インフィニット・レスリング   作:D-ケンタ

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追記
最新話の更新、話の流れに伴って、一部ストーリーを変更しました。


第二十一話 美味いお米が、どーん、どーん!

「「た、ただいま……」」

「あ、二人ともおかえり。―――どうしたの?行く前より疲れてるように見えるけど」

「何故か筋肉鑑賞会が始まってな」

「お前が筋肉自慢始めたあたりからだよな」

 

上裸というのを忘れてた俺も悪いが、あそこまでがっつかれるか?写真どころかムービーまで撮られてた気がする。

 

「まあいいや。腹減ってるだろ?飯持ってきたから」

「うん、ありが―――」

 

にっこり笑ってトレーを受け取ったシャルルだったが、その瞬間表情が固まった。

 

「?どうした?」

「嫌いなモノでも入ってたか?」

「い、いや……これ頼んだの龍輝?」

「そうだけど、よく分かったな」

 

トレーの上を見るや否や、シャルルがそんなことを訊いてきた。何でだ?

 

「……なんか山があるんだけど」

「ああ、ご飯やや多めって頼んだからな」

「いやこれやや多めってレベルじゃないよね!?ジャパニメーションで見るレベルだよ!」

 

確かに日本昔話みたいな盛り方だけどな。しかしコイツ、アニメとかそういったの好きなのか?趣味が合いそうだ。

 

「落ち込んだ時は飯をたらふく食うに限る」

「だってさ」

「だってさ、じゃないよ!にしても多すぎだよ!よく見たらサラダも同じくらいの量だし、そしてこのハンバーグも大きすぎるよ!一瞬パンケーキかと思ったよ!」

「米だけじゃなく肉、野菜もバランスよくとらないと」

「正論だけどこの量じゃバランス云々の問題じゃないよ!?」

 

何をそんなに興奮してるんだろう。でも元気みたいでよかった。こりゃ取り越し苦労だったな。

 

「お、落ち着けシャルル。確かに龍輝盛りにしたのはあれだったけど、お前のためを思っての事なんだしさ」

「ハァハァ……そ、そうだよね。ごめん、取り乱して。ありがとう龍輝」

「気にすんな」

 

まあ正直ツッコまれるとは思ってたからな。つーか龍輝盛りって、そんな名称ついてたのか。

 

「でもせっかく持ってきてくれて悪いんだけど、流石にこの量は僕には食べきれないかな」

「安心しろ。残ったら龍輝が処理するから」

「任せろ」

「え?いやでも、食べてきたばっかりなんじゃ?」

 

まあ、当然の反応だな。だけどそれは無用な心配だ。

 

「レスラー舐めんな」

「だとさ。だから安心して食えよ」

「理由になってないけど……ありがとう、いただ―――あっ」

 

何だ?まだ何かあるのか?

 

「ごめん―――実は僕、お箸苦手で……練習はしてるんだけど」

 

あー……。まあ仕方ないな、うん。日本人でもちゃんと箸使える人って案外少なかったりするし。俺は師匠がそういうのに厳しかったから覚えたけど。

 

「しゃーねえな。ほら」ヒョイ

「えっ?―――!い、いいよ龍輝!自分で食べれるから!」

 

食べさせようとしたらすごい勢いで遠慮された。わざわざ食堂まで替えのスプーンとか取りに行くのめんどいだけだから、気にせんでもいいのに。

 

「いいから、ほっとくと冷めっぞ?ほら」

「う、うん……」パク///

 

なんか顔真っ赤だけど、大丈夫か?というか、こうして食べさせてるとのほほんとかを思い出すな。アイツ、いつの間にか俺の飯とかデザート食ってたりするから、油断ならん。

 

「龍輝って箸使い綺麗だよな。見た目と違って」

「見た目と違っては余計だ」

 

失礼な奴だ。いやまあ、言わんとしてることは解らいでもないが。そんなやり取りをしてるうちにシャルルが咀嚼し終えたようだ。

 

「んめか?」

「う、うん。美味しいよ」

「ならよかった。ほれ、次は野菜だ。口開けろ」

「あ、あーん」///

 

こうして俺が食わせていったのだが。案の定食べきれず、残りは俺が処理することになった。

 

 

「そういえばさ」

「ん?」

「なんだ?」

 

食後の一服中、突然龍輝がそう言った。ちなみにシャルルは四分の一くらいまでは食べたのだが、そこでギブアップ。残りは龍輝の胃袋に収まった。ほんとブラックホールだな。

 

「いや、デュノアって名前どっかで聞いたことあるなー、って思ってたんだけど、今思い出したわ」

「?有名なISの企業だから、ニュースかなにかで聞いたんじゃないのか」

「いや違う違う」

 

と俺の言葉を即座に否定して、龍輝は話を続けた。

 

「実はさ、俺が地元で通ってたレスリングのジムにたまーに来てた外人の名前が、確かデュノアだったんだよ」

「へー、凄い偶然だね」

「だろ。その人すごい親バカでさ、練習が終わるといつも娘の自慢してくるんだ」

 

そんな事もあるもんなんだな。まあ、その人とシャルルは全く関係ないだろうけどな。

 

「確か写真があったはずだけど、えーと……」

 

そう言うと龍輝はケータイを取り出して写真のフォルダを漁り始めた。龍輝が地元にいた頃って言うと、少なくても数か月前か。

 

「あ、あった!この写真だ」

「「どれどれ」」

 

差し出されたケータイの画面をそろって覗き込む俺とシャルル。へえー、これが龍輝が通ってたジムか。

 

「ゴツイ人ばっかだな」

「この時は夜練の後だったから……じゃなくて!これ、この人がさっき言った『デュノア』って人」

 

龍輝が指した先を見ると、確かに日本人ではない人物が列に並んで写真に写っていた。

 

「へー。この人が」

「そ、デュノアさん。たまーにしか来ないんだけど、師匠とは十数年来の付き合いらしい」

「へー」

「……」

 

ん?なんだかさっきからシャルルが静かだな。

 

「どうした?シャルル?」

「……この人」

「「?」」

 

何だろう?もしかして親せきとか?いや、無いか。じゃあ何だろうな?

 

「……僕の父だ」

「「……」」

 

……発見だ。驚きも過ぎると声が出ないんだな。

 

 

「―――はい。はい。それで―――」

 

俺が今電話で話してるのは、俺の師匠その人だ。シャルルから衝撃の情報が出た後、その裏付けのために電話してるという訳だ。

 

「―――はい。はい。ありがとうございます、失礼します」ピッ

「どうだった?」

「……マジだった」

 

正直びっくりだ。あのたまにしか来ないけどレスリング強くて、酔うと娘自慢しかしないあの人がまさか、シャルルの父親だったなんてな。

 

「それで、何て言ってたの?」

「えーと、要約して言うと、シャルルがここ(IS学園)に送られたのは、俺の師匠が原因、らしい」

「「え?」」

 

話を纏めると、どうやらシャルルの親父さんは、俺らが思っていたような人物ではなかったらしい。いろいろ事情があったそうだ。

親父さんは当時付き合ってた女性がいたが、家の都合で別れなくてはならなかったらしい。その付き合ってた女性っていうのがシャルルの母親で、別れた時にはすでに妊娠していたそうだ。それに気づかず今の奥さんと結婚した親父さんは直接は会えずとも、シャルル達への経済的な支援を続けていたらしい。

ある日、シャルルの母親が亡くなって、シャルルにISの適性があると分かると、引き取る理由ができた!ということで速攻決断したとか。んで奥さんも俺等が思っていたほど悪い人ではなく、ただやはり血の繋がっていない子供ということで内心複雑で、ついつらく当たってしまったんだとか。そんなときに会社もいろいろごたついて、このままじゃシャルルの教育やらなんやらにも悪いっていうことで、師匠に相談したんだと。そしたら「IS学園に通わせればいいんじゃね?龍輝も通うから安心だろ」と言われてすぐ決断。んで政府への体裁として、情報収集の為の接近手段として男装させて送り込んだ。

以上がシャルルがIS学園に来るまでの経緯……だってさ。

 

「……」

「よ、よかったなシャルル!親御さんはシャルルの事を大事に思ってくれてたんだな!」

 

俺の話を聞いた後、シャルルは茫然としたままだ。見かねて一夏が声をかけても反応しない。

 

「……ヒック」

「!?」

「ど、どうした!?腹でも痛いのか?」

 

突然シャルルが泣き出した。さっきとは別の驚きで、軽くパニクってしまった。

 

「グス……父さんと、母さんがヒック……僕の、事を……」

「……」

「……」

 

……泣いているシャルルの頭に、そっと手を置いて軽くなでる。こういう時、下手な言葉はいらない。

 

「よかったな、シャルル」

「うん……うん……!」

 

暫くしてシャルルが泣き止むと、シャルルは俺等に向かって礼を言った。何もしてないのに礼を言われるのがなんかこそばゆくって、軽く返事を返すと後を一夏に任せて俺は自分の部屋に戻った。

なんか、色々ありすぎて疲れたな。今日はもう寝よう。

 

 

夜も深まったころ、シャルルはベットの中であることを考えていた。

 

(結局、ずっと上半身裸だったな、龍輝)

 

 

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