光次元ゲイムネプテューヌ~聖なる祈りと極光の守護神~ 作:EDENCROSS
《前回までのあらすじ》
ルウィー駅で列車に乗り、リーンボックスへ向かうエルク。
そこで彼は何を体験するのだろうか。
エルク
『見て、ユリウス、海だよ!』
ラステイション、ルウィーの体験入国を終えた僕は、
リーンボックス行きの列車に乗っている。
列車と言っても、レールの上を走る従来の列車ではなく、
レールに吊るされるような形で走る少し特殊な列車だ。
他の三国家は同じ大陸で山々に区切られたようになっているが、
これから僕達が向かうリーンボックスは、海を挟んだ違う大陸に位置する国だ。
イストワールさんから聞いた話だと軍事国家らしいけど、
【萌え】と言うものを取り入れているみたいだ。
これも女神グリーンハート様であるベールさんの趣味なのかな?
ネプテューヌはかなりのゲームオタの廃ゲーマーって言ってたけど、
国を治める女神様が、まさかね・・・。
でも、プラネテューヌの女神様であるネプテューヌが仕事をサボって
ゲームばかりしていたのを見ると、あり得るかもしれない。
エルク
「(この海を越えたらいよいよリーンボックスかぁ。
雄大な緑の大地って言うらしいけど、想像つかないな)」
僕達以外の乗客の殆どが窓越しに海を眺めている。
この大きな海を見ていると、なんていうか心が癒される気がする。
エルク
『海って凄いよね、ユリウス。
ただ大きいだけじゃなくて、心を癒してくれる』
ユリウス
『ああ、そうだな』
エルク
『ねえ、ユリウスって、リーンボックスに行った事ってあるの?』
ユリウス
『昔に何度かな』
エルク
『どんな国だったの?』
ユリウス
『うむ、他の三国家に比べ国土が大きく、兵器開発に積極的な四国家随一の軍事国家だったな』
エルク
『なんか、物騒な国だったんだね・・・』
ユリウス
『と言っても、それはあくまで当時の話だ。
今でも軍事国家としてはあるようだが、昔に比べて丸くなったのではないか?』
エルク
『・・・そうだね。
そうじゃなきゃ、ネプテューヌ達があんなに仲良く出来るわけないよね』
ユリウス
『ああ、彼女達の関係そのものこそが、
このゲイムギョウ界と国同士が平和であるなによりの証拠だろうな』
エルク
『僕もそう思うよ。 ねえ、他には?』
ユリウス
『ああ、他には───』
アナウンス
「間もなく、リーンボックス、リーンボックスにご到着致します。
降りる際にお忘れ物のないようご注意ください」
ユリウス
『・・・どうやらもうすぐのようだな。
エルク、準備をしておけ』
エルク
『うん、わかった』
アナウンスの放送を聞き、荷物を背負って席を立ち、そのまま出口に向かう。
そして、そこに立ってしばらくすると、リーンボックス駅に到着し、
ドアが開くのと同時に列車を降りる人の波に押されながら降りた僕は、
ベールさんを探す。
エルク
「えーっと、ベールさんはっと・・・あ、いた! ベールさん!」
駅内でベールさんを見つけた僕は、
名前を呼びながら手を振ってベールさんの元へと走る。
でも、その隣にもう一人女性がいるけど、誰だろう?
ベール
「エルクさん、久しぶりですわね。
お元気そうでなによりですわ」
エルク
「うん、久しぶり。 えっと、こちらの方は?」
チカ
「アタクシはリーンボックスの教祖の箱崎チカよ。
アナタがエルクね? ふーん・・・あまり強そうには見えないわね」
ライトグリーンの髪に黒のドレスを着たチカさんは、
自己紹介を終えると、まるで値踏みするかのように僕を見てそう言う。
ベール
「チカ、エルクさんに失礼ですわよ。
ごめんなさい、エルクさん。 本当はとてもいい子なのですが・・・」
エルク
「いいんだ、ベールさん。 気にしてないから」
ユリウス
「初めまして、だな。 私はユリウス。
エルクのホーリィクリスタルに宿る者だ。
以後、お見知りおきを」
ベール
「ユリウスさん・・・ですわね。
ええ、こちらこそよろしくお願いいたしますわ」
チカ
「なにもない所から人が・・・て、人なのかしら?
アタクシは箱崎チカよ。 まあ、よろしく・・・」
ベール
「では、自己紹介も済んだところで、そろそろ行きましょう」
そう言って僕達を教会に案内するベールさん。
こうして接してみると、優しいお姉さんって感じだ。
僕に姉がいるとこんな感じなのかな?
ベールさんとチカさんについて行き、長い下りのエスカレーターに乗って駅を出る。
ベール
「ようこそ、わたくしの国リーンボックスへ!」
そして、駅の自動ドアを開いて外へ出ると、
快晴の空の下に広がるリーンボックスの風景が、僕の目に写った。
ベールさん達の住む教会はもちろん、大きな建造物や
道路を挟んだ先にあるゲームショップのショーウィンドウに並べてある
ゲームハードも、遠目から見ても他国に比べて大きい物が目立つ。
あれはリーンボックス製のゲームハードだろうか。
こうして見てみると、ネプテューヌの言う通り色々大きな国だ。
ベール
「どうですか、わたくしの国は?」
エルク
「うん。 第一印象は国土や国内のあらゆる物が大きいって感じの国だけど、
それだけじゃなくて、扱いやすさも工夫されてて空気も美味しくて、
とても住みやすい環境だなって思ったよ」
ベール
「ええ、そうでしょう!
やはり、大きいは正義! ですわ!」
そう言ってベールさんは胸を張る。
その時、その大きな二つの胸が大きく揺れた。
エルク
「う、うん。 そうだね・・・///」
ベール
「うふふ、どこを見てますの? エルクさん」
エルク
「エっ!? い、いや、見たっていうか見えたっていうか、その・・・///」
チカ
「エルク・・・アタクシのお姉様を変な目で見たら許さないわよ?」
ベール
「まあ、お顔を赤くしちゃって、カワイイですわね」
チカ
「まったく、これだから男っていうのは・・・」
エルク
「ご、ごめんなさい・・・」
ベール
「でも、わたくしの国をそう思ってくれて嬉しいですわ。
あちらに迎えの車を用意していますので、そちらで移動しましょう」
駅の入り口の近くに大きな一台の高級車が止まっていた。
先程僕の目の前を走っていた高級車よりも、さらに高級感がある。
確か・・・リムジンだっけ? 前に車の雑誌で読んだことがある。
ベール
「エルクさん、ユリウスさん、お乗りになって」
エルク
「うん。 ありがとう、ベールさん」
ユリウス
「心遣い、感謝する」
ベール
「気にしないでください。
貴方達はわたくしの大切なお客様なのですから。
さあ、中へどうぞ」
ベールさんにそう言われて車に乗ると、
中には白く細長いテーブルに十数人分座れるであろう席に、
敷き詰められた絨毯といったまるでVIPルームのような車内に、
僕は驚きつつも戸惑っていた。
エルク
「・・・なんていうか、凄いね。
こんな立派な車を用意してもらうと、逆に申し訳ないよ」
ベール
「先程も言いましたが、お二人は大切なお客様なのですから
これくらいのおもてなしは当然ですわ」
チカ
「まあ、せいぜいお姉様の優しさとご配慮に感謝することね」
ベール
「チカ」
チカ
「はーい・・・」
エルク
「ははは、うん。 ありがとう、ベールさん」
ベール
「ええ、どういたしまして。
では、教会までお願いしますわ」
運転手
「かしこまりました、グリーンハート様」
運転手の人が教会に向けて車を走らせているその道中、
車内ではベールさんからこれまでの出来事について聞かれた。
ベール
「エルクさんは、これまでどんな事を経験されたのですか?」
エルク
「プラネテューヌ、ラステイション、ルウィーでネプテューヌ達と力を合わせて
後は不思議な本に閉じ込められたりと色んな経験をしたよ」
ベール
「それは凄いですわね・・・。
でも、ネプテューヌ達から連絡で聞いた
初めて聞きましたが・・・」
ユリウス
「
チカ
「そんな物がなんで今の時代にあるのよ?
そもそも、古の時代っていつの事なの?」
ユリウス
「今から一万年前のゲイムギョウ界だ」
チカ
「一万年!? そんな昔の事をなんでアナタが知ってるのよ?」
ユリウス
「それだけ私が長生きしている・・・では、納得してはもらえないようだな」
チカ
「当然でしょう? 一万年前も前の事なんて、
ゲイムギョウ界の限られた歴史書にしか書かれていない事なのよ?
納得できるわけがないわ」
チカさんの言い分はもっともだ。
正直に言うと、僕もユリウスの事を知りたい。
エルク
「チカさん、ユリウスにだって何か深い事情があるんだと思うよ?
そうじゃなきゃ、隠す必要なんてないでしょ?
それに、自分からこんな話なんてしないだろうし」
チカ
「それは、まぁ・・・」
ベール
「チカ、エルクさんの言う通りユリウスさんには話せない事情がおありなんでしょう。
無理に詮索してはいけませんわ」
チカ
「お姉様がそう仰るのでしたら・・・」
ユリウス
「すまない、ベール、チカ、そしてエルク。
時が来たら必ず話すと約束する。
だから、今は待ってくれないだろうか」
ベール
「・・・ええ、分かりましたわ。
殿方が頭を下げて言うのであれば、わたくしからは何も言うことはありません。
チカもそれでもいいですわね?」
チカ
「アタクシもお姉様がいいのであればそれでいいです。
でも、その時が来たら包み隠さず話してもらうわよ!」
ユリウス
「ああ、心得た。 女神に誓って全てを話そう」
ユリウスにも言えないこともあるんだろう。
プラネテューヌで話した時もとても辛く、悲しい顔をしたのを僕は覚えてる。
僕に強くなってほしいって言ってたけど、それと関係あるのかもしれない。
ベール
「皆さん、見えましたわ。
あれがわたくし達の住むリーンボックス教会ですわ」
ベールさんが教会と呼んだそれは、白く大きな四角形の形をしていて、
それには光る緑の十字のラインのような模様が施された立派な建物だった。
エルク
「お、大きい・・・!」
ベール
「ふふ。 では、中へどうぞ」
教会の入り口で車から降りると、その大きさに僕は圧倒される。
プラネテューヌ、ラステイション、ルウィーの三国家の中で
随一の大きさを誇るその大きさに。
太陽の光に照らされ白く光るそれは、雄大さを物語っているようだ。
そして教会に入ると、壁は鮮やかな深緑で、壁や地面に施された装飾や模様は金と、
緑と金のコントラストが美しい教会だった。
そういえば、教会で働いている職員さん達の着ている制服って他国と同じっぽいけど、
あれは国ごとに色分けして区別しているのかな?
ベール
「どうですか、エルクさん? わたくし達の住む教会は」
エルク
「うん、気品を感じて凄く綺麗だよ」
ベール
「ふふ、ありがとうございます。
では、お部屋まで案内いたしますわ」
チカ
「さあ、こっちよ」
ベールさんとチカさんにそう言われるまま、
エレベーターに乗って降りた先にあったすぐそこの部屋があった。
どうやらこの部屋が、リーンボックスで過ごす僕の部屋のようだ。
ベール
「着きましたわ。 早速お入りになって」
エルク
「それじゃあ、お邪魔します」
その部屋の扉を開けて中に入ると、屋根付きの大きなベッドに大きなソファー、
そして高級な絨毯に敷かれており、テレビとテーブル、シャワーなどが完備された
ラステイション以上に豪華な部屋だった。
エルク
「・・・なんていうか、豪華だね。
本当に使っていいの、ベールさん?」
ベール
「ええ、あなたのためにご用意した部屋ですから。
・・・それとも、気に入りませんでしたか?」
チカ
「エルク、あなた・・・。
お姉様がここまでしてくださったというのに気に入らないなんて言ったら
バチが当たるわよ!?」
エルク
「い、いやいや! そうじゃありませんよ!
ただ、豪華だなって思っただけで、そんな・・・」
ベール
「それでは・・・」
エルク
「うん、ありがたく使わせてもらうよ、ベールさん」
ベール
「ええ、是非そうしてください!」
チカさんの剣幕にたじろいながらも、部屋を提供してくれたベールさんに感謝する僕。
エルク
「ねえ、ベールさん。
僕もベールさんに聞きたい事があるんだけど、いいかな?」
チカ
「・・・お姉様のスリーサイズ、なんて事を言いやがったら許さないわよ?」
エルク
「チカさんの目に僕はどう写ってるの・・・?
そうじゃなくて、リーンボックスには女神候補生様、ベールさんに妹っていないの?」
チカ
「ちょっと、アナタ! お姉様にそれは・・・」
エルク
「エっ、なに?」
ベール
「・・・うぅ・・・」(ジワ
すると突然ベールさんが涙目になる。
エルク
「ちょっ! ど、どうしたの、ベールさん!? なぜに涙目!?
ベール
「リーンボックスに女神候補生は・・・わたくしに妹ほいませんわ・・・」
チカ
「よりにもよってお姉様が一番気にしている事を・・・」
エルク
「で、でも、他の国にはいるのになんでリーンボックスだけいないの?」
ベール
「そんなことわたくしが聞きたいですわ!
ひどいです・・・わたくしが気にしている事を聞いてくるなんて・・・」
エルク
「ご、ごめんなさいあ、ベールさん!
ただ気になっただけで他意はないんだ!
僕に出来る事があったらなんでもするから許してよ、ね?」
ベール
「うぅ・・・本当に?」
顔を覆った両手の隙間から顔を覗かせて僕を見るベールさん。
そして、涙を拭ってその両手を僕の肩に置いてベールさんはこう言う。
ベール
「それでしたら、わたくしの弟になってくださいませんか、エルクさん?」
エルク
「エ? お、弟?」
チカ
「お、お姉様っ!? なにを言って・・・!」
エルク
「でも、ベールさんが欲しいのは妹でしょ?
僕は男だから妹にはなれないよ?」
ベール
「ええ、それは分かっていますわ。
でも、エルクさんのような優秀な方なら弟に欲しいと思いましたの。
ダメ・・・ですか?」
エルク
「いや、駄目っていうかなんていうか・・・」
ベール
「先程僕に出来る事があったらなんでもすると仰ったのに?」
エルク
「うっ、それは・・・」
ベール
「しかし、無理強いはよくありませんわね。
ごめんなさい、エルクs「そうじゃないんだ」え・・・?」
エルク
「別に嫌ってわけじゃないんだ。
弟になってくれって言われたのは初めてだったから、びっくしりちゃって・・・」
チカ
「まあ、確かに・・・」
エルク
「もし僕に姉がいたらどんな感じなのかなって思ってたんだ。
それに、ベールみたいな綺麗な人が姉だったら僕も嬉しいよ・・・///」
ベール
「それでは・・・!」
エルク
「うん。 僕でよかったら・・・その・・・・お願いします」
ベール
「はい! こちらこそ、よろしくお願いしますわ、エルちゃん!」
エルク
「うわっ!」
そう言いながらベールさんは僕に抱き着き、
そのまま僕の顔をその豊満な胸に押し当てながら喜ぶ。
別に嘘を言ったつもりは毛頭ない。
ネプギアやユニやロムちゃんとラムちゃんにお兄ちゃんと呼ばれるうちに、
自分に姉がいたらどんな感じなんだろうなと思っていたから。
でも、その矢先にいきなりベールさんから弟になってくれと言われた時は驚いたけど、
正直嬉しかった。
エルク
「ちょ、ベールさん・・・///」
ベール
「いけませんわ。
わたくし達は姉弟なのですからそのような他人行儀ではなく、
お姉ちゃんと呼んでくださいな」
エルク
「う、うん。 分かったよ、姉さん」
ベール
「うふふ。 はい、よく出来ました」
抱きしめた状態で僕の頭を撫でる姉さん。
これはこれで気持ちよくも心地いいけど、やっぱり恥ずかしい。
そして、これを見ているチカさんはきっと鬼のような形相をしてるんだろうなぁ。
だって、後ろから殺気にも似た妬みの感情が伝わってくるんだもん。
チカ
「(アタクシだってお姉様にハグされた事をがないのに!
男だか女だか分からないムダに整った端正なその化けの皮を剥がしてやるわ!)」
ベール
「エルちゃん♪」
エルク
「は、ははは・・・」
こうして僕は、リーンボックスで過ごす部屋と念願の?姉を得た。
なんだか色んな意味で大変な事になりそうだ・・・。
やっとリーンボックス編かぁ・・・。
ここまで来るのに約二年かかりました・・・。
我等が主人公エルクの体験入国編もこのリーンボックスで最後です。
さてと、この国ではどんなお話にしようかな?
あ、ちなみにエルクとユリウスとの会話に出てくる『』は、
心の中で会話しているという意味で使わせていただいてます。
ユリウスは普通の人(女神と関わりのある人物以外)には姿が見えず、声も聞こえないため、
「なに、あの人? 一人で喋ってて変な人・・・」
というのを避けるためにそうしています。
そして話は変わりますが、スマブラSPのオンライン対戦で
いまだにVIP部屋に行けない厳しい現実・・・。