インフィニット・レスリング   作:D-ケンタ

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今回は内容少し薄目です。


第十二話 訓練開始

「コンディション終わったし、始めるか」

 

放課後の第三アリーナ。普段ならウエイトをやってるが、セシリアとの約束があるため予定を急遽変更してアリーナにやってきた。

 

「随分入念にしていましたわね」

 

とはセシリアの言。それくらいやってないと、怪我したら嫌だし。

 

「少しやり過ぎではないですか?」

「俺がいたジムじゃ、これでも軽い方だぞ」

 

と聞いたセシリアは開いた口が塞がらない様子。だって練習前にヒンズースクワット500~1000は普通にやってたし。

 

「とりあえず、ISを展開するか」

「そ、そうですわね」

 

意識を集中して、ISを展開する。うーん、やっぱりなれないな。トレーニングのときになりたい姿をイメージしたりするけど、それとこれとはわけが違うし。織斑先生は熟練者は一秒もかからないって言ってたけど、よくできるよなぁ。

ちなみに俺がかかった時間は約20秒くらい。セシリアはとっくの昔に展開し終えてる。流石代表候補だな。

 

「では、いきますわ!」

「おっしゃ来い!」

 

セシリアの攻めに備え、基本通りの構えを―――

 

「待て」

 

……この地獄の獄卒も逃げ出す威圧感は……

 

「お、織斑先生……」

 

そう、我らが担任。和製ハートマン、もしくは現代のスカサハこと織斑先生だ。

 

「斎藤、今すぐピットに来い」

「使用許可はもらったはずっすけど」

 

俺の言葉にセシリアがうんうんと頷く。連絡ミスかな?

 

「先程お前の専用機が届いた。よってお前が訓練機を使う必要はない」

「……はい?」

 

専用機ってあれか。あのくそダサいから返却した奴か。あの後何度か改良されて届いたけど、全然好みに合わないから返却し続けたがな。

どうも俺の好みをはき違えてるみたいだし、気が進まねーな。

 

「いいから来い。あまり時間を取らせるな」

 

だから心を読むな。

 

―――

――

 

「こいつだ」

 

ピットに戻ってすぐ、織斑先生の隣に鎮座しているISが目に入った。あれが新しく届いた専用機か。

 

「名前は『フロストTypeD・G』……だったか。お前が提示した資料を参考に造ったと言っていたな」

 

ふむ。装甲が展開されてて詳しくは分からないけど、確かに前までとは意匠が違うな。

 

「さっさと装着しろ。文句があるならそれからだ」

「へいへい」

 

まあ見た感じは前までのような「いかにも専用機です」みたいな感じではないしな。

背中を預けるように展開された部分に座ると、装甲が俺の身体に合わせて閉じ、あたかも体の一部になったかのような妙な感覚が身体に行き渡る。やっぱ慣れねーなこの感覚。

 

「ふむ……」

 

装着し、装甲が戻ったことで大体ではあるが全体のデザインがつかめてきた。

見た感じは下半身がリアル系、上半身がスーパー系か。成程勉強して来てるな。

 

「感想はどうだ?」

「デザインは好みっすね。あとは動きやすいかどうか」

 

デザインは正直ドストライクだ。ちょっとツギハギ感がしてるがそれがまたいい。おまけに俺の指定通り武装の類は積んでいないようだ。

 

「ならアリーナに戻って動かしてこい。ちょうど相手もいることだしな。初期化(フォーマット)最適化処理(フィッティング)はやってるうちに終わる」

「まだ使うとは言って」

「もう返品は受け付けんぞ」

「う、うっす」

 

まあ今度のは好みだし、いっか。という訳でさっさとセシリアが待つアリーナへ戻ろう。さて、どんなもんかな。

 

―――

――

 

「待たせたな」

 

なんとなく大塚ボイスっぽく言ってみる。え?似てないって?分かっとるわ。

 

「それが新しい専用機ですか?」

「そ。確か名前は……『フロストTypeD・G』とか言ってたな」

「D・G……何の略でしょうか?」

 

確かに何だろうな。D・G……うーん分からん。

 

「考えるのはあとにしよう。コイツの慣らしが先だ」

「そうですわね……何からいたしましょうか」

 

うーん。今回はスパーだけのつもりだったから、何も考えてねーな。まいっか。

 

「メンドイから予定通りスパーでいいや」

「よろしいのですか?」

「俺実践派だから」

 

意味が違うって言いたそうな顔だな。いんだよこういうのはノリなんだから。

 

「では、いきますわ!」

「おっしゃ来い!」

 

開始の掛け声をかけるや否や、セシリアは俺から距離を取り、ライフルを構える。俺もそれに対応し、基本通りレスリングの構えを取る。

直後、銃口からレーザーが発射され――――――って!?

 

「ぐおおおおおおっ!?」

 

いきなりか……こふっ!?

ヤベえ油断した。おもっきし直撃した。

 

「よーし、今度はこっちから行くぞ!」

 

とりあえず近づかんことには話にならん。ドシンドシンと重厚な足音がするが、そこまで動きづらい感じはしないな。

 

「させませんわっ!ブルー・ティアーズ!」

 

来やがったなファンネルもどき!その程度で止められると――――――ごふっ!

 

「き、効かねえな!」

 

気のせいか、打鉄んときよりダメージ多い気がする。まだ初期化終わってないからか?よく分からん。

 

「どぉらあ!」ガシッ

 

おっしゃ掴んだ!後はこれを。

 

「オラっしゃあ!」ブンッ

 

セシリアに向かってぶん投げる!

 

「きゃあっ!?」サッ

 

案の定避けたか、予想通りだ。今のうちに跳躍。

 

「あ、危ないですわね……?!」

 

気付いたか。だが遅い!

 

「くっ!」

 

ライフルで迎撃するより俺が組み付く方が早……あれ?

何か、接近するスピードが遅くなってるような?って!

 

「おわああああぁぁぁぁ⁉」ヒューン

「た、龍輝さん!?」

 

嘘お!?ちょ、落下してる?!え、えっとこんな時はとりあえず落ち着いて素数を数えて1、3、5、7、11……て数えてる場合じゃねえ!ブースター吹かすのどうすんだっけ?あ、もう時間が

 

「ぐふっ!?」クンッ

 

お、おうふ。何かいきなり後ろに引っ張られたような。

 

「大丈夫ですか?!龍輝さん!」

「サンキュー、セシリア」

 

まさかセシリアに助けられるとは、なんか恥ずかしいな。

セシリアは俺を支えたままゆっくりと降下し、地面に着いたところで俺を放した。

 

「本日はこれまでにしましょうか」

「……そうだな」

 

結局、最適化すらも終わらぬまま、俺は今日の訓練を終えた。勘ではあるが、コイツはかなりピーキーな機体みたいだな。正直そういった機体の方が好みではあるが。

もう返却は効かんし、コイツに慣らしてくしかないか。

 

 

「ふい~、食った食った」

 

やっぱ動いた後の飯はいいな。ついバクバク食っちまう。それはいつもだろって?気にすんな。

 

「ああ、またつい食べ過ぎてしまいましたわ。でも、龍輝さんに喜んでいただけるなら……」

 

俺につられてかセシリアもいつもより食っていたな。女子はよく体重がーとか脂肪がーとか言ってるけど、そんなの減量中のレスラーの前で言えんの、って話だよ。

 

「体重が心配なら安心しろ。どうせこの後のトレーニングで消費するから」

「こ、これからですか?!」

「少し休んでからだけどな」

 

何をそんなに驚いてんだか。毎日やらんと効果ないだろ。……もしかして。

 

「昨日のが効いてるのか?」

「……お恥ずかしながら」

 

ああー……。

 

「昨日のは基礎体力がどんなもんか見ただけだ。今日はそれを参考にメニューを考えたから、安心しろ」

「わ、わたくしの為にですか?」

「そうだけど」

「龍輝さんが、わたくしの為に……うふふ♪」///

 

?

 

―――

――

 

「―――さーん、よーん」

「ふっ……くっ……!」

 

……昨日のが効いてるっていうからどうなるかと思ったけど、結構やれてるな。ちなみに今やってるのはレッグリフト。所謂足上げ腹筋だ。

 

「ほらラスト1。頑張れ」

「は、はい!ん……くぅ……!」

 

ちょっとフォームが乱れたが、無事上げきったな。

 

「よしOK。少し休憩して」

「ハァ……ハァ……」

 

うーん、目のやり場に困る。でも今回はしっかり覚悟決めてたから昨日よりは反応していない。

 

「疲れたか?」

「い、いえ、大丈夫ですわ」ハァ、ハァ

 

その気概はいいけど、そうして体壊されちゃ夢見が悪い。レスラーだったらそれでいい。だけどセシリアはレスラーじゃないからな。

 

「無理だけはするなよ。体壊したら元も子もないんだから」

「はい……龍輝さんは、本当にお優しいですわね」

「まあ、女性には優しくしろって教育されてたからな」

 

つい師匠を思い出した。師匠は愛妻家ではあったが、基本的に女性に優しいから、しょっちゅう嫉妬した奥さんに怒られてたっけ。

 

「……あの、龍輝さん」

「どした?」

「龍輝さんは、どのような女性がタイプなのですか?」

 

……?

 

「どうしたいきなり?」

「あ、いえ。単純な興味と言いますか……答えにくいのでしたら……」

 

ふーむ、女性のタイプか。特に思いつかないな。今まで周りの女性にあんまり気を惹かれたことなかったし。まあでも、強いて言うなら。

 

「……試合に勝った姿を見せたい女性(ヒト)、かな」

「……?えっと、つまり」

「あーもう気にするな!それより次の種目始めるぞ!」

 

あーくそ、ガラでもねえ。

俺に彼女とか、想像つかねーよ。

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