吉良吉影はゼロから始めたい   作:憂鬱な者

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第13話:抑えられない殺人衝動

翌朝

 

 

パチッ パチッ パチッ

 

 

静かな朝

一つの部屋から漏れる音が廊下に鳴り響く

 

そこに、1人の少女がやって来た

 

 

パチッ パチッ

 

 

少女は扉をノックし

中に入った

 

「失礼します…」

 

そこには、ベッドに腰掛け

窓の前でうずくまっている男性がいた

 

すると、男性は体を前に向けたまま

ゆっくりと振り向き、彼女に挨拶をした

 

「…おはよう」

 

「おはようございます」

 

挨拶をすると

彼は再び前を向いた

 

 

パチッ パチッ パチッ

 

 

すると、少女は気になり

そっと、彼が見ているものを覗いた

 

「あ…爪を切ってたんですか…」

 

「あぁ、伸びてたからね…」

 

そう、答えると

彼は再び爪を切り始めた

 

数秒程、沈黙が続くと

彼が口を開いた

 

「気分は平気かい…?」

 

「え、あ、はい…」

 

「そうか…それはよかった…」

 

「あの…

私を助けてくれたのって…

吉良さんなんですよね…?」

 

すると、彼は手を止め

少し、彼女の方を向いて答えた

 

「…そうだね

昨晩は大変だったよ…

犬に噛まれたし、追いかけ回されたよ…」

 

「その…迷惑をかけてごめんなさい…」

 

「べつに謝ることは無いだろう…?

わたしが勝手にやって、勝手に助けたことだ

君はべつに悪くない…

でも、まぁ…

元気になってよかったよ…」

 

「…ありがとうございます」

 

そう言うと、彼女は彼のベッドに座り

彼と背中を向き合わせた

 

「優しいんですね…吉良さんって」

 

「…」

 

そう言われるも

彼は自分の切った爪をジッと見つめていた

 

「…」

(最近…また、爪の伸びが早くなってきた気がする…

爪が伸びる時期は、気持ちを抑えられなくなる…

『手を切る』時期か…)

 

そう思っていると

彼の手の爪が、僅かに伸びた気がした

 

「あ、そろそろ朝の支度をしないと…

吉良さんもお願いしますね」

 

そう言うと、彼女は立ち上がり

部屋を出ていった

 

 

「『手を切る』時期か…」

(レムだったか…綺麗な『手』と顔をしている…

だが、この屋敷の住人を殺すのはマズい…

あの、エミリアという女も

わたしの理想的な世の中を作ろうとしている…

殺すには惜しい…

ここの住人はわたしの味方になり得る存在だ…

やるなら何処か遠くに行く必要がある…

だが、迂闊に行動するのはマズい…

川尻早人の時のように、いつ何処で人に見られているかわからない…

慎重にやらなくては…

どうしたものか…)

 

窓から、少し曇った空を見上げた

 

 

 

 

 

着替えて、彼は朝の仕事を済ませた

いつの間にかロズワールも帰ってきていた

 

「君、昨日の晩

あの森に入って魔獣を倒したんだ〜って?」

 

「あぁ、そうだが…?」

 

「凄いじゃないの〜

魔獣の森に入って生きて帰れるなんて、滅多に無〜いよ?

ま、うちのレムを助けてくれたことには感謝す〜るよ」

 

「…べつに助けたわけではない

ただ、わたし自身の為にやっただけだ…」

 

「ふ〜ん?

でも、結果的に助かったわけな〜んだから

何かお礼をさせてくれな〜いかな?」

 

すると、彼は静かに答えた

 

「なら…金が欲しい」

 

「金?」

 

少し意外そうな顔をした

 

「あぁ、一気にとは言わない…

独り立ち出来るだけの金が集まれば、それでいい…」

 

「ふふ〜ん?

何か企んでるのか〜な?」

 

「べつに、企んでなどいない…

わたしは、普通に…平穏に暮らしたいだけだ…」

 

「まぁ、それぐらいならお安い御用だ〜よ」

 

そう言うと、彼はウィンクをして

去って行った

 

 

(金を貯めて、何処かの家を買えば…

そこを拠点に行動出来る…

変装する方法も考えなくてはな…

少しずつ…ゆっくりとやるんだ…

『彼女』さえ手に入れれば…

わたしはくつろいで…熟睡出来る…)

「フフフ…」

 

不気味な笑みを浮かべ

彼は部屋に戻っていった

 




因みに私も、現在爪が伸びてます
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