IS~女の子になった幼馴染   作:ハルナガレ

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一夏の変化

「…今日も頑張るわね一夏」

 

「…ええ、本当ですわね」

 

 臨海学校が終わって2週間、あたし達は前と同じ学園生活を送っている。…一部を除いて。

 

「馬鹿者ー!また反応が遅れているぞ!同じ事を何度も言わすな!」

 

「ハイ!」

 

 千冬さんの怒鳴り声がアリーナに響き渡り、それに対して叫び声に近いような声で一夏は返事をする。もう臨海学校からIS学園に戻ってから今日まで、その光景は毎日のように繰り返されていた。アリーナの真ん中で仁王立ちをしながら、千冬さんは一夏の動きを注視ししながら指示を出し、一夏が少しでも指示から遅れたら容赦無い罵声を浴びせている。アリーナであたしとセシリアも自主練の為ここに来ているけど…つい一夏の練習風景を見てしまう。だってあんな厳しい練習、本国でもあたし受けた事無いわよ…。

 

「馬鹿者!また動きが雑になっているぞ!もっとPICを調節し、無駄な動きを抑制しろ!」

 

「ハイ!」

 

 一夏も必死な形相で千冬さんに返事をしながら、千冬さんに言われた事を実行する。顔中に汗が噴き出していて、かなり疲労しているのがわかるわね。

 

「臨海学校が終わってからの一夏、まるで人が変わったかのように練習に励みだしたわね…」

 

「ええ、臨海学校の帰りのバスに乗る前に、いきなり一夏さん織斑先生の前に土下座して、『俺を強くしてください!織斑先生!』と言い出しましたし」

 

 そう、あたし達が旅館前で千冬さん達が来るの待ってたら、一夏の奴千冬さんが来たらいきなりそんな事を言い出したし。物凄く皆吃驚して一夏を凝視したっけ。千冬さんもそんな一夏を見て笑みを浮かべながら『いいだろう、しかし覚悟を決めろ』と言うし。一夏も即答で、『ああ、かまわない』とその…妙にカッコいい顔して答えるし…。なによ、あんなに男の顔しちゃって。千冬さんでなく、あたしに向けてくれたらいいのに。

 

「全くだ、嫁は何故急にあんなに強くなろうとしているのだ?」

 

「それ聞いたら一夏は『皆を守る力が欲しいんだ。俺は今回その力が無い事を痛感した』って言ってたけど、それにしても一夏の変わりようは尋常じゃないよね。今まではそんなに練習熱心じゃ無かったのに」

 あたしとセシリア同様、アリーナで訓練をしていたラウラとシャルロットも一夏を見ながらあたし達の会話に加わってきた。ラウラもシャルロットも、一夏の変化に戸惑っているようね。まあ一夏の言う皆を守るってのは前から一夏言ってたけど、今回は今までと違う。

 

「そもそも一夏ってあたし達が練習に誘わなかったら全然自主錬とかしなかったのに」

 

「それが臨海学校が終わってからは、人が変わったかのように強くなろうとしてるんだよね…」

 

「福音を倒した翌日は、一夏さん何時も通りでしたわよね」

 

「うむ、それが私達がデータ取りで疲れて眠った翌日に一夏は変わった。決意を持った目で教官に強くなりたいと頼みだした」

 

「…普通に考えたら、あたし達が眠った後、一夏に何かあったって考えるわね」

 

「…そしてその時起きてたのは一人しかいないね」

 

「…一夏さんが織斑先生に頼みこんだ時、一人だけ驚かず、むしろ笑顔を浮かべてた方がいますわね」

 

「…そもそも一夏の守る力が無かった発言で一番該当する人物がいるな」

 

「…そういえば今日もいないね、箒もだけど」

 

「…あの二人も謎ね。一夏と対照的に臨海学校から帰って以来全くアリーナに来ないでひたすら剣道の練習してるし」

 

「そろそろ部活も終わる頃だろう、ちょうど良いから向かうとしよう」

 あたしとセシリア、シャルロットにラウラは頷き合うと、アリーナを出る事にした。…真相を知ってるであろうあいつに会う為に。

 

 

 

 

 

「何で一夏があんなに必死に強くなる理由?一夏が言ってたじゃない『皆を守る力が欲しいんだ。俺は今回その力が無い事を痛感した』って」

 IS学園の剣道場で箒と一緒に剣道の練習をしていた葵に四人で聞いたら、葵は笑みを浮かべながら答えた。

 

「それはあたし達も聞いてるわよ。でもそれでも急激に一夏変わりすぎじゃない!毎日千冬さんから地獄のトレーニングされても必死になってついて行ってるし!千冬さんがコーチしてるせいであたし達が教える事が出来ないし!」」

 

「そんな事言われてもねえ。一夏が変わった理由なんてそれしか無いんじゃない?実際私死にかけたし、同じことを繰り返したくないんでしょ」

 

「いや葵、それだけなら私の誕生日会の時でもそう宣言したはずだ。しかし一夏が強さを欲したのはそれよりも後ではないか。葵、お前は何か知っているはずだ、一夏の変化した理由をお前が知らない訳が無い」

 あたし達の追及に同調してか、箒も疑惑を込めた目で葵に追及する。

 

「だから知らないって」

 

「嘘をついてもわかる。お前は知っている」

 再度葵がとぼけるも、箒は真っ直ぐな目で葵に言い返す。

 

「葵、あの日私達が眠った後一夏と一緒にいたのはお前だけだ。そしてその翌日一夏は変わった。状況から考えて知らない訳がないだろう。後葵、いつも剣道ばかりしてないでないで、私と勝負しろ。明日アリーナで勝負だ。次は私が勝つ」

 

「ラウラ、話がずれてるよ」

 そういや臨海学校から帰った後、葵とラウラは試合をして葵がラウラに勝ったのよね。スサノオの機動性とAICでも無効化出来ない天叢雲剣のレーザー斬撃を駆使して葵が僅差で勝利して以来、前とは逆にラウラが葵に勝とうとやっきになってるし。…でもその葵が何故か最近全くアリーナに来ないで箒と一緒に剣道ばっかりなのよね。ラウラが気を揉むのはわかるわ。

 

「お願いします葵さん、どうして一夏さんがあそこまで強くなろうとしてるのかとても気になるんです!」

 

 

「そう言われてもね~」

 葵は困った顔をしながらあたし達を見まわす。やっぱ葵は何か知ってるわね。でも何故かあたし達には言いたくない。何でよ、教えてくれてもいいじゃない!

 

「葵、もしかして一夏から黙って欲しいと頼まれてるのか?」

 箒がそう言うと、葵は苦笑いを浮かべながら頷いた。

 

「ごめん皆、一夏が他の理由はまだ皆には言いたくないから黙ってくれって頼まれたのよ」

 申し訳無い顔して謝る葵。…う~ん、葵ってば口が堅いから絶対言わないわねこれじゃ。しかも一夏を裏切る真似を葵がするわけ無いだろうし。…あ~気になる!気になるけど!

 

「あ~わかったわよ!言えないなら諦めるわよ!」

 

「え、鈴さん諦めてしまいますの?」

 

「セシリア、葵が言わないって決めたら絶対言わない。昔から義理硬いからな葵は。一夏からの頼みならなおさらだしな」

 

「箒も同じでしょうに」

 さすが幼馴染、箒も葵の事よくわかってるわね。…でもなんかむかつく。

 

「う~、でもつまり一夏が強くなりたい理由は僕達を守る力が欲しいって事と別の理由があるって事なんだよね」

 

「ええ、そうなんだけど…、大丈夫!それは実は過程というか副産物というか…一夏が強くなりたい理由の大原則は皆を守る力が欲しいだから」

 

「余計気になるが…よかろう。理由は知りたいが、言えないならしょうがない。それに嫁が強くなるならそれで私は嬉しいからな」

 どうやらラウラはもう追及する気はないようね。相変わらずさっぱりした性格してるわねこの子。セシリアとシャルロットはまだ気になってるようだけど、あたしと箒も引き下がったから葵を追求するのはやめた。言えないならしょうがないものね、じゃあ、

 

「わかったわ、一夏の事は諦めるとして…葵と箒、あんた達は何で毎日ここで剣道の練習してるわけ?」

一夏の件と同じくらい、気になっている事を葵と箒に聞く事にした。

 

「あら鈴、剣道部員が剣道部の活動をするのがそんなに変なの?」

葵が不思議そうな顔で返事するけど、変に決まってるでしょ!

 

「変よ!あんた達今までとは違って専用機貰ったのよ専用機!それなのに何でアリーナに来て訓練しないで剣道の練習してるのよ!ありえないでしょ!…それと葵、あんた何時の間に剣道部に入部したわけ?空手部で無くて」

 

「IS学園に空手部無いし。それにスサノオ手に入る前までは訓練機借りれない日は箒と剣道部の活動してたしね。いつの間にか部員になってた」

 

「ちなみに一夏も休日はここで練習しているし、最近では週二日程朝錬を一緒にしたりしている。夏休みに入ったら正式に入部する事も決まっている」

…なんか箒、やけに嬉しそうに言ってるわね。ま、当然よね。葵に一夏も同じ部に入部なんだから。横を見ると…ああ、セシリアにシャルロットにラウラもなんか嫉妬した目で見てる。

 

「篠ノ之道場門下生全員集合!ってね。…三人しかいないけど」

 

「…それは言うな葵」

 

「ちょっと葵、箒。部員になったのはわかったけど何でそれで毎日部活してるのかは答えてないわよ」

 

「部活動も大事ですが、今はせっかく手に入れたお二人の専用機に慣れるのが肝心なのでは?」

 

「そうだよ、ラウラじゃないけど僕も葵や箒と戦ってみたいし」

 あたしとセシリア、シャルロットの質問に、

 

「う…、いやそれは私も同じ考えなのだが…何故か織斑先生から禁止されているのだ。私も葵も、夏休みに入るまでは授業以外では専用機を使うなと」

 納得いかないという顔で箒は答えた。は?使っちゃ駄目?なによそれ?

 

「禁止だと?どういう事だ?」

 

「さあ?私も理由聞いてないし。というか教えてくれなかったし。そんなわけでIS使えないんじゃ部活するしかないし」

 箒と違い、葵は別にそんなに不満は無いわね。…普通代表候補生のあんたが一番この命令に不満持つはずなのに。

 その後葵と箒が部長さんに呼ばれた為、あたし達は剣道場から離れる事にした。あまり収穫が無かったなあと話しあうあたし達の背中に、

 

「一夏の件だけど、一夏が自分から言い出すのを待ってあげて。強くなったら、一夏はきっと皆に理由を言うと思うから」

 と、葵は笑みを浮かべながらあたし達に言った。

 

 

 

 

 

 

 

「あ~。生き返る~。さっきまで死ぬかと思ってたが最高だ~」

 

「…なあ、一夏。おまえ臨海学校言った時言ったよな、何時でもマッサージしてやるって」

 

「あ~そんな事言ったなあ~そういや~」

 

「…なら何で俺は最近毎日お前のマッサージをしてるんだよ。逆だろ、逆!」

 千冬姉の地獄の特訓が終わり、俺は今日も部屋で葵からマッサージをして貰っている。あ~マジで気持ち良い。マッサージ屋が世間で流行るのは無理無いなあ。普段なら千冬姉にしてる俺だが、やってもらうのは葵がしてくれるまで無かったから知らなかったけど、こんなに気持ち良いなんて。こりゃますます休日は千冬姉にしてあげて、疲れを癒してやらないと。最近は俺が無理して練習付き合って貰ってるからなおさらやってやらないと…

 

「おいのんきに寝るな」

 

「っがああ!」

 いってええええ!葵の奴思いっきり背中のツボ押しやがって!…いや寝たのは悪かったが。

 

「すまん葵、あまりにも気持ち良くてな。…あ~最高だ。気持ち良すぎる、お前にしてもらうのが一番だ、気持ち良い」

 

「…一夏、黙ってろ」

 なんだよ葵、変な顔しやがって。素直に気持ち良いと言っただけじゃないか。

 

「それよりも一夏、お前最近人が変わったかのように練習に励んでるが鈴達が知りたがってるぞ。何でそこまでして強くなりたいのかって。黙ってくれと一夏は言うけど、別に言ってもいいじゃないか。――モンドグロッソ優勝を目指してるって」

 

「…すまんが葵、それはまだ秘密にしてくれ。今の俺じゃ笑い話にもならない」

 今の俺の力でそんな事言っても、失笑されるだけだ。もっと力をつけてから言いたい。

 

「別に言ってもいいと思うけどな。千冬さんの後を継ぎたいって感じで。今じゃ有言実行してるし。誰も笑わないだろ。男なら地上最強を目指すのは当然だし」

 そんなどこぞのグラップラーみたいな理由で箒達が信じるとは思えんぞ、葵。

 

「それにしても一夏、最近お前焦りすぎ。俺に毎日マッサージさせるのはもういいが、少しは体を労れよ。鍛えるのはいいが、いつも終わったら倒れる位疲労してるし。体を壊したら意味無いぜ」

 顔を上げると、少し心配した顔をしている葵が見えた。…まあ確かにいつも練習が終わったら、千冬姉か葵が俺を担いで部屋まで運んでるけど、

 

「心配掛けてすまん。でも千冬姉に血反吐吐いてでも強くなると誓ったからな。大丈夫、千冬姉も考えて俺を鍛えてくれてるよ…多分」

 

「…そこまでして強くなりたいのかよお前は」

 

「だってそりゃ」

 

 お前に勝つにはそれくらいするしかないだろ。

 

「ん?なんだって?」

 

「何でもない。とにかく、今の俺は強くなる事しか考えられないんだよ!」

 

 

 本当はモンドグロッソ優勝よりも、葵、お前に勝ちたいなんて言えないんだよ。だって、お前に勝てないと…。

 

「まあ強さを追い求めるのはいいんだが一夏、…おそらくお前は重大な事を忘れてると俺は思うんだよ」

 

「重大な事?」

 

「ああ、重大な事だ。とてつもなく、重大な事だ」

 再び顔を葵に向けると、葵は真剣な顔をして俺を見つめている。な、なんだ?重大な事?なんだそれ?

 

「一夏、お前は最近練習が忙しく俺がマッサージをした後はすぐ寝るよな」

 

「ああ、葵のおかげでぐっすり眠れてるぜ」

 

「ところで一夏、明日は何の日か知ってるか?」

 

「明日?」

 カレンダーを見る。明日だと22日か。それがどうしたんだ?俺が疑問を浮かべた顔をしていると、葵は沈痛な顔をして俺の頭に手を置いて言った。

 

「一夏、期末試験は何日からだ?」

 

「期末試験?………期末試験!ちょっと待て!確かテストは!」

 俺が跳ね起きて葵に詰め寄ると、

 

「…明日からだ」

 葵が死刑宣告をしてくれた。

 

「がーーーー!明日じゃねーか!おい!葵!何で教えてくれなかったんだよ!」

 

「アホか!最近授業の度に千冬さんも山田先生もテストのお知らせやってただろーが!授業聞いてなかったのかお前!授業中に試験勉強やってるのか?とか考えてたがやっぱり忘れてたのかよ…」

 

「馬鹿言うな!俺は授業について行くのがやっとなんだぞ!…ちなみに葵、お前は?」

 

「俺はお前が寝た後勉強してたからばっちりだ」

 

「この裏切り者…」

 

「いや…俺そっちの方面も千冬さんが教えてると思ってたんだが。朝早くから千冬さんと訓練してるし、俺が見て無いとこで座学もやってるもんだと。まさかマジで一夏を鍛えるだけしかしなかったのか千冬さん…」

 

「ってこうしてる場合じゃない!葵!試験範囲どっからだ?」

 

「そのレベルからかよ!…もう諦めろ一夏。諦めて寝ろ」

 葵から試験範囲もらうが…、これを全部?明日までに?

 

「い、いや!諦めたら駄目だ!こうなったら朝まで寝ずに勉強してとにかくやれるとこまでやってやる!」

 机に向かい、猛勉強を開始する。後ろで葵が両手を広げ首を横に振ってるが、最後まで諦めなければきっと奇跡は起きる!はず…。

 

 

 

 

 

 

 

 

(だから寝ろと言ったのに…)

 7月22日、IS学園で期末試験が行われ、皆知恵を絞りながら答案用紙に向かう中、一人だけ違う事をしている生徒がいた。彼の名は織斑一夏。皆が答案用紙の問題を解いている中、彼だけ―――机に突っ伏して爆睡していた。テスト開始から5分、まるで操り人形の糸が切れたかのように一夏は眠りこけてしまった。

 

(テスト中って静かだもんなあ。そしてあんだけ練習した後徹夜したら…途中で寝るのは当たり前だろ…)

 完全に熟睡している一夏に、鬼の形相で睨んでいる姉の千冬。しかしテストで眠ったからといって起こすのは許されない。それは生徒の自業自得の為、起こすのは禁じられているからだ。横で真耶が泣きそうな顔で一夏と千冬を交互に見るが…現状が変わるわけでもなかった。

 

(あ~あ、あの千冬さんの顔、…怖え!一夏、テスト終わったら……骨は拾ってやるよ)

 一夏の未来を想像し心の中で合掌しながら、葵は問題を解いて行く。元々代表候補生として葵はIS理論は叩きこまれている。今日のテストもISに関しても物が大半な為、葵にとっては楽勝だった。

 

 そしてテスト開始から30分が経った頃、

 

「あ~もう駄目だ~」

 一夏は寝言を言い出した。

 

(あのアホ、静かに寝てろ…)

 呆れる葵だが、

 

「…葵~、そこ気持ち良い~」

 さらに続く一夏の寝言を聞いた瞬間、体が硬直した。いや、葵だけでなくクラス全員、教師二人の体も硬直した。

 

(あ、あいつまさか…)

 

「あ~いい。やっぱお前にしてもらうのが一番良い、最高だ~」

 

(やっぱ一夏の奴、マッサージされてる夢みてやがる!なんでよりによってそんな夢見てる時そんなデカイ寝言言うんだよ!)

 葵は心中で毒ずくも、もはや手遅れだった。にわかに騒がしくなるクラスメイト達。口々に「え、今のって…」「まさか青崎さんが奉仕する方だったなんて…」「い、いったいどんな事やってるの!二人とも!」と言いながら、一夏と、葵を見比べて行く。そして、

 

(ああ…まあ、そうなるよなあ)

 おそるおそる葵は、ある人物達の姿を見て行く。葵の視線の先には箒、シャルロット、セシリア、ラウラの四人。四人とも、能面のような顔をして、一夏と葵を眺めている。感情が無くなったかのように一夏と葵を眺める四人だが…周りにいた生徒達は引きつった顔をして離れて行く。嵐が来る前に、小動物が避難するかのように。そしてタイミングを合わせたかのように―――四人は同時にISを展開させた。

 

 

 

 

 

 そしてそれを見届けた葵は――――、一瞬にしてスサノオを展開し一夏を抱え窓をブチ破って逃走した。

 


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