インフィニット・レスリング   作:D-ケンタ

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半年以上も間を開けてしまった……。
色々浮気もして、読んでくださる読者の皆様に申し訳ないです。

ともかくとして、試合開始です!!
ISのアの字もメインキャラも出てきませんが……


第四十九話 回天

「どおりゃあっ!」

「ぐぅっ!?」

 

高々と抱え上げられたマシンの体が、激しい音をたててリングに叩きつけられた。

 

「ヘイッ、アルフ!」

「オーケー!」

 

合図に合わせて、コーナーに上ったアルフがその巨体をマシンの上に降らせた。191cm、106kgの巨体が、マシンの体を打つ。

 

「ガハァッ!?」

『アルフのサンセットフリップが炸裂!!』

『アイツあれで結構身軽なんだよな』

「よし、行くぜっ!」

 

マシンの頭を掴んで無理矢理起こし、二人がかりで技の体勢に入る。

 

「させるかっ!」

「うおっ!?」

 

しかしレオがアルフへとエルボーを喰らわせて阻止する。

 

『レオがカットに入った!ツープラトンには行かせない!』

「アルフ!?この!」

 

矢杉が背後からフルネルソンに捕らえるが、レオはクラッチを切るとそのまま背後に向けてエルボーを打つ。

しかしそこにアルフが襲撃。お返しとばかりに矢杉と二人掛かりで攻めようとする。しかし!

 

「ドラァッ!」

「うおっ?!」

「セイッ!」

「ガッ!?」

 

復活したマシンがアルフに背後から袈裟斬りチョップを叩き込み、その隙にレオも矢杉にヨーロピアンアッパーカット。

 

『復活のマシン!レオも反撃、ハングズマンの二人を場外に落とす!!』

 

リング上にはマシンとレオ。レオがマシンに近付くとそのままなんと!マシンのマスクに手をかけた!

 

『あーッとこれは!?どういう事だ?!レオがマシンのマスクを、脱がしているーっ!?』

『あー……ここでいくのか』

 

そして完全に紐をほどき、マシンは自らそのマスクを脱ぎさった。そのマスクの下の素顔とは……。

 

『こ、この男はーっ!!??』

 

 

『とうとう始まりましたメインイベント。実況は引き続き、野宮慎介がお送りします。解説席には、先程見事なKOを見せてくださいました、ドラゴンピットキックコーチの川戸翔さんにお越しいただいております』

『よろしくお願いします。しかしなかなかに面白いカードですね』

『そうですね。昨年ベストタッグ賞を受賞したヒールタッグのハングズマンと、復活したフランスの金獅子、更には風間さん推薦の謎のマシンとのタッグマッチですからね』

 

リング上では、四人の益荒男達が睨み合い、観客達は開始のゴングを、今か今かと心待ちにしている。

 

『ハングズマンの先発は"アンデッドガイ"矢杉。対して赤コーナーは……おっと、レオを制してマシンが出るようです』

 

アルフとレオがコーナーに下がり、リングには二人が残る。ギロリと鋭い視線を向ける矢杉に対し、マシンは静かに、肩の力を抜いて立っている。

 

「ファイッッッ!!!」

カアァーーーンッ!!

 

レフェリーの掛け声と共にゴングがうちならされ、決戦の火蓋が切られた。

両者ともまずはゆっくりとリングを回り、相手の出方を見る。

 

『さあ開始のゴングが打ち鳴らされた。両者とも静かな立ち上がりです』

 

次第に距離が縮まり、互いに両手を上げてロックアップの姿勢を作る。

 

「オラァッ!」

「うっ!?」

『おっと矢杉が仕掛けた!』

 

しかし組際、矢杉が放った前蹴りがマシンのボディを打つ。一瞬動きを止めたマシンの隙を逃さず、そのまま左腕を捻り上げる。

 

「でりゃあっ!」

『腕を取った。この辺りは相変わらずヒールと思えない正統派な動きです』

「オラ、どうしたオラ!」

「ふんっ」

 

だがマシンは腕を捻られたまま側転、着地するとマットに背中をつけるようにして回転し起き上がると逆に矢杉の腕を捻り返す。

 

「うぐおっ!?てめえ……っ」

『マシンが取り返す!意外に身軽な動きだ!気のせいかもしれませんが、どこかで見たことある動きです!』

『アイツ正体隠す気あんのかな』

 

マシンは更に矢杉の腕を捻り上げ、後ろ手に極める。

 

「調子に、乗んじゃ……ねえ!」

 

矢杉が後ろのマシン目掛けバックエルボーを放つが、それがマシンの顔を捉えた感覚はなく、虚しく宙を切る。

 

「ふんっ」

「おわっ!?」

 

次の瞬間、矢杉の膝裏に圧力がかかり、マットにうつ伏せに倒された。

 

『なんと!?矢杉がテイクダウンを取られた!?』

『流石鮮やかだな』

 

流れはこうだ。マシンは矢杉のエルボーを膝を落として躱すと、そのまま足首を押さえ、肩で膝を押して同時に足首を引いた。その結果後方に足を掬われた矢杉は前のめりに倒れてしまったのだ。

マシンはそのまま流れるように、矢杉の右足首を矢杉自身の左膝裏で挟むように畳むと、爪先を掴んで引き絞る。

 

「ぐああっ!?」

『レッグロックに移行、滑らかな動きです』

『肘で背中押さえてるから、逃げづらいぞあれ』

 

ギリギリと膝へのダメージが蓄積されていく。矢杉は腕を伸ばし、マシンの顔をフェイスロックで捕らえようとする。矢杉の腕がかかり、無理矢理引き剥がされそうになるが。

 

『おっとこれは!』

 

だがマシンは顔を取られた状態でブリッジを作り、クルリとその場で回転。フェイスロックから脱出しつつ、更に膝を極める。

 

「がああっ!?」

『鮮やかな動きで更に矢杉の膝を極める!』

 

膝を極められながらもマットを這いずり、何とかロープを掴む。

 

「ブレイク!」

 

レフェリーの声がかかると、マシンはすぐに矢杉の足を放し、立ち上がって距離を取る。

 

『ここはクリーンブレイク。場内からマシンに向かって歓声が飛んでいます』

「こ、んの……」

 

ロープに捕まりつつ立ち上がる矢杉。マシンは再び矢杉に接近すると、顎をエルボーでかち上げる。

 

『ヨーロピアンアッパーカット炸裂!そのままチョップの連打だ』

「せいっ!やあっ!」

「ぐうっ!?」

 

胸板に連続して逆水平を叩き込んだマシンは、続いて矢杉の首を捕らえるとそのまま自コーナーまで連れていく。

 

『ここでタッチ、金獅子カール・レオが出てきます』

『久しぶりのリングだが、どう動くかな?』

 

交代でリングインしたレオは、矢杉の背中にエルボーを落とし、そのまま反対のロープへ振る。

 

「シィイヤッ!!」

「がはっ!?」

 

反動で戻ってきた矢杉に合わせてエルボー。その衝撃で矢杉はマットに倒れてしまう。

 

『ロープに降ってエルボー!矢杉をマットに薙ぎ倒したっ!!』

『ブランクがあるとは思えない動きだな』

 

キレのある動きを見せるレオ。そのままロープに走り、反動を利用し勢いを乗せた肘を落とす。

 

『ランニングエルボードロップ!鋭く突き刺さる!』

 

そのままピンにはいかず、矢杉の頭を掴んで起き上がらせる。

 

「調子のってんじゃねえバカヤロウ!」

「グァッ!?」

 

しかし矢杉はレオの手を振り払うと顔面をかきむしって脱出した。

するとそのままレオの頭を肩口に捕らえる。

 

「くらえコノヤロウ!」

「ガッ!?」

『すぐさまスタナーで逆襲!これには金獅子も悶絶ー!!』

 

ダウンしたレオをよそに、矢杉は素早くコーナーに下がり、待機していたアルフとタッチ。

 

『ここでアルフと交代。イタリアキック界の知将と金獅子のファーストコンタクトは、一体どうなるのでしょう!』

「フフフ……」

 

落ち着いた様子でリングインしたアルフはレオの頭を掴み、無理矢理立ち上がらせる。

 

「シィッ!」

「ウグッ!?」

『鋭いミドルが炸裂!』

『流石だな。軸が全くぶれていない』

 

そのまま追撃と言わんばかりに、連続の掌底にキックのコンビネーションで攻める。

ダメージでレオの頭が下がった瞬間、首を捕らえると投げ捨てた。

 

『フライングメイヤーで倒して……』

 

そのまま止まることなくロープに走ると、反動の勢いを乗せてレオの胸板に蹴りを叩き込む。

 

「シィヤッ!」

「ガァッ!?」

『強烈なサッカーボールキックが炸裂した!!これは厳しい!!っおおっと!?』

 

レオを蹴り飛ばしたアルフは勢いそのままに赤コーナーまで走り、待機していたマシンをフロントハイキックで場外に落とす。それと同時に矢杉がリングイン。

 

『ここでマシンを分断したハングズマン!金獅子レオを集中して攻めにかかるー!!』

「立てやオラァ!」

 

二人がかりでレオを起き上がらせる。

 

「オラァッ!」

「グッ!?」

「シァッ!」

「ウガッ!?」

 

矢杉がナックルパート、アルフがミドルキックを交互に繰り出し、レオを追い詰めていく。

 

『これは厳しい!』

『矢杉の拳はハードコア戦をこなしたお陰で屈指の頑強さを誇る。そしてアルフはかつてイタリアキック界を騒がせた程の実力者だ。加えてレオは長い間リングを去っていた、この状況は想像以上にきついはずだ』

「おおぅらっ!!」

「グウォアッ!?」

 

繰り出された矢杉の拳がレオの顔面をとらえ、その衝撃にレオはニュートラルコーナーまで下がってしまう。

更に二人は、レオの腕を掴むと反対のコーナーへ振る。

 

「行っっけえ!」

『矢杉がアルフをアシストして―――』

 

矢杉のアシストを受けたアルフは、レオがもたれ掛かるコーナーのロープを駆け上がりながら、勢いを乗せた膝を顔面に叩き込む。

 

『タイナー!強烈な膝が突き刺さる!』

「ほぅら次だぜ」

「グッ……」

 

アルフは続けてレオの腕を掴むと、反対側の矢杉に向けて再び振る。

 

「させ……るか!」

「何!?」

 

しかしレオは振られた直後に体制を入れ換え、逆にアルフを矢杉に向けて振り返した!

 

『振り返した!連携には行かせない!』

「おわっと危ねえ!」

 

既に走り始めていた矢杉は慌ててブレーキを掛けるが時既に遅し。振り返されてきたアルフと正面から衝突する。

 

『5分経過、5 minutes have passed.』

「シイヤッ!」

「「うおわっ!?」」

『背後からレオがドロップキック!二人同時に蹴っ飛ばした!!』

『相変わらず綺麗なフォームだな』

 

蹴られた勢いでアルフはダウンし、矢杉はそのまま場外に落ちていく。

そのそのままレオはダウンしたアルフを無理矢理起き上がらせると、先程のお返しと言わんばかりにエルボーの連打を浴びせる。

 

『エルボー!ワンットゥエルボー!ロォォリング、エルボー!!』

『ムエタイの肘とは違うが、あれは受けたくないねぇ』

 

エルボーの嵐により、若干グロッキーになるアルフに、追撃と言わんばかりに抱え上げる。

 

『ボディスラムで抱え上げた。溜めに溜めて……落としたー!!』

 

たっぷり時間をおいてからのボディスラム。レオは休まず、悶絶するアルフに向かって跳ぶ。

 

「グハァッ!?」

『その場跳びのニードロップ!そのままピンの体勢』

「ワン、ツー」

「ウォッ!」

 

させじと跳ね返すが、直後レオは次の行動に移っていた。

 

「フンッ!」

「ガァッ!?」

『返した腕を捕らえてストレートアームバー!エルボーだけではない、この辺りの上手さも金獅子カール・レオの持ち味といったところ』

『タイミング絶妙なんだよな』

 

ギリギリと引き絞るが、完全には延びきらない。しかし、腕の力だけで耐えているため、このままでは時間の問題だ。クラッチも組んでいないため、起き上がることも難しい。

ズリズリとマットを移動してロープに向かうアルフ。させじと更に絞るレオ。

 

「ブレイク!」

『何とかロープに届きました』

『タイミングはよかったんだけどな』

 

完全に延びきらせる前に、アルフの長い足がロープにかかる。レフェリーに促されてレオはアルフの腕を放してブレイクする。

 

「ドラッ!」

「グッ!?」

 

離れたレオはストンピングを一発いれてから、アルフの髪の毛を掴み起き上がらせる。

 

「セヤッ!」

『再びエルボー!鈍い音が、会場内に木霊するーっ!』

 

レオは更に追撃の肘を放とうとするが、アルフはそれをブロックすると、お返しと言わんばかりに鋭い肘を返す。

 

「シッ!!」

「グァッ!?」

『肘を返したアルフっ!キック仕込みの鋭い肘が、金獅子の顎をとらえた!!』

『レオの肘がハンマーなら、アイツの肘はナイフだな。アレは中に浸透するぞ』

 

鋭く顎をとらえた肘により一瞬よろけたものの、レオはすぐに体勢を建て直すと更に肘を叩き込む!

 

「グッ!?デャア!」

「ガッ!?フンッ!」

『これは激しい!金獅子と知将のエルボー合戦だーっ!!』

『音が痛いねえ』

 

ゴツッゴツッ、と肉を打つ音が激しく響く。お互いに退くことはない、意地と意地のぶつかり合い。それを目撃する観客のボルテージはぐんぐんと上がっていく。

 

「ドォラッ!」

「ウグッ!?」

 

途中でアルフが返した鋭い膝によりレオは動きを止めてしまう。

アルフはロープに走り、反動を利用して勢いを増してレオ目掛け駆ける。

 

「イィヤッ!」

「ガハァッ!?」

 

だが!ここはレオが一手上をいった!

 

『カウンターのロックボトム!強かに叩きつけた!!』

 

投げたレオはそのままマウントを取ると、アルフの顔面に肘を落としていく。

 

『強烈なエルボーの嵐!これは堪らない!!』

「アルフッ!?」

 

この状況に先程場外に落とされた矢杉が慌ててカットに入ろうとする。

 

「行かせるかよ!」

「なっ!?テメエ!!」

 

しかし、同じく場外にいたマシンがそれを妨害。リングに上がろうとした矢杉を引きずり下ろすと袈裟斬り一閃!チョップを叩き込んだ。

 

「グッ!?」

「オラ行くぞ!」

 

更にそのまま矢杉の頭を掴むと、近くにあった鉄柱に叩きつける。

 

「ガッ!?やりやがったなテメエ!!」

「うぉっ!?」

 

しかしそこはハードコアマッチの申し子、矢杉。すぐさまマシンの頭を掴み返すと、逆に鉄柱に叩きつけた!

 

『うわっ!?放送席まで聞こえましたよ!』

『遠慮なしだな。ま、それがいいんだろうがな』

 

続けて矢杉はマシンの腕を掴むと、思いっきり観客保護用のフェンスに振った!

 

「グォアッ!?」

『鉄柵に振っていった!』

「ウォラ!」

「なっ!?」

 

更にリング上では、アルフがレオのマウントを跳ね返して脱出、二人の間に距離ができる。先に立ち上がったアルフが一気に詰め寄ると、いまだ膝立ちのレオに膝を叩き込む。

その膝はガードしたものの、アルフは更に首を抱えて無理矢理立ち上がらせると、首相撲からの膝連打を叩き込む。

 

「レオッ!っうぐ!?」

「テメエの相手はこっちだ!」

 

リング内に気をとられたマシンにブローを突き刺し、首を捕らえた矢杉。

それと同時にリング上でもアルフが首相撲からレオの首を脇に抱える。

 

「「セリャアッ!!」」

「「ガハァッ!?」」

 

息ぴったりのタイミングでマシンとレオの頭をマットに串刺しにする!

 

『リング上と場外で同時にDDT!まっ逆さまに突き刺さったーっ!!』

『ここからが奴等の本領発揮だな。術中に嵌まるとキツいぞ』

 

逆襲のハングズマン。序盤とは打って変わり、マシン・レオ組が劣勢となるが、果たして二人はハングズマンの苛烈な攻めに耐えきることができるのか?

試合はまだ、始まったばかり―――。

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