IS~女の子になった幼馴染   作:ハルナガレ

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最初3000文字位は読み飛ばしていいですよ


女子会 男子会 (中編)

「一夏、シャワー空いたわよ」

 髪をタオルで拭きながら、体をバスタオル一枚のみで隠した葵がシャワー室から姿を現した。火照った体から湯気がほんのり出ており、少し赤みを帯びた顔からは少女から大人に変わりかけの色気が垣間見えた。葵は一夏の目の前を横切ると椅子に座り、机に置いているドライヤーをかける準備を始めていく。

 

「お、おうわかった……」

 一夏もシャワーを浴びようとタオルを手に取りながら準備を始めるが、視線は葵の姿に釘付けだった。葵はすぐ側に同年代の少年がいるというのに、全く警戒心無くドライヤーをかけながら髪を乾かしている。約二年半前は男だった元親友のその光景は最近ではほぼ毎日見ているのに、一夏は未だに慣れる事はなかった。いや、日を増すほどに、一夏は葵が男から女に変わった事を痛感し意識してしまうようになった。何故なら女になった葵のタオル一枚で隠れたその肢体は、同学年の少女と比べると明らかに発達していた。

掌からこぼれそうな程大きな胸から出来る谷間、すらっと伸びている細い綺麗な足、腰半ばまで伸びている艶やかな髪をモデルから探しても見つからない程綺麗な顔をしている少女が乾かしている光景は、健全な青少年の視線を釘付けにするには充分すぎるものであった。

同年代の異性が目の前にいるというのに、葵のこの無防備すぎる態度はかなり問題がある。しかし葵がそのような事を気にしないのは、葵が2年以上前は男として過ごしていた為か、または一緒にいるのが親友の一夏だからなのかは、それは葵本人しか与り知れぬことである。

しかし葵から心許されていようとも、ここで無遠慮に葵を凝視してしまっては、葵から嫌われると思い一夏は横目で、葵に気付かれないように視線を注いでいく。自覚しながら葵の姿を見てしまう一夏の中で、葵という存在は日増しに増えているのをまだ一夏は自覚していなかった。

 

「じゃあ葵。俺もシャワー浴びるな」

 もっと見ていきたかったが準備が終わってしまったので、いつまでも動かなかったら変に思われる。名残惜しい思いをしながら一夏は立ち上がり、シャワー室に向かうが、

 

「あ、ちょっと待って一夏」

 途中で葵から呼び止められた。振り返る一夏に、

 

「さっき石鹸使い切っちゃったから、新しいやつね」

 そう言って葵は一夏に近づき、新しい石鹸を一夏に手渡した。近くまで来た葵から、石鹸の匂いと、それだけで無く葵本人から発する香りを一夏は嗅いだ。

 

「お、おうそうか。わかった。サンキュな」

 未だにバスタオル一枚の姿の葵から、一夏は石鹸を受け取る。その時正面から葵を見てしまい、一夏の顔は赤面していった。一夏と葵は身長差はそんなに無い。しかし葵よりも高い身長の一夏は、正面から見据えた場合若干ながら葵を見下ろす事になる。自然に視線は下がり結果―――、一夏の視線は葵が持っている石鹸と共に、葵がバスタオルで隠している胸の谷間を近くで見てしまった。

 顔を赤くしながら一夏は石鹸を受け取り、すぐに後ろを振り向こうとしたが、

 

「ちょっと待った」

 再度葵に呼び止められてしまった。今度はなんだよと思いながら一夏は振り向くと、

 

「一夏、顔赤いわよ。熱あるんなら今日はシャワー浴びるのやめたら?」

 何か心配している表情を浮かべながら、葵は一夏の額に手を当てた。

誰のせいだよ誰の! と一夏は内心で毒づくも、それを言葉に出すことは出来なかった。さっきよりも近づいた葵が、目の前にいたからだ。目の前にいる葵は一夏の熱が無いか確かめているようだが、その葵の行動にさらに一夏は困惑し顔をさらに赤くすることとなる。心配そうな顔を浮かべる葵からは、先程も嗅いだ風呂上がりの匂いと先程よりもさらに近づいたため葵の大きな胸が一夏の鳩尾辺りに押し付けられる。そこから感じられる感触は、じりじりと一夏から理性を奪っていった。

 

「……ん? 別に熱は無いみたいね? なら大丈夫かな」

 一夏の額から手を放した葵は、そう言って一夏に笑いかけた。

自分の事を心配し、気にかけてくれる葵。純粋に好意から一夏を心配し、笑顔で微笑む葵の姿を見て―――――

 

 

一夏の中であるものが壊れてしまった。

 

 壊れた一夏は、まだ自分を見ている葵を

「―――――――え?」

 

 力任せに、すぐ傍にあるベットの上に押し倒した。

 

「え、ちょっと一夏!」

 突然押し倒され、自分の両肩を掴んで拘束する一夏に葵は混乱した。急に押し倒されたせいで、バスタオルが解け葵の肢体が一夏の視線に晒されている。その事に気付いた葵は、流石に裸を見られるのは恥ずかしいのか顔を赤くしタオルで体を隠そうとしたくても、一夏が押さえつけているので出来ない。

 

「ちょっと一夏! いい加減に」

 しないと怒るわよと言葉を続けようとする葵だったが、それは敵わなかった。何故なら葵の口は―――、一夏の唇によってふさがれてしまったからだ。

 

 突然の事態に頭が真っ白になり、葵の体から動きが止まった。唇と唇が触れ合うだけのキス。その感触に葵はしばし呆然としながら、しかし不思議な事に嫌悪感を抱かずにしばし一夏の唇を受け入れた。反応が無い葵に一夏は少し動揺したが、再び意を決しさらに唇を葵の口に押し付けた。

 

「――――!!!」

 葵の口から、声にならない声が漏れ、そして同時に何かが絡みつくような音が両者の口から漏れていく。一夏のさらなるキスの感触に、葵は再び驚き一夏を引き剥がそうと手に力を込めるも不思議な事に、普段なら造作も無く一夏を吹き飛ばせる程の力を出せるはずなのに……葵はそうすることが出来なかった。

 

 

 

  しばらくの間、両者の口から漏れる音のみが部屋に響いていった。

 

 どれだけの時間が経ったのだろうか、両者もわからないまま互いを貪りつくした後二人は示し合わせたかのように自然と唇を離した。一夏も葵も、恍惚とした表情を受けべながら互いの表情を見つめていく。もはや一夏は葵を押さえつけていなかったが、葵は逃げずに横たわっていた。

 しばし無言で見つめ合う二人だが、

 

「葵……あ~、その、…………」

 先に言葉に出したのは一夏だった。しかし途中で言葉に詰まり、その先が出てこない。面白い程顔を真っ赤にしながら一夏は、葵に何か言おうと四苦八苦する。

 

「ねえ一夏……キスより先に進みたい?」

 そんな一夏に助け舟を出したのは葵だった。狼狽する一夏を見上げながら、葵は優しく一夏の微笑む。葵の言葉を聞き、物凄い勢いで一夏は頭を上下するも、

 

「でも私はいや」

 にっと笑いながら葵は否定の言葉を口にした。その言葉に一夏は絶望の表情を浮かべるも、

 

「だってその前に……言わなくちゃいけない言葉があるでしょ」

 顔を赤くした葵が顔を背きながら呟いた。葵の表情と態度に、一夏は葵が言って欲しい言葉がなんなのかをすぐに理解した。

 

「葵」

 一夏の呼びかけに、葵は顔をまた正面に戻す。そして葵の顔を見据えながら、

 

「葵、好きだ。俺の恋人になって欲しい」

 ありったけの勇気を込めて葵に告白した。

 そして一夏からの告白を受けた葵は、ゆっくりと、とても嬉しそうに笑みを深くしていき、

 

「言うのが遅いのよ、ばーか」

 ありったけの親愛を込めて一夏に呟いた。

 

「で、葵。返事」

 一夏の言葉は途中で閉ざされた。理由は、

 

「!!!」

 今度は一夏でなく、葵から唇を閉ざされたからだ。そしてすぐに唇は離れ、

 

「今更返事はいらないでしょ。でもあえて言ってあげる。―――私も一夏が大好きです」

 一夏同様に、顔を真っ赤にした葵が嬉しそうに呟いた。

 

「でも私、元男だよ?」

 

「今は完全女だろ。全く問題無い!」

 

「周りから男の頃から好きだったんじゃ?とかで潜在ホモとか言われるかもよ?」

 

「だから今のお前の姿を見て、女と付き合ってると思わない奴はそっちが異常者だ!」

 

「へえ、うん。そうかな」

 

「そうだ、だから」

 

「うん一夏、私も、一夏とならいいと思ってたから」

 そう言って、再び愛おしそうな顔で葵は微笑んでいく。一夏は、葵の顔からさらに下に視線を下していき―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、この後めちゃくちゃセック○したとかがあったんだろ!」

 

「マジかよ織斑! テメエ羨ましすぎるだろこのリア充! 死ね! マジで死ね!」

 

「あ~、どこだったかな? 確かこの辺りに地獄○女というのがリア充を地獄送りにしてくれるサイトあったような……」

 

「なわけあるかアホー!!!」

 午後11時、夜中の俺の家で俺の叫び声が轟いていった。

 

 

 

「おい織斑、近所迷惑だぞ」

 

「全くだ、ガキじゃねーんだからTPPってのを考えろよ」

 

「それをいうならTPOだろ」

 

「アメリカを始めとした日本含め12ヶ国から怒られるのか。さすが世界唯一人の男IS操縦者はスケールが違うぜ」

 

「どうでもいいしお前達に言われたくねーよ! そもそも猿渡、何だよそのありえない妄想は!」

 

「何! そういう事態になってないとでもいうのかよ! お前と葵、さっき聞いたら部屋同じとか抜かしたじゃねーか! ならそんな事態にならない方がおかしいだろ! イン○か貴様!」

 

「二つの意味でなわけあるかー!」

 テンション高い猿渡の指摘というか妄想に、俺もやけにテンション高く答える。俺の横で大石と御手洗が「嘘くせえな」「いや猿渡の弁護じゃないが普通部屋一緒ならなんかイベント起きるよなあ」と顔を赤くしながらグラスを傾けながら中身を飲み干していく。

 

「ま、一夏の言う通り何もないが正解だろ。一夏にそういう方面期待する方が無駄だ」

 弾が俺の潔白を援護してくれるが……なんだろう、心なしか馬鹿にされているように感じるのは気のせいか?

 

「は~、お前達に相談したのが馬鹿だったよ」

 アイスピックでロックアイス砕いてる大石や「次どれにすっか~~」と言って麦や米や芋や果物が発酵、蒸留した液体が入っている瓶を眺めながら言い合っている御手洗、猿渡、弾を見ながら、俺は心底そう思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 事の発端は、葵が俺抜きで女子会をすると言うので、俺も対抗し男子会をやろうと思ったからだった。よく考えたら何時も女子しかいないIS学園で過ごしてるから、たまには男だけで騒ぎたいと思った事があるのは確かだし。

 そんなわけで俺の家に弾や御手洗、大石に猿渡を呼んで男だけで遊び倒すことにした。何故か四人とも大きなリュックやら鞄かついでうちに来ており、中身は何なのか聞いても教えてはくれなかった。

最初は「IS/VS」をやり、弾がテンペスタⅡで無双してたら大石が「隠しコード発動!」とか言って裏技で千冬姉の葛桜を出し、そのあまりのチート性能に弾も俺も皆ボロ負けした。チートに加え、千冬姉が大石に操らてると思うと俺はやる気なくし、俺がやらなくなったので弾達も「IS/VS」を止めて、今度はマリカーとスマブラで白熱した戦いを繰り広げる事となった。

 そして午後7時過ぎ、腹が減ったので俺が飯を作ろうとしたら、

 

「一夏、飯なら心配するな。俺が持って来たぜ!」

 そういって弾は大袋からいくつものタッパーを取り出してテーブルに並べていく。蓋を開けるとから揚げや豚角煮、コロッケに卵焼き業火野菜炒めと厳さん特製のおかずがそこにあった。しかし、

 

「ん? 弾、何で枝豆が一番大きいタッパーに大量に入ってるんだよ?」

 何故か一番大きなタッパーに大量に入っている枝豆を見て俺が疑問に思っていると、

 

「おいおい一夏、これからいるだろそれが」

 弾はニヤニヤ笑いながら答えをはぐらかした。いや、俺枝豆好そんなに好きじゃないぞ?

まあいいか、おかずあるならごはん炊くだけでいいかと思ったら、 

 

「あ、一夏! 俺達も夜の準備してきたぜ!」

 

「お前の好み知らないから適当に沢山もってきたぞ」

 

「ふふ、今夜はパーティだな」

 今度は御手洗に大石、猿渡が着た時気になっていたリュックやらバックを開けて中身を出していく。

 そしてテーブルの上に並んでいく柿ピーやビーフジャーキ、ドライフルーツにそして……日本語や英語で書かれている、穀物や果物を発酵やら蒸留された液体が入っている瓶が並んでいく。って、ちょっと待て!

 

「おおい! これって」

 

「いやあ購入するのに苦労したZE!」

 

「なんせ最近じゃお使いでも売ってくれないもんな」

 俺が抗議の声を出す前に、大石と猿渡が良い顔で何か言ってくる。

 

「いや、これは」

 

「おーい、皆! キンキンに冷えてるぜ~」

 俺が再び抗議の声を出す前に、御手洗が台所から現れた。手には缶が五缶抱えられており、そのラベルを見た俺は、思わず呻いた。……うん、テレビでよく宣伝されてる、大人に大人気のアレだからだ。

 

「一夏、勝手に冷蔵庫借りたぞ。あ、心配するな。これはお前のお姉さんの飲み物じゃねーから。俺が買ってきたやつだぜ」

 

「そんな心配はしてねーよ! お前等何考えてるんだよ!」

 確かに俺は男だけで騒ごうとか思ってたけど、それは最低限の節度も守ってやろうと思ってるんだよ!

 

「俺達未成年なのにこんなさ」

 

「バッカ一夏! 何あほな事口走ろうとしてやがる!」

 テーブルの上に並んでいる物の名前を叫んで注意しようとしたら、その前に大石の手で俺の口は塞がれた。うお、全く接近に気付かなかった!

 

「全く、大石の言う通りだぞ一夏。まさかお前、ここに並んでいる物を指さして頭文字が『さ』で、最後に『け』の文字がつく飲み物だと言おうとしたのか?」

 

「ふご、ふご!」

 御手洗の言葉に、それでなくなんなんだよと喚いたが、口が塞がれているので呻き声しか出ない。

 

「いいか、一夏ここに置いてるものは………般若湯だ」

 

 般若湯

 

口を塞がれている俺に真面目な顔をしながら、御手洗は俺にそう言った。

 

「全く、一夏の奴は何を誤解してるのやら」

 

「そうだな、まるで俺達が不良みたいじゃないか」

 ははは、と笑う御手洗と猿渡。そんな二人をよそに、弾の奴は人数分の皿とグラスをテーブルに並べている。……弾、俺お前だけは信じてたんだけど。

 

「そういうわけだ一夏、間違っても変な事言うんじゃねーぞ」

 そう言って俺の口を塞いでいた手を大石が放した。

 

 ああ、そうか般若湯か。なんだ、確かにそれなら大丈夫か! 何俺は取り乱したんだろうなあ。 

 さっきまでの自分を恥ずかしく思いながら、俺は再びテーブルに並ばれている瓶を眺める。うん、よく千冬姉が好んで飲んでる液体もあるけど、あれは瓶が同じなだけで中身は般若湯だから全く問題無し――。

 

「って、そんな風に思えるわけあるか!」

 

「おいおい、何また興奮してるんだよ一夏。何度も言うがこれは般若湯だから全く飲んでも問題無いんだぞ」

 

「ならこれもって交番の前で飲んでみろよ!」

 

「……一夏、般若湯は敬虔なる仏教徒以外は誤解されやすい。信心深い俺達なら理解できるが、全ての警官が信心深い仏教徒とは限らないんじゃ」

 俺のつっこみに、大石は某魔法学校の校長みたいな穏やかな顔をしながら返事を返した。

 

「大体、お前達本当に仏教徒なのか? お前等の家に仏壇とか見た事無いが」

 4人の家には俺も遊びに行ったことあるが、そんな物無かった気がする。

 

「おいおい、何を言ってるんだ一夏! 俺はとても真面目な仏教徒なんだぜ!」

 俺の指摘に、猿渡が胸を張って反論し、そうだそうだ! と御手洗に大石が続く。

 

「その根拠は?」

 胡散臭い目しながら俺は猿渡達に尋ねてみた。

 

「俺の親父の実家って伊勢神宮の近くなんだよ。だから毎年初詣はそこでやってるんだ。元旦にわざわざ凍えながら参拝してるんだぞ! これほど立派な信者はいないだろうが!」

 

「俺も親父の実家が広島なんだよ。似た理由で毎年厳島神社で参拝してるぜ!」

 

「俺はお袋の実家が島根だから出雲大社に行ってるぜ!」

 

「俺はどっちも実家ここだからなあ。でも毎年篠ノ之神社に」

 

「神社は神道だアホ~~~~~!」

 せめて一人くらい寺に行ってろよ!

 

「いや一夏、昔は神社も寺も同一としてだな」

 

「そんな豆知識知ってるわ! でも敷地内に一緒にあるだけで区別はされてたんだよ!」

 なんかそんな事束さんが言ってた気がする。

 

「ったく、お前等も良い事と悪い事の区別位つけろよなあ」

 情けない声を出しながら俺はテーブルに乗った物を片付けようとした。すると、

 

「はあ……悲しいなあ」

 酷く悲しげな呟きが聞こえた。声がした方を向くと、悲しそうな顔をしながら、御手洗は俺を見つめていた。いや御手洗だけでない、大石に猿渡、弾まで悲しそうな顔をして俺を見つめている。

 

「せっかく普段会えない一夏の方から声を掛けられ、俺達嬉しかったのに」

 

「一夏は女子しかいない学校に無理やり行かされたから、ストレス貯まってそうだから発散させてやろうと無理して用意したのになあ」

 

「まあここのホストは一夏だ。一夏が嫌がるなら止めておこうぜ」

 

「ああ、そうだな……」

 暗い雰囲気出しながら大石、猿渡、弾、御手洗は般若湯と言い張った物を片付けていく。

 う、俺が正しいはずなのに……なんだこの俺が悪いみたいな雰囲気は?

 

「ああ、そうだ。般若湯のつまみしか無いからちゃんとした飯用意しないとな……」

 

「あ、俺ちょっと外行って買ってくるよ……」

 弾が悲しげな顔をしながらタッパーにある料理を見つめそう呟くと、これまた悲しげな顔しながら御手洗がゆっくりと立ち上がり玄関に向かっていく。猿渡と大石は泣きそうな顔で物を鞄に詰めていき―――

 

「だああ! わかった! わかったよ! これは全部般若湯! だから飲んでも問題無し!」

 あまりの空気の重さにとうとう俺は耐えきれず、般若湯だと認めた。

 

「よし、じゃあまずはこの泡麦茶で乾杯しようぜ!」

 

「この米からできた飲料は冷蔵庫で冷やした方がよくないか?」

 

「この親父のコレクションからくすねたイギリス製の液体は氷がいるな」

 

「心配するな、ロックアイスは泡麦茶と共に冷凍庫に放り込んでいる」

 

「切り替え早!」

 俺が般若湯だと認めた瞬間、弾達は一瞬にしてテンション最高の状態に戻り宴会の準備を進めていく。

 

「ようやく認めたか一夏。まあ良い子ぶるんでなく、俺達の年齢じゃちょっと冒険してみたいよなあ」

 全てわかっているという顔しながら大石は俺にニヤついてくるが、単純にさっきの暗い雰囲気じゃこの先盛り上がり不可能だと思ったからだよ!

 

「……というかお前達、やけに手際いいな」

 もしかして俺抜きでよく飲んでるのか?

 

「気のせいだぜ一夏! さあ、今夜は飲み明かそうぜ!」

 飲む前からテンションが上がっている猿渡の声を聞きながら、俺も準備に取り掛かる事となった。

 

 

 

 こうして、俺が今後一生忘れたくとも忘れる事の出来ない男子会が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

「ここがあの女のハウスね?」

 

「……何言ってるのラウラ?」

 

「あの女も何も葵の家よここ」

 葵の家を前に呟いたラウラに、あたしとシャルは呆れながらツッコミを入れた。

 

「いや、我が軍の副官から嫁の女友達の家に行くときは、その家の前でそう呟くのが日本のマナーだと聞いたのだが?」

 

「まあ、日本には変わった風習がございますのね?」

 

「待て待て! そんな奇習我が国には無い!」

 ラウラの言葉にセシリアが頷いたので、日本人たる箒が慌てて否定した。……うん、あたしも日本は数年しか住んでないけど、そんなの聞いたこと無いし。ラウラの副官さんの日本観ってどうなってるんだろ?

 

 

 今日は以前あたしが提案した女子会を葵の家でやるという事で、現在あたし、箒、セシリア、シャル、ラウラの五人は葵の家に向かっている。葵が一緒でないのは、葵はあたしたちとは別に朝早くから自宅に行き、引っ越し業者から荷物を受け取るため家で待機しているからだ。

 2年前引っ越しをし、その後色々あって葵と葵のお父さんは一緒に住む事が出来なくなった。でも今年の夏に葵が正式に日本の代表候補生と認められたため一緒にいる許可が下りたから、葵のお父さんは葵の近くで住む事を決めたみたい。許可が下りるとすぐに葵のお父さんは今やっている仕事を代わりの者に押し付け、強引に引き継ぎさせてこっちに向かってると葵から聞かされた。

 葵のお父さん、結構放任主義だった気がするけど……やっぱり息子が娘になったから過保護になったのかな?

 葵の家を知っているあたしと箒がセシリア達に案内し、そしてあたし達は葵の家に辿り着いた。

 

「……うん、変わってないわね」

 

「そうだな、私の記憶ともそう変わってない。……久しぶりだ」

 葵の家を眺めながら、あたしと箒は少し感傷にかられた。其処ら辺に建っている一戸建て住宅よりちょっと大きいだけで、さして特色があるわけでもない。でも、あたしにとって、おそらく箒にとっても一夏の家と同じ位、遊びに行った友達の家なのよね、ここって。

 

「はいはい、二人共懐かしがってないで、早く中に入ろうよ。葵中で待ってるし、葵の引っ越しの手伝いしないといけないしね」

葵の家を眺めているあたしと箒に、シャルが苦笑を浮かべながらインターフォンを押した。後ろを向くとセシリアが苦笑して、ラウラは……まあキョトンとしてるわね。

 インターフォンを押して数秒後、

 

『はい、どちら様ですか?』

 

「葵、僕達だよー!」

 

『あ、早かったわね。鍵開いてるから中に入って来て』

 

「だって。入ろっか」

 そう言ってシャルは、笑って道を譲った。どうも最初に入るのはあたしと箒に譲ろうとしている。変に気が回るこの子に苦笑し、

 

「じゃあ皆入りましょうか、行くわよ箒」

 

「ああ、わかった」

 せっかくの好意を貰う事にした。箒もシャルの気遣いに気付いてるのか、シャルを見ると苦笑を浮かべていた。

 中に入り、あたしは玄関に手を掛ける。その時、あたしの脳裏に二年前の光景がよぎった。

 急に学校に来なくなった葵を心配し、一夏と弾、あたしの三人はこうやって葵の家の玄関を開けたら、そこは空虚な空間になってて、家具は無くなりあるのは3通の手紙のみ。

 一瞬嫌な光景を思い出してしまい、手が硬直する。しかし、

 

「こんばんわー、葵来たわよー!」

 それを振り払うよう、あたしはドアを開き中に足を踏み入れた。

 玄関から見える光景は、二年前とは違っていた。模様替えをしたのか、二年前には無い家具や小物があちこち置いてある。しかし前と違い、何も無い空間じゃない。それに玄関入り口では、

「いらっしゃい鈴。待ってたわよ」

 笑顔を浮かべている葵が出迎えてくれた。

 

「うむ、久しぶりだったが迷わずに来れたぞ」

 

「いらっしゃい箒。セシリアもシャルもラウラもいらっしゃい」

 おじゃましまーすと言いながら、シャルにセシリア、ラウラも中に入っていく。

 そんな皆を葵は笑顔で出迎えている。

 何でもない光景だけど……何だろう、これが無性に嬉しく思うのは。

 

「鈴? 何さっきからニコニコしてる訳?」

 どうやらさっきからあたしは良い笑みを浮かべてるようだ。でも、それはしょうがないと思う。

 

「あんたにはわからないことよ」

 葵の疑問に、あたしはただそう言って中に入っていった。

 

 

「さて、引っ越しの手伝いをしようと思ってけど……なんかその必要なさそうだね」

 居間に通され、ソファーに座りながらシャルは周りを見渡し苦笑を浮かべた。他の皆も同じ表情を浮かべている。何せ周りを見渡しても既に家具が設置されており、廊下にも部屋にも未開封といった段ボール箱がないもの。

 

「ええ、なんか予定時間よりも早く引っ越し業者さん来て、私も荷物おろしとか手伝おうとかしたんだけど『必要ありません! ゆっくりしていてください!』と凄い剣幕で断られちゃった。その後業者さん達が物凄くテキパキと荷物片付けて配置してくれたからやる事無かったわ。食器とか小物や本も指定した食器棚やタンス、本棚にしまってくれたし。……間違えて私の下着入った段ボール開けられて開けた人が仲間数人からリンチされ土下座で謝られたりとかあったけど、他は問題無く片付いたわ。終わった後『また是非ともうちを利用してください』とか皆から言われたけど、そう引っ越ししないっての」

 葵はあたし達にお茶の用意をしながら、引っ越しの様子を話をし笑ってるけど……葵、多分早く終わったのはその引っ越し業者達があんたに良い姿見せようと張り切ったせいよ、きっと。

 さっきは何とも思わなかったけど、良く見たら今日の葵の格好は、ある意味あたしの予想を裏切ってくれた。

 葵の服装だが、白いネックセーターに、少し黒色の細身のシーパンを履いている。スタイルの良い葵に大変似合っており、これならアホな男共は葵に良い所見せようと張り切るだろう。

 セーターにジーパン。これだけなら男の頃と変わらないチョイスだけど、良く見たら両方とも女物だ。夏の間よく男時代の服を流用して葵は着ていたけど、ちゃんと女物の服も買っているようね。何時もIS学園じゃ制服とジャージばかり着ていたから不安だったけど大丈夫なようで安心した。今日は皆で女子会しようというから、葵も女物揃えたという理由かもしれないけど、そんな理由でもいいのだから。葵は、ちゃんと正しく変わったんだとわかったから。

 

 あ~、でもそれが一夏は歓迎してないのよねえ。

 

 

 

 

 

 

「皆、お菓子の用意出来たわよ」

 時刻は5時。お茶を飲みながら6人で雑談をしながらまったり過ごしてたけど、そろそろお菓子の準備をすると言って葵は台所に行き……そして大量のお菓子が葵の手によって並べられた。

 

「うわ…、凄いねこの量」

 テーブルの上に並べられたお菓子の山を見てシャルが少し呻いた。

 

「これはまた……張り切りましたね葵さん」

 

「食べきれるのか、これ?」

 

「いや、無理だろ」

 おそらく女子会という事で、葵は張り切ってあたし達をもてなすためにお菓子を作ったんだろうけど……テーブルにはケーキやクッキーといった西洋菓子から胡麻団子に桃マンといった中華菓子、羊羹から桜餅といった和菓子も揃えており和洋折衷盛りだくさんのお菓子の山が、あたしの目の前に積み上げられた。

 

「飲み物は紅茶からウーロン茶、緑茶まで買ってきたから好きな物飲めるわよ」

 

「そ、そうなの。じゃあ、とりあえず皆紅茶にしよっか」

 

「わかった」

 あたしがそう言うと、葵は鼻歌混じりに紅茶を入れる準備を始めて行った。……もしかしてこいつ、学園祭でメイドやっていて評判良かったと聞くし、そっちの道に進んだ方が天職なんじゃ?

 そして全員の前にお茶が置かれるのを確認すると、

 

「じゃあ、一夏抜きの女子だけの女子会! 始めるわよ!」

 あたしは女子会の開始を宣言した。

 

 

 

「で、鈴。女子会って何をするの?」

 あたしが開始宣言した直後、葵があたしに疑問を口にした。

 

「え、あの時言ったじゃない? 男の一夏抜きで普段言えない事を語り合いましょうって」

 

「一夏抜きで言えない事?」

 

「鈴さん、例えばどんな事です?」

 

「ふっふっふ! そんなの決まってるじゃない。一夏の前じゃ出来ない事! そして女子会の鉄板トークと言えば、ずばり『コイバナ』よ!」 

 ラウラとセシリアの疑問に、あたしは胸を張って答えた。

 

「あたしたちがもっとも喰いつきやすい話題と言ったらこれは当たり前でしょ! そして一夏がいない今、普段言いづらい事とか言えるじゃない! 例えば、初恋の相手は誰とかね!」

 まああたしの場合それ一夏なんだけどねー。

 

「じゃあ箒から時計回りで、初恋の相手を白状してもらうわよ!」

 ちょっとテンション上げてあたしは箒に聞いてみたが、

 

「私の初恋って……一夏なんだが」

 箒は顔を赤くし、なんか今更な名前を口にした。……まあこいつはあたし以上に古くから一夏の幼馴染やってたものね。当然っちゃ当然か。

 

「じゃあ次セシリア!」

 

「え、えと……わたくしの初恋も一夏さんなんですが」

 セシリアも箒同様、顔を赤くしながら一夏の名前を口にした。

 

「え、そうなの? あんたイギリスにいた頃は」

 

「……わたくし父親がある理由で失望しておりまして、そしてこの女尊男卑の風潮も合わさって男性をまともに見ようとしなかったのですの。そんな中、一夏さんだけはわたくしが思っていた」

 

「あ~シャル、あんたは誰なの?」

 

「ちょっと鈴さん!」

 なんか話が長くなりそうだし、その話も惚気で終わりそうだったからあたしはシャルに話を振る事にした。

 

「僕? えっとね、皆の期待を裏切るようで悪いんだけど……僕も一夏が初恋の相手なんだ」

 

「……そうなの?」

 

「うん、僕数年前はお母さんと一緒にフランスの小さい村に住んでたんだけど……その時は一緒に遊んでた男の子達はそういう対象に見る事無かったし。お母さんが死んでからはお父さんに引き取られたんだけど……正直お父さんに良い感情は抱かなかった。お母さんとの関係を思うとね。だから僕、ちょっとした男性不信になってたんだ。そんな僕が男の振りして一夏に近づくなんて滑稽だったけどさ。でも、僕は一夏に会う事で」

 

「ラウラ、あんたは?」

 

「最後まで言わせてよ!」

 またしても壮大な惚気が始まりそうな気がしたので、あたしはラウラに話を振った。……あ、聞くまでもなかったわ。

 

「無論私の初恋は嫁だ!」

 

「あ、うん。そうよね。聞くだけ無駄だったわ。じゃあ次葵」

 そしてあたしはさりげなく、そして実はもっとも聞いてみたかった奴に話題を振った。

 まあ正直、あたしも含めこのメンバーの初恋はどうせ一夏だろうと思ってたし。だから一番の未知数を秘めた葵の回答が、あたしは一番楽しみにしていた。

 中一まで男だったんだから、女子の名前が出てきたらそれはそれで面白いし。でも今は男だし、でも男の頃から男に初恋抱いてたとかだったら、さらに一夏の名前が出たりしたら……!

 おそらくあたしだけでなく、箒達も期待しながら葵の回答を待っているわ。さあ葵! あんたの初恋の人は!

 

「……ごめん、実は私初恋まだなのってええ! 何皆その落胆した表情は!」

 葵の返答に、あたしを含め全員ががっかりした。

 

「全く葵、お前には失望した」

 

「だって箒、私って知っての通り男として生活してたけど本当は女だったのよ。それが精神にまで影響してたのか知らないけど男の時も女子はあんまりそういう対象に見えなかったし、今は今で男としてのアイデンティティみたいなのが残ってるから男見てもいまいちピンとこないし」

 

「そうだとしても0は流石に期待外れも良い所だ。私を含め皆一応相手はいたのだぞ」

 

「本当ですわ、もしかしたら初恋の名前に箒さんとか鈴さんの名前が出るかもしれないと期待してましたのに」

 

「え、あたしが!」

 

「あ、そういえばそうだね。箒も鈴も葵の幼馴染みだったんだから」

 

「いやいやセシリア、シャル。それはないから」

 セシリアとシャルの指摘に、葵は苦笑いを浮かべながら顔の前で手を振り否定した。……いや、あたしもそういう目であんたを見た事は無いけど、なんかむかつくわね。

 

「葵、それはどういうことだ」

 

「だってさ箒、さっきも言ったけど私は恋とかピンと来なかった上に私は箒と鈴から『一夏と付き合えるようになるにはどうしたらいい?』と相談される立場だったのよ。それなのにどうやって私が箒と鈴をそういう目で見れるのよ」

 箒も若干あたしが思ったのを感じたのか、少し剣呑な目をして葵に聞くが葵の返事を聞いて目を逸らした。……そりゃあたし達がそんな事やってたら、そうなるわよね。

 

「で、最後に鈴の番になったけど……、聞くまでもないよね」

 

「ええ、鈴さんも一夏さんでしょうし」

 

「何だ、ここにいる全員、いや約一名除いて皆嫁が初恋相手なのか」

 最後にあたしの番になったけど、あたしが言う前にシャルとセシリアが言ってしまった。……もしかして、さっき話を斬ったからそれの恨み?

 

「女子会での話題その一、初恋話はあっという間に、そして盛り上がらずに終わってしまったな」

 

「修学旅行とかなら盛り上がって話す女子の鉄板話題なのに」

 

「そりゃ全員相手が同じだったら、ねえ」

 

「あ~もう、じゃあ次! 次の話にするわよ!」

 

「次って、次は何の話にするの?」

 

「決まってるじゃない、またコイバナよ」

 葵の疑問に、あたしは少し意地悪な笑みをしながら返した。

 

「え、でも初恋が終わって次のコイバナって……」

 

「今好きな殿方の話になりますの?」

 

「まさか。そんなのここにいる連中の名前は初恋から変化ないのは聞くまでも無い事でしょ。あたしが聞きたいコイバナは……葵、あんたの島根での恋愛事情よ! なんかIS学園に乗り込んできた裕也とか、あの写真見る限りあいつ以外にもあんたに告白してきた奴いたんじゃない? ねえ、その辺どうなの?」

 

「えええ!! ちょっと鈴何を」

 何か言いたくないのか、葵は嫌な顔をしてあたしを非難しようとしたが、

 

「そうですわね! 是非ともそれはあたくしも気になってましたわ!」

 

「うんうん! 前も言ったけどその辺は僕も興味ある!」

 

「……元男の葵の方がそういう方面に詳しくなったのはある意味忸怩たる思いがあるが、今後の参考の為にも私も聞きたい」

 

「うん、なんかクラリッサから葵にその辺は根掘り葉掘り聞いて報告してくれと言われている」

 さっきまでの初恋話よりも数段目を輝かせながら、セシリア達は葵に詰め寄った。……あ~うん、他人の恋愛事情に興味津々なのはやっぱりこの子達も変わらず女の子なのね。ま、あたしも人の事は言えないけどさ。

 皆から詰め寄られ、困惑した葵だけど、

 

「……は~、わかったわよ。話してあげる。まあそれについて質問されるのは最初からわかってたしね」

 溜息つきながら了承した。しかし葵、あんた顔は嫌そうな顔してるけど、目はそこまで嫌がってるようには見えないわよ。実は話す気満々だったんじゃない?

 

「でも、その前に私の相談に乗ってもらうわよ」

 

「相談? 何それ?」

 何の事かはわかってるけど、あえてあたしはしらばっくれながら聞いた。

 

 

「あのねえ、そもそもこの女子会を開くきっかけとなった話を忘れた訳? 最近一夏が何故か私を監視しているって話よ。……なんか今日も朝から背中に視線を感じてたのよね。マジでなんなの一夏? 言いたい事あるなら言って欲しんだけど」

 そう言って、葵は再び大きなため息をついた。親友だと思っている相手から理解不能な事をされ、困惑しているようだけど……うん、流石に罪悪感出てくるわね。横目で箒を見てみると、箒も何か申し訳ない顔して葵を見てるし。

 

「わかったわ、葵。その件について相談に乗ってあげる。でもその前に謝らなければいけない事があるのよ」

 

「謝る? 何の事?」

 頭に疑問符を浮かべている葵に、

 

「ごめん、それあたしのせいだから」

「すまない、一夏がそうなったのは私が余計な事を言ったからだ」

 あたしと箒は、同時に謝って葵に頭を下げた。

 




思いのほか長くなりましたので、中編にし次の後編で話を纏めます。

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