今回はクソ回ですね。延々と主人公が自分はクソだという回です。原作主対オリ主なんてオマケです。低評価をつけるならつけやがれ!
いまさらですが、評価バーが緑から黄色に戻りました。それを見た作者は、内心フィーバーモードでした。だからなんだ。
でも、感想が未だ一件というのが寂しいです。文章が変とかでいいんで、何か書いてください。お願いします。書かなくても、投稿は続けますけど。
何故だ。何故俺は、衛宮に勝負を仕掛けているんだ。そんな理由は、ないはずなのに、体が、口が、勝手に動いてしまった。
俺は、戦いから逃げる身だ。なのに何故、戦いに向かう奴の邪魔をするんだ?
……ふと、下に向けていた目線を上げる。目の前には、衛宮邸がある。決闘場所は、ここだ。
人目が無い場所を選びたかったが、どこも移動するのに時間がかかる。郊外の森なんてもってのほかだ。というよりも、そもそもこんな昼間に、人目の無い場所なんていうものは皆無だ。
ここ衛宮邸なら、広い庭があり、多少の結界が張ってある。それを利用して、外から中の様子を確認できない結界を
「着いたな。なあ……早めに……」
「分かりました。二人は、準備してください。」
作り笑いをしながら、
……悪いな。名前、覚えてなくて。
俺と衛宮は、その様子を見た後に、庭へと歩く。
「なあ、創太。本気で戦うつもりか?」
「本気だ。」
「そうか……。」
悲しい声が聞こえる。本当は俺だってしたくない。むしろ、何故しなくちゃいけないんだ。
庭の真ん中、そこから四メートル離れた場所に、それぞれ俺と衛宮は向かい合うように立つ。あくまでも、家は傷つけないように、後ろには塀しかないように立つ。
そこから、五分。戦いの場ができた事を告げに、
「人避けと視聴妨害の結界を張っておきました。これで一般人が立ち入ることも、中の様子を確認することもありません。」
「……悪いな。」
あくまでも、
顔なんて合わせられない。名前なんて忘れた奴がそんなことできるはずない。
「衛宮、分かってると思うけど、本気で殺しに来い。じゃないと、俺は納得しないからな。」
むしろ殺されても構わないと、俺は思う。こんな足手纏いは、いないほうが……
シヌのはコワイ
……いや、やっぱりやめよう。
「ああ、全力でやらせてもらう。」
相手は当然のように言う。
この戦いは、互いに本意ではないのにも関わらず行われようとしている。そして、誰も止める人がいない。遠坂ぐらいなら、止めようとしてくれたのだろうか。でも、もう一人、絶対に止めてくれる人がいたはず……
ウソダ
……もう、いい。今は、戦いに集中するんだ。何故かは、分からないけれど、俺は、そうするべきだと思ってしまう。
「いいか、もう一度確認するぞ。この戦いに、お前が勝てば戦争を続けるなり、なんなりすれば良い。けど、俺が勝てばお前は今後一切戦うな。」
「それで、お前が良いならな。」
この戦いに勝とうが負けようが、俺には一切のリスクがない。逆に言えば、衛宮にとってはメリットがない。こんな俺だけ有利な条件を、何故衛宮が飲んでくれるのかが不思議だ。断ってもいいはずなのに。
「そろそろ始めよう。俺は、いつでもいいぞ。」
「俺も同じだ。」
だったら、この戦いは今すぐにでも始められる。
「
「
互いが、それぞれ唱え慣れた言葉を同時に使う。
俺はそれと同時に解析の目で、衛宮の投影する物を読み取る。その物は、アーチャーが使っていた一対の夫婦剣。互いが互いを引き合う性質を持つ。衛宮が投影したものは、あれよりも劣化しているけど、性質は変わらない。
ならば俺も武器を持つ。周りにある地面を腕に纏わせ、手甲のように形を変える。腕が少し重くなるが、筋力を強化すれば何の問題も無い。
「ふーっ……、はあっ‼︎」
俺は息を吐いた後、地面を蹴り、一気に相手との距離を詰める。衛宮はそれに反応して、両方の夫婦剣を俺に投げる。
その攻撃は英霊の物に比べれば、遅く単調だ。俺ですら避ける事は簡単だ。しかし、避けることによりほんの僅かな猶予があいつに生まれてしまい、新たに武器を投影されてしまう。
だからこそ、
「ふっ……!」
土の手甲を盾代わりにして突っ込む!
これにより衛宮の双剣は、それぞれの俺の両腕に刺さっている。あくまでも、刺さっている部分は浅く土だけで、腕自体には刺さっていない。
そして、俺の射程圏内に、時間の無駄はなく相手を入れることができた。
「はあああっ!」
俺はそのまま、右腕を大きく振りかぶり、土を纏った重い一撃を放つ。しかし、すでに衛宮の手には、先程見た双剣があった。
今から、殴る場所を変えても、反応されて合わされるだけだ。ならばいっそ、思いっきり振り抜く!
死ぬかもしれないが、そんなこと知ったことでは……
シナナイデクレ
「っ……!」
俺はそのまま拳を振り抜いた。しかし、それは貫通することなく、衝撃を後ろに流されただけだ。
そして、気づいた時には腕に刺さっていた双剣が無くなっていた。正面を見ると、衛宮が両腕を交差させており、それを勢いよく広げ、夫婦剣を左右に投げる。
しかし、投げたはずの夫婦剣は、正面から衛宮に向かっている。いや、あの夫婦剣は、俺の腕に突き刺さっていたものだ。
「これは……まさか!」
一瞬、脳に浮かびあがる直感が、左右に投げられた双剣に注意を向かせる。それは、大きくUターンをしながら俺に向かってきていた。
そして正面からは、衛宮が手元に引き寄せた双剣を手に取り、距離を詰める。
引き合う性質を使った三方向の同時攻撃か。となると、躱すのは難しい。唯一上が空いているが、以前にも言った通り、跳んでしまえばいい標的になるだけだ。
色々考えた結果、俺は退路を作ることを選んだ。全てを一度に対処するのは、無理だ。だから、まず後ろの二本をなんとかする。
「はあっ!」
俺は衛宮に背を向けて、両腕を使い、飛んでくる双剣を叩き落とす。しかし、そのままでは衛宮の攻撃が当たってしまう。それをどうするか。答えは簡単。
「
俺は脚に魔力を込めて、一瞬で体を最高速まで持っていく。そのおかげで、なんとか衛宮の攻撃から逃れることができた。
そして再度、体を相手に向ける。相手の姿を確認するために。しかし、俺は驚いてしまう。
「っ……!」
衛宮はすでに黒塗りの弓を構えていたからだ。
さっきの双剣といい、今の弓といい、投影する速度が前よりも段違いに速い。短剣ですらやっとだったあいつが、いつの間にか成長しやがってる……!
「
その弓から放た矢は、いつか見た、空間ごと巻き込む剣。それを避けるなど、もってのほか。キャスターと同じかそれ以上の傷を負うことになる。逸らす事も無理だ。あれは、近くにいるだけでも吹っ飛ばされる。
ならば、防ぐしかない。
「
両手を前に出し、腕に纏った土と地面の土の両方を使い、目の前に大きな盾を作る。あいつの投影したものが、アーチャーのそれよりも劣化しているとはいえ、こんな即興で作ったもので防げるのだろうか。
……いや、防げなきゃ俺が負けて、あいつを死地に行かせることになる。だから、防ぐしかない。
次の瞬間、重い音が鳴り響き、魔力、そして腕から土の盾にあの螺旋剣がぶつかる衝撃が伝わる。
「くっ……だああああ‼︎」
盾の強度を上げるため、魔力を一段と込める。貫通されてしまえば致命傷はなくとも、大きな隙を生むことになる。
足が地面を擦り、跡を残す。けれども、螺旋剣の威力は徐々に弱まっていく。これならば塞ぎ切れる。
そしてその数秒後、螺旋剣は土の盾を壊したと同時に、完全に動きが止まった。
しかし、しかしだ。
「っ!あいつは⁉︎」
相手の姿を見失ってしまった。
落ち着け。こういう場合は、魔力を使って探すんだ。周りの魔力を読み取って……
「っ!」
後ろ。あいつがいる場所は、そこだと把握できた。けれども、一歩遅かった。
「……俺の勝ちでいいな?」
その前に衛宮は、ただの短剣の刃先で、俺の喉元を触れていたからだ。
「ああ、約束通りお前の好きにしろ。」
俺は宣言を素直に認めてしまう。
この戦いは、予想よりも早く終わってしまった。衛宮が尋常じゃない成長をしたのも要因の一つだが、やはりあれが……
衛宮は自身の勝ちを確認した後、短剣の投影を解除する。それと同時に、俺は膝から崩れ落ちる。
ああ、分かっていたよ。最初っからこうなる事ぐらいは。全部分かっていた。戦いの結果も、俺が何故衛宮を止めようとしたのかも。そして、あいつが俺のわがままを聞いてくれたのかも。
俺は衛宮を死なせたくなかった。たったそれだけの理由で勝負を挑んだ。止めないと、父さんと母さんみたいに戻ってこないんじゃないかって……。
でも、俺みたいな臆病者が、覚悟ができている奴に勝てるわけなかったんだ。
「行きましょう、ジアナさん。」
「え、ですが……」
「今は、あいつを一人にさせてやりましょう。」
声のする方向に振り向く。衛宮は、すでに外へ出ようとしている。そして、
「ソウタ。」
「……悪い。本当なら、お前を一番止めたかった。」
また嘘をつくのか。俺は
「けど、お前は俺なんかじゃ引き止められない。」
違う。本当の理由はそんなのじゃない。
「行ってくれ。今は俺なんかよりも、あいつの方がお前を必要としている。」
その言葉は、唯一の本当の物だった。
本当は、覚えているのに。
だけど、あの本当の姿を見た時、俺は裏切られたんだと思った。今までの物、全て偽物だと。そう思った。そんな事はない、と自分を納得させようとしても、心の底では拭いきれない不信感が、住みついてしまう。
「ああ、俺はなんてクソみたいな人間なんだろうな。」
誰もいない広い庭の真ん中で、そうポツリと呟いた。