遠坂のおかげで戦闘が中断された訳だが二人のサーヴァントには敵意がまだあるようだ。
けれども、そんな事は御構い無しに遠坂は話を続ける。
「さて、衛宮くん。一応、確認しておくけど、貴方は魔術師なのよね?」
「えっ、魔術師って!?じゃあまさか、遠坂、お前も……!」
えっ?衛宮、まさか、そんな事を今まで知らずにいたのか?
「あ……。違う、今のはそういう意味じゃなくてだな、」
衛宮よ、そうやって言い繕っても、もう遅いぞ。遠坂のほうはみるみる不機嫌な顔になっている。
「……そう、納得いったわ。要するにそういうコトなワケね、貴方。」
うわー、怖えよ遠坂。スッゲー怖い。そして、その顔でこっち見ないでください。
「古崖くん、貴方は私が魔術師だっていうこと知ってたわよね?」
「古崖⁉︎……つまり、創太もここにいるのか⁉︎」
「ああ、衛宮。ちゃんと死なずに済んだぜ。それで遠坂の問いに対してだが、答えはイエスだ。もちろん、遠坂がこの地の
「衛宮くん、あれが
……もっとも、彼自身にも怪しい部分はあるけれど。」
おいおい、そんな事言わないでくれよ。確かに魔術師として色々おかしな部分はあるけどさ。
「話を戻すけど、今貴方の置かれている状況を解ってないでしょう?
だから、その事について話すつもりよ。そっちのセイバーもいいでしょう?」
「ええ、貴女がマスターの助けとなるかぎりは控えます。」
「それじゃ中に入りましょう。」
そう言うと遠坂が衛宮邸の中に入ろうとする。
「ちょっと待ってくれ遠坂。中ってどういう……」
「あら、中っていうのはもちろん衛宮くんの家の中よ。長話になるだろうし、外で話したって寒いだけでしょ。それと、古崖くんからも話を聞かないといけないし。衛宮くんも聖杯戦争以外にそっちの話も聞きたいわよね?」
「むっ、確かにそうだけど……」
「なら、決まりね。アーチャーは屋根の上で見張っててちょうだい。貴方がいたらセイバーも警戒するでしょうし。」
「了解したが、君は余計なことをしているぞ。」
そう言うとアーチャーはひとっ飛びで屋根の上に登った。
なんだか、黙っていたら勝手に話が進んでいくんだが……。
話し合いをするために俺たちは衛宮の家に入る。とりわけ遠坂は我が物顔で奥へとずんずん進んでいた。
家主である衛宮のほうは微妙な顔をしている。まあ、あの学園のアイドルが勝手に押し入ってきたら俺だって戸惑う。
「へぇ、結構広いのね。和風っいうのも新鮮だなぁ。あ、衛宮くん、そこが居間?」
遠坂はそんなことをつゆも感じていないようだ。これは一種のマイペースだな。
居間に入り、衛宮が電気をつける。
「うわっ、寒っ‼︎こんな時期に冷房つけるなよ‼︎」
「違うわよ、古崖くん。窓ガラスが全壊してるのよ。」
あ、本当だ。見事に窓ガラスがぶっ壊れている。
「衛宮、なんでこんなことになったんだ?」
なんとなくわかる気がしてくるが。
「いや、いきなりランサーってやつに襲われてな。なりふりかまっていられなかったんだ。」
やっぱり。
「あら、そういう事。じゃあセイバーを呼び出すまでアイツとやりあってたの?」
「やりあってなんかない。ただ一方的にやられただけだ。」
「ふうん、変な見栄張らないんだ。……そっかそっか、ホント見た目通りなんだ、衛宮くんって。」
そう言って、遠坂は嬉しそうにする。そして、俺はそれにつられて笑う。衛宮のほうは俺たちが何故笑ってるのか解らないようだ。
その後、遠坂は落ちていたガラスの破片を取ると指先を少し切って血を垂らし呪文を詠唱した。すると、バラバラになっていた窓ガラスはひとりでに組み合わさって、元通りになっていった。
「遠坂、いまの……」
「ちょっとしたデモンストレーションよ。」
衛宮が驚いている。おい、お前まさか、
「ま、私がやらなくてもそっちが直したでしょうけど。」
「いや、俺はそんなことできないぞ。」
「はっ?」
マジか。マジでそうだったかー。
「そんなことないでしょ、ガラスの扱いなんて初歩の初歩だもの。
こんなもの、そこらへんの入学試験みたいなもなのよ?」
「いや、俺は親父にしか教わったことがないから初歩とかそういうのは知らないんだ。」
あの人、本気で魔術師にさせたくはなかったみたいだな。
「じゃあ、衛宮、お前が使える魔術ってなんだ?」
これで何も使えないとかって言われたら反応に困る。
「一応、強化の魔術ぐらいは。」
「またなんとも半端な魔術をつかうのね。」
遠坂の反応はごもっともだ。
「それ以外は、からっきしっていう訳?」
「まあ、多分そうだな……」
なんとも煮え切らないご解答を衛宮は出す。
「遠坂、そろそろ話を進めよう。」
「ええ、解ってるわよ。……なんでこんな奴にセイバーが召喚できたのよ……。」
なんか、ぶつぶつ言っているが気にしないでおこう。
そこから、遠坂は衛宮に状況がちゃんと解っていないことを確認してから、聖杯戦争のマスターに選ばれた事を説明して、詳細を省いてはいるが、ちゃんとルールが解るようには説明している。
「言葉の上でなら解った。だけど、誰が何の為にそんなことをしたんだ?」
一応、理解はできたが、その理由が分からないらしい。
「そんなこと、私には知らないわ。いずれ、聖杯戦争の監督者に聞きなさい。」
俺は知ってるけどな。だがそれを言えば後々、疑われるかもしれないので、敢えて黙っておく。
「さて、今度はあなたよ、古崖くん。」
遠坂がそういうと一斉に視線がこっちを向く。やばい、なぜか緊張する。
「衛宮くんは何も分からない素人同然だったけれど、貴方はちゃんとした魔術も使ったし、知識もある。けれど、私は貴方が魔術師だったなんて知らなかったし、魔力も感じ取れなかった。
ああ、やっぱりそれを聞いてくるか。
「ちょっと待ってくれ遠坂。さっき、創太も言ってたけどそのセカンドオーナーって何なんだ?」
「その名の通りだよ、衛宮」
遠坂の代わりに俺が答える。
「簡単に言うとセカンドオーナー、つまり管理者はその地の霊脈を管理したり、他の魔術師が工房を作る為の許可をしたりするものだ。だから、魔術師がここで根を下ろす時や、代替わりをするときに遠坂家に挨拶をしなくちゃならないんだ。」
「ふーん、そうか。」
「そうなのよ、衛宮くん。さて古崖くん、さっきの質問に答えてくれるかしら?」
「ああ、いいぜ。だけど、どこから話していいやら。あ、一応言っておくけど、俺の父親はそっちに挨拶だけはしてるからな。」
「えっ、嘘でしょ?」
いや、本当だ。
「そっちがどういう風に情報を整理しているのかは知らないが、先代の人にはちゃんと工房の許可は貰ってるからな。」
「出鱈目を言わないでちょうだい。家にはそんな報告があったなんてどこにもないわ。」
「どうせ、そっちのうっかりじゃねえの?こっちにはちゃんと許可証があるぜ。聞きたきゃ当人に聞け。まあ、その当人はそっちにはいないみたいだがな。言っとくがこっちにもいないぜ。居るのはそれより後に来た……」
後に来た同居人だけだ。そんな事を言おうとしたら、ある事を思い出した。そしてそれは非常にまずい事であった。
「……?どうしたんだ創太。急に、黙って。」
「いや、あのー。」
「何、アーチャー?……えっ、敵襲!?」
遠坂が何か言っている。
「衛宮、お前に謝らなくちゃいけないことがある。」
「な、なんだよ、こんな時に」
「悪い、衛宮。もう一度……」
謝罪をしようとする、その瞬間。
「窓ガラスが割れる。」
ってもう遅かったか。
窓ガラスを割った
さらには、ミニスカにニーソという冬に着るもんじゃない服装をしている。だが、スタイルがめちゃくちゃ良いので、あまり文句は言えない。目の保yゲフンゲフン
「っ!まさか、サーヴァント!」
空気になりかけていたセイバーが叫ぶ。違うんだ、そいつはサーヴァントじゃない。なぜなら、
「大丈夫ですか、ソウタ!?」
俺の同居人だから。
「大丈夫だから落ち着け。」
「何を言っているんですか!貴方は捕らわれていたのでしょう!」
「いや、ちが」
「貴様、まさかマスターだったのか!」
「……。」
さらに状況が悪化した。さっき、戦闘が中断されたばかりだというのに。
「ええ、そうですよ
おい、さらっと嘘をつくな。これ以上、状況をかき乱さないでくれ。
「バカな!?ランサーは先の奴では……」
「それは、偽のランサーでしょう。本物のランサーは私ですよ。」
はてさてこの始末、どうなることやら。
……ふざけた事を思ったが、本当にどうしよう。とりあえず、この同居人がヘタなこと言わなきゃいいが。
「さて、マスターに怪我などさせてないでしょうね?もし、させていたらこの槍で完膚なきまで叩きのめします。」
そういうとそいつは、どこからともなく槍を出した。
おい!思ってたそばから煽りやがったよこいつ!!
「マスター、無事か?」
そんなことをやっていたら、アーチャーが屋根から降りて、遠坂のそばまで来ていた。
「ええ、心配いらないわ。それよりも、問題は向こうのあいつよ。」
アーチャーの殺気がこっちに向けられる。まずい、いつの間にか二対四になってしまった。誰かこの状況から助けてくれ(涙)
「ジアナ!!」
「ええ、大丈夫です。すぐに片付けますから。」
違う、そうじゃない。だが、その俺の言葉によって、意外な人物から助け舟が出される。
「古崖……ジアナ……偽のランサー……そして、その顔……なるほど、そういう事でしたか。」
セイバーからの殺気が解かれる。どういう事だ?
「おい、どうしたんだよセイバー?」
衛宮がそう聞く。
「シロウ、私達は勘違いしていたようです。」
お?なんか、いい感じになってきた?
「何のつもりですか、セイバー?」
おい、お前は黙っててくれ。ややこしくなる。
「とぼけないでください。貴女も私を知ってる筈です。」
「……はあっ!?」
えっ、今なんて言った?
「思い出したようですね、セイバー。てっきり、座に戻って記憶が無くなったのかと考えてましたよ。」
「……えっと、ジアナ?」
「はい。何ですか、創太?」
「状況説明プリーズ?」
動転していて、最後がなぜか英語になってしまった。
「そうですね。私とセイバーとの関係を説明しなくてはいけません。
こっちからも聞きたいことがありますし。」
そう言ったジアナは満面の笑みをつくる。だが、怖い。笑っているのに恐怖を感じるのはこれいかに。
「アーチャーとそのマスターも警戒を解いてください。大丈夫です。彼女らは少なくともサーヴァントとマスターではありません。」
セイバーが遠坂とアーチャーに説得している。だがアーチャーは、
「そう言われてもだな、セイバー。奴は私が認識してから僅か二秒足らずで接近したのだぞ。それでサーヴァントではないと言われても信じることはできん。」
アーチャーの視認範囲というのは非常に広い。にも、関わらずその距離から二秒という時間で走ってくるのは、お前人間じゃねぇ!(CV:うえ○ゆうじ)って思うよな。俺はそう思った。というか、下手なサーヴァントは倒せんじゃね?
「彼女らの魔術はそういうものです。前に彼女と行動していた
俺はアーチャーが言ったような事は出来ないけどな。
「もし仮にそれが本当だとしても、マスターではないとどう言いきれる?」
まだ、反論するのか。仕方ない一肌脱ぐか。
「だったら調べればいいじゃないか。マスターの証である
「何?」
本当に脱ぐのは服だがな。
「そうすれば、本当にマスターかどうかが判るだろ?」
「ふむ、なるほど、それが一番手っ取り早いな。だが、実際に調べるのはそこの小僧だ。」
「なんでさ。お前も来ればいいじゃないか。」
衛宮の言うことはごもっともだ。だがアーチャーは、
「そうすれば、そこのジアナという女性が暴れ出した時、マスターが身を守れるという保証がない。セイバーは他のマスターを守る義理はないだろうしな。」
そして、遠坂も
「今回はアーチャーの言う通りね。彼女の力は未知数だし、私が身を守れるかと言われれば、正直言って不安ね。だから、令呪調べは衛宮くんがやってちょうだい。」
二人がそう言うと、衛宮が黙りこくってしまった。
「俺はお前達が納得するなら別に構わないぜ。だけど、やっぱさっきの無しっていうのは止めてくれよ?」
「ああ、もちろんだとも。どうせ、そこの小僧は嘘をつけん性格だろうしな。」
「おいそれどういう……フガッ!?」
「はいはい、それじゃあ俺のだらしない体を女性に見せてはいけないから、他の部屋に行こうね〜。」
俺は衛宮の口を塞いで居間を出ていく。さっさと話を進めたいんでな。喧嘩して長引いても困る。
どうも作者です。
3話目を分割しました。
あまりにも長いと思いこういう決断したわけですが、皆様方の中にこの小説を初めて読んでいるという方はそういう事があったんだなぐらいの認識で構いません。内容はほぼ変えてません。
また、元3話目の後書きは次回にあります。安心してください、消してませんよ。(これで安心するのか?)