、でも慎二一人だけだったし、それくらいなら俺でもいけると思って……。」

「サーヴァントは常に霊体化してマスターと行動を共にしているのが、当たり前です。サーヴァントの姿が見えないからといって、安直に攻め込むのは……」

「ソウタ、ソウタ!何処にいるのですかソウタ!!」

 

 説教(講義)の途中ですが、彼女がやってきたようですね。

 

「ジアナ。」

「セイバーに……士郎君?何故、正座なのですか?」

 

 ジアナの言葉で気付きましたが、シロウはいつの間にか正座していたようです。私はただ説教(講義)をしていただけなのでシロウがそのようになった理由は分かりませんが(すっとぼけ)。

 

「ジアナさん?何でここに……いや、こんな大きい結界が張られれば」

「ええ、離れていても分かりますよ。それで、その正座の理由は……?」

「いえ実はセイバーにせっきy……」

「ジアナ。ソウタを捜していたのではないですか?彼なら、気分が悪いと言って、一階の厠にいますよ。それと、敵はもう立ち去った後の様です。なので、警戒はあまりしなくても大丈夫です。」

「そうでしたか。」

 

 そして、ジアナは周りを見渡してから、

 

「確かにこの惨状を見てしまっては……ソウタも……。」

 

 何かを思い出す様な顔をしました。おそらくはソウタのトラウマの事を言っているのでしょうか。ということは彼は、ジアナを心配させない為にああ言ったのでしょうか。いえ、もしくは彼自身も気づいていないのでは?

 

「私はソウタの元へと向かいます。セイバーの言う通り、敵の気配も感じませんので、心配は要らないと思いますが、念の為です。」

「分かりました。私はまたシロウが無茶をしないように見張っておきます(一緒にいます)。また、後で会いましょう。」

「ええ、また後ですね。」

 

 その後、ジアナはシロウの側まで移動し、

 

「士郎君、セイバーの説教は長いと思いますが自業自得です。これに懲りたら無茶しないようにお願いしますよ。……もし何かあれば、ソウタも悲しみます。」

 

 と言って階段を降りていきました。彼女はよほどソウタのことも心配しているようですね。

 私の目的の為でもありますが、ジアナが懸念する事にならないようシロウにはしっかりとしてもらいましょう。




どうも作者です。
主人公の弱さがちょくちょく出てきました。この弱さはある意味、原作主人公の歪みと対になっているところがあります。その説明は後々に。

セイバーにトイレの類の単語を言わせる場面があり、そういえばセイバーってそういう単語を言った事ないなと思いました。まあ、それが出てくるシーン自体が少ないんですが。ホロウアタラクシアでは凛と士郎がウォシュレットがどうのこうのという話がありましたね。

次回は、セイバーvsライダーの直前まで行くと思います。

次々回、ワカメ死す!!ガンドスタンバイ!(何故次々回の予告したし)
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