紅魔館攻撃隊vs永遠亭 後半
幻想郷での戦いは当然不殺が前提である。これは弱き者には助けになるだろうが、強者にとっては足枷にしかならない。どうしてもある程度の手加減が必要になるからだ。
しかし、相手が決して死なない蓬莱人だったらどうだろうか?
「きゃははは!もう一回!ドカーン!」
「ガハッ。このっ・・」
フランドールの強力過ぎる能力ですら、使用を禁じる必要はおろか手加減する必要すら無い。永琳はたちまち破壊と再生の無限ループに取り込まれてしまった。
「フラン、一旦ストップ。」
「? はーい。」
6回ほどループが繰り返されたあとレミリアがストップをかけた。
「さて、藪医者。そろそろ降参してくれないかい?こっちも暇じゃないんだ。」
先程の相手のセリフを真似て投げつけるレミリア。しかしさっきとは状況が違う。
「お前が少しでも動いたらフランの能力を発動する。今お前に許されているのは降参宣言だけだ。」
「くっ。やるわね・・貴女達。」
この状況でにやりと笑みを浮かべる永琳。そう、彼女にもまだ策はある。
「禁薬『蓬莱の薬』」
どこからか響いた声がスペルカード宣言をする。
「チッ、フラン!」
「キュッとして・・ あれ・・効かない!?」
同時に永琳を中心に幾筋ものレーザーと無数の弾幕が撒き散らされる。そして後ろから現れたのは、蓬莱山輝夜である。
「出たわね。真打ちが。」
仕方なく一度退却する吸血鬼姉妹。この永琳と輝夜の合わせ技は耐久スペルであるため、いかにフランの能力が強力であろうとダメージを与えることはできない。時間が経過するのを待つしかないのだ。
「さて、では私も入れて仕切り直しましょうか。」
「姫様、お手を煩わせることになり大変申し訳ありません。」
「あら、良いのよ。どうせ暇だし。」
「出たな。ニート姫。」
「これはこれは吸血鬼のお嬢様方。暫く私がお相手して差し上げるので、良い感じに暇が潰れたら帰ってくださいね?」
「ああ帰ってやるよ。お前らの首を持ってな。」
次の瞬間、全員が同時に動き出し再び眩い弾幕戦が始まった。
「呪詛『ブラド・ツェペシュの呪い』」
「禁忌『カゴメカゴメ』!」
「神宝『ブリリアントドラゴンバレッタ』」
「神脳『オモイカネブレイン』」
この第二戦は、飛んだ弾の数こそ多かったもののあっさりと終局を迎えた。
鈴仙を完封した咲夜の手によって。
「時符『チェンジリングマジック』 おまたせいたしました。妹様、新しいおもちゃです。」
「!!! わぁい!」
いつの間にか輝夜の腕ががフランドールの手に握られていた。
「えっ?いつの間に!?『永遠と須臾を操る・・
「効かないよ。」
輝夜は自分の能力を使い脱出しようと試みるが何故か能力は不発だった。
「私の能力で、『時間が連続体である』と言うことを一時的に確定させた。お前の能力はしばらくの間使用不可能だ。」
パチュリーと咲夜によって考え出され、レミリアが実行した輝夜封じがこれである。時間が連続体である、という運命をレミリアによって(一時的に)定められてしまった輝夜は、須臾を操ることが出来なくなってしまったのである。
「さぁ、藪医者。あんたがさっさと降参しなけりゃこの姫様がフランのおもちゃになるよ。あぁ、あとその兎も。」
鈴仙は既に咲夜に簀巻にされていた。
「・・・わかったわ。降参よ。」
「よっしゃ。じゃあ今ここで永遠亭の住人全員が今後紅魔館に服従することを誓ってくれ。」
「・・・・・誓いましょう。」
永遠亭が紅魔館に従属。幻想郷の勢力図が一つ書き換わった。
さて、この時紅魔館は白玉楼と守矢神社による天空連合の幽々子、神奈子と天子の三人によって攻撃されていた。これに対するのは、紅魔館に残った守備隊のパチュリーと紅美鈴、そして館に仕込まれた魔導防衛装置である。