---2XX2年 3月15日13時 ???---
腹部からの血が止まらない。
体内を駆け巡る激痛、この世の絶望は既に見えていた。
はずなのに。
幾度と夜は超えてきたが既に限界なのかもしれない。この悲劇を繰り返さないため、「二週目」を超えるために生きてきた。だがそれももう無駄だ。
あの時から地獄は始まっていたんだ、きっとそうだ…
---2XX1年 9月1日12時 東京駅---
「ついたか…ここが東京…歴史で習ったのもあるけど意外と予想以上だな…」
昔の日本より技術はかなり発達した。もうこの国は電気に依存しないと生きていけないのではないか。
新たな門出を開くために日本の中心地に来た。田舎の方までは進歩していない技術もここ東京ではかなり発達している。まるで世代が違うかのように。
自動販売機でジュースを買った。果実の味がしたあとに乾いた喉が潤うような感触を得る。
「えっと…この先に自転車があるんだったな…」
駅から少しの場所に進むとレンタルの電気自動車があった。
この自転車でまずは住処まで行こうと決め、自転車に触れようとしたまさにその瞬間だった。
唐突に鳴り始めたけたたましいサイレンの音と共に周りが騒然としだす。自分も吃驚して後ろを振り返ると、そこには即席と思われしステージの上に一人の「人だった何か」の腕を掴んだ覆面姿の男が立っていた。そしてマイクを掴みこう話す。
『突然ですが、今からゲームを始めたいと思います。』
…は?
場の空気が凍りつくように静まり返る。何が起きているのか自分でも不明だった。
しかし男は話し続ける。
『ルールを説明しましょう、舞台は数世紀前の世界をモデルにしたパラレルワールドです。そこに人間をひとり残らず転送します。そしてここからが概要なのですが、この――』
「おいおっさんさっきからうるせぇんだよ!迷惑だぞ!!」
一人が男に掴みかかる。
瞬間、男は「人だった何か」を手放す。見ると掴みかかった人の首は既になかった。そして血みどろとなったその人は姿を変え、首を切った怪物と同じ姿になろうとしているのがわかった。
『ああ、途中で妨害するから…まあいいでしょう、一人ぐらい居なくても…
さて、話を戻しましょう。君たちのクリア条件は、生き延びることです。期間は今から三ヶ月。それでは細かい話は抜きにして、世界に転送します。では、がんばってくださいね。アディオス!』
---2XX1年 9月1日13時 東京駅---
怪物が放たれ、沢山の人が死んでいった。幸いにも足は遅く、倒れた人が怪物になるまでに10分はかかるらしい。
「…逃げなきゃ…土地勘はないけど…」
不思議と足は軽く、幾らでも走ることができた。息切れもしなかった。
とりあえず先に東京に来ていた友人に連絡を取ることにした。走りながら掛けた電話は数回のコール音のあとに応答があった。
『おい悠斗!!今すぐ東京から離れろ!』
「わかってるよ永倉!今走ってる!!」
友人である永倉は中学からの知り合いだった。東京に来たのもこいつの勧誘があったからだ。
『なぜか車は使えない…保存食を持って家を出たが、一ヶ月もしないうちに東京はやられるだろう、そしたらまず関東圏を抜けよう。電気も止まってるがこの混乱だとコンビニの商品は取り放題だししばらくは大丈夫なはずだ…』
「とりあえず永倉と合流したい。どこに行けばいい!」
『お前のいるところから大きい塔が見えるな?まずはそこで合流だ!急げよ?』
「…ああ。」
電話を切ると怪物がいないことを確認して、足を動かした。
自分の知っていた東京駅は無残にも枯れ果てていった。