オリ主と衛宮士郎との友情ルート   作:コガイ

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どうも、作者です。
いよいよ最終決戦ですね。どんなクライマックスになるのか楽しみですね。果たして勝つのは!……大体察するよね(主人公補正を横目でみながら)
今回は変な所で切ってしまったかもしれません。


VSギルガメッシュ・前編

「何よ……これ……」

 

 それが聖杯を見た凛の感想だ。

 柳洞寺に入り込んだ凛は境内の先にある池へ着き、肉塊が蠢く光景を目撃した。見るだけでも悪寒する姿であるのに、周りを包む魔力さえも彼女の体を蝕む。

 ソレは呪いそのもの。視認しただけで死ねと強要する。

 

「あれもヤバイけど、池の水さえも汚染されてるわね。」

 

 周りを囲む池でさえも、一歩足を踏み込んだだけで常人ならば死に絶えるほどの呪いが蔓延している。

 この先に、あの中に間桐慎二がいる筈だ。凛はそう思い、目で探していると、

 

「……いた。」

 

 呪いの頂上、そこに人影が見えた。おそらくは慎二だろう。肉塊の中で磔にされており、無数の手によって囚われている。

 生きているか、と問われれば疑問だが、ジアナ曰く死んでいれば聖杯として成り立たないらしい。だから、彼は生きている筈だ。

 

「ここに来たのは女一人か。」

 

 後ろからの声。恐る恐る彼女が振り返ってみれば、どんなサーヴァントであっても勝てない存在、またの名を英雄王が堂々とした立ち振る舞いを見せる。

 今回は、黄金の鎧を見に纏った姿ではなく、黒のライダースーツを着ている。戦闘に向かないその格好は、戦っても傷一つつかないという意思の表れか。

 

「劇団三人衆もこぞってここに向かっていると思案していたが、それはハズレだったか。」

「お生憎様。あの三人はもうとっくに逃げてるわよ。」

「なら、門で見た聖女は偽物、ということか。」

 

 嘲笑うかのような表情は、凛の思惑を全て見透かしているかのようだった。

 

「まあ、それはどちらでも良い。セイバーがおらぬのであれば殺すだけだが、今回は特別だ。

 アレを見ろ。シンジの行く末を最期まで見届けるのであれば、その生にも意味がある。」

「大人しくしとけば、何もしないっていうの?ふざけないでよね。」

 

 凛は呪いに足を踏み入れる。

 その瞬間、体が死に侵食される。頭を強く撃たれているような、喉の奥から何か得体の知れない物が出てくるような、気持ちの悪い感覚が彼女を襲う。

 それでも凛は魔術を使い、呪いに抵抗する。

 

「く——はは、ははははは‼︎」

 

 その姿を見たギルガメッシュは見下すように、口汚く笑う。

 

「なんだその滑稽さは、(オレ)を笑い死にさせるつもりか貴様!

 ならば、好きにするが良い。

 ——もっとも。(オレ)は、そんな真似は許さんがな。」

 

 殺すと、そう英雄王が決めた瞬間に剣が翔ぶ。その一本は、凛の背中を突き刺そうとするが、

 

投影、完了(トレース・オフ)……!」

 

 横から瞬間的に飛んで来た同じ形状をした剣によって、それは破壊される。

 

「おい待てよ。」

「……贋作者(フェイカー)。」

 

 その方向にいたのは、衛宮士郎だった。つまり先程の剣は、彼が投影した物だ。

 

「お前の相手は俺だ。」

 

 彼は一歩前に出る。

 それと同時に、ギルガメッシュの殺気はより強くなる。

 

「貴様、何を思い上がっている。この(オレ)に敵うとでも?

 まあ良い。ほんの余興ぐらいにはなるだろう。」

 

 指を鳴らし、宝具の群が現れる。その一つ一つが、士郎にとって十分すぎる程の凶器だ。

 

「薄汚い贋作者。その身をもって真偽の違いを味わうがいい!」

 

 自らの財産を惜しげもなく使う。

 十数の宝具から一つずつ。まるで試しているかのように撃ち出される。

 

投影、開始(トレース・オン)。」

 

 その瞬間、士郎はその全ての宝具を解析し、創造の理念を、基本となる骨子を、構成された材質を、制作に及ぶ技術を、成長に至る経験を、蓄積された年月を、把握する。

 そして、それを

 

「——投影、完了(トレース・オフ)。」

 

 複製してみせた。

 それら偽物を本物に射出し、ぶつかり合い、互いに消滅していく。

 

「今までよりも……楽だ。」

 

 驚きに満ちた声をこぼしたのは、士郎だった。

 自身の投影が想像以上のスムーズさで行われていた。アーチャーと戦った時のような、無理矢理力を引き出されているのではなく、魔力が最も効率良く動くような感覚。

 それだけではない。解析や投影といった魔術にも、変化があった。解析は剣そのものだけでなく、それに宿る力を読み取り、剣の構造把握を補助している。

 投影もどこにどう魔力を使えば良いのかが、一瞬で理解できる。全ては創太が士郎に施した魔術陣のおかげだ。

 

「だからと言って、簡単に勝てそうもないな……!」

 

 あくまでも彼に起きている事は手間の短縮化や消費の減少のみ。それによって火力が多少上がったり、投影できる数が増えている事は確かだが、革新的な事は起こっていない。

 あと一歩。ギルガメッシュをあと一歩追い詰める為の物は、まだ士郎に持ちえていなかった。

 

「硝子細工にしては精密にできておるな。複製の速度もそこそこの物。しかし、それだけならばただ退転するだけだぞ?」

 

 そして、それはギルガメッシュにも見抜かれていた。

 

(オレ)を打ち破るという愚の極みを行うならば、」

 

 その手に、剣が握られようとする。

 

「これぐらいの手は持っておく事だな。」

 

 剣は石柱のような形をしており、英雄王が持つ他の宝具とは比べ物にならないほどの威圧感を放っていた。それはまさに()()()()()()()()()()。彼しか持ち得ない最強の武器。

 士郎の数々の宝具を解析した眼でも、一片の把握すら不可能だった。

 ギルガメッシュがそれを手で触れようとした瞬間、

 

神秘を無に帰す陣(オールクリア)!」

 

 彼を中心とした魔法陣が地面に描かれる。左右にはいつのまにかジアナと創太が挟んでいた。その三人を繋ぐ線を直径とした円状に魔方陣は展開され、ジアナと創太が基点となり完成する。

 それと同時に黄金の門は瞬く間に閉ざされ、ギルガメッシュが取り出そうとした剣は門の中に戻っていった。

 これが、彼らの対抗策。相手がどんな宝具を出そうと、魔方陣によって全て無力化されてしまう。

 

「悪いが、それは出させたく無いんでな!」

「……同じ技を親子共々使ってくるとは、芸の無い雑種よのう。」

 

 ギルガメッシュが指を鳴らす。再び門が開かれる。しかも、それは百を超えている。

 

「っ……!ソウタ!」

「分かってる!こんなモン、読み取るまでも無い!さっきと同じなんだからな!」

 

 だがしかし、二人も負けじも門を潰していく。黄金が現れ、消えていく。その連続であった。

 

「魔術の構成はそっちか。」

 

 開門のスピードがより一段速くなる。

 更には、創太の方向に門は多くなる。二人はそれを対処しようと門を閉じるが、無限に増え続けられれば対処しきれなくなる。であれば、結果は明白だ。

 ジリジリと黄金の歪みから宝具が垣間見え出す。

 

「やはり限界はあるようだな。」

 

 そしてついに、その宝具が創太を襲う。

 

「ちっ……ジアナ!」

「分かりました!陣はそのまま、貴方はそれを受け流す事に集中してください!」

 

 創太は以前と同じように宝具を逸らす。後ろに誰もいないのに、その場から動かないように。

 門はやがて、ある一定から増えなくなった。どうやら、ギルガメッシュの限界がそこなのだろう。もしくは、王者の余裕という物だろうか。

 この魔方陣は、キャスターが使っていた霊脈を基にしている。その中を通る魔力は、源流にある聖杯に吸収されてはいるが、路はまだ残っている。彼女らはそれを利用し、魔方陣を一瞬で展開した。あとは、二人がそれを維持している。

 そして、ジアナが魔術を読み取り、それを逆算して有効な魔術を己の知識から取り出し創太に伝え、その創太が魔術を行使する。魔術だけではなく、体術や神術などにも有効である。

 一見、士郎の投影のようだが、本質は違う。これは相手を不利などころか、行動全てを無意味にしてしまう。まさに無に帰す陣。

 

「魔力が保ちそうにありませんね……。」

 

 しかし、弱点もある。強力が故に魔力の消費が激しく、発動時間が短い。そして、今のように二人のどちらかが攻撃されてしまえば、他方に負担が更に激増してしまう。そして、どちらかでも動けば陣は崩壊してしまう。

 もう一つ付け加えるならば、本来ジアナは魔術を使わない者。知識は、時間を積み重ねているだけあって、創太よりも多い。しかし、魔術を使うのであれば、力の変換という適正がある創太の方が、未熟ながらも比較的良いのだ。

 だから、ジアナがこの魔方陣を一人で維持するという事は、解析してから逆算までは良いが、魔術発動に関して遅れてしまうという事だ。

 

「私が助けに行ければ良いのですが、いかんせん動いてしまえば時間稼ぎの意味が無くなりますからね。」

 

 その一方で、

 

体は剣でできている(I am the bone of my sword.)。」

 

 士郎はある準備をしていた。

 

血潮は鉄で、心は硝子(Steel is my body, and fire is my blood.)。」

 

 アーチャーと()()()()詠唱を唱える。

 

幾たびの戦場を越えて不敗(I have created over a thousand blades.)

 

 それは固有結界を発動させる物。

 

「……ただの一度も敗北はなく(Unknown to Death.)。」

 

 しかし、アーチャーや創太のように、周りに変化を及ぼしていなかった。彼の中でも疑問が浮かんでいた。

 このまま続けて結界が完成するのか、と。

 

ただの一度も(Nor known)……理解(to)……」

 

 いいや。これでは絶対に完成しない。ただアーチャーの詠唱をなぞらえるだけでは無理だ。

 そう悟った士郎は、詠唱を無意識に中断する。彼にはまだ何かが必要だった。

 

「時間稼ぎが目的のようだが、肝心の贋作者がその気にならんかったな!

 貴様もそろそろ、終わりの頃合いが近づいているのだろう?」

 

 慢心しきったギルガメッシュは、創太の残魔力を手に取るように読み取る。

 実際に、創太は限界を迎えつつあった。いくら以前の彼と比べて、心構えが変わったからといって、力を有効的に使えるだけ。ギルガメッシュには到底届かない。

 

「くっ……!」

 

 捌き切れなかった宝具が創太の眼前を通る。つまりは、彼が落ちるまでそう時間はかからないという事。

 

「っ!」

 

 だから、ジアナは動く。敵の行動を制限している陣を捨ててまでも、創太を助けに行こうとする。

 狙いはギルガメッシュの心臓。勝負を取る気で仕掛ける。本当ならば敵がトドメを刺す瞬間に行くべきなのだろう。しかし、彼がその時に隙を見せたとして、それを突こうものならばむしろ反撃が待っているだけだ。相手はそれほどの千里眼を持っている。

 ならば、まだ創太の体力が残っている今ならば挟み撃ちにできるかもしれない。

 彼女はそう判断し、たった一度地面を蹴っただけで、最高速まで体を動かす。

 だがしかし、

 

「良い決断だ。(オレ)には無意味だがな。」

 

 既に彼女の前には十数本の宝具が展開されていた。もう魔方陣の効果は無く、黄金の開門を邪魔することはない。

 読まれていた。そんな事に彼女は動じない。むしろ、()()()()()()()

 だから、対抗策もあった。それは

 

「詠唱省略、()()()()……ただ塗り潰すのみ(drow of spirit)!」

 

 創太の固有結界だ。

 元々固有結界に乗せる結界であるため、単体で使うとなると範囲はかなり狭くなる。だが、標的を絞れば問題はない。

 さきほど陣を捨てたと言ったが、陣自体はまだ残っている。

 二人はそれを再度発動し、創太の結界と併用する。そうすれば、黄金の門だけに、世界を塗り潰す海が展開される。

 となれば、一度発射されそうな宝具は門の中に戻って行く。

 この時、チャンスが生まれた。

 ギルガメッシュを倒せるチャンスが。

 敵は完全に無防備。ジアナはスピードを一切落とさずに、接近している。迎撃しようとしていた宝具は無い。となれば、後は彼女の攻撃が当たれば、勝利へと近づける。

 

「……っ!ジアナ、止まれ!」

 

 ()()()()()()()()()()さえ無ければ。

 彼がある剣を振りかざした時、そこにある空間そのものが斬り裂かれていく。

 嵐のように周りを巻き込み、最も接近していたジアナはおろか、創太や士郎にまでも襲いかかる。創太が展開していた海も、魔方陣も、全てを壊す。

 時にして一瞬、しかし、災厄のような攻撃が放たれた。

 それが治まった時、戦場の光景は酷かった。地面はひっくり返され、寺も半壊しており、血まみれだった。その血が誰の物であるかは言うまでもない。

 このような男に一体誰が勝てるというのだろうか。

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