光次元ゲイムネプテューヌ~聖なる祈りと極光の守護神~ 作:EDENCROSS
《前回までのあらすじ》
ついに傭兵組織の根城を発見したエルクとケーシャ。
しかし、単独で潜入したが敵に捕まったしまったケーシャを救出すべく、
一人で来るようにとの組織のリーダーのアレックスの指示に従い、
エルクは再び旧校舎へと向かう。
僕は再び、旧校舎の入り口に来ていた。
あれから時間が経ち、日も沈んで夜になっている。
だけど、建物に照明はついておらず、相変わらず不気味なままだ。
ユリウス
「これが旧校舎か。 建物と言うより最早廃墟に近いな。
エルク、警戒を怠るなよ」
エルク
「うん、分かってる。
(待っててね、ケーシャちゃん。 今助けに行くから!)」
~♪
エルク
「っ!?」
入り口の前でそう思っていると、突然僕のスマホの着信音が鳴り響く。
アレックス
『御待ちしておりました。
貴方なら必ず来てくれると信じていましたよ、エルクさん』
電話から聞こえてきたのは、やはりアレックスの声だった。
どこからか監視しているのか・・・?
エルク
「約束通り一人で来た! ケーシャちゃんを返せ!」
アレックス
『フフフ、そう急がなくてもまずは奥まで来なさい。 話はそれから・・・』
その声と同時に、旧校舎の入口の扉が開いた。
ユリウスの言う通り罠だろう・・・。
でも、ケーシャちゃんが捕まっている以上行くしかない!
アレックス
『入ってすぐのところに階段があります。 その階段を下って真っ直ぐ進みなさい」
エルク
「・・・分かった」
そこで、アレックスからの電話が切れた。
ユリウス
「エルク、人質を取った奴からの指示がある手前、ここからは私はそなたの中に戻る。
気を付けろよ」
エルク
「ありがとう、ユリウス」
アレックスの指示通り、僕は旧校舎の中に入ってその階段を下って真っ直ぐ進む。
しばらく進むと、大きな古い扉があり、それを開いた先に待っていたのは・・・
エルク
「な、なんだ・・・あれは・・・?」
広々とした空間の奥にあったのは大きな機械・・・いや、何らかの装置があり、
そのすぐ横にアレックスが居た。
エルク
「何かの装置か?
これって、もしかして・・・」
アレックス
「ええ、そうです! その名も
これこそが人間を操る事が出来る
エルク
「
アレックス
「その通り。 しかし、それはその力を増幅させる装置であって、
正確にはこちらですがね」
そう言って、アレックスが懐から取り出したのは、黒い指揮棒のような物だった。
よく見ると、棒の先端部分から紫のオーラを放ち怪しく光っていた。
ユリウス
『
エルク
『知ってるの、ユリウス?』
ユリウス
『ああ。
エルク
『なんでそんな物があいつの手に?』
ユリウス
『それは分からない。
(なぜ、この時代に存在している? あの時に全て破壊したはずだ!)』
アレックス
「初めは半信半疑でしたが、これほどの効力があったとは。
これも全てあの少女のお陰と言う事でしょうか」
エルク
「あの少女? 誰の事だ」
アレックス
「貴方には関係の無い話です。
この
せっかくここまで来ていただいたのにそれではつまらない。
よって、ここで面白いショーをご覧いただきましょう!」
ケーシャsaido
???
「・・・シャ! ケーシャ!」
誰だろう・・・男の人の声がする・・・
傭兵組織幹部
「いいかケーシャ! お前はこの銃と同じだ!
一切の感情を持たず、任務を遂行し、敵を始末する銃だ!」
この言葉とこの光景を私は覚えてる。
これは、私がまだ傭兵組織にいた時の記憶。
物心ついた時から私は銃を手に任務をこなし、時にはこの手を汚してきた。
けれど、任務で自分と同年代の女の子を見ているうちに、
なんで私はあの子達とは違うんだろう、
なんで私は銃なんて持って人を傷付けているんだろうと、
その子達と会うまでは任務をこなす事が自分にとって当たり前だと思ってた。
ある日、組織が壊滅し教育係の幹部の男も捕まって自由となった私は、
普通の女の子になるためにラステイション高校に入学してその際に、
校長先生のステラさんに自分の過去について話した。
それを話した上で、こんな私を生徒として受け入れてくれて本当に嬉しかった。
それからしばらくして、ノワールさんに出会って色々あったけど、
私と友達になってくれた。
でも、こうしてまた組織に捕まって利用されてる私は、
やっぱり普通の女の子のようになれないの・・・?
やっぱりただの戦うだけの道具なの・・・?
助けて・・・ノワールさん・・・! 助けて・・・エルクさん・・・!
ケーシャsaido end
アレックスが、パチンと指を鳴らすと、奥から一人の人影が現れた。
エルク
「あれは・・・ケーシャちゃん?」
光が当たり、その姿を現したのはケーシャちゃんだった。
そして、ゆっくりとこっちに歩いてくるケーシャちゃんに向かって
僕は駆け寄る。 しかしその時、ケーシャちゃんが僕に発砲してきた!
大きな銃声がこだましながらも僕は言う。
エルク
「ケ、ケーシャちゃん! いきなりなにを・・・!?」
ユリウス
『エルク、大丈夫か!』
エルク
『う、うん大丈夫だよ、ユリウス』
アレックス
「おや? 外しましたか。 では、これならどうです!」
アレックスが手にした
紫のオーラが輝きを増す。
アレックス
「さあ、最強の傭兵ケーシャよ! 我等の敵を排除しなさい!」
ケーシャ
「了解。 これより、任務を開始する!」
_______________________________________
戦闘曲
ブレブリーセカンド
BETTLE OF OBLIVION
皇帝オブリビオン戦闘曲
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
突然、黄金の光がケーシャちゃんを包み込み、姿を現したのは
黒のつば付きの帽子に右目に眼帯をし、背中にミサイルポットとビームランチャー
やレールガンと言った様々な武器で武装したゴールドフォームのケーシャちゃんだった。
エルク
「あれが、ケーシャちゃんのゴールドフォーム・・・!」
アレックス
「フフフ、貴方に彼女を攻撃できますか?」
エルク
「くっ・・・!」
ユリウス
『エルク、ケーシャの様子が変だ』
エルク
「うん。 今、ケーシャちゃんはアレックスに操られてる!」
だけど、どうする?
攻撃してケーシャちゃんを傷付ける訳にはいかないし、
かといって、このまま放っておく訳にもいかない。
だったら・・・!
エルク
「あいつの
僕はアレックスに向かって走り出す!
アレックス
「成る程、そう来ましたか。 ・・・ですが!」
ケーシャ(ゴールドフォーム)
「・・・!」(ドンッ!
エルク
「うわっ!」
しかし、ケーシャちゃんの射撃で近づく事が出来ない!
エルク
「なんて弾幕だ・・・。
これじゃあいつに近づけない」
アレックス
「どうしました? 私はここですよ?」
アレックスは、ケーシャちゃんの弾幕を柱に隠れてやり過ごす僕を挑発する。
エルク
「くそっ・・・!」
ケーシャ(ゴールドフォーム)
「キラーソフト、ツインビット!」(ドウッ!
そう言って、ケーシャちゃんは黄金のカードのような物を手に取りそれを掲げると、
そのカードから二つの小さなビットが現れ、僕に向かってレーザーを撃ってきた!
エルク
「うわああぁぁぁぁっ!!」
その砲撃によって、隠れていた柱ごと吹き飛ばされる!
アレックス
「これが最強の傭兵の力・・・! 素晴らしい!
彼女がいれば・・・いや、
エルク
「
ケーシャちゃんはお前の都合のいい道具じゃない!」
アレックス
「何をムキになっているのですか?
貴方にとってこれなど赤の他人でしょう?」
エルク
「違う! ケーシャちゃんは、僕にとって大切な友達だっ!」
アレックス
「友達? これはおかしな事を言う。
これは人間ではない。 ラステイションを、このゲイムギョウ界を支配すると言う
私の野望を叶える為の道具だ! ふはははははは!」
ユリウス
『
なんという卑劣! 卑劣極まりない!
エルク、このままではケーシャだけではなく、そなたまでもが・・・エルク?』
エルク
「・・・っ!」
初めてだ・・・人に対してここまで怒りを覚えたのは・・・!
確かに、ケーシャちゃんが組織にいた頃は人を傷付けてきたのかもしれない。
それでも、その事を悔いて、嘆いて、自分を責めて苦しんできたはずだ。
その中でやっと自分が憧れていた普通の日常を手にいれたというのに、
こいつはケーシャちゃんの心を踏みにじり、戦いの道具にしているのか!
どうしてこんな卑劣な事を笑いながら出来る!?
彼女がお前に何をしたというんだ!
エルク
『許せない! ユリウス、僕はあいつを許せない!』
ユリウス
『ああ、私もこんな外道を見たのは久し振りだ!』
ケーシャちゃんを正気に戻すには、あの
だらといって、闇雲に突っ込めばケーシャちゃんの的になるし、
魔法を唱えようとも詠唱が間に合わない。
なら、先にケーシャちゃんをどうにかするしかないか・・・。
隙を作ることが出来ればなんとかなるかもしれない。
なら、あの技で・・・!
アレックス
「さあ、お喋りは終わりにしましょう。 やりなさい、ケーシャ!」
ケーシャ(ゴールドフォーム)
「了解・・・! バレット&ランチャー!」
僕はケーシャちゃんの二丁拳銃による連続射撃を、
フットワークとドッヂロールで回避して、撃ってきたロケットランチャーを跳躍し、
その爆風で高く舞い上がった!
ケーシャ
「っ! いいセンスだ・・・!」
ロケットランチャーの爆発によって起きた爆風により、
空中に高く舞い上がった僕にケーシャちゃんが銃口を向ける!
アレックス
「空中では銃弾は回避出来ませんよ? さあ、どうします!?」
ケーシャ(ゴールドフォーム)
「THE END!」
そう言うとケーシャちゃんはトリガーを引き、再び連続射撃を放つ。
確かに空中だと避ける事は出来ない。 でも、その必要はない。
なぜなら・・・
エルク
「輝剣秘技·四ノ型───流星ッ!」
抜刀して神威を振るのと同時に、小さな無数の光粒子弾が銃弾を薙ぎ払いながら
ケーシャちゃんに降り注ぐ!
アレックス
「な、なに!?」
ケーシャ(ゴールドフォーム)
「くっ!」
エルク
「(今だ!)」
流星が降り注ぎ、怯むケーシャちゃん。
地面に着地した僕は、その隙に魔法の詠唱をする。
エルク
「-荒ぶる者を束縛せし白き光輪- バインドリング!」
魔法を唱えると、ケーシャちゃんを囲うように白い光の輪が現れそのまま拘束する。
シルバーチェーンで拘束しようと思ったけど、
完全に身動きを封じるならこの魔法の方が良いと判断した。
でも、最初は流星をうまくコントロール出来るか不安だったけど、
ケーシャちゃんが無傷でよかった。
アレックス
「そ、そんな、私の最強の
こうなったら・・・この
エルク
「よせ、やめろ!」
アレックス
「そう言われてやめる馬鹿はいませんよ!」
???
「させるかよっ!」(ドンッ!
アレックス
「ぐあぁっ!」
エルク
「エ!?」
突然、一人の男がアレックスにタックルを見舞う。
???
「おいおい、水臭ぇじゃねぇかエルク。
こんな事ならオレにも協力させろっての」
エルク
「その声は・・・グレン! なんでここに!?」
グレン
「保健室で別れた後のお前の事が気になって、旧校舎の前で待ち構えて後をつけたんだよ。
そしたら、お前がケーシャちゃんと戦ってるもんだからビックリしたぜ」
アレックス
「くっ・・・! 私の邪魔をするな!
この───落ちこぼれのクズがあぁぁぁっ!!」
エルク
「グレン、危ないっ!」
グレン
「えっ・・・?」
邪魔をされて激怒したアレックスは、懐から銃を取り出してそれをグレンに向ける!
だが、しかし!
パアァァン!
アレックス
「ぐっ!」
ケーシャ
「やらせはしない・・・!
再び銃声がこだまし、アレックスの銃を撃ち落としたのは、
さっきまで
タックルで不意を突かれ効力が弱まったのか、自力で洗脳を解いたみたいだ。
その影響か、ゴールドフォームが解けている。
それにしても、手足が拘束されてる状態で的確に撃ち抜くなんて、
凄い射撃センスだ・・・
エルク
「ケーシャちゃん、大丈夫なの?」
ケーシャ
「大丈夫だ、問題ない」
あれ? ケーシャちゃんの口調が・・・。
いや、今はそんな事よりも!
エルク
「-輝け、聖なる楔- シルバーチェーン!」
僕は、シルバーチェーンを発動させると、
それをアレックスの腕に絡め取るように引っ掻ける。
アレックス
「なっ!? は、離せ!」
エルク
「そう言われて離す馬鹿はいないよ!
人の心を踏みにじるとお前を、僕は絶対に許さない!」
アレックス
「うおぉぉぉぉっ!?」
それを両手で力強く引っ張ってアレックスを引き寄せる!
エルク
「これが、ケーシャちゃんの心の痛みだあぁぁぁっ!!」
そして、自分の目の前まで引き寄せたアレックスの顔面を、僕は思いっきり殴った!
アレックス
「ぐああぁぁぁぁぁぁぁっ!」
アレックスが掛けていた眼鏡のレンズは粉々に砕け散り、
そのままゴロゴロと転がってうつ伏せに倒れた。
エルク
「思い知ったか!」
ケーシャ
「エルクさん・・・」
エルク
「グレン、今のうちに逃げて!」
グレン
「お、おう!」
僕は隙を見てグレンをこの場から逃がす。
エルク
「ケーシャちゃん、大丈夫? どこか痛む?」
ケーシャ
「いえ、大丈夫です。
それよりもこの魔法を・・・」
エルク
「ご、ごめん! 今解くから!」
そう言って、僕は両手を前に出してバインドリングを解除した。
エルク
「手荒な事してごめんね。 ケーシャちゃん」
ケーシャ
「謝るのは私の方です。
ごめんなさい、私なんかのために・・・」
エルク
「君が無事ならそれでいいんだ。
それに、私なんかなんて言わないでよ。
だって、君は僕の大切な・・・」
アレックス
「ぐ・・・フフフフフ、これで勝ったつもりですか?」
声のした方向に振り向くと、アレックスがよろめきながら立って不気味に笑っていた。
エルク
「どういうことだ!?」
アレックス
「何か大切な事を忘れていませんか?
そう、こちらには捕らえた生徒達と、
エルク
「くっ、そうだった! まだ人質が・・・!」
アレックス
「人の心? そんな物はどうでもいい!
お前達は黙って私の野望のための道具になっていればそれでいいんだっ!」
ユリウス
『・・・っ・・・』
アレックス
「人質の命が惜しければ抵抗するな!
ケーシャ、この力を使ってまたお前を操ってやる!
所詮お前は戦うためだけの道具なんだよ!
ヒャーハッハッハッハッハっ!」
ケーシャ
「そんな・・・」
エルク
「アレックス・・・お前は一体どこまで・・・!」
レンズが砕けた眼鏡にボロボロのローブに、
鼻血を垂らしながら下卑た笑いを上げるアレックスにさらに怒りが込み上げてくる。
最早こんな男に言葉は不要。
徹底的に叩きのめすという怒りの感情を僕は抱く。
エルク
「下衆が・・・!」
今まで使ったことのない言葉が自然と口から漏れ、
アレックスが
???
「そんな事、やらせないわ!」
どこからともなく、声と共に一発の銃声が響き渡り、
その銃弾がアレックスの持つ
アレックス
「な、なに!?」
ケーシャ
「射撃!? どこから・・・?」
???
「皆、大丈夫!?」
???
「遅くなったわね! エルク、ケーシャ」
エルク·ケーシャ
「ノワール!「ノワールさん!」ユニちゃん! どうしてここが!?」
ノワール
「あなたがケーシャを助けるために旧校舎に向かった事をステラから聞いたのよ。
で、ここまで来る途中に構成員を締め上げたらあなた達がここに居るって分かったのよ」
ユニ
「って、エルクさん傷だらけじゃない!? なにがあったの!?」
エルク
「今はそれよりも、あいつをなんとかしないと!」
そう言って、僕はアレックスに指を指す。
アレックス
「そ、そんな・・・私の
おのれ・・・おのれ! おのれ! おのれぇぇぇっ!」
破壊された
アレックス
「だ、だが、こちらには人質のがいる!
さあ、私の前にひざm「残念だけど、人質達は解放させてもらったわ」
な、なんだと!?」
ノワールがアレックスの言葉を遮るように言う。
アレックス
「う、嘘だ! デタラメだ!
こんな短時間でそんな事が出来るはずが───」
ノワール
「私たちを誰だと思ってるの? この国の女神よ」
ユニ
「おまけにアンタの部下もみーんな捕まったわ。 残るはアンタだけよ!」
そう言いいながらユニちゃんはアレックスに銃口を向ける。
エルク
「もう終わりだ、アレックス!」
アレックス
「認めない、認めないぞ・・・!
こんな終わり方など・・・私は認めないっ!!」
アレックスは再び懐から銃を取り出し、ケーシャちゃんに向ける。
ユリウス
『もう一丁持っていたのか!』
アレックス
「ケーシャァァァっ! 全部お前のせいだ!
お前のせいで私はぁぁぁああっ!!」
そして、アレックスがその引き金を引こうとした瞬間!
アレックス
「ぐえっ・・・!」
距離にして、約20mだろうか。
その距離を一瞬で詰めて、神威の鞘の先端部分でアレックスの鳩尾を突く。
ノワール
「え!?」
ユニ
「な、なに今の? 全然見えなかった・・・」
エルク
「加減はした、立て・・・!
貴様が彼女に与えた痛みはこんなものではないぞ・・・!」
ノワール
「エル・・ク?」
ユニ
「ど、どうしちゃったの? エルクさん・・・」
ケーシャ
「・・・っ」
いつも優しいエルクから一変、
今まで感じた事のない殺気にも似た怒りにたじろぐ三人。
アレックス
「ぐっ、ぐほ! ごほっ! ぐえぇ・・・!」
突かれた鳩尾部分を押さえ踞り、そのあまりの痛みに悶絶し、
言葉すら出ずにただえずくだけのアレックスに対して、エルクは容赦しなかった。
エルク
「聞こえなかったのか? 立てと言ったんだっ!」
その怒りの声と共に、エルクは踞っているアレックスの顔面を蹴り上げる!
アレックス
「ギャッ!」
その拍子に、掛けていたアレックスの壊れた眼鏡と血が飛び散る。
ノワール·ユニ
「うっ!「ひっ!」」
あまりの悲惨な光景に、目を背けるノワールとユニ。
そして、反り返ったアレックスの胸ぐらを掴むとエルクはアレックスに聞く。
エルク
「言え、貴様に協力した少女というのは誰だ」
アレックス
「し、知らない・・・本当に知らないんだ!
だから、もう・・・許して・・・助けて・・・ください・・・!」
エルク
「・・・そうか」
そう言うと、エルクはまるでゴミを捨てるかのように
アレックスを地面に投げ捨てる。
アレックス
「ぐふっ・・・!」
投げ捨てたアレックスにゆっくりと歩み寄りながら神威を抜く。
エルク
「今まで何人の人の心を弄んできた?
貴様のような下劣な下衆は生かしてはおけないっ・・・!」
アレックス
「ひ、ひいぃぃぃぃっ!!」
目からハイライトが消え、怒りによって瞳孔が開いたその怒りと殺意に満ちた
エルクの表情に、恐怖に顔を歪ませ身震いするアレックス。
ユリウス
『やめろ、エルク! もう十分だ!』
エルク
「止めるな、ユリウス。
こんな奴を生かしておくわけにはいかない・・・!」
ユリウス
『エルク・・・』
ユリウスの声を気にせず、そのままエルクは抜刀した神威を上段に構える。
エルク
「報いを受けて・・・ここで死ねっ!!」
そして、神威を振り下ろそうとしたその時
ノワール
「もういい! もうやめて、エルク!」
ユニ
「ダメよ、エルクさん!」
ケーシャ
「エルクさん、やめてっ!」
エルクを止めようと、ノワールがエルクの背後から、
ユニとケーシャが左右から抱き付く。
エルク
「どいてくれ、三人共。
人を・・・人の心をなんだと思ってる!」
ノワール
「(俺・・・?)あなたの怒りはもっともよ! 私だってこの男の事は許せないわ!」
ユニ
「そうよ! こんなヤツなんかのためにエルクさんが人殺しになる必要なんてない!」
ケーシャ
「私なら大丈夫ですから! もう十分です・・・。
だから、もうやめてください・・・」
ノワール
「私達は、あなたを人殺しにさせたくないの・・・。
いつもの優しいあなたに戻って・・・お願いよ・・・エルク」
皆がそれぞれエルクを人殺しにさせまいと必死に止める中、
ノワールが涙声でそれを訴えながら抱き付く力を強める。
ユリウス
『彼女達の言う通りだ!
エルク、そなたがその手を血で汚す必要はない!』
そして、ユリウスも必死にエルクに語りかける。
皆の声を聞いたエルクは・・・
エルク
「・・・っ、ごめん、皆。 もう大丈夫だよ」
手を下ろして神威を納刀し、
低音のドスの効いた声からいつもの優しい声と表情に戻った事に安堵する四人。
エルク
「僕はもう大丈夫だから、その・・・離れてくれないかな・・・///」
ユニ·ケーシャ
「「ご、ごめんなさい///!」」
エルク
「い、いや、いいんだよ。 皆に心配かけた僕が悪いんだ。
それに、ユリウスもごめんね」
ユリウス
『気にするな。 そなたの気持ちは私にも痛いほど分かる』
エルク
「ありがとう、ユリウス」
照れながら急いで僕から離れるユニちゃんとケーシャちゃんに対して、ノワールは・・・
ノワール
「・・・」
エルク
「えっと・・・ノワールさん?」
無言のまま離れようとせずに声をかける僕に、ノワールは口を開く。
ノワール
「本当に・・・本当に心配したんだからね・・・
あのまま、あなたが戻って来ないんじゃないかって・・・」
エルク
「ノワール・・・」
ノワール
「正直、あの時のあなたがとても怖かった・・・。
人間に対して、初めて恐怖したわ」
エルク
「エ!? そ、そんなに?」
二人の方を向くと、うんうんと首を縦に振っていた。
一度離れて正面を向いた僕は、ノワールに優しく抱き付く。
ノワール
「ふぇっ///!?」
エルク
「怖い思いをさせてごめんね、ノワール、皆。
何度も言うけど、僕はもう大丈夫だから、そんな悲しい顔しないでよ。
もう、どこにも行かないから・・・」
ノワール
「う、うん・・・///」
うん、やっぱり笑ってた方が可愛いな。
ユニ
「ねえ、エルクさん」
エルク
「なに?」
ケーシャ
「いつまでそうしているつもりですか?」
エルク
「いつまでって・・・うわっ! ご、ごめん、ノワール!」
ノワール
「い、いいのよ、気にしないで///」
ユニ
「あの、ユリウスさん」
ユリウス
「なんだ」
ユニ
「エルクさんって、もしかして天然ですか?」
ユリウス
「どうだろうな。
だが、下心があってやっているわけではないのは確かなようだ」
ケーシャ
「・・・ですね。
そうじゃなきゃ、ノワールさんがあんな嬉しそうな顔しませんからね」
エルク
「そ、そうだ! アレックスはどうするの?」
ノワール
「そ、そうね! て、気絶してるわ」
兵士A
「ブラックハート様!
組織の全ての構成員の確保完了いたしました!」
二人のラステイションの兵士が部屋に入ってきて、
ノワールに全ての構成員を捕まえてた事を報告する。
ノワール
「ええ、わかったわ。 この男も一緒に連行してちょうだい」
兵士B
「了解しました!」
ビシッと敬礼した二人の兵士は、気絶しているアレックスの肩を担いで
部屋から出ていった。
エルク
「そういえば、ノワールとユニちゃんが言ってた別件ってもしかして・・・」
ノワール
「ええ。 あなたとケーシャの二人が調査を進めるのと同時に、
こっちはラステイションの兵士達を動員して人質の救出作戦を立てていたのよ。
ステラと連絡を取り合いながらね」
エルク
「そうだったんだ・・・。
でも、流石は女神様と女神候補生様。 仕事が早いね」
ノワール
「そういうエルクこそ、たった一日で傭兵組織を壊滅させるなんて凄いわよ」
エルク
「それは僕だけの力じゃない、ケーシャちゃんとステラさん、
それに、グレンや学校の生徒達の協力があったからこそだよ」
ノワール
「謙虚なのね、あなたは」
エルク
「そんなことないよ。 それに・・・」
ノワール
「それに?」
エルク
「危ない時に来てくれてありがとう。
ノワールとユニちゃんの事、信じてたよ」
ノワール
「ありがとう。 私もエルクとケーシャの事信じてわよ」
ユニ
「アタシもよ、エルクさん、ケーシャさん」
ケーシャ
「ノワールさん、ユニさん・・・」
あの時、もしノワールとユニちゃんが来てくれてなかったら
きっとまたケーシャちゃんだけじゃなく、
僕までも操られてノワール達と戦う事になっていたかもしれないと思うとゾッとする。
互いを信じ助け合う仲間がいるっていうのは素晴らしいと僕は改めてそう思った。
ノワール
「さてと、後はこの装置だけね」
ユニ
「うん、それじゃあさっそく・・・」
ケーシャ
「ちょっと待ってください、ユニさん」
装置に銃を向けて破壊しようとしたユニちゃんを、ケーシャちゃんが止める。
ユニ
「どうしたの、ケーシャさん?」
ケーシャ
「ごめんなさい、ユニさん。
この装置を破壊する役目を私にやらせてくれませんか?」
ユニ
「でも、みんなでやった方が・・・」
ノワール
「ケーシャ、一人で出来るの?」
ケーシャ
「はい、大丈夫です。
だから、私にやらせてください!」
ノワール
「・・・わかったわ。 ここはケーシャに任せるわ」
ケーシャ
「ありがとうございます、ノワールさん」
ケーシャちゃんはノワールに一礼した後、装置に向かってゆっくり歩き出す。
ユニ
「ねえ、お姉ちゃん。 ケーシャさん一人で大丈夫かな?」
ノワール
「ええ、大丈夫よ。
きっと、ケーシャは自分の過去と決別したいんだと思うわ。
だから、ここはケーシャに任せましょう」
ユニ
「・・・うん、そうだね」
エルク
「ケーシャちゃん、大丈夫?」
ケーシャ
「はい、大丈夫です。
ごめんなさい、私のわがままで・・・」
エルク
「わがままだなんてそんな・・・。
ケーシャちゃんは傭兵だった頃の自分と決別したいんでしょ?
だったら、ここはケーシャちゃんがやるべきだよ」
ケーシャ
「エルクさん・・・」
決意の表情と心を胸に装置の前に立つケーシャちゃんに、
僕はある言葉を掛ける。
エルク
「確かに人は過去を変える事は出来ない。 どんなに悔やんでも苦しんでも・・・。
だけど、未来は変える事は出来る! そのためなら、僕はいくらでも力を貸すし、
アレックスみたいな奴が出てきたその時は、命を懸けてでも君を守るよ」
ケーシャ
「・・・っ」
エルク
「エ!? ど、どうしたの!?」
ノワール
「ちょっと、なにケーシャを泣かしてるのよ!」
ユニ
「エルクさん・・・?」
エルク
「ちょちょ、ちょっと待ってよ二人共! 僕はただ・・・」
ケーシャ
「違うんです、ノワールさん、ユニさん」
頬を伝い流れる涙を拭いてケーシャちゃんは言う。
ケーシャ
「私、嬉しかったんです。
ノワールさん達と出会う前の私は、任務でたくさんの人達を傷付けてきました。
そんな私を彼らはこう言いました。 【死神】と・・・」
ノワール
「ケーシャ・・・」
ケーシャ
「でも、ノワールさん達と出会って、私と友達になってくれた。
そして、エルクさんに【死神】とまで呼ばれた私の事を守るって言ってくれて
嬉しかったんです」
エルク
「・・・」
ケーシャ
「だから、今自分として生きるために、ここで【昔】の自分を断ち切ります。
今度は、私の後ろ姿を見ていてください!」
僕達に背を向けてそう言うと、ゴールドフォームになって再び武装するケーシャちゃん。
ケーシャ
「こちらケーシャ。 これより、任務を開始する」
そして、両手に持った銃器と背中に装備したミサイルランチャーと
レールガンを構える。
ケーシャ
「フルウェポンアタック!」
まず、二丁拳銃で舞うかのように連続射撃を繰り出し、
次に背中にのミサイルランチャーから複数のミサイルを撃ち出すとそれが命中して
爆発を起こすと、その装置が崩れ中から赤く光る球体が剥き出しになった。
きっとあれがこの装置の
そう思ったケーシャちゃんはレールガンの標準を会わせる。
ケーシャ
「これからの私は
はあぁぁぁぁぁッ!」
撃ち出したレールガンの軌跡は
ケーシャ
「任務完了!」
こうして、今回の傭兵組織による事件は全ての構成員とその残党とアレックスの逮捕及び、
今はケーシャちゃんが組織の呪縛から解放された事を喜ぶべきだね。
アレックスに操られ捕まっていた生徒達は兵士と警察の人達に保護された後、
病院で検査を受けたけど、どこにも異常はなく、
その生徒達は警察の人達から事情聴取を受けて色々聞かれたけど、
操られていた時の記憶がないらしい。
それでも、誰一人犠牲者が出なくて本当によかった。
これで、事実上ケーシャちゃんは完全に組織から抜け出すことが出来た。
そして、僕達はというと─────
- ラステイション高校 校門 -
ケーシャ
「皆さん、本当にありがとうございました。
そして・・・迷惑をかけてすみませんでした」
ノワール
「全くよ。 ああいうのは最初で最後にしてほしいわ」
ケーシャ
「・・・」
ユニ
「ちょっと、お姉ちゃん・・・」
ノワール
「でも、あなたが組織から解放されて本当によかったわ。
これからもよろしくね、ケーシャ」
ケーシャ
「ノワールさん・・・はい、よろしくお願いします!」
ユニ
「そういうことね。 ちょっとびっくりしたわ」
エルク
「ははっ、そうだね」
でも、ケーシャちゃんが組織から解放されて本当によかった。
これで本当の意味で普通の女の子として生きていくことが出来る。
エルク
「(よかったね、ケーシャちゃん)」
ケーシャ
「それと、エルクさん」
エルク
「何? ケーシャちゃん」
ケーシャ
「私が操られていた時、助けてくれてありがとございました。
その・・・傷の方は大丈夫ですか?」
エルク
「うん、大丈夫だよ。 伊達に鍛えてないからね。
それに、僕としてはケーシャちゃんを助けることが出来てよかったと思ってるし、
そんなに自分を責めないでよ、ね?」
ユニ
「そうよ。 今は自由の身になったことを喜ぼうよ、ケーシャさん」
ノワール
「ええ、これでもうあなたを縛るものはもうなにもないわ」
ケーシャ
「皆さん・・・」
確かに、僕達はケーシャちゃんの過去やそれによって今を生きる上で、
それがどれだけ重い枷になっていたのかは分からない。
でも、今回の件で本当の自由を手に入れたケーシャちゃんにとって、
これは大きな第一歩だと思う。
ケーシャ
「あの、エルクさんに聞きたい事があるんですけど・・・」
エルク
「僕に聞きたい事?」
ケーシャ
「はい。 あの時、エルクさんが私に言いかけた言葉です。
[君は僕の大切な・・・]の後、なんて言おうとしたんですか?」
ノワール
「何それ? どういうこと?」
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エルク
「君が無事ならそれでいいんだ。
それに、私なんかなんて言わないでよ。
だって、君は僕の大切な・・・」
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うん、言った。 確かにそう言った記憶がある。
エルク
「あ、あれは・・・ほら!
大切な【友達】や【仲間が】って意味で言っただけであって、別に深い意味は・・・」
ケーシャ
「そうなんですか?
でも、私には別の意味に聞こえたんですけど?」
ノワール
「エ~ル~ク~?」
エルク
「いや、だから深い意味は無いんだってば!
てか、なんでノワールが怒ってるのさ!?」
ノワール
「べ、別に怒ってないわよ! いいから白状しなさーい!」
そう言って、ノワールは剣をコールして僕に迫って来た!
エルク
「ちょ、ちょっと待って! 剣はしまおう!
迫るのはよしとしてせめて剣はしまおう!
て、ケーシャちゃんも笑ってないで止めて!」
ユニ
「・・・ケーシャさん、なんか意地悪な性格になってない?」
ケーシャ
「気のせいですよ」
ノワール
「待ちなさーいっ!」
エルク
「ギャーッ!」
ユニ
「それじゃあ、アタシたちも帰ろう。 ケーシャさん」
ケーシャ
「はい」
ケーシャside
やっぱり、私は人を傷付けるだけの
あの時、本気で私を助けるために命懸けで止めてくれて、
怖かったけど、怒ってくれて嬉しかった。 確かに、私はノワールさんの事が好きです。
でも、エルクさんに対するこの【好き】は、違う意味の【好き】だと思う・・・。
きっと、ノワールさんもエルクさんの事を・・・。
それでも、私は諦めたくない。 だって、普通の女の子と同じく憧れていたんです。
【恋】と言うものを・・・。
ケーシャsideend
一方、ラステイションのどこかの地で・・・
???
「うん?
やはり、使い手がボンクラならこの程度かの。
当てにはしていなかったし、まあよしとするか」
そして、その言葉は誰にも気付かれる事なく、再び闇に消えた・・・
・・・なんか、タイトル名の最後が「鬼滅の刃」みたいになってしまった(汗