オリ主が、覚醒していないにも関わらず、チートを使う!けれど、二度目は無いと思う。
いや、チートとか言ってますけど、全部の魔術を使えるとかっていう時点でチートなんですけどね。転移とか、宝具とか、使うって。
無茶苦茶。無茶苦茶すぎる。
AUOってこんな喋り方でしたっけ?なんか自信が持てない……。
次回、ついにオリ主覚醒です。長かった。本当に長かった。
ギルガメッシュが打ち出す宝具。最初は一つだった。
ただの一直線で速いだけ。避けるのは簡単だ。しかし、後ろには人がいて、避ければそいつに当たってしまう。ならばと思い防ごうとするのは間違いだ。それは一級品以上の物。防ぐには相当な力が要る。
だから、俺はそれを逸らす。素手で触れても傷を負わない部分へと、拳を加える。
次は二つだった。
数が増えたがこちらの腕も二本。だから、先程と同じ方法で両腕を使い対処する。
今度は四つだった。
これをどうにかするとなると、さっきまでの方法では厳しくなる。それならば、魔術を使うしかなかった。腕を強化しスピードを上げて、体には当たらないようにする。
一つ、二つ、四つと倍々に増えていったのだから、次は四の倍で八が来ると予想していたが、その上の十だった。
ここまで数が増えると、単純にスピードを上げるだけでは間に合わない。だから、別の魔術を使う。俺が扱う主な属性、力を。
手順としては、直接武器に手を触れて、魔術で横からの力を加える。たったそれだけだ。これにより、拳で殴るよりも動きが少なくて済む。ただ、触れていないと消費魔力が、格段に上がってしまう。
「はあっ……はあっ……。」
しかし俺にとっては、触れていなくても相当な魔力を使う。
「どうだい、僕のサーヴァントは?
この圧倒的な力!これで僕の力を証明できるだろう?」
間桐が何か言っているが、ほとんどが耳に入ってこなかった。それよりもその前の脅威をなんとかしなくてはならない。
ただ死にたくないと、生存本能ではない何かが叫ぶ。心臓は破裂しそうなくらい大きな鼓動を打ち、顎は細かく動きガチガチと鳴らす。膝も震え、全身が恐怖を露わにする。
誰も助けてはくれない。一人で戦わなくてはならない。前のようにただ見ているだけなら、即座に死ぬ。それぐらいは理解していた。
「怖くて、声も出ないのか?」
ああ、そうだ。死ぬのが怖くて、怖くて、たまらない。
「そうだよな!怖いよな!けど、それは当然の報いだ。いつも僕を見下しているからこうなるんだよ!」
間桐は、徐々に怒りを見せてくる。しかし、俺からすれば何を言っているのか全く理解できない。
「お前も内心バカにしてたんだろ!落ちこぼれだとか、魔術も使えないただの一般人だとか!
その証拠に、後ろのそいつから僕を救うフリをして、見逃した。こいつなら、放っておいても何もできないと思って!」
ああ、あの時か。こいつはセイバーがライダーに勝った後のことを言っているのだろう。
俺としては、そんなつもりは無かった。けれども、弁明する気はない。したところで、どうなるのか。あいつは、半狂乱になっている。何を言っても無駄だ。
「けど、お前は偽善だろうと、僕を救った。だから、もしその庇っているそいつをこっちに渡してくれれば、同じように見逃してやらないこともないけど?」
「イリヤスフィールを?」
何故急にそんなことを言い出したのか、分からない。
「言っただろ、僕はお礼をしに来たんだ。お前がいなければ、最強のサーヴァントを手に入れられなかった。だから、今回だけは許してやろうってことさ。」
「……お前の言いたい事は分かった。」
「ということは、そいつを渡すんだよな?」
「えっ……。」
イリヤスフィールは、不安げな表情を浮かべながら声を漏らす。
渡したい。死なないのであれば、俺だって渡したい。けれど、やっぱり
「無理だ。」
それは、力も度胸も勇気も覚悟もない人間が放った一言であった。
「はあ?何言ってんだ。死にたくないんだろ?それとも……」
「俺は死にたくない。けど、こいつを見殺しにもできない。だから」
「もういい。だったら、許しを請うまでやってやるよ!
ギル、やれ!」
「良かろう、シンジ。余興に付き合ってやろうではないか。
雑種、少しは愉しませるのだな。」
別の提案をするつもりだったが、聞く耳持たず。
黄金の門から、さきほどの倍、二十もの宝具が覗き込む。この調子で数が増えていけば、ただのジリ貧になる。そうなれば、死は免れない。
「……いやだ。」
誰の耳に届くかもわからないほどの小声で、反抗をする。
だが、その言葉は無意味だと言わんばかりに、数多の武具が俺の体を突き刺そうとする。
「っ……!」
そして、また俺は魔術で横に逸らす。弾かれた二十もの宝具は、俺の周りを囲むように、地面に突き刺さる。これでは、まるで自ら刃の檻を作っているようだった。
「よくぞ無傷で凌ぎ切った。
だがしかし、これはどうだ?」
ギルガメッシュが薄笑いを浮かべた瞬間、さっきとは比べ物にならない数の門が展開される。軽く五十は超えるだろうか。
理解する。これでは、俺の魔力が尽きると。
勝てない。ならば、逃げるしかない。足を使っては無理だ。背中を見せた時点で、殺される。いや、逃げ切れたとしても聖杯を求めて必ずまた追ってくる。そしていずれ見つかる。だったら、一体どうすれば……
「さあ、命を賭けて踊ってみせろ!」
考えている間にも、敵は攻撃を仕掛けてくる。
飛んでくる宝具を一つ一つ確実に対処し、横にずらす。一斉ではなく、一つずつ撃ち出された事が不幸中の幸いか。しかし、対処する度に魔力は減っていく。けれども、後ろにはイリヤスフィールがいる。彼女を死なせるわけにはいかない。
逸らした数が四十になった頃だろうか。魔力が尽きそうな事に気がつく。これでは、後の宝具を拳で弾くしかない。そう感じながらも魔術を使い続け、残りが五つほどになった時、ゼロになる。
落ち着け。なくなったからと言って、できない事はない。最初と同じ、ただ刃のない部分に拳を入れるだけ。
右腕が聖剣を弾き、続けて左腕が魔槍を弾き、振りかぶった右腕を戻して鬼斧を弾き、左腕も同じようにして妖刀を弾く。
しかし、最後の一本を弾こうと、右腕を切り返そうとするも、すでにそれは俺の体を突き刺す直前だった。避ける事は不可能。
あと一本、最後それだけを防ぎ切れば……!
「あがっ!」
しかし、その一本を防ぎ切れなかった。
左肩に深く刺さり、反対側まで貫通している。そのせいか、肩から下は、感覚がほとんど無くなり、指一本動かす事ができない。
そして、痛みに耐え切れず、片膝をつき、頭がうなだれる。それは、まるで王を崇めるかのような姿だ。
「少しは、と期待した次にこれか。あやつらの子と思っていたが、しょせん雑種は雑種。我を人の身で超える事はできん。」
敵が何か、引っかかるような言い方をする。しかし、頭に血が回らず、めまいがする。
くそ……何も考えられやしない。
「ここからは蹂躙の時間だ。せめて華美な悲鳴をあげてみろ!」
また黄金の門から、宝具の数々が姿を見せる。けれども、それは怖くはなかった。痛みなど、もはやどうでもいい。拷問が永遠に続いたとしても、恐怖などない。
最後の時が近づく、ただそれだけが怖い。
怖い
こわい
「……
だからか、俺の体はまだあがき続ける。
魔力がないからなんだ。
周りにあるのは宝具。つまり力の貯蔵庫。
そこからいくらでも吸収できる。例えそれが強力で、人の手には負えないものでも、死から逃げられるのであれば、使うしかない。
肩に刺さった剣に手を掛け、抜く。そして、同時に所有権を奪う。
「貴様も猿真似か。さらに我の財を奪うとは、愚か者めが!」
自身の物を盗られたギルガメッシュは怒りを見せ、門から瞬時に大量の武器を射出する。さっきよりも速く、俺が持つ全ての力を敏捷力に変えても、全部の対処はできない。
だから、俺は猿真似をする。あの大英雄の猿真似を。この剣が放つ本当の技ではないだろうが、関係ない。
「
全てを極めた武人、ヘラクレス。その技をこの身で再現するというのは無謀かもしれない。しかも、見たのは一回のみで、さらにそれは不発。技を出す直前までしか見れていない。
けれど、これこそが現状を打破する最善の一手だ。
状況や持っている武器によって、様々な形態を変える洗練された武技。
「うおおお!」
この手に持つ剣を力の限り振り抜く。ただの考えなしではなく、最も効率よく、攻撃を叩き落とせるように。
もっと強く。
もっと速く。
もっと、もっと!
高速の九連撃を放つ!
「っ……!」
全て弾かれると思っていなかったのか。ギルガメッシュは、一瞬驚きの表情を見せる。
しかし、こちらはもう体が持たない。剣を地面につき、支え代わりとして立っているのがやっとだ。身に合わない無茶をしすぎた。
「……気が変わった。貴様は、今すぐ殺す。」
今すぐ?何を言ってるんだ。どちらにしても俺は動けない。じっくり嬲るも、今すぐ殺すも変わらない。
「は?何言ってんだよ。」
「気が変わったと言った。あいつをいつまでも生かしておけば、化けてしまうかもしれん。だから、今すぐ殺す。」
敵は言い合いをしているらしい。これならば、魔力を多少集められる。今のうちに、逃げる為の準備をしなければ。
「イリヤスフィール。できるだけ抵抗しないでくれ。」
「ちょっ……」
そう言って、彼女の体を引き寄せる。一人ならまだしも、二人に使うのならば、この魔術はかなり難しい。しかし、やらなきゃ殺される。
「シンジ!今回は、貴様の命令に従ってられん!」
まずい。向こう側の痺れが切れたようだ。こちらへと一気に殺意を向けてくる……!
「魔術師の子よ!貴様は我によって即座に殺されてもらう!」
また黄金の門から武器が見える。しかも、今までより、一層数が多い。確実に俺を仕留めるつもりなのだろう。
しかし、関係ない。俺がやるのは迎撃ではなく、逃走だ。成功すれば生き延び、失敗すれば死ぬ。相手がどれだけ本気を出そうと、それは変わらない。
俺は周りにある宝具から魔力を集め、自身の物にする。この魔術は使った事があるものの、一人だけの時に成功しただけだ。二人となるとどれだけ魔力を使うのか、そもそも成功するのかもわからない。
「我の前に立ち塞がった事、後悔しながら死に絶えろ!」
来る!
一撃でも当たれば死、さらには何百という数で俺を襲う!
全力を出すんだ。動けなくなってもいい。成功すれば後の事なんて考えなくていい。だから……!
「
瞬間、景色が変わる。周りに塀のような物はなく、黒のライダースーツを着た男もおらず、嫌味な男もいない。あるのは、木のみ。
つまりは、転移の魔術が成功したのだ。
本当ならば、
「一体、何が……。」
イリヤスフィールはこの状況を飲み込めていないようだ。
終わった。そう思った途端に、体の力が抜ける。誰かが何かを言っているが、頭に入ってこない。魔力だけではなく、体力すらもカラだ。
転移とともに、
それにしても、すこし……ねむ……
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「おいおい、何逃しちゃってんの?」
創太とイリヤスフィールの逃走が成功した後、衛宮邸では慎二がギルガメッシュに文句ばかりを言っていた。
ギルガメッシュ自身は、どこ吹く風で創太達がいた場所へと歩き出す。
「ちょっと聞いてんの?」
「第一の目標であった聖杯は手に入れた。それだけで、十分だろう。」
彼は、地面に落ちていた光る球を拾う。
「それ、何だよ。」
「聖杯と言った。それ以上でもそれ以下でもない。」
光る玉。それは聖杯だった。ギルガメッシュは見抜いていた。これは、創太がイリヤスフィールから抜き取った物だと。彼女自身が聖杯であるはずなのに、そこから力だけを抜き取り、球として置いていった。
これにより、英雄王が創太達を追う理由が一つ減った。
「へぇ、それが聖杯ね。まあいいや。それが手に入ったんなら、あいつなんてどうでもいい。」
間桐自身としても、創太達は敵ではないとみなした。つまり、追う理由はない。
しかし、英雄王は違った。彼は一瞬だけだが、見えたのだ。あのヘラクレスをその身に降ろした姿を。
それだけではない。さきほど聖杯の力を取り出したと言ったが、これは異常なのだ。聖杯を意のままに操り、イリヤスフィールを傷つけることなく取り出した。それだけでも魔法のようなものだ。
最後に使った転移の魔術でさえも、一人だけではなく、同時に他人にも使っていた。他人に影響を与える魔術というのは、自身に影響を与えるそれよりも難しい。しかも、相手が魔術師であればなおさら。であるはずなのに、転移という魔法の域に近い物を他人に使ったという事は、その人はもう魔法師といっても過言でない。
そして、彼が手に取った剣。あれは『クラウ・ソラス』と呼ばれるアイルランドの剣だ。そして、その能力は持ち主の感情の強さによって力が変わる物だ。創太が手に持った時、あの剣はギルガメッシュがもつ一級品の宝具と変わらない力を纏っていた。つまり、彼の感情がそれほとまでに強いという事。だからと言って、感情の強さが勝敗に直接関係あるとは、限らない。
どちらにしろ、創太の存在はギルガメッシュを脅威だと思わせた。慢心の塊だと自覚しているギルガメッシュを、だ。
「次は、無いと思えよ。」
必ず殺す。慢心を捨ててでも。そう彼は無意識に古崖の姓を持つ魔術を恐れる。