Fate/Kaleidoscope   作:リク@物書き初心者

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思惑-歪みの始まり

―――ここは?

冷静に周りを見渡す。自分の目を、耳を、肌を使って情報を把握する。そして自分が存在することも認識しておく。そうしないと消えてしまいそうだから。

足元が冷える。確か靴を履いていたはずだったが今は裸足だった。膝くらいある緑色の液体が身体を冷やす。否、この液体は決してそう冷たいものではない。だがこの液体の正体を認識した途端全身が冷えてしまって仕方がない。

全身に悪寒が走る。無意識に全身が震える。気温は低くないのに寒気が止まらない。彼女を覆う金色の美しいドレスはない。今の彼女は生まれたままの姿。否、正確には人造のボディを肌という服で覆ったと表現するほうが良いか。

自分の肉体を見る。誰をサンプルに作ったのかはわからないが、一般的な人間の評価ではこの上ない美しさと言われるだろう。銀髪の髪、芸術品のような肢体、白い顔。全身の無機質さも相まって人間の美しさというより人形の美しさを纏っている。

そしてそれは、周囲に腐るほどあった。寸分違わぬ顔貌が周囲にに転がっている。ある個体は四肢が欠損し、またある個体は関節があらぬ方向に曲がっている。酷いものには首すら無い物、臓器が飛び出ている物もある。

そう、ここは地獄、ここは墓場だ。名も無き有象無象のホムンクルス達、生まれ持っての消耗品がある。

―――何故私はここにいるのだろう

記憶が混濁している。私は誰だ?違う、私はそれらではない。周りと同じで違う存在。記憶を辿る。自分と周囲を分けるパーソナルを遡る。

私はたしかにここから出ていったはずだ。忌まわしき緑色のプール、あの屋敷のゴミ捨て場から。同胞達を見捨てて、聖杯戦争で戦うマスターとして新たな生を得たはずだ。

私はサーヴァント、ランサーと契約した。アサシンと交戦し、そのマスターである男、アラン・リンドバーグと対決した。その最後に私はあの男から何かを言われた気がする。

何だったか。また記憶が曖昧だ。何か大事なことで、自分が気づきもしなかったこと。

・・・・・そうだ、私は己の願いを遂げたら死んでしまうのだという。

何でこんな単純なことを思いつかなかったのだろうか。聖杯の力で地球上の魔力を全て抹消する。恐らく原理的には不可能ではないはずだ。マナ全てを浪費するほどの膨大な魔術を行使すれば良いだけだ。あるいは魔力という名のエネルギーを宇宙に放出するのも良い。そうすれば二度とホムンクルスは制作できない。ホムンクルスの動力源たる魔力も消失する以上当然のことだ。だがそうすれば自分もその時死ぬこととなる。魔力無くしてホムンクルスは生きられない。

そうすれば自分は死ぬ

死ぬ、死ぬ、死ぬ・・・・???

自分も捨てられた物達と同じになる・・・・???

再び全身に急激な寒気が駆け抜ける。空気や足元の液体で感じたものなど比較にすらならない。今すぐ気を失って倒れてしまいそうだ。足が震える、膝が笑っている。恐ろしくてたまらない。

ああ、なんてざまだ。これまで死ぬことなんて何とも思わなかったのに。自らの命ですらただの個体の消費としか考えなかったのに。今ではこんなに怖い。死ぬことがかつて無いほど苦しい。死体達の仲間入りとなってしまうと考えると吐気がするほど恐ろしい。

命を得たと自覚する事は、命を失う事を自覚することだ。手に入れると、失うことが嫌になる。手放すことが惜しくなる。

死んだらもう動けない。こんな風に考えることも出来ない。あとは肉も骨も溶けてリサイクルされるだけだ。

嫌だ、嫌だ嫌だ。

怖い、怖い怖い怖い怖いこわいこわいこわいコワイコワイコワイ!!!

死にたくない!死にたくない!死にたくない!

今すぐ脱出を、急いで脱出を、この場所から逃げなきゃ、目を背けなきゃ、逃避しなきゃ―――!!!

歯を食いしばって何とか歩き始める。再びここから屋敷へ、外へ、雪原へ行くのだ。

この空間と外が繋がっているのは端の階段だけだ。それの数段先に扉がある。それだけがこの地獄と外とを隔てている。かつての私はここから抜け出した。ならもう一度抜け出せるはずだ。この死体達を置き去りにして。

足元には大量のホムンクルスが転がっている。不思議と前より多い気がする。前はもっと緑の液体に溶かされて無くなっていたと思う。

だが立ち止まってはいられない。ふらつく足で避けながら、あるいは踏み潰しながら確実に外へと闊歩する。肉を潰す嫌な感触が足に絡みつくが気にしている暇はない。

あと少し、あと少しで足場へとたどり着く。そうすれば後はすぐだ。長くて短い道のりを必死の思いで進む。

突如私の歩みが止まった。いや、止められてしまった。重心を前に傾け前進しようと試みる。だがピクリとも動かない。何が起こった?慌てて自分の足を見る。

そこには

名も知らぬ誰かの/自分と全く同じ

白い手があった。無機質な手が私の右足を掴んでいた。

手の主を確認する。視認した後、見るまでもなかったと悟った。手の先に伸びていたのは、私と同じ白い骸だったのだから。

「逃がさない・・・・・・」

怨嗟が聞こえた。私と一緒で異なる声が響いた。ひっ、と情けない声が私の口から漏れる

馬鹿な、口を開ける訳がない。ここに捨てられた連中は皆、活動停止になった個体。自ら声帯を震わせて口を開くことなどできるはずがない。だが確かに声がした。ならそれはもしかすると、心の声という物なのだろうか。憎悪と羨望を結晶化したような黒い音波。それがずしりと脳に響く。

ガシッ、と左足も掴まれる。そちらの方は右足を止めている物とはまた違う個体だいた。更に酷い事にその個体には下半身が無い。恐らく実験か戦闘かで消失してしまったのだろう。だがそのような姿でも力を込めて私の足を握っている。

「どうして貴方だけが・・・・・」

再び慚愧の念が私の脳内を駆け巡る。緑の蛍光を頼りに自分の足を掴んでいる個体の顔を見た。声とは対象的にその表情は静かなものだ。まさに壊れた人形に相応しい顔をしている。それ故に尚更恐ろしい。自分と瓜二つの顔が真顔で憎悪を撒き散らしている。

―――止まっちゃいけない

両足を拘束されても、それでも進もうと全身に指示を出す。だが狼狽していたせいか、身体のバランスを崩してうつ伏せに倒れてしまった。裸の肉体と翠色の液体がぶつかって液体が跳ねる。元ホムンクルスの魔力液はエネルギーであるはずなのにどこか気持ち悪かった。

すぐに立ち上がろうと腕に力を込めようとする。

だがそれより先に右腕も掴まれてしまった。目線だけそちらにやると、またも別の個体がいた。こちらは片目を失っている。ただただ無表情にこちらを見据えている。

「貴方も・・・ここで・・・」

動きが封じられてしまった。何とかならないか、と首を動かして周囲を確認する。すると私は目を疑った。先程まで池全体に広がっていた亡骸達が、こちらに向かって来ているのだ。歩き、地を這い、引きずる。多分、私の脱出を阻止するために。

     痛い     苦しい      助けて

逃がさない  ずるい     私も行かせて

     貴方に未来はない   所詮製造品なのに      逃げるな

  妬ましい      嫌嫌嫌         羨ましい        

きつい   許さない    死んでしまえ       殺さないで

 

無数の声が私に叩き込まれる。使い捨てのホムンクルス達に宿った幼い心が黒い感情を吐いている。私の心が情報量に壊れそうになる。

―――大丈夫、だから。私が、貴方達の、仇を・・・取るから・・・

そう、私が聖杯戦争に参加するのは我欲を叶えるためではない。私は魔術を消して、マナも消して、こんな地獄を二度と生み出さないと、そう誓った。誓ったはずなのだ。そのためにもこんなところで立ち止まっているわけではないのに。

残念ながら周りの無数の骸達がそんなことで納得してくれるわけもない。見る見るうちに倒れた私に彼女達が押し寄せてくる。手が、足が、胸が、首が掴まれる。

もしゾンビの群れの中に人が入ってしまったらこうなるだろう。見る見るうちに大量のホムンクルス達に埋もれて行く。もはや逃げ場はない。自力で抜け出す力も残っていない。もうここで私も彼女達と本当の本当に、同じ物になってしまうのだろうか。

たす・・・・けて・・・・

声にならない声を上げ、伸ばしたか細い腕は呑まれ・・・

 

 

 

ぼんやりと意識が浮上した。

今どういう状況にいるのかクンティは把握しようとする。身体を包む柔らかい毛布、肉体の疲れを軽減するマットレス。低反発の枕。どうやら自分は眠ってしまっていたらしい。頭を働かせようとするが、寝ぼけているのか上手く頭が回らない。一体ここはどこなのだろうか。

目を開いて確認しようとした時、クンティはあることに気がついた。

―――泣いてる・・・?

彼女の眼には大量の塩水が溜まっていた。そのせいで、少し目を開いた程度では前が霞んでよく見えない。手を動かして枕を触ってみると、流れた涙で少し濡れていた。汗や涎という可能性もあったが、丁度目から液体が溢れたら濡れるであろう所が湿っていたので間違いあるまい。

何故泣いているのだろう、という方面に思考を切り替えた。そして答えは割りとすぐに見つかった。

―――そうだ、あの夢で・・・

先刻の夢。ホムンクルスの廃棄所で彼女達に囲まれて沈められたものだ。夢にしては妙にリアルだったし、夢のくせに嫌に記憶にこびりついている。ただの悪夢なら思い出さないようにすればいいだけだが、そういうわけにもいかなかった。何故なら、あの光景こそ私の罪なのだから。

いかに大義名分を掲げようと、あの場所で他のホムンクルス達を見捨てて逃げ出したのは事実だ。もしかしたらまだ生きていた個体がいたかもしれない。助かった者もいたかもしれない。それを私は、彼女達を救うという決意をして飛び出した。そして私はこうして別の世界で聖杯戦争のマスターとして戦っている。聖杯で彼女達のような存在を二度と生まないために。

 

―――否、それこそがまさに言い訳だ

他のホムンクルス達の事なんて二の次だった。本当は、死にたくなかっただけなのだ。あの緑の池から飛び出したときも、雪原で一人倒れた時も、ずっと私は死にたくないと、心の奥底では思ってきた。更にあの男、アランが言ったこともある。

私の願いの最優先事項がホムンクルス達の救済や魔術の消滅なら、あの男の言葉に動揺することもなかっただろう。なのに願望と己の命が引き換えになってしまうと聞いただけで足が竦んでしまった。何とも情けない。結局私は何のために生きているのだろうか・・・。

とりあえず身体を起こす。溜まっていた涙が頬を伝って落ちてしまったので慌てて袖で拭う。拭いてから気がついたが、未だ自分の体は黄金のドレスに覆われていた。もっとも血や汗の匂いは感じないし見た目も清潔だ。更に何となく落ち着く柔らかな香りが漂う。これがいわゆる太陽の香りというやつなのかもしれない。

周りを見渡すとそこはマンションの一室だった。家具や内装が白で統一されていてある意味生活感が感じられない。もちろん今寝ているベッドも枕、シーツなども全て白。良く言えば清潔感があるとも言える。まるでホテルの一室のようだ。部屋は中の上くらいの広さであり二人三人くらいなら共同生活できるくらいだ。

ここはクンティ達の拠点であった。クンティがこの世界に来た時意識が無かったため正確にはわからないものの、ランサー曰く、雪原に立っていると転移のような現象が起こり気付けばこの部屋にいたという。その後しばらくして彼女は目を覚ましランサーと対面したのだ。

この部屋は全く見覚えがなかった。かつてホムンクルスとして仕えていた屋敷にもこのような部屋があった記憶はない。

ランサーの説明では、この世界は聖杯戦争の為に作られた空間でありマスターは他の世界から招集されるという。ならばこのような拠点は何らかの形でマスターに与えられるのかもしれない。

残念ながら霊脈とは全く繋がっていないため魔術的な側面を考えると不満もあるが、内装のそこそこな快適さもあるので目を瞑る。

まだ少し身体にだるさを感じる。それに腹部が少し痛む。手で触って確認してみると包帯のような物が巻かれているようだ。そう言えばアランに腹を思い切り殴られたのだった。なぜ自分は殺されずに生きているのだろうか。あの状況なら殺されても不思議ではなかったはずだが・・・。

「ん?起きたか?マスター」

ふと心地良い声が聞こえた。自分をマスターと呼ぶ存在は一人しかいない。見ると案の定、己のサーヴァント、ランサーが立っていた。

―――オレンジのエプロンと食事の皿らしきもの乗せたお盆を持って。

「・・・・・え?」

正直思わず二度見してしまった。

大英雄カルナ。実のところクンティは彼の生前を知っているわけではない。せいぜい彼の原典はマハーバーラタというインドの神話だと言う事しか知らない。戦闘用ホムンクルスがそのような知識を持っている必要はなかったし、聖杯戦争が始まってから彼の事を調べる時間もなかった。

だが彼の技量と存在の格を見れば否が応でも彼が大英雄と呼ばれるに相応しい存在であることは理解できる。あのアサシンと一対一で互角に戦い、霊基と槍の技、濃密な炎を見れば一流の戦士なのは言うまでもない。

その彼が、橙色のエプロンを着てご飯の準備をしているのだ。戦闘時の鬼気迫る様子と比べると、あまりにギャップが激しかった。

「怪我は命に別状はないようだが、傷はまだ痛むか?」

「は、はい。少しですがまだお腹が・・・」

そしてランサーは何事もないかのようにこちらを気遣っている。だが傷の痛みが気にならないくらい目の前の光景に呆気にとられていた。

「あまり無理はするな。一応食事の準備をしているが食えそうに無ければ食わなくても構わんぞ」

そうは言うものの、部屋のテーブルにはすっかり朝食の用意があった。てっきり一人前、間違いなくクンティ用だろう。彼はインド、アジア方面の英雄のはずなのだが、用意された料理は目玉焼き、ウインナー、トースト、ミルク。どう見ても洋風なのは正直不思議な光景だった。これも聖杯から与えられた知識に入っているのだろうか。

「あの、食材はどこから持ってきたんですか?」

「冷蔵庫だ。しばらく生活できるくらいの食材は入っているようだ」

確かに部屋には冷蔵庫があるのは見ていたが中身までは見ていなかった。

「えっと・・・そのエプロンは?」

「あぁ、エプロンとは料理の際に身につける礼装なのだろう?棚を開けたら入っていたため使わせてもらった」

・・・どうやら何か勘違いしているようだがあえて突っ込まないでおく。英霊なら火傷なんて無縁だろうし、炎を扱う英霊なら尚更だ、という指摘も内心に留めておく。

部屋には良い匂いが広がっている。用意された料理を頂かないのも申し訳ないというものだ。ベッドから移動してテーブルへと移動しようとする。毛布を避けて足を床に付けて立った。そのまま歩こうとすると、思わずよろめいてしまった。倒れはしなかったものの壁に手を付けてやっと立っていられた。例えるなら貧血と同じような症状だった。

「大丈夫か?」

「だ、大丈夫です。ちょっと魔力を使いすぎてしまったみたいで」

ランサーが心配してきたのを、大丈夫と笑って返す。どうやら戦闘時に魔力を消費しすぎたようだ。ホムンクルスにとっての魔力の枯渇は死活問題だ。普通は自分で魔力の消費を調整するのだが、アランとの戦闘時、自分でも驚くほどの火炎を放ったのだ。纏っている黄金のドレスが炎を強化したと考えられるが、それでも魔力を消費するのは自分だ。その際制御を誤り、魔力を使いすぎてしまったようだ。

少しふらつきながらもテーブルの椅子に座った。卓上に並んでいる料理は一般的ながら美味しそうだ。ナイフとフォークを取って舌鼓を打つ。

「・・・美味しい」

「それは良かった。マスターを気遣えるくらいの甲斐性は俺も持っているということだ」

そう言いながら彼は身につけていたエプロンを外した。意外と気に入ったのか綺麗に畳んで棚に戻していた。

「ありがとうございます。こういう知識も、聖杯から与えられるんですか?」

「ああ、一般常識として持っている。とはいえ実践するのは初めてだったが」

サーヴァントは聖杯戦争に参加する際、現代知識をある程度与えられるのだと言う。聖杯戦争を円滑に行えるように便宜を図っているのだろう。

これは通常の聖杯戦争、聖杯の元に魔術師が七人集いそのサーヴァントが争う物でも同様らしい。この聖杯戦争は霊基が魔術師を選択する形式ではあるが、それ以外は通常の聖杯戦争と今のところ変わりはないらしい。

そして、ランサーのこの料理知識も聖杯が授けた知識に含有していたようだ。

・・・果たして聖杯戦争に料理の知識は必要なのだろうか

まぁそのおかげでこうやってランサーが作ってくれた料理を食べられるのだから嬉しかった。料理の内容は質素かもしれないが、ランサーが自分のために作ってくれた事実が何故かとても嬉しかった。

「話は変わるが、マスター。すまなかった」

ランサーが突然、申し訳無さそうな様子で謝ってきた。立ったままこちらに頭を下げている。

「どうかしたんですか?と、とりあえず頭を上げてください」

あまりに唐突だったのでクンティは面を食らってしまった。

何故ランサーが謝るのかさっぱりわからない。ランサーに何か落ち度があった覚えはない。ランサーは立派にあのアサシンと戦ってくれたし、私のようなホムンクルスにも敬意を持って仕えてくれている。とても謝られるような事など思いつかない。むしろ謝るべきは先日アサシンのマスターである聖職者の男にあっけなく倒されてしまった私のはずだ。

「いや、俺はお前に謝らないといけないことが二つある。一つはお前にそんな傷を負わせてしまった事だ」

ランサーは椅子に座ったクンティの腹部のあたりを見つめていた。彼が言う傷、とはアサシンのマスター、アランがクンティを殴った跡だろう。今は金色の服で隠れて見えないが、その下にはまだ痛みがある。

「しかし、俺がアサシンと交戦している間に何があった?」

どうやらランサーは事情を知らないようだ。しかし無理も無い。その時ランサーはアサシンと一対一で戦っていたのだから。とても他のことに目を向ける余裕など無かったのだろう。

クンティはランサーと離れてからの出来事を話した。

アサシンのマスター、アランと接触した事

彼と戦闘になった事。

願いを遂げれば死ぬと言われた事。

そして呆然としている間に腹部を殴られ気を失った事。

クンティの話を、ランサーは黙って聞いていた。そしてその後ゆっくりと口を開いた。

「面目ない。俺がいながら主を危険な目に合わせてしまうとは」

「いいんです。ランサーは大丈夫だったんですか?」

「残念だが、アサシンは倒せなかった。戦っていたら、お前の言うアサシンのマスターが乱入し、そのまま共にどこかへと撤退して行った」

淡々と報告しているようだが、どこかランサーの声は申し訳無さが含まれていた。己のマスターを危険に晒したにも関わらず、戦果を上げられなかったのが悔しかったのかもしれない。

「いえ、あのアサシンから生還できただけで良かったです・・・」

だがクンティはランサーが無事であった事にホッとした。クンティの目から見てもあのアサシンは常軌を逸した存在だった。言うなれば死の権化とも言える、もはやあの中身は本当に人間なのかも疑わしいレベルだった。

そのアサシンに敗北せず、むしろ相手を撤退させるまで戦えたのはそれだけで十分な戦果だろう。万が一、ランサーがあの場で倒されていたらと考えると寒気がする。自分でもなぜここまでランサーを失うことを危惧するのかよくわからないほどに、クンティはランサーを心配していた。

「だがアサシンに関して一つわかったことがある」

「なんですか?」

「アサシンは女性だった」

「・・・・・なんですって?」

耳を疑った。クンティの顔は確実に、おまえは何を言っているんだ、という顔をしていたことだろう。

「にわかには信じ難いだろうが、顔を見る限り女性にしか見えなかった」

こちらの表情で感想を悟ったのか、ランサーがもう一度押してきた。だがやはり信じられない。

髑髏の兜、黒く重厚な重鎧、威圧的な声、圧倒的な強さ。サーヴァントだから男性、という事もないだろうが、あのアサシンが女性ならば、女性とは一体何ぞやと言いたくなる。

「それであのアサシンの真名に心当たりはあるか?」

「・・・まったく」

残念ながら、黒騎士で髑髏を纏い大剣で暗殺するアサシンなど男性でも聞いたことがないのだ。女性なら言うまでもない。もっともクンティのようなホムンクルスは神話や伝承に登場する英雄などほとんど知らないのだが。

「ランサーはどうですか?」

「すまんが、こちらも見当もつかない」

どうやらアサシンが女性、とわかっただけで前向きな情報はないようだ。はぁ、と思わずため息が漏れる。

 

―――だがこの世から魔力がなくなればお前も死ぬだろう。それでも構わんのか?

アランが言っていた事を思い出す。

何故私はそんな単純なことも気が付かなかったのだろうか。ホムンクルスであるクンティは魔力を消費して生きる存在だ。

それを失うということは、クンティ自体生存できなくなる事を意味する可能性が高い。もちろんいざ聖杯に願いを言ってみないことには確実なことは言えないのだが、それでも自分が消えてしまうかもしれないという事は恐ろしい。

また、クンティのような戦闘用ホムンクルスは寿命、あるいは使用期間が短い。元々戦闘用のホムンクルスは戦争の為に作られる物だ。戦闘で破壊される事が前提の捨て駒なので、そこまで長生きできる前提で作られていない。

と言っても三年ほどはあるので聖杯戦争中に寿命で死ぬ、という事はないだろうが聖杯に願いを叶えた後すぐに死んでしまう事もあり得る。

―――否、そもそもこれらは全て聖杯戦争に勝てる前提での話だ。聖杯を掴めるのは一人、他のマスターは全員殺す。それが聖杯戦争の基本原則だ。勝ち残れる確率より途中で骸を晒す確率のほうが遥かに高い。

もちろんランサーが負けるとは思っていない。未だアサシンしか他のサーヴァントを見ていないが、それでもカルナは他の英霊を圧倒できる程の格を持っていると思われる。彼がいれば聖杯戦争を戦うのは決して不可能ではないはずだ。

だがどんなに強いサーヴァントだとしても、負けることもある。あるいはランサーが負けずとも、マスターである私が殺されて終了、という事も考えられるのだ。そして死んだらあの夢のように・・・

「マスター?」

気がつくとランサーがこちらに声をかけていた。どうやら何かを話していたようだったが聞いていなかったようだ。

「心ここにあらず、という感じだったが。何か気になることでも?」

「す、すみません」

ランサーは責めたつもりは無かったのだろうが、クンティは反射的に謝った。だがクンティの表情は暗いままだ。

もしかしたら、ランサーなら、何か助言をくれるんじゃないだろうか。

「あの、ランサー」

声を絞り出す。自分でもびっくりするくらい弱々しい声だった。

「なんだ」

ランサーは短く言葉を促す。無愛想なようだが、その目は堅実にこちらを見ている。まるで全てを見透かしているかのように。

 

「私、どうしたらいいかわからないんです」

悩んだ末、口から出てきた言葉はそんな物だった。クンティは下を向いて続けて話す。その様子はまるで泣いている童のようにランサーの目には映ったことだろう。

「私は聖杯の力でこの世界から魔術と魔力を全て消去する。私達のような生命を二度と生産させないために。その意志は変わってはいません。でもあの男が言っていました。その願いが果たされれば、ホムンクルスである私は死んでしまうと」

クンティは伏せたまま顔を上げられない。ランサーがどのような顔でこちらを見ているかもわからない。ランサーは何も言わず、静かに耳を傾けている。

「そもそも私は長くてあと数年しか生きられません。それでも聖杯に延命を頼むなんて許されない。私はあの地獄を見たんですから。それにそれ以前に聖杯戦争で死んでしまうかもしれない」

話し始めたら、気がつけば内心を漏らしていた。だがもう自分でも止めることができなかった。一旦話し出すと止められない。というより、彼女自身に心のリミッターというものが備わっていないのだが。

だが彼女はまだ心の奥底にある物を吐き出していない。彼女が口から出した心は確かに心ではあるのだが、ある意味表層面の物だ。彼女は上の層から中央へと順に心を晒している。人間なら自制が効くが、心理的に未熟な彼女は止める術を持たない。そして最後に、無防備に己の中枢にあるものをさらけ出す。

「私は・・・死にたくない」

自覚はなかったが、その声は震えていた。もう泣いていると取られてもおかしくないくらいに。

これがクンティの根底に根付いていた物だった。命を自覚し戦うことで、また命を失うことを恐れる。一度得たら、失うことが怖くなる。そしてそれは恐らく直近の話だ。回避することも出来ない。

どうあがいても、遅かれ早かれ確実に死が訪れる。聖杯の奇跡に縋るわけにもいかない。つまり、どうしようもない。どうしたらいいかわからない。これが紛れもなく彼女の本音だったのだ。死にたくない。あんな、今以上に冷たい存在になりたくない。

「そうか」

聞き終わったあと、ランサーが発した言葉はそんな簡潔な物だった。その声でクンティは少し冷静になった。気がついたら思っていたことを全て漏らしていた。恥ずかしい、と思う前にランサーに軽蔑されるのではないかと危惧した。

自覚があるくらい情けない主張をしてしまった。これでランサーに見限られたら、きっと自分が死ぬくらい辛い。それに勝利も絶望的になる。令呪はあるものの、令呪を抜きにマスターを殺すくらい造作も無いだろう。

「クンティ。お前の意志を俺に話してくれた事を嬉しく思う」

ランサーは名前を読んで、穏やかな声でこちらに話しかけてきた。クンティがおもむろに顔を上げると、そこにはこちらをじっと見つめるランサーの顔があった。決して失望もせず、怒りもしていない。その事実にクンティはとりあえず安心した。

「だが、この聖杯戦争は逃れられる物ではない。通常のそれならまだしも、この世界は聖杯戦争のために作られた物だ。恐らくマスターが最後の一人となるまで消えることはない。お前がここに隠れたところで、それを他のマスターが放っておくことはないだろう」

しかしランサーはこちらを落ち着かせるような言葉は投げかけない。むしろ淡々と事実だけを語っている。

「もっとも、この部屋に閉じこもるというのならそれでも構わん。俺には引き篭もりのマスターに仕えた経験もある。褒められたことではないだろうが、お前がそれを選択するなら俺はお前を、外敵から守る盾となろう」

ランサーの提案はとっても耳触りの良い物だ。もっと言えば魅力的だ。

ずっとここに籠もって、安寧の時間を過ごす。私もランサーも倒されないし、やって来た敵はランサーが倒してくれる。そしてそのまま聖杯戦争に目を背けて最期の時まで二人でいる。でも、そうしたら。

「だがお前はそれでいいのか?お前の願いは尊いものだ。誰に貶されることも笑われるものでもない。そしてその願望は、戦わなければ決して得られない物だ。もしお前が戦うことを選ぶなら、俺は敵を屠る矛となる。クンティ、お前はどうする?」

そうしたら、永遠に私の願いは叶わない。

矛と盾。恐らくどちらを命じてもランサーは快く応じることだろう。それは自分の意思が無いわけではない。クンティの心に仕える。それがランサーの意思なのだろう。

少しだけ悩んだ。でも悩むことはなかった。きっと自分が目を向けていただけで、やらないといけないことは自分すら気づいていたのだから。

「・・・わかりました」

そう言ってクンティは顔を上げた。自分の決意を己のパートナーに伝えるために。自分の心をまっすぐに伝えるために。

「カルナ。私と戦う矛に、そして私を守る盾になってください」

クンティはカルナの目を直視してはっきりと言った。先程までの弱々しさとはまるで違う凛とした声だ。

死ぬのが怖い、というのが解消されたわけでもない。自分の悩みに解がもたらされたわけでもない。だが、それは戦わない理由にはならない。戦いを放棄し引き篭もる、というのはそれらの問いにも目を背けることだからだ。それだけは、ランサーが許しても私が許さない。

それは、自分が置き去りにした同胞達への冒涜にもなるのだから。それに、どうせ引き篭もっても数年で死んでしまうなら、戦って敗北したほうが良いような気がした。

「心得た」

カルナは短く返答した。その顔にはわずかに笑みが浮かんでいた。

「俺はお前の矛であり、盾だ。俺はお前を絶対に殺させないし、お前の敵を俺は殲滅しよう」

「はい。必ず勝ちましょう。ランサー」

クンティは、少し心が暖かくなった気がした。きっとこのサーヴァントと一緒なら戦える。こんなに自分を信頼してくれる人がいるんだから、全力で走ることができる。

死にたくない。死にたくないが、それと同じくらい、今は彼と一緒に戦いたかった。戦わないと前に進めないなら、戦うしかない。もしかしたら戦いながら答えも見つかるかもしれないのだから。

彼女はしばらくランサーの顔を見ていた。彼の鋭い目と目が合う。瞬間、クンティはすっかり顔が赤くなってしまった。不覚にも彼女はこう感じた。ランサーはかっこいいと。さっきの安心とはまた違う、体中が暑くなる感じ。校舎の屋上で話していた時と同じこの感情。とめどなくそれは湧き上がってくる。

冷静に考えてみると、この症状と近しい物を知っている。それは人間が持っている中で、彼女が一番不可解としていた物だった。そんな気持ちを、まさか自分が持っているわけがないと否定する。だがこの感じ。相手のことが自分と同じくらい大切で、一緒にいてほしくて、相手にも思われたいこの感情。

まさか、まさか・・・?

「顔が赤いが、まだ具合が優れないか?」

はっ、と意識が戻った。間違ってもさっきの考え事を相手には言えない。彼女は慌てて先程の思考を心の奥底に封じ込んだ。

「な、なんでもありません!さぁ、早速敵を探しにいきましょう!」

机を勢い良く叩いて外に出ようとする。彼に戦うと決意したばっかりなのだ。ならできるだけ早急に他のマスターを打ち倒したい。また倒せなくても偵察もできる。もっとも、今はさっきの考えをごまかしたい気持ちもあったのだが。

だが、すぐに腹部に痛みが襲ってきた。

少し声が漏れる。反射的に手で抑えていた。

「待てマスター。働かないのも問題だが、働きすぎるのも褒められたものではない。急いては事を仕損じるとも言う。今は休息を取るべきだろう」

彼の言うことも一理ある、というより彼の言い分は正しかった。自分には昨日のダメージがまだ残っている。ここで焦って隙を突かれて殺されるようでは笑い話にもならない。ここは素直に聞いておくべきだろう。

「すいません、手間を掛けさせてしまって」

「いや、気にするな。それと、もう一つの方なのだが」

もう一つ、と言われてもしばらくぴんとこなかった。一体何だったか。

そう言えば、彼は謝りたい事が二つあると言っていた。すっかり忘れていたが、まだ何かあるのだろうか。だが彼のことだ。きっと謝るまでもないことを気にしすぎているのだろう。

「お前の腹部に包帯が巻いてあるだろう」

確かに自分でも確認したが、腹には包帯が巻かれている。恐らくアランに腹部を攻撃された傷を癒やすための物だろう。実際むき出しのままよりは良いと思うし、これに問題はないように感じる。

「それは俺がやった。お前を連れ帰ったら腹に殴られた跡があってな。応急処置ではあるが施しておいた」

なるほど、それはありがたかった。もっとも他に自分を治療する人間などいないから彼がしてくれたのは当然だ。それに処置してくれたのは嬉しいし助かった。むしろ謝るどころか、礼を言われて然るべきなのでは・・・

―――ん?腹に包帯を巻いたって?

まさか衣服の上から包帯を巻く、という事ができるはずもない。直接腹部に使用するなら、当然傷を負った場所を晒す必要がある。だが、クンティが着ていた服は、黄金のワンピースのドレス。腹だけ都合よく出す、という事は出来ない。

 

つまり

必然的に、服を、脱がせる、必要が、ある。

「だがその際、やむを得ず服を脱がせてしまった。治療の為とは言え、女性の裸を見てしまった。謝罪しよう」

正直にランサーは語った。黙っておけばまず気づかなかっただろうに、それでも全部話して謝罪する、というのはある意味彼の誠実さが現れていた。そういう意味では、彼の精神性はおよそサーヴァントの中でもトップクラスに値することだろう。

だが、そんな考えは全く彼女には浮かばなかった。一気に顔が真っ赤になる。これはさっきの感情とは関係ないように思われる。カルナに、男性に裸体を見られた事に起因する現象。これを咄嗟に彼女は羞恥と定義した。

そして彼女の口から飛び出したのは、治療への感謝でも、ランサーの行為への非難でもなかった。あるいは以前の彼女なら無表情で論理的に感謝を述べたことだろう。だが、彼女の行動はそんな物とは真逆の物であった。

「ば、ば、ばばば、バカーーー!!!!!!」

大きな怒声と共に、ランサーの頭に力いっぱいチョップを入れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

アランとアサシンは拠点の工房に戻ってきていた。

アランがランサー陣営と戦った後、アサシンのダメージを見てアランは撤退を決定した。その後一旦拠点の工房に戻ってきたのだ。もっとも工房とはアランが作ったものではないし、そもそも彼に魔術師が持つ工房を作成できるほどのスキルはない。

そこはアランがこの世界に来た時に気づいたらいた場所だ。町外れの森林に隠されている洞穴。入り口は魔術の偽装が掛かっており普通に歩いていてはまず気がつかないだろう。とは言ってもアランは最初から工房にいたので場所は記憶していたが。だが入り口は存外広く、中の洞穴もかなりの広さだ。一般的な部屋の一室程はあるだろう。洞穴らしく壁や床は全て土が固まった物。だがどこから持ってきたのか簡易的なベッドなどの家具は置いてある。

周囲には魔法陣、礼装、魔道具などが散らばっている。埃っぽく、最近使われた痕跡はない。恐らく使っていた魔術師が外出したまま帰ってきていないのだろう。魔術の実験で自爆でもしたのか、他殺なのか、はたまた単に帰ってきてないだけなのかは知る由もない事だが。

他人に対する攻撃等の魔術も組み込まれていたようだが、とっくに機能を失っているようだ。幸い場所としては都合が良いのでアランはここを拠点とすることにしたのだ。

 

 

「大事ないか、アサシン」

「無論だ」

アランは一応アサシンに傷の状態を問うた。少なくともマスターとして見る限り微小な傷を負っているものの、致命傷ではない。そしてアサシンの解答は案の定だった。もっとも、その負った傷も順調に回復へと向かっているようだ。魔術師の工房とだけあってここは霊脈に近いところにある。これだとサーヴァントの回復も早いだろう。そういう意味でもここは効率的だ。

改めてアサシンを見た。今、アサシンは髑髏の兜を身につけていない。つまり彼、いや彼女は素顔を晒しているのだ。

感情の起伏が小さいアランに言わせても、アサシンは美しいと思う。鎧に掛かっている緑の黒髪、整った顔立ち、吸い込まれるような黒い瞳。一切の化粧や装飾が無いがそれでも十分なほどだ。まさかあの物騒な仮面の奥にこんな顔が隠されているとは思いもしなかった。

「どうかしたか」

アサシンがこちらを睨む。どうやらあまりアランが顔をまじまじと見たため不快に思ったようだ。

「いや、すまん。まさかお前が女とは夢に思わなかったのでな」

素直に謝った。確かにじろじろと顔を見られては不快に思うのは普通だろう。それに令呪三画でサーヴァントにしたとは言え、万一機嫌を損ねて殺されたのでは笑い話にもならない。

アランも教会の代行者ではあるが、この英霊と戦えば勝つどころか、逃げることすらできまい。それどころか何か行動を起こす前に剣で首をはねられて終わりであろう。

「それは正確ではない。我はこの肉体を借りているに過ぎない」

肉体を借りている、と言われてもどういうことかわからなかった。それは比喩的な表現なのか、と問おうとしたらアサシンが続けて話した。

「我が存在は不定形なり。現世と幽世の狭間を彷徨う我に確固たる肉体は無し。故に、我が招かれし時は、歴代の山の翁を冠した者の肉体を器とする。我が我自身の肉体を持ったまま召喚できるのは、過去に我が現世にいた時代において縁を結んだ者のみ」

アランは聖杯戦争や召喚の仕組みについて深く知っているわけではない。だがおおよそは理解できた。つまりその女性の身体は歴代のハサン・サッバーハの誰かの身体であり、アサシンにとっての仮の器なのだ。

もし過去に行って、肉体を持っている彼と出逢えば、彼本来の肉体を持った彼が召喚できる。と言っても時間遡及できる技術など聞いたこともない。つまり実質的に不可能、ということだろうか。

「そうか、だが肉体が何であれ、力が出せないわけではないのだろう?」

「無論だ」

アサシンは短く首肯した。

アサシンは多少特殊なサーヴァントであることはわかった。だがそんなことはアランにとってはどうでも良かった。アサシンの肉体の事など些事ですらない。アランは必要としているのはサーヴァントの力だけだ。男性であれ女性であれ、戦えるだけの力があるなら不満はない。

それだけ確認すると、部屋にあったソファに腰掛けた。高級な物なのか、包み込まれるような柔らかさがある。座った途端、自覚のなかった疲労を感じた。少しばかり休息を取るべきだろうか。

「汝は構わんのか?」

突然アサシンが話しかけてきた。アサシンは立ったまま、鋭い視線でこちらを見ている。

「問題?何の話だ。俺はお前が戦ってくれれば何の問題もないが」

「だが、汝は異教徒であろう」

そこで気がついた。アサシンはアランの顔ではなく、アランが首に下げている十字架を見ていたのだ。

ハサン・サッバーハと言えば、即座に連想される言葉は暗殺教団だ。伝説では、狂信的一派である暗殺教団が敵対勢力や十字軍の暗殺を繰り返していた、と語られている。

その話は抜きにしても、アランとハサン・サッバーハでは信じている神が違うのだ。正確にはヤハヴェもゴッドもアッラーも同じ神ではあるが、宗教としての思想は明らかに異なる。つまり、アランとアサシンはマスターとサーヴァントであると共に、相容れぬ異教徒同士でもあるのだ。

「構わん。俺は別にそこまで神を信じているわけではない」

そう言った途端、一層アサシンが目を尖らせた。突き刺さるような鋭利な視線。もはや疑いようもない。明らかにアサシンは立腹している。その眼光に殺意すら見て取れる程に。

だがアランは何故かわからなかった。アランはアサシンの神を侮辱したわけでは無い。ただ自分は神にあまり期待していないだけなのだ。

「ならば汝は何故その十字を身につけている。信徒でありながら神を信じぬなど、これに勝る冒涜無し」

アランに問う声も怒気を僅かに孕ませている。それと対象的にその顔は極めて冷ややかだ。それがかえって恐ろしい。アサシンは怒りながらも、こちらを見定めようとしている。

恐らくアサシンにとっては、純粋な信仰とは命と同様に大事な物であり、決して信者が損ねてはならない物なのだ。そしてアランにそれが欠けているのが宗教関係なしに許せなかったのだろう。返答次第では使った令呪など関係なしに即刻殺されるに違いない。

どう答えるべきか。まさかアサシンがここまで怒りを露わにするとは想定していなかった。下手を打って殺されるわけにはいかない。だが嘘を言ったところで、アサシンを騙し通せるとは思えなかった。なので正直に語ることにした。

「俺は物心ついた時から、何のために生きているのか気になっていた。それを模索するためだけに生涯を費やしてきた。宗教はこの過程で始めたものだ。宗教の絡んだ孤児院にいたからそのまま進んだ形だ。神様なら何かしら答えを教えてくれるかもしれない、と考えていた」

「それで、汝の問に答えは出たのか?」

アランは頭を振った。それで答えが見つかりました、なら苦労などしていない。

「残念ながら全く。神も神父も納得の行く解はもたらさなかった」

アランは心底うんざりした声を漏らした。修道院にいた時は一時期とはいえ、彼もそれなりに真面目に信仰していた。その道が自分の求める解につながると、希望にも似た推測を持っていたからだ。

だが現実は酷だった。神は何も答えを提供せず、神父はありきたりな説教を述べるばかり。その程度では到底アランの飢えは収まらなかった。彼が信心を疑うようになるのにそう時間はかからなかった。

「気がつけば俺は異端審問のプロである代行者にまでなっていた。お前のように狂信者だったからではない。もはや戦場にしか解が無いと半ば確信していたからだ。戦うことでいずれ解に辿り着くと考えたからだ」

だが戦ったところで解は見つからなかった。いくらフリーストを鏖殺しても、いくら魔術師を潰しても、彼の空虚感は埋まるどころかますます広くなっていった。

「そうこうしていたら聖杯戦争に参加していた。聖杯が教義上のそれとは恐らく別であることはこちらも把握している。だがそれが、真に万能の杯ならば、俺は」

真に納得が行く解に到達できるかもしれない。それがアランの聖杯への唯一の願いだった。

アサシンの表情は先程よりいくらか和らいでいた。未だ厳しい表情のままではあるものの、今すぐ殺すほどの険悪な雰囲気ではない。もしアランが信仰を怠る怠慢なだけの信徒であったなら今頃その首は彼の胴体と繋がってはいなかっただろう。

「だが」

アサシンは冷たい声で言い放った。

「聖杯に願望の成就を、ましてや己の生の意味を願うなど傲慢の極みなり。止めておけ」

「何故だ」

「聖杯など存在しない」

アサシンはそう断言した。だが事実として聖杯戦争は行われている。アランが聖杯を実際に見たわけではないものの、現に英霊を使役し争うこの形式はアランの知る限り聖杯戦争以外にはあり得ない。

「確かにお前たちの教義に聖杯は存在しないかもしれない。だが恐らくだが、聖杯戦争の聖杯は神の血を受けた物ではない。なら魔術礼装としての聖杯ならあってもおかしくはないはずだ」

アランはアサシンが宗教的に聖杯は無い、という事を主張しているのだと解釈した。だが彼とて聖杯によって現界しているサーヴァントだ。それを知らぬほど、あるいは認めぬほど愚かではない。

「承知している。だがその上で、『万能の杯』など無いと言っている。汝の問いは、過程を全て省いた解のみを与えられて満足するものか?」

アサシンは静かにアランに詰問する。

確かに聖杯ならばアランの問いに解を提供するかもしれない。だが聖杯はただ答えを教えるだけだ。そこにはその答えに至った方程式が、過程の一切が省略されている事だろう。例えるなら数学の問題で答えだけ渡されて理解しろと言われるようなものだ。当然、解を導いた方法が無いと理解は出来たとしても納得はできないだろう。

「・・・それでも俺は戦わなくてはならない。聖杯が解だけを渡すというのなら、それを手に入れた上でまた模索するだけだ」

だがそれで折れるほどアランの命題は軽くはない。たとえ他者にとってはくだらないものでもアランにとっては生涯持ち続けた疑問なのだ。これを解消しないことには死んでも死にきれなかった。

「ならば、この戦いで答えを見つけよ。己自身の力で掴み取るが良い。それは万能ごときに縋って得るものにあらず」

そう言うとアサシンは手に黒い靄を発生させた。剣を出すかと思ったが、靄が晴れるとそこには彼女の、もしくは彼の兜があった。それをおもむろに装着する。麗しい顔が隠れ、再び重厚な黒騎士の髑髏がそこにはあった。

「汝は既に見つけているはずだ。汝の暗闇を照らす矮小で強大な篝火を」

そう言い残してアサシンは霊体化した。恐らくもう話すことはなくなったのだろう。ソファに座ったままアランは己の手をじっと見た。

己自身の力で掴み取る。

言うのは簡単だが実行するのは難しい。何故なら彼は、これまでの人生で掴み取ろうとして成功したことが一度もないのだから。偽物を掴まされた事はあっても本物を手中に収めた事は一度もなかった。

―――アレが、俺に答えを導くのか?

アランは戦った銀髪のホムンクルスを思い出していた。恐らくアサシンが語っていた篝火とはそのことだろう。あの人造生命体。魔術を消すという目的のために生きている無機物。死ぬと指摘しただけで狼狽えた、心が弱い未成熟の人間未満。

だが、自分よりよっぽど人間らしい。彼女には微かとは言え表情があり、心があり、そして明確な意志の元に戦っていた。

恐らく彼女にとっては『魔術の消去』こそが生きる意味なのだ。否、正確には生きる意味を獲得したのだ。

―――なら、俺も手に入れることができるのか?

アランはそのホムンクルスの事を脳の片隅に置いておくことにした。どうやら自分でも驚くほどに期待してしまっている。彼女を殺さず生かしておいて、さらに彼女のサーヴァントであるランサーにまで声をかけたのもそれを裏付けている。自分もホムンクルス程ではないとは言え無機質だ。ならホムンクルスが入手できたものを、人間である自分が手に入れられない道理はないだろう。そして解への道にはあのホムンクルスが関わっている。

ならば、再び会わねばならない。会って戦わなくてはならない。そして知らねばならない。彼女がこの戦いで何を思い、何を感じ、何を得たのかを。

 

 

 

 

 

 

 

聖杯戦争のために作られた世界はとある地方都市をモデルにしていると言う。その為、無数のビルディングや交通量と言った都会の町並みと少し町外れになると田舎や緑の風景が共存する豊かな街となっている。

そんな街には巨大な地下水槽が設計されていた。防災用の貯水槽として用意されているものだが、今のところは水は溜まってはいなかった。地面は普通に歩くことができるし周囲には高い柱が無数に地上に向かって伸びている。無機質な広い空間は人工的な洞窟となっていた。

 

そしてそこにライダーが立っていた。もっとも自然に立てているわけではない。片手を柱に付けて肩で息をしていた。まるで全力疾走直後のようだが、その顔は赤というよりむしろ青くなっていた。意地を張って立っていようかとも思っていたが、やはり辛いので柱にもたれかかったまま座ることにした。

ゆっくりと貯水槽の地べたに腰を下ろす。幸い立っているときよりは幾分か楽になった。少しばかり眠気も襲ってきたが流石に今寝る訳にはいかない。それは何も地面で横になるのが嫌だとかそういう話ではない。

―――ようやく精神を取り戻したところなのだ。ともかく状況を整理しなければ

 

ライダーは屋敷跡でアーチャーと戦った。元はセイバーとアーチャーが戦っていたようだが、それにライダーが乱入してアーチャーに襲いかかった。

しばらくアーチャーと正面から戦った後、戦場に忌まわしいキャスター陣営が乱入してきた。ライダーがキャスターのマスターを斬り捨てようとしたところ、キャスターは彼女の令呪を使って行動を制限した。

せっかくのアーチャーと正面から戦えるチャンスだったが、セイバーとキャスター、無粋な連中が多く興ざめしてしまった。その為アーチャーとの戦いは後日にするため一旦撤退した。

 

これらがライダーがこの貯水槽にやってくるまでの成り行きだ。

だが奇妙なことにライダーはそれらの行動に対して、『自分がやったこと』という実感がまるでないのだ。夢の中で自分がそういうことをしたという感覚だ。むしろライダーは目が覚めたら貯水槽にいた、という意識のほうが強い。まるで誰かに操られているかのような、自分の意志とは関係なく身体が動いている不快感が付きまとっている。

 

「くっ・・・」

ライダーは突然頭痛を感じて頭を手で抑えた。彼女は風邪でも頭痛持ちでもない。だが彼女はその頭痛、更には自分の行動にもある程度理由を推測していた。

 

原因は恐らく、彼女が持っているスキル『妄執』にある。

ある特定の対象に対する感情が尋常ではない場合に持つスキル。主に生前に特に縁がある人物が対象となる。対象が何処にいるかを把握することができ、対象を思う執念があれば単独行動、戦闘続行と同じような効果も得られる。更に対象と戦闘する場合、全ステータスを一から二ランク程向上させる。

最大の難点は対象は恐ろしく限定的であることだが、もし聖杯戦争にその対象がいれば一気に優勢、あるいは格上相手にも互角に戦えるようになる。

 

―――だがそんなスキルが何の対価も要求しないわけがない。そのスキルが要求するものは理性。わかるか?お前がそのスキルを使えば使うほどお前は。

あの男、キャスターのマスターが言っていた事が脳をかすめる。

妄執のデメリットは何もそれだけではない。もし対象が聖杯戦争にいた場合自動的に発動される。自分の意志で発動するか否かを決めることが出来ないのだ。にも関わらずこのスキルの使用にはかなり多くの魔力が要求される。また戦闘時は自分の意思とは関係なしに戦うので、正気に戻った時に頭痛も起こしてしまう。

だが今ライダーを一番悩ませているのはそのいずれでもなかった。

 

「大丈夫・・・私はまだ、正気だ・・・」

息を吐きながらライダーは呟く。

妄執のデメリット、それはこのスキルを使えば使うほど、己の理性が失われていくことだ。

対象に対する妄執の炎は、いずれ自分すら飲み込み、燃やし尽くす。優秀な能力がある代わりに、ライダーには精神汚染と狂化が付与される。最初はE-クラス程度でも、時が経つに連れてランクは上がっていく。精神を蝕まれていくさまはライダーにとっては恐怖というよりは癪だった。

 

だが所詮、癪である程度に過ぎない。

少なくとも今のライダーはまだ正気を保っており、己のやるべき事を見失っていないのだ。

そもそもアーチャー、織田信長と再会したライダーにとって聖杯は眼中にない。それはつまり聖杯戦争を勝ち抜く必要がないということだ。ならば聖杯戦争が行われている間に己の目的を達成できれば良い。

―――私は、私自身の意思で信長様を殺す

それが彼女のただ一つの悲願だ。

彼女は確かに信長を愛している。

主への敬愛だけでなく彼女を崇拝している。

彼女に恋慕の情を抱いている。

彼女を穢したいという欲望も僅かに孕んでいる。

 

そしてそれと同時に、誰よりも彼女を殺したいと思っている。殺したいほど、愛している。私以外が主を殺すなどあり得ないと確信している。

もちろん生前の彼女はそれを表面に出したことはなかった。それは理性が愛憎を理性で繋ぎ止めていたからだ。だが妄執はその理性のタガを壊す。堰を切られた感情は彼女自身をも駆り立てる。

ならば、正気の内に殺せばいいだけだ。完全に狂ってしまう前に織田信長を殺す。汚濁された精神で目的を果たしたところで、そこには何の意味もないのだから。

―――私が私である内に、彼女に振り向いてもらう。あの時のように業火の中へと逃がさない。今度こそ、今度こそ行かせはしない。

 

 

 

カツカツ、という音がライダーの耳に入った。貯水槽の中で反響し遠くても聞くことができる。音から推測するにどうやら何者かの足音であるようだ。それも一人ではない。足の音から推測するに二人分であろうか。それに音が徐々に大きくなっている事を鑑みるにこちらに近づいてきているのは明白だ。

ライダーは柱から背を離し立ち上がった。座った時は苦しかったが、少し休んだので今は問題なかった。少し足がふらついてしまったが落ち着いて両足を地面に触れさせる。

「何者ですか」

ライダーは暗闇の向こうの音の主を睨みつける。腰の刀の柄に手をかけて、いつでも戦えるという姿勢を取る。

貯水槽の中には電球の一つも無い。光も入ってこないためかなり暗かった。暗順応によってある程度視界は確保されていたものの、遠くからやってくる人間まで見ることは出来ない。

だが推測することはできる。ライダーが一人でいる貯水槽にやってくる者。もちろん貯水槽の検査やら何やらの可能性も無いことはないだろうが確率は恐ろしく低い。それに、もしそうだったとしたらもっと大人数で来ることだろう。

それよりも、ここにライダーが居ることを何らかの手段で知って来た人間である可能性が非常に高い。それも二人分の足音という事はマスターとサーヴァント。やってくる人間から放たれている魔力もそれを裏付けている。

襲撃が目的と仮定すると、気配も隠さず来ている時点でアサシンではない。三流か、あるいは腕によほどの自信があるのか。あるいは襲撃以外が目的の存在か。しかし、いずれにせよ警戒するに越したことはない。

「おいおいライダー、こんなカビ臭いところで何やってんだ?」

その声には聞き覚えがあった。無神経で無駄に馴れ馴れしい、ライダーにとって不愉快極まるタイプの人間のそれだ。

少しずつ相手の姿が見えてくる。というのも相手の周囲だけ少し光っているのだ。どう見ても懐中電灯などではない。むしろまるで太陽のような穏やかな炎だった。恐らくは魔術、それも単なる火の魔術ではない高次の技で生み出されたものだろう。

ようやく確認できた姿は案の定であった。二人組の一人は黒いコートを纏った青年。そしてもう一人はそれと対照的に白いドレスとローブの中間のような服を着た金髪の少女。できれば、もう二度と見たくない面が並んでいた。

「何の用ですか、キャスターとそのマスター。返答次第では今すぐその首掻っ切ります」

そう、そこにはサーヴァント、キャスターとその主が立っていた。

キャスターはライダーを聖杯戦争に召喚した存在だ。今回の聖杯戦争では、聖杯にある無属性の霊基がマスターを選び、そのマスターに応じてどのサーヴァントになるか決定される。

だがライダーは特殊だった。ライダーはキャスターに召喚された存在だ。ある意味では唯一真っ当に呼び出された存在かも知れないが、聖杯戦争のルールに基づいた現界でない以上イレギュラーには間違いない。

 

 

「よかった、ライダーさん。お元気そうで何よりです」

笑顔でこちらに話しかけてきたのはキャスターだ。朗らかな笑顔と百合の花のような可憐さを持ち合わせた可憐な少女。アイドルか何かのようで、この少女が人知を超えた英霊だと語っても信じるものはまずいまい。

「ちっ」

思わずライダーの口から舌打ちが漏れた。どうやら自分でも気づかないほど彼女に対して嫌悪感を抱いているらしい。

「あの。ライダーさん?私何か気に障ることでも・・・?」

「いいえ、貴方の存在自体が気に食わないだけです」

キャスターは怯えるというよりむしろ困ったような顔をしていた。

 

ライダーはキャスターの性格も得意ではない。キャスターのマスターもそうだが、明るく楽しげ、というのがライダーは苦手だからだ。

だが何より、彼女は実質的にライダーのマスターで、気に食わないことに自身に対する令呪を持っている。自分が信長様以外に仕えるなど癪でしか無い。もっとも令呪は一画は既に消費しているのだが。

「そりゃ無いんじゃないか?あんたの魔力はキャスターが負担しているんだぜ?もっとこう、感謝とかしてもいいんじゃねえの?」

隣からキャスターのマスターが首を突っ込んできた。彼の声から察するにどうやら聞き捨てならなかったらしい。

業腹だが、キャスターの魔力量が尋常でないことはライダーも知っている。ライダーとキャスターは魔力のパスで繋がっているのだが、それだけでもキャスターの持っている魔力は人間の魔術師の比ではない。というより、実際に体の一部が人間ではないようだ。

「・・・貴方、名前は?」

「え?俺?」

少しだけ真面目な顔つきだったかと思うと再び彼はふざけた顔に戻った。さっさと答えろ、という念を込めてキャスターの主を睨みつける。

「ああ、そう言えば自己紹介まだだったな。俺の名前はレオン・ミヤクモだ。よろしくな」

ライダーの眼光は一般人が見れば腰を抜かすほど鋭利なものだったが、彼はまるで気にしていない。レオンはキャスターに近づいてきて右手を伸ばした。どうやら、握手を求めているようだ。もちろん要求に応じはしない。何が楽しくて気に入らない男の手を握らなくてはならないのだ。

にべもなく拒否すると彼はあははと苦笑いをした。

「・・・貴方、全く魔術師らしくありませんね」

「そうか?そんなつもりはないんだが・・・。まぁよく言われるな」

もちろんライダーは生前に魔術師に会ったことは一度もない。だが聖杯に与えられた知識によると、魔術師とは倫理観が欠如した存在であり、目的のためならば一切の手段を選ばない人でなしだという。

利害の不一致があれば師弟や親兄弟でも平然と殺し合う。しかし、目の前の彼はそんな人間には見えない。もっともライダーに言わせればそういう人種は忌み嫌うべき者達だ。もしレオンがライダーに対して道具のような扱いをしていたならば問答無用で斬りかかられていたことだろう。

「ま、これでも一応魔術師だ。現にキャスターのマスターだし、お前のステータスもある程度見ることはできるぞ?」

そうだった、とライダーは思い出した。マスターはサーヴァントを見ると筋力、敏捷などのステータスや保有スキルを視認することができるのだ。

もちろん己のステータスを隠蔽するような宝具やスキルがあれば話は違うのだが、あいにくライダーにそのようなスキルはない。

「そうだな、後は・・・お前の霊基がぐちゃぐちゃになってる事とかも見えたりするな」

ライダーが刀に手をかける。いつでも抜刀できるよう刀の鯉口を切る。

「どうやら『妄執』の代償は相当酷いみたいだな。体内組成が乱れまくりだ、あまり無理をするもんじゃない」

「黙れ」

レオンの言葉をライダーは短く切り捨てた。

何故レオンが霊基の調子がわかるのかは知る由もない。サーヴァントの霊基の調子がわかるということは、人間の体を見ただけで病状がわかるようなものだ。ただの魔術師にできることではないし、レオンはそれを認識できる特殊な目を持っているのかもしれない。

だがライダーを怒らせたのはそれではない。彼女にとって腹立たしいのはスキル妄執について気楽に踏み込んでくる事だ。妄執とは人間の心の汚い部分が具現化したようなスキルだ。それに対して簡単に触れられるということは心の中に土足で入られるような不快感を感じる。

「目的は何ですか。さっさと話して失せなさい。殺しに来たなら相手になりますが」

底冷えするような声で言い放つ。ライダーの彼らへの好感度は限りなく零に等しい。出来るなら話したくもないしできるならとっくに殺している。

そうできないのは仮にもキャスターは己のマスターであり、レオンはキャスターのマスターだからだ。彼らのどちらかが消えてしまえば自動的に自分も消滅する。スキル妄執に頼ればマスター消滅後も一日程度なら現界可能だが、その一日でアーチャーを殺しきれるかわからない以上デメリットのほうが大きい。気に食わない、という理由だけで殺してしまうのは良策ではない。

「目的って・・・別にないけど」

彼は笑って答えた。どうにも裏があっての解答ではない。純粋な思惑だろう。もしこれで交渉術に基づいた切り出しなら相当な策士だ。

さては、自分を馬鹿にしているのか。妄執に取り憑かれた愚かな英霊を嘲笑いに来たのか。

一層ライダーが剣呑な雰囲気を纏わせると、レオンの隣のキャスターが口を開いた。

「あの、ライダーさん!私貴方のことが本当に心配で来たんです」

「貴方に心配される筋合いなどありません」

「そんなことありません!アーチャーさんと戦ってた時、ライダーさんとっても辛そうだったんです」

「辛い?何を馬鹿な。あの時は幸福こそあれ、辛いことなどあり得ません」

「駄目です、あの時のライダーさんは心が泣いてたんですから」

キャスターの声音はこちらを心配しながらも力強い。どうやら本気でライダーを案じているようだ。

だがその態度。その態度こそがライダーにとっては実に癪に障るのだ。

「・・・私の」

「え?」

「私の心に入ってくるな」

即座にキャスターが抜刀する。その刃先は可憐な少女の首元に宛がわれていた。僅かに彼女の首から血が流れる。

その声音は先程までのように冷たいだけでない。確かに怒気も孕んでいた。その迫力だけで常人は怯んでしまいかねない。流石のレオンといえどもキャスターの隣で恐ろしく思ったほどだ。

だがキャスターは一切動じなかった。百合の花のように可愛らしい少女は、その翡翠色の瞳をしっかとライダーを見つめていた。

永遠のような一瞬が経過する。ライダーとキャスターは向かい合っている。ライダーが少し手を動かせばキャスターの首は飛ぶ。そうにも関わらずキャスターはまるで動かない。抵抗すらしない。

「何故、抵抗しないのですか」

思わずライダーはそう聞いてしまった。自分は確かに彼女の命を握っているはずだ。しかし少女の目に宿る強い意志の光を見ると、まるで主導権は相手の手にあるように感じてしまう。

「だって、貴方は優しいから」

キャスターは笑顔で語った。その花のような笑顔はライダーには少し眩しい。

「優しいから、絶対そんなことしないって信じたんです」

彼女は呆れるほどに愚直に、己のサーヴァントを信じていた。まだ会ってろくに会話もしてないライダーを、キャスターは信じようとしているのだ。その単純さはある意味彼女の美徳であり、弱点なのかもしれない。

巨大な貯水槽に静寂が訪れる。ライダーはそれを、刀を鞘に収める動作で崩した。

体勢を元に戻してキャスターの顔を見る。いっそ腹が立つくらい純粋で汚れがない。きっとこれから彼女は立派に成長するだろう。まったくこんな少女を無抵抗のまま斬ったとあっては流石に武士の名が廃る。

「キャスター」

「は、はい」

「貴方はもっと人を疑うことを覚えなさい。貴方は純粋すぎる」

気づけばそんな忠告が漏れていた。ライダーは言った後に自分でも少し驚いた。

まさか気に食わなかった相手に自分が助言するとは我ながら意外であった。ライダーは彼女はただ明るいだけの少女だと思っていた。だが彼女はそれだけではない。他人を気遣う優しさに、芯が通った力強さを持っている。その有り様は嫌いではなかった。

「ライダーさん、あの、ありがとうございます」

キャスターがこちらに頭を下げてきた。どうやら助言に感謝する、という意思表示のようだ。

「勘違いしないでください。貴方がどこで死のうと構いませんが、貴方には私が願いを遂げるまで生きていてもらわないといけない。さっさと死なれて魔力が尽きたら困るのはこちらなんです。そこのところきちんと理解しておくように」

「おっ、これはひょっとしてツンデレってやつかな?」

否定するライダーにレオンが茶々を入れてきた。キャスターへの態度はある程度(彼女すら気づかぬ内に)軟化していたが、彼に対してはそうではない。再びレオンを睨みつける。

「レオン、黙りなさい」

「ごめんごめん、そんな怒るなって」

再び朗らかに笑うレオン。一々突っ込むのも面倒なのでここで止めておく。

「それでは」

そう言うとライダーは踵を返した。少し距離を置いて霊体化するためだ。

あくまでライダーにサーヴァントとして仕える気は毛頭ない。彼女の先程の発言は照れ隠しでも何でもない。アーチャーを自分の手で殺すまで、死なれては困るのだ。

「ライダーさん!アーチャーさんのことなんですけど!」

数歩歩いたところで呼び止められた。無視しようかとも思ったが、アーチャーの名を出された以上無視するわけにもいかない。

だが言われることなど想像がつく。

やめておけ、そんなことをして何になる

何らかの言葉で止められるのは間違いないだろう。だが、紡がれた言葉は彼女が予想だにしない物であった。

「ライダーさんの想いは、きっと伝わると思います!だからえっと、上手く言えないんですけど、がんばってください!」

流石のライダーも応援されるとは思っても見なかった。少なくとも主を殺そうとしている裏切りの臣に向かって掛ける言葉ではない。だが不思議と、そう言われると悪い気はしなかった。

結局何も答えずライダーはそのまま進み霊体化した。

ほんの、ほんの僅かだけ彼女への評価を向上させながら。

 

 

 

 

「行っちゃったな」

ライダーを見送った後、レオンが口を開いた。その言葉にキャスターが頷いた。

レオンは特に何とも思ってないものの、キャスターの表情には僅かながら心配そうな様が残っている。

 

これはライダーが屋敷跡での戦闘から撤退した後の事だ。それに次いでアーチャーも退き、キャスター達もバイクに乗って屋敷をあとにした。レオンはそこから拠点の家に戻って休むつもりだったのだが、キャスターの意見でライダーを探すことになったのだ。彼女曰く、あの戦いでライダーはすごく辛そうにしていたと言う。なので黙ってはいられないと。

幸いライダーとキャスターの関係はマスターとサーヴァントのそれだ。キャスターはおおよそライダーが何処にいるかも把握できており、すぐさまこの貯水槽にやって来た。すると案の定ライダーがいたのだった。

またレオンの思惑としても、彼女の調子は放置しておける状況ではなかったのだ。

 

「マスター、ライダーさんの調子はどうですか?」

「ああ、想像以上に危険かもしれない。今はまだ軽度だが、これが進行すればどうなることやら・・・」

キャスターの不安げな問いに、レオンは暗鬱とした気持ちで答えた。

レオンは万能型な魔術師である。錬金術、ガンド、ルーン、転換などあらゆる魔術を学びある程度体得している。だが彼の家系であるミヤクモ家は対象の分析を主とした特殊な研究を代々行っている。

魔術を使って対象の内部構造、魔力の属性、果ては魔術回路まで読み取る技法。骨子を読み取る、という点では投影等と似通っているが、こちらはあくまで読み取る事自体を念頭に置いた物だ。

傍から見ればただ構造を知るだけの単純なものだが、これがなかなかどうしてお奥深い。何故なら構造を完璧に把握すれば破壊も精製も容易だからだ。

そしてその術を若くして修めたレオンは、もはや見るだけで対象の状態をある程度観測できる。もっとも人間相手ならともかく、普通はサーヴァントの霊基の状態など少なくとも直接触れないとほとんどわからない。霊基は本来人間が見て取れるような単純なものではないからだ。逆に言えば簡単に読み取れてしまうライダーの霊基がどれだけ乱れているのかということの証明にもなる。

「だが正直どうしようもない。あのスキルは恐らく、あいつ自身にも止められない。あいつが消滅するまで己の精神をを蝕み続けるだろうな」

「そう・・・ですか」

キャスターが暗い表情で俯いた。だがまあ無理も無い。気にかけている相手は病気だと言うのに、それを誰一人として治してやる事ができないのだから。

そこでレオンはふと疑問に思った。

「なぁキャスター、お前はなんでそんなにあいつのこと気にかけるんだ?」

自分のサーヴァントだから、苦しそうだったから。それも確かに理由の一つではあるだろう。だがそれだけでここまで必死になれるだろうか?もちろんキャスターは思いやりがあって優しいから不思議とまでは言わないものの、他にもあるような気がするのだ。

しばらくキャスターは答えなかった。言おうかどうか迷っているようにも見える。だが意を決したのか、彼女はおもむろに口を開いた。

「私・・・子供がいたんです」

「子供?キャスター、お前その年で人妻だったのか」

「違います!私がもっと成長してからですし、それに妻じゃなくて夫の方です!」

レオンが冗談を言うと、彼女は顔を赤くして否定した。

目の前の魔術師は恐らく中学生くらいの年代だ。そんな年端もいかない少女に子供がいるだなんて普通なら犯罪臭が増す案件だ。

だがもちろん幼くして妊娠出産したわけではない。サーヴァントは主に最盛期の姿で召喚される。その多くは十代二十代と言ったところだろう。

ちなみに彼女の場合は、主に召喚されるセイバーのクラスではもう少し成長した姿で現れるだろうが、今回はキャスターのクラスで現界したため魔術師としての最盛期の姿で登場している。

だがサーヴァントがどの年代で召喚されようとも、彼らは自分の人生を知っている。それも当然だ。サーヴァントは英霊の座から現れる存在。そして座には時間の概念が存在しない。サーヴァントは若い姿で現れても、己が生涯で何をしたのかを把握しているのだ。

「冗談だ。もちろん知っているさ、お前の息子の事は」

そう、彼でなくても彼女の真名を知るものは思いつくだろう。

アルトリア・ペンドラゴンの嫡子にして円卓の騎士。そして叛逆の騎士としてアーサー王に反旗を翻しその伝説を終わらせた彼とその姉モルガンとの間に生まれた不貞の子、モードレッド。

華々しいアーサー王伝説につばを吐き、誉れ高き王の治世の全てを終わらせた存在。

レオンはそれほどアーサー王伝説に明るいというわけではない。一度本で読んだことがある程度の知識量だ。しかし円卓の騎士や最後のカムランの戦いなどは魔術師の界隈ではもはや一般常識といっても過言ではない。

「ライダーさんは、モードレッドさんに似ているんです」

「似ている?どこがだ?」

「多分なんですけど、二人とも好きな人に振り向いてほしいんだと思います」

今のキャスターは王となる前の若い姿だ。だが王となったアーサー王、即ち自分が何をしたかは知識として持っている。

モードレッドは自分がアーサー王の嫡男であると知ると喜々としてそれを王に報告した。アーサー王ですら知らなかった事実であったが、それを王はあっさりと切り捨てる。理由は単純、モードレッドは王の器では無いと判断したからだ。そこには親の情などという人間らしい感情は一切なかった。あるのはただ王というシステムをこなすアーサー王と言う名前の機械だったのだから。そしてそうでもしない限りブリテンの脅威である蛮族に対抗できる王にはなれなかったのだ。

アーサー王の治世は少しずつ綻びを見せ始めた。決定的だったのはやはり王妃ギネヴィアと騎士ランスロットの不倫であろう。円卓の騎士は内部で崩壊を起こし最終的にはカムランの戦いでアーサー王とモードレッドは戦い、王の聖槍ロンゴミニアドによって胸を貫かれて死んだ。

その後アーサー王は忠義の騎士ベディヴィエールに看取られ聖剣を湖に返し天に帰る。それがアーサー王伝説の最後である。

 

「王様になったあとの私はモードレッドさんに酷いことをしてしまったんです。国を纏めることばかりに目を向けて、私は人間的な感情をどこかに捨て去ってしまったんです。その結果私はモードレッドさんを冷たくあしらって全く親として接してあげられませんでした」

キャスターの声には確かな後悔が含まれていた。彼女はアーサー王の行いを『将来の自分がやったこと』として知っているだけに過ぎない。だがそれでもやはり悪いことをしてしまった、という感覚を彼女は捨てきれなかった。

「でもそれは仕方がなかったんじゃないか?そこで円卓の騎士に不貞の息子がいました、なんてことになれば政治が乱れかねないわけだ。後継者争いとか内輪もめとか起こるだろうし、認めたくたって認められないだろう」

「でも、モードレッドさんを傷つけてしまったのは事実です。父親に見向きもされない子供なんて辛いに決まってます。ライダーさんも同じような状態なのかもしれません」

なるほど、とレオンは理解した。確かにモードレッドとライダーの立ち位置は似ているかもしれない。ライダーはアーチャーに振り向いてほしい、きっとモードレッドが叛逆した理由もそんなところだったのだろう。キャスターは自分の将来の息子と愛憎に囚われた騎兵を重ねていたのかもしれない。

「このままだと彼女は自分の心に殺されてしまうかもしれません。そう思うととても黙ってはいられなくて・・・」

キャスターはそう静かに呟いた。

だがキャスターとて理解しているのだ。

ライダーは決して止まらない。否、止まることができない。きっとアーチャーを殺すまで、もしくは死ぬまで彼女は戦い続けるのだ。誰一人として、彼女を救ってやることなどできないのだ。たとえそれが愛した存在であっても。ライダーの内で燃える炎が彼女自身を燃やし尽くすまで。

かつてモードレッドが全てを破滅させるまで止まらなかったように。

思わずため息が漏れた。そのため息がレオンの物なのか、キャスターのものなのか。わからないまま静寂の貯水槽に響き渡った。

 

 

 

 

 

気がつけば男は見知らぬ場所に立っていた。

視界に入るのは夜の街。仕事か、遊びか。眠らない街とまでは言えないがそこそこに活発な街だ。車は走り人は闊歩し、ネオンを模した光が暗闇を照らす。

男は俯瞰してそれを眺める。決して比喩でも何でもない。男がいるのはビルディングの屋上。決して広くはないし、特筆すべき何かがあるわけでもない。あるのはビルの内部へと繋がるドアだけだ。ビルは既に消灯され中には誰もいるまい。端には転落しないようにと柵が設けられている。見たところこのビルは十階建てほどだ。それなら柵があるというのも納得だ。

先程まで男は荒野にいたはずなのだ。だが気づけば見に覚えのない都市。自身が置かれた状況を、与えられた知識を元に冷静に分析する。

今回はどういう状況なのか。排斥すべきターゲットは何か。

 

やがて男は内心自嘲した。どういう状況なのかは把握した。

―――皮肉な話だ。まさか世界の使い走りが再び、聖杯戦争に参加することになろうとは。

通常彼が現れる時は守護者と呼ばれる存在として顕現する。守護者とは、人類の無意識領域の総意として、人類の敵と戦う機構の犬だ。それは心の深層部分を指す阿頼耶識から取られてアラヤとも呼ばれる。無論今回もアラヤの守護者として召喚されたことには間違いはない。

だが今回はいつもと事情が違う。今の彼は、聖杯に招かれたサーヴァントでもあったのだ。

 

そして同時に首を傾げた。この土地では聖杯戦争が行われており、自分がサーヴァントとして現界したことは理解できた。

だがそれ以上の情報がまるで無い。アラヤの守護者として現界した場合は、多くは戦乱の最中に投じられ人類にとって都合が悪い存在を掃除する。拒否権は一切ない。そういう意味では目的がはっきりとしていると言える。

だが此度はそれがない。自分が何のために現れて、何を倒すべきなのかもわからない。アラヤが動くということは即ち人類の危機が迫っているということなのだが、ターゲットがわからなければ動きようがない。

そもそもサーヴァントであるにも関わらずマスターの存在も因果線も感じられない。つまりマスターがいないということだ。加えて、己のクラスもわからない。というより、この聖杯戦争には既に七人のマスターとサーヴァントが揃っているようだ。つまり彼は八騎目のサーヴァントということになる。それもエクストラクラスである裁定者や復讐者などにも該当しない。サーヴァントにも関わらずクラスを持たない奇妙な存在となっていた。

「まったく、いつも以上に面倒な仕事だ」

男は嘆息した。だが基本的にはやることはいつもと変わりない。人類を脅かす異物を速やかに排除する。それを今回は自分で見つけ出すだけだ。仕事が終われば再びあの荒野へと戻ることとなる。

ともかく情報を集めることが先決だ。そのためにはどうすればいいか。どこかの陣営に接触して情報を求めるべきだろうか・・・

ともかく今のままビルの屋上にいたところで何も始まらない。そう考え、赤い外套を纏った男は霊体化し姿を消した。

 

七騎のサーヴァントとそのマスターが万能の願望機を求め争う聖杯戦争。その儀式の歪みは僅かに、だが確かに現れ始めた―――。




「アガルタまでに次回を投稿しよう!」

アガルタまでに投稿しようと目論んで、結局水着までやってから投稿したバカが居るらしいですよ?(自虐)
・・・はい、どうもリクです。お久しぶりです。閲覧ありがとうございます。
一ヶ月に一回投稿したい、という目標だったはずがペースの遅さからこうなってしまいましたね・・・楽しみにしていた方をお待たせしてしまって申し訳ないです。それでも何卒楽しんで頂けたら・・・!

今回は各陣営にスポットを当ててみたいなと思い書きました。Fateの魅力の一つにマスターとサーヴァントの絆がありますので、ぜひそれも積極的に描いていきたい!と思いこういう形で入れました。まぁキャスターとライダーもある意味マスターとサーヴァントですし・・・笑

最後の謎の男。うわー!一体何者なんだー!(棒読み)
まぁそんな感じでバレバレだと思うのですが、彼は初期プロットには一切いなかったんですね。ただ私彼大好きなのでぜひ出したいなと思って出しました。アラヤの抑止力って建前もあるよ!便利!


さて、それでは最近のFateについて語りましょう

FGOではアガルタの女がありましたね。ああいう女が男を支配する的ストーリーなんか大好物なんで好きですね。何よりデオンくんちゃんとアストルフォきゅんかわいい!FGOでもようやく衣装チェンジが追加されたので追加心待ちにしてます!どっちも持ってるので!(セイバーオルタとジャンヌオルタもね!)不夜城のキャスターも彼女なりの決意に基づいて動いてて、でもぐだやマシュも真っ向からそれに立ち向かっててとても良い話だったなぁという印象です。
次に水着。ガチャ禁中なのでガチャは引いてないのですがそれにしてもみなさん魅力的ですね。開拓していくさまは某大人気番組を思い出します。これから周回頑張ります!

またFate/Apocryphaのアニメも始まりました!Apocryphaは原作読んでた時から大好きだったので本当に嬉しい!丁度三話を見たところで後書きを書いているのですが、納得のクオリティです。戦闘シーンの素早さがまたufoとは異なる感じで素晴らしい。アニメーターの方々には感謝しか無い・・・!!!(カルナさんもジークフリートもどちゃくそかっこいいね!)
あと獅子モー尊い・・・暇があったら二人の話も書きたい・・・


話しだしたらきりがないのでこの辺で止めておきますw次回の投稿も未定です!今年はリアルも忙しかったりするので・・・(HFの映画までには・・・)
どうか皆さんにも首を長くして待っていただければ幸いです!
そう言えばFate/Kaleidoscopeも気付けばUA2500回突破しておりました!コメントや評価もいただき(頂くたびに換気で震えてます)もう感謝感激です。励みになります本当に有難うございます。もっとコメントください!(オイコラ)
このまま一気に頑張ります!
それではまた次回!

P.S.
趣味で沖田×武蔵の百合SSも書いたのでそっちも見てね!
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