街の外れに佇む小さな白い教会から、本来聞こえて来てはならない叫びが響いている。酷く歪み、恐怖に震える叫びだ。
その悲鳴は、途切れてはまた響き、途切れてはまた響くを繰り返している。
「やめ、、、やめてぇ、、、!」
男は小さな足に縋ろうとするが、その手は軽くあしらわれ、代わりに頭を踏み潰された。頭を失った体が崩れ落ち、しばらく痙攣した後、動かなくなる。静かに見下ろす少年の顔は、どこかつまらなさそう表情だ。
もう何人殺しただろうか、少年は一瞬考えるが、すぐにそれをやめた。憶えている訳がない。今まで食べたパンの枚数を憶えている人間などいないのだ。
「ここでさいご」
少年は細長い通路の一番奥にある扉の前で呟くと、そっと扉を開ける。瞬間、少年は素早くシールドを展開させると、一発の銃弾が弾かれた。
少年が奥を睨むと、一人の痩せこけた男が狂った様に笑いこちらを見つめている。その手に握られている銃の銃口からからは煙が登っていた。
「いきなりうたないでよ。びっくりしたよ」
これは失礼した、と頭を下げる男。その顔は未だに笑みが浮かんでいる。
「いやぁ、まさかこんな小さな子供に手下が全滅させられるとは思わなかったよ!ま、子供と言っていいのかは疑問だけどなぁ。なぁ?『カールスラントの燕さん』よ」
男が一層笑みを強め、少年の目が大きく見開かれる。
「、、、どこでそれを?」
「おいおい、そんなに睨むなよ。可愛い顔が台無しだ。」
「こたえて!」
「わかったわかったから落ち着けよ。お前らの事を知らないカールスラント人なんていないだろ?絶望的な戦場に毎回現れて戦況を逆転させる謎のウィッチ集団。カールスラントの影の英雄じゃないか!半分はお伽話と思われてるけどな。あ、俺は違うぞ?信じてるし、もっと深いところまで知ってる。オリオン計画とヨーゼフ・メレンゲとか、、、な」
瞬間、男が胸を撃ち抜かれ、床に倒れていた。男は痛がる素振りもなく、呆れた表情をしている
「気が早いなぁ。堪え性のない男はモテないぜ?それとも、我慢もできないくらい脳味噌弄られたのか?」
笑う男に少年は歩みより、その額に銃口を突きつける
「なんでそれをしってるのかはしらないけど、もうこれでおしまい。つうしんきとぶきのばしょをおしえてもらうよ。」
「わかってるさ、、、通信機はそこの扉の中にある。武器も一緒だよ。ったく、、、苦労してここまででかくしたってのに、崩れる時はあっけないもんだなぁ」
男は何処か寂しそうに呟く。その顔には、今までの人間のような恐怖など一切ない
「、、、こわくないの?」
「なにが?」
「しぬの」
男は少し考える。
「そうだなぁ、、、怖くないって言ったら嘘になるな。でも、生きるためとは言え悪いことをしたつけが回ってきたのさ。潔く諦めるよ」
「そっか、、、でもわるいひとはころさないといけないから。ごめんね」
響く一発の銃声。額に赤い花を咲かせた男は、少しだけ、笑っていた