遊戯王ArcーV ハートランドの武神使い   作:佑馬

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ようやくデュエル回です。間違いあったらご指摘お願いします。


第3話 命懸けのデュエル

ディスクに表示される先攻の文字。5枚のカードをデッキから引き抜き確認する。少しでも油断すると即負けにつながる、そんな考えが頭によぎる。

なんせ相手の手の内は全く分からない。細心の注意を払ってプレイする必要がある。

 

「先攻は俺だ!俺のターン!」

 

勢いよく自分のターンを宣言し手札を一瞥する。悪くはないが一気に展開できるというわけではない手札だ。絶対に負けられないデュエルなだけに一瞬顔をしかめるが手がないわけではない。

 

「俺は《強欲で謙虚な壺》を発動!」

 

仁が最初に発動したのは強欲な壺と謙虚な壺が合わさったような見た目をしている壺。その効果は手札を強化したい今に絶好と言える1枚だ。

 

「これにより俺はデッキトップを3枚めくる!」

 

《武神ーヤマト》

《武神降臨》

《武神器ーヘツカ》

 

めくられた3枚のカードを見て仁は思わず心の中でガッツポーズをする。

 

「っし!俺は《武神ーヤマト》を手札に加えてそのまま召喚!」

 

武神ーヤマト/☆4

ATK1800

 

武神の中核となるモンスターが召喚される。このモンスターを呼び出せるかどうかが仁のデッキのカギとなる。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド!そしてエンドフェイズ《ヤマト》の効果発動!」

「エンドフェイズにモンスター効果だと!?」

 

《武神ーヤマト》の効果は発動がエンドフェイズとやや遅めだがその効果は強力の一言だ。

 

「俺はデッキから《武神器ーハバキリ》を手札に加えて《武神器ーサグサ》を墓地におとす。」

 

その能力とは簡単に言えばサーチと墓地肥やしだ。デッキから好きな【武神】を手札に加え、その後手札を1枚墓地に送る。腐った手札を捨てるのもよし、墓地発動のカードを送るのも良しと手札交換にはうってつけだ。

伏せカードは1枚と少なめだが相手のターンに備えるための下準備は整えた。これで次の相手のターンは耐えれるだろう。

 

「俺のターン、ドロー!俺は《古代の機械猟犬》を召喚!」

 

古代の機械猟犬/☆3

ATK1000

 

呼び出されたのはこの一週間嫌というほど見てきた機械仕掛けの犬。このカードの能力は逃げている最中の他の

デュエルで何度も見かけているのでよく知っている。

 

「召喚成功時の効果でお前に600のダメージを与える!喰らえ、ハウンド・フレイム!」

 

仁/LP4000➡3400

 

その掛け声に答えるように敵のモンスターは口をあけそこから炎の玉を吐き出す。仁はそれを間一髪ギリギリで避ける。

 

「っく……。それは1回見てるから直接は喰らわねえよ。」

 

普段のデュエルなら別に無視しても構わないようなバーンダメージだがこれは正真正銘の殺しあいだ。たとえ少量のダメージだとしても直接うければ無事ではすまないだろう。

 

「だがダメージはちゃんと受けてもらうぜ。更に俺は《機械猟犬》の更なる効果を発動!手札、フィールドのモンスターを素材に融合カードなしで融合召喚できる!」

「融合……!」

 

アカデミアの連中が使用するエクシーズとは全く違う召喚方法。あれこそハートランドの住人にとっては悪夢の象徴だろう。

ギリッと歯ぎしりをして相手の場を睨み付ける仁。

 

「俺が融合するのはフィールドと手札の《古代の機械猟犬》!」

 

2体の猟犬が出現したかと思うと2匹の中央に出来た渦のなかへと飲み込まれていった。

 

「古の魂受け継ぎし機械仕掛けの猟犬たちよ!群れなして混じりあい、新たなる力と共に生まれ変わらん!融合召喚!」

 

相手が手を合わせると渦の中から新たなモンスターが召喚された。

 

「現れろ!レベル8!機械仕掛けの魔神、《古代の機械悪魔》!」

 

古代の機械悪魔/☆8

DEF1800

 

現れたのは翼をはやした竜のような見た目のモンスター。しかしそのステータスは融合召喚までして出したものにしては弱冠控えめだ。

 

「《機械悪魔》の効果!こいつもバーンダメージを与える効果を持っているのさ!しかも今回は1000ポイントのダメージだ!」

「何だと!?」

 

仁/LP3400➡2400

 

今回の攻撃もすんでのところでかわすが不味いことになった。まさかバーンダメージで攻めてくるとは思いもよらなかったからだ。

仁はてっきり大型のモンスターを召喚してくると思い戦闘対策をしいていたのだがモンスターを飛び越えて自分にダメージを与えてくるとは完全に誤算だった。

 

「俺はこれでターンエンド。そうそういい忘れたが《機械悪魔》はカード効果をうけないぜ。」

「んなっ……」

 

それを聞いて思わず動揺が顔に出てしまう仁。なぜなら彼の手札には《機械悪魔》を処理するためのカードがあったのだがそれが完全に無駄になってしまった。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローしたカードを見るとすぐさまそれをデュエルディスクに差し込む。

 

「俺は《炎舞ー天キ》を発動!発動時の効果によりデッキから獣戦士族の《武神ーミカヅチ》を手札に加えてそのまま召喚!」

 

武神ーミカヅチ/☆4

ATK1900

 

【武神】とは違うテーマだが種族のシナジーがあるため投入していたカード。その効果はデッキから獣戦士族を手札に加えるというシンプルながら強力な効果だ。

 

「《炎舞ー天キ》の更なる効果!このカードが表側表示で存在する限り獣戦士族の攻撃力は100上がる!」

 

武神ーヤマト/ATK1800➡1900

武神ーミカヅチ/ATK1900➡2000

 

たかが100と思いがちだがこれにより《ミカヅチ》は下級モンスターの中でもトップクラスの攻撃力になる。更に《ヤマト》も《機械魔神》を破壊できる攻撃力になった。

 

「バトル!効果で破壊できないなら戦闘で破壊するまでだ!《武神ーヤマト》で《古代の機械魔神》を攻撃!」

 

《ヤマト》の一撃でバラバラに粉砕される《機械魔神》。これで相手のフィールドはがら空きだ。

 

「続けて《ミカヅチ》でダイレクトアタックだ!」

 

この攻撃が通れば相手に2000もの大ダメージを与えられライフ差は逆転することができるがそう簡単に攻撃はとおらない。

 

「ハッ、甘ぇんだよ!俺は《機械魔神》の効果を発動!このカードが戦闘で破壊されたときデッキから【古代の機械】モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚できる!俺は《古代の機械巨人》を召喚!」

 

古代の機械巨人/☆8

ATK3000

 

呼び出されたのは先ほどとレベルは同じだが攻撃力が3000と上級モンスターでも最上の攻撃力を持つモンスター。このまま攻撃すれば《ミカヅチ》は破壊されてしまうが……

 

「俺は《武神ーミカヅチ》で《古代の機械巨人》を攻撃!」

「バカが!血迷ったか?」

「バカなのはテメェだ!俺はダメージ計算時、手札から《武神器ーハバキリ》を捨てて《ミカヅチ》の攻撃力を倍にする!」

 

《ミカヅチ》と《古代の機械巨人》がぶつかりあうが破壊されたのは《古代の機械巨人》の方だった。

 

武神ーミカヅチ/ATK2000➡3800

 

「チッ……。さっき手札に加えたのはそういうわけか…。」

 

アカデミア/LP4000➡3200

 

「メイン2にはいり、カードを2枚伏せターン終了。そしてエンドフェイズ、《ヤマト》と《ミカヅチ》の効果が発動する。」

 

先ほどと同様に《武神ーヤマト》の効果を発動する仁。今回は《ヤマト》だけではなく《ミカヅチ》の効果の発動条件も整っている。

 

「《ヤマト》の効果で《ハバキリ》を手札に加えて《武神器ーオキツ》を墓地に送り更に《ミカヅチ》の効果で《武神降臨》を手札に加える。」

 

《ヤマト》の効果が【武神】モンスターを手札に加える役割ならば《ミカヅチ》は【武神】魔法・罠を加えるというものだ。この2体をいじりすることで確実にアドバンテージを稼ぐことができる。

 

「エクシーズの屑の癖に小賢しいマネしやがって…。俺のターン!遊んでやろうかと思ったがもうやめだ!本気で潰してやるよ!」

 

先ほど仁にしてやられたのが余程気に食わないのかアカデミアは怒りをあらわにしている。

 

「俺は永続魔法《古代の機械射出機》と《古代の機械要塞》を発動!」

 

発動される2枚の永続魔法。仁の使った《炎舞ー天キ》のような発動時の効果はないもののこの2枚が揃うことで強力なシナジーをうむ。

 

「《古代の機械射出機》は自分フィールド上にモンスターがいないとき表側のカードを破壊できる!俺が選ぶのは《古代の機械要塞》!」

「何!?永続魔法をすぐに破壊!?」

 

通常自分のカードを破壊することはデメリットでしかない。しかし中には破壊することで効果を発動するカードもある。今回破壊された《古代の機械要塞》もその1枚だ。

 

「先ずは破壊効果を使用した《射出機》の効果でデッキから【古代の機械】モンスターを特殊召喚できる!更に、破壊された《要塞》の効果で手札から同じく【古代の機械】モンスターを特殊召喚できる!現れろ!2体の!《古代の機械熱核竜》!」

 

古代の機械熱核竜×2/☆9

ATK3000

 

「大型モンスターが2体も…。」

 

予想外の光景に絶句してしまう仁。自分のカードを破壊しながら最上級モンスターを2体も召喚されてしまったのだから当然ではあるが呆けている場合ではない。

 

「バトルだ!1体目の《機械熱核竜》で《武神ーヤマト》を攻撃!」

「忘れたのかよ!俺の手札には《ハバキリ》がある!これでさっきのデカブツ同様返り討ちに……」

「できねえよ!《機械熱核竜》が戦闘を行う際、ダメージステップ終了までモンスター、魔法、トラップ効果を発動できねえんだよ!砕けろォ!」

「なっ……。ぐあああああああ!」

 

仁/LP2400➡1300

 

《機械熱核竜》から放たれた光線が《武神ーヤマト》を貫き破壊する。先ほどとは違い相手の攻撃の余波をモロに食らってしまい壁に叩きつけられる仁。激しい痛身が全身を襲うがそれ以上に最悪なことがある。

それは《古代の機械熱核竜》の効果だ。魔法、トラップならまだしもモンスター効果を封じられたということは仁のデッキの得意技であるコンバットトリックを使えなくなってしまったということだ。

 

「更に《機械熱核竜》には戦闘をおこなったダメージ計算終了時に魔法、トラップを破壊する効果がある。一番右の伏せカードを破壊だ。」

 

《ガードブロック》が破壊されてしまう。戦闘ダメージを0にしカードを1枚ドローできる防御カードだがこのモンスターの前では意味をなさない。

 

「まだ2体目の攻撃が残ってるぜ!《武神ーミカヅチ》に攻撃!」

 

まだ立ち上がれていないところに追い打ちをかけるように相手は攻撃を仕掛けてくる。急いで立ち上がると今度は衝撃に備えるために腕で防御の構えをとる。

 

「ぐっ……ガハッ…!」

 

仁/LP1300➡300

 

しかしその防御も虚しく体はまたしても瓦礫に叩きつけられる。2度目とはいえ身体には信じられないほどの激痛が走り一瞬意識を失いかける。

 

「《機械熱核竜》の効果でさっき伏せたもう1枚のカードも破壊させてもらうぜ。」

 

破壊されたのは《ピンポイント・ガード》これもまた《機械熱核竜》の効果の前には無力なカードだ。

 

「俺はこれでターンエンド。どうだ思い知ったかエクシーズの屑が!テメェらはそうやって地べた這いずり回ってりゃいいんだよ!」

 

相手がターンエンドしたにも関わらず仁はまだ立ち上がれないでいた。何度も立ち上がろうと試みるがその度に失敗して崩れ落ちてしまう。

 

「くっそ……。」

 

それでも何度も挑戦し失敗する。その様子が可笑しかったのかアカデミアがにやつきながら口を開く。

 

「おいおい痛くて立てねえのか?最初の威勢のよさはどうしたよ。まさかもう終わりか?」

「はぁっ……。はぁ…。んなわけ…ねえだろうが…!」

「だったらもう少し頑張ってくれよぉ。さっきのあの女ぐらいにはな。」

「なん、だと……?」

 

彩の話しになり無意識に体が反応してしまう。それを見た男は自慢気に彩にしたことを話し始める。

 

「あの女も相当ムカついたぜ。今のお前以上に小賢しいやつでなぁ。こっちの仲間も何人か倒しやがったんだんで人質をとって黙らせてやったんだよ。」

「卑怯なマネしやがって…。」

「まあ聞けよ。おもしれえのはこれからなんだからな。それでその人質をあいつの目の前で全員カードにしてやったんだよ!」

「な……!?」

「何も出来ずに目の前でカードにされてく奴等みてあいつなんて言ったと思う?泣きながらずーっと『やめて!』って叫んでんだぜ?ありゃあもう傑作だったな!」

「そんな…いくらなんでも……そんなこと…」

 

奴等が人々をカードにしていたことは知っていた。しかしそんなことにわかには信じられなかった。

 

「後でじっくり楽しむ気だったのにちょっと目離した隙に逃げられるわ、追ってきたら仲間はビルの下敷きになっちまうで散々だっつの。てめえにはたっぷりと俺のうっぷんを…。」

「ふざ…けんな…!!」

 

これまでにない怒りを感じ手を地面につけ力をいれる。その瞬間身体には激しい痛みが走り所々に血が滲むがそんなこと気にしてられない。

彩の身に起こった凄惨な出来事。自分の前では必死にその悲しみを圧し殺していたんだと、彼女の頬に微かに残っていた涙の後を思いだし考える。自分の身体がどうなろうと目の前のこいつだけは絶対に倒さなければない。

 

「テメェだけはぜってーぶっ殺す!!」

「やってみろ!死に損ないが!」

 

そう啖呵をきって立ち上がるとデッキトップに手をかける仁。このターンで逆転できないと勝てる見込みは薄い。となればこのドローにすべてをかけるしかない。

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

それは1枚ではこの状況を突発できないが他のカードと組み合わせることで逆転をも可能にするカードだった。

 

「俺は墓地の《武神器ーサグサ》を除外して《武神ーヒルメ》を特殊召喚!」

 

武神ーヒルメ/☆4

ATK2000➡2100

 

《炎舞ー天キ》のお陰で攻撃力は上がるが《機械熱核竜》のそれには到底及ばない。

 

「俺は《ヒルメ》をリリースしてトラップカード《ナイトメア・デーモンズ》を発動!お前のフィールドに《ナイトメア・デーモン・トークン》を3体特殊召喚する!」

 

発動したのは最初のターンから伏せてあったカード。どのタイミングでも発動する気配がなかったのでアカデミアも無視していたカードだ。

 

ナイトメア・デーモン・トークン/☆6

ATK2000

 

「折角召喚したモンスターをリリースしてまでしたかったのがこれか?俺のモンスター増やしてどうすんだよ?」

「それはこのカードの発動条件を満たすためだ!《武神降臨》を発動!」

 

涼との試合でも使用したカード。今仁のフィールドにはモンスターはなく墓地にも除外ゾーンにもモンスターはいる。

 

「墓地から《武神ーヤマト》、除外ゾーンから《武神器ーサグサ》をそれぞれ特殊召喚!」

 

武神ーヤマト/☆4

ATK1800➡1900

武神器ーサグサ/☆4

ATK1600

 

「モンスターが増えただけかよ!それでさっきの《ハバキリ》とか言うのを使ってトークンを攻撃するつもりか?それでも俺のライフは残る!」

「誰がこのまま攻撃するって言ったよ?俺のフィールドにレベル4のモンスターが2体いる。この意味が分かるだろ。」

「エクシーズ召喚か……。何しても無駄だってのがまだわかんねえのか!」

「黙れ…。俺は《ヤマト》と《サグサ》でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」

 

そういうと2体のモンスターは光になると目の前に現れた渦に吸い込まれていく。

そしてエクストラデッキから仁がデッキで最も信頼しているカードを取り出す。

 

「荒ぶる神よ、今こそこの地に顕現しその剣で悪しき者を断ち切れ!エクシーズ召喚!!現れろ!武神帝ースサノヲ!!」

 

武神帝ースサノヲ/★4

ATK2400➡2500

 

現れたのは2本の剣を持ち光の翼をはやしたモンスターだ。しかしそれを見ても男は余裕の表情を崩さない。

 

「やれやれ…。何が出てくると思えば高々攻撃力2500のモンスターか。同じことだ。トークンを攻撃しても俺のライフは残って次のターンお前は…。」

「テメェに次のターンなんてねえよ!バトルだ!《武神帝ースサノヲ》で《ナイトメア・デーモン・トークン》3体に攻撃!《スサノヲ》は相手モンスター全てに攻撃できる!」

「何だと!?クッ……ぐぁぁぁぁぁっ!」

 

アカデミア/LP3200➡1700

 

《スサノヲ》の一撃がアカデミアを襲う。今度は相手が壁に叩きつけられる。

 

「やりやがったな…。だがお前のモンスターの攻撃は終わりだ…。これで…。」

「破壊された《ナイトメア・デーモン・トークン》の効果。破壊されたトークン1体につきお前に800のダメージを与える。」

「なっ…。それじゃあ…。」

「このターン破壊したトークンは3体。よって2400のダメージを食らいやがれ!」

 

アカデミア/LP1700➡0

 

《ナイトメア・デーモン・トークン》が爆発しその爆風は相手の男を襲いまるで紙がとぶかのようき吹き飛ばす。先ほどのように壁に激突するとうつ伏せに倒れ動かなくなる。

相手のライフポイントも0を示しておりソリッドビジョンも解除される。

ようやく戦いが終了したのだと実感出来た。しかしその瞬間気が抜けたのか身体の限界がきたのかその場に膝をついてしまう。

 

「はぁ…はぁっ……。終わった…のか?」

 

目で見て終わったとわかっていても相手がまた起き上がって反撃してくるかもしれない。そう考えると警戒心は解けなかった。

相手が完全に気絶しているとわかりようやくこの戦いは自分の勝利で終わったのだと実感できた。

 

「こいつは預からせてもらうぞ。」

 

そう言って男の腕からデュエルディスクをデッキごと奪い取る。この連中のディスクには自分達の知らない技術が沢山使われている。それならばこれを調べてその技術を自分達が使えるようになれば対抗策がきっと見つかる。そう思っての行動だった。

 

「彩……。」

 

倒壊したビルを眺め親友の名を呼ぶ。さっきは悲しむ余裕すらなかったがこうやって冷静になると悲しさが一気に押し寄せてくる。

 

「うっ………。く…そ……。」

 

声のする方向を見ると先程の男が目を覚ましていた。仁は急いで男の方に向き直る。

 

「テメ…ェなん…ぞに……俺が負ける…わけ…。」

 

未だに負けたことが受け入れられないのかそんなことばかりを呟いている。

しかしこれはチャンスだ。さっきまでは仁が一方的に狩られる側だったのにも関わらず状況は形勢逆転している。この男をカードにするも情報を聞き出すも仁次第だ。

 

「よくも…彩を、みんなを…!てめえはカードにしてやる…!」

 

アカデミアがハートランドの住人にしていたようにボタンを押そうとする仁。

 

「クソッ…。何で…こいつは敵だ!彩や皆を酷い目に合わせた憎むべき敵だ!なのに、俺は……」

 

カードにすることなんてできなかった。相手は自分を殺そうとしてきた男でしかもハートランドの住人を何人もカードにしている。憎くて憎くてたまらなかった。しかしいざ自分が人をカードにするとなるとどうしてもできなかった。

 

「ハッ……とん…だ……甘ちゃんだ…な。」

「黙れぇ!」

 

そう言って相手の胸ぐらをつかむと思いっきりその顔を殴ろうとする。その瞬間男の身体がうっすらと透けていく。

 

「な、何しやがったテメェ!」

「…一旦融合次元に帰るんだよ…。」

 

それを聞いて唖然としてしまった。

自分達は一方的に攻めてくる癖に不利になった途端に逃げ出す。こんな卑怯なことはない。

 

「心配しなくてもテメエとはいずれ必ずケリをつけてやる…。それまで精々カードにされねえよう気を付けな!!」

 

その言葉を最後に男は敢然姿を消してしまった。

 

「待て…!お前にはまだ…用があるんだ…!逃げんじゃねぇ!」

 

しかしその言葉を聞く者はもう誰もいない。

 

「あっああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

仁の声にならない叫び声だけがハートランドの空に響き渡った。

 

 




はじめてのデュエルどうでしたか?あまり迫力のあるものは書けませんでしたがお楽しみいただけたら幸いです。
間違い、感想等ありましたらコメントよろしくお願いします。
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