吉良吉影はゼロから始めたい   作:憂鬱な者

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第8話:芽生える気持ち

 

ロズワール邸で暮らすこと3日

 

とある日の夜

吉良の部屋にて

 

 

「ここでの生活にもだいぶ慣れて来たな…

仕事もそれ程辛くないし、居心地も悪くない

この国の文字なども大体覚えた…金もそれなりに貰える…

フッ…順調だぞ…」

 

そう呟きながら、窓枠に手をつき

夜景を眺める

 

「だが、この先どうするか…

この屋敷の住人を殺るのはマズい…

王選とか言ってたな…

あの女を殺したら候補者が突然行方不明になり、怪しまれる

あのロズワールとかいう奴も迂闊に手は出せない…

始末出来ても、それなりに知名度のある奴だろう

消えたら怪しまれる…

あの双子の女も難しい…

何より、わたしのキラークイーンは多人数を相手に闘うのは難しい

とにかく、この屋敷の奴らを敵に回すのは無理か…

どうしたものか…」

 

そう呟き、ふと中庭に目をやるとエミリアがいた

 

(あの女…1人で何をやってるんだ?

あの蛍の様な光と喋ってるのか?)

 

気になり、彼は彼女の元に行った

 

 

「…何をしているんだ?」

 

「あ、吉良さん

今、微精霊と話をしていたんです」

 

「微精霊?」

 

「はい、精霊の中でも特に力の弱い精霊のことで

ほとんど姿も無いんです」

 

「なるほど…」

(この小っこい奴らが微精霊か…)

 

「吉良さん、大分ここに慣れて来たみたいですね」

 

「ん、そこそこだがな…

わたしがこうして今此処にいられるのも君のお陰だよ…

そういえば王選、だったかな?

国の王になるなら、それなりに何か目標とかあるんじゃないか?

君が王になったら国をどうするつもりなのかな…?」

 

彼がそういうと彼女はその場に座り

答えた

 

「…私はこの国の人達みんなが幸せになれる様にしたいんです

争いや差別が無い様な

みんなが優しく、みんなが笑顔で暮らせる国にしたいんです…」

 

彼は少し間を置いて口を開いた

 

「…そうか

いいじゃないか…平和が一番…

わたしも君の考えには同意するよ…

わたしの望みは『平穏な生活』ただ一つ…

君が王選に勝てる様に、願ってるよ…」

 

そう言うと、彼女は少し意外な表情をし

笑顔で言った

 

「ありがとう」

 

「…」

 

その笑顔を見て、彼はつい目を逸らした

 

「…暗いから足元に気をつけた方がいい」

 

「ありがとう、あっ!」

 

そう言い、彼女が屋敷に戻ろうとすると

彼女が躓いた

 

「!!」

 

彼は無意識のうちに彼女の肩を掴み、支えていた

 

「あ、ありがとう」

 

「…いや、無事でよかった」

 

そう言うと、2人とも屋敷に戻った

 

(この吉良吉影…今、ホッとしたのか?

また…、いや、これは彼女に何かあったらわたしの人生の計画が狂うからだ

そうだ…そうに違いない…

わたしが他の人間を心配するなど…)

 

そう思いながら、彼は部屋に戻り

寝ることにした

 

 

 

 

 

翌日

 

 

彼はいつも通り仕事を済ませた

 

昼過ぎにて

 

 

「さて、部屋に戻るか」

 

そう言い、庭を歩いているとエミリアを見つけた

 

(また、微精霊とやらと話しているのか?

そういや、あいつら…スタンドが見えていたな…

気になる…聞いてみるか…)

 

そう思い、彼女の元に行った

 

 

「また、微精霊と話しているのか?」

 

「あ、はい

私…あまり人と話さないから…」

 

「…一つ聞きたいことがあるんだが、いいか?」

 

「え?いいですけど…」

 

それを聞くと、彼はキラークイーンを出した

 

「君は『これ』が見えるか?」

 

「は、はい

『スタンド』っていうんでしたっけ?」

 

「あぁ、わたしも詳しくは知らないが

スタンドはスタンド使いにしか見えないという…

何故、スタンドが見えるんだ?」

 

「そ、そんなこと言われても…困ります」

 

そう言うと、彼女の肩からパックが現れた

 

「多分だけど、それは僕達が魔力とかに敏感だからかもしれないね」

 

「?どういうことだ」

 

「多分、そのスタンドっていうのは何か特別な力が像として現れてるもので

普通の人には、その力が弱すぎて見えない

でも、僕達精霊や魔法使いとか、そういうものを扱える人には

僅かな力でも見えるんだと思う

幽霊みたいなものだね」

 

「なるほど…だから見えたのか…

そういえば、お前は何か使えるのか?」

 

「僕は熱を自由に操れるんだ

熱を下げて、氷を生み出したり出来るよ

君のそれは何が出来るの?」

 

「…特に答える必要は無い」

 

「えー、ケチだなー」

 

「ふん」

 

「あはは…」

 

2人のやりとりを見て、彼女は苦笑した

 

「ところで、魔法というのは魔法使いにしか使えないのか?」

 

「んー、マナがあれば基本的に誰でも使えるよ」

 

「マナ?」

 

「体内や空気中にある魔法の元になるもの

まぁ、燃料みたいなものだね

魔法使いは体内のマナを消費して魔法を使う

魔法は火・水・風・土の基本属性と陰と陽の2つの6つの属性があって

大抵は基本属性に適性を持ってる人が多いね」

 

「つまり、適性があれば使えると」

 

「まぁ、簡単に言えばそうだね

君も何か適性があるんじゃない?」

 

「本当か?」

 

「見てみようか?」

 

「あぁ、頼む」

 

そう言うと、パックが彼の体に触れる

 

「んー、陰だね」

 

「陰…何が出来るんだ?」

 

「まぁ、相手の視界を遮る闇を作ったり、重力の無効化や時間の流れを変えたりだね」

 

「そうか…ありがとう」

 

好きでも嫌でもない微妙な顔をする

 

「まぁ、色々知れてよかった

少し気になっていたからな…これでスッキリした…」

 

「よかったね」

 

「あぁ、また色々聞かせてもらうよ

それじゃあ、わたしはそろそろ戻るとするよ」

 

「ばいばーい」

 

そう言い、彼は屋敷に戻った

 

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