光次元ゲイムネプテューヌ~聖なる祈りと極光の守護神~   作:EDENCROSS

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光ネプ第37話

《前回までのあらすじ》
リーンボックスに到着し、教会に赴いたエルク。
到着早々、早速仕事に取り掛かる。


♯ 37 姉さんと一緒

あれから僕達ははすぐにリーンボックス教会の執務室に行き、事務仕事に取り掛かった。

 

 

ベール

「では、分からないことがありましたらわたくしに聞いてくださいね、エルちゃん」

 

エルク

「うん、ありがとう、姉さん」

 

チカ

「・・・」

 

エルク

「(な、なんだろう・・・チカさんがパソコン越しに僕を恨めしそうに見てる・・・)」

 

チカ

「(ふふふ。 エルク、アナタの方にはわざと難しい仕事を回しておいたわ!

 さあ、無様に失敗してお姉様に愛想を尽かされるがいいわ!)」

 

エルク

「(・・・まあ、今は仕事に集中しよう。 後はこれを終わらせるだけだね)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルク

「・・・」

 

チカ

「(ふふふ、困ってる困ってる。

 このアタクシでさえ難しい仕事なんだから、

 ポッと出のアナタなんかに出来るわけがないわ!)」

 

エルク

「よし、これで終わりかな?」

 

チカ

「(えっ、早っ! 

 いいえ、所詮早かったというだけで、どうせ中身は何も・・・)」

 

エルク

「姉さん、一応出来たんだけど確認してくれないかな?」

 

ベール

「はい、分かりましたわ」

 

 

姉さんは、僕が終えた仕事の確認をするために隣に来た。

 

 

ベール

「ちょっと失礼しますわね」

 

エルク

「う、うん・・・///」

 

 

姉さんが近付いた瞬間、甘い香水の香りがした。

それに姉さんのこの体勢だと、む、胸の谷間が・・・///

 

 

エルク

「ど、どうかな、姉さん?」

 

ベール

「ええ、問題ありません。 完璧ですわ!」

 

チカ

「う、うそっ!? そんなはずないわ!

 エルク、アタクシにも見せなさい!」

 

 

そう言ってチカさんは、僕と姉さんの間を割って入り、パソコンを見る。

 

 

チカ

「・・・ホント、全部合ってる・・・」

 

ベール

「チカ、急にどうしましたの?」

 

チカ

「な、なんでもありませんわ、お姉様!

 オ、オホホホホ・・・」

 

エルク

「・・・そういえば、なんか仕事量が多かった気がする。

 それに、難しいものばかりだったような・・・」

 

ベール

「確かエルちゃんにやってもらう仕事を用意したのはチカ、あなたでしたわよね?」

 

チカ

「はい、お姉様に頼まれて・・・」

 

ベール

「ええ、その通りですわ」

 

 

ああ、なるほど。 なんとなく分かった。

 

 

ベール

「チカ、あなたわざとエルちゃんに難しい仕事を全て押し付けたのではなくて?」

 

チカ

「そ、それは・・・そのぉ・・・」

 

 

冷や汗をかき、明らかに動揺しているのが分かる。

 

 

ベール

「チカ?」

 

チカ

「そ、そう! これはエルク、アナタがどの程度出来るか試すためにやったのよ!

 あれだけの、しかも難しい仕事を完璧にこなすなんてなかなかやるじゃない!」

 

ベール

「はぁ・・・まったく、この子ったら・・・」

 

 

と、姉さんは呆れたようにため息を吐く。

まさに苦し紛れな言い訳だけど、そのお陰で勉強になったのは事実だ。

 

 

エルク

「そうだったんだ。 で、そのテストの結果は?」

 

チカ

「ええ、ギリギリ合格よ!

 これならお姉様の足を引っ張る心配もないわね」

 

エルク

「そっか、それはよかった」

 

チカ

「でも! この程度で満足してお姉様に迷惑かけたら承知しないわよ!」

 

エルク

「うん、肝に肝に命じておくよ。 ありがとう、チカさん」

 

チカ

「な、なんでアナタが礼を言うのよ・・・。

 まあ、わかればそれでいいわ。

 それじゃあ、アタクシは別の仕事があるからこれで失礼するわね。

 それではお姉様、また後で」

 

ベール

「ええ」

 

 

そう言ってチカさんはそそくさと執務室から出ていった。

 

 

ベール

「ごめんなさい、エルちゃん。

 チカは普段はとてもいい子なんですけど・・・」

 

エルク

「気にしないで、姉さん。

 確かに難しい仕事ではあったけど、その分勉強にもなったから」

 

ベール

「エルちゃん・・・」

 

エルク

「それに、もっと姉さんの役に立ちたいんだ」

 

ベール

「・・・ありがとう、エルちゃん。

 わたくしはいい弟を持ってとても幸せですわ」

 

エルク

「大袈裟だよ、姉さん」

 

ベール

「いいえ、大袈裟ではありませんわ。

 リーンボックスには女神候補生がいませんから、

 妹がいるネプテューヌ達がとても羨ましかったんです」

 

エルク

「姉さん・・・」

 

ベール

「でも、今はエルちゃん、あなたという弟がいますわ。

 ですから、わたくしはもうさみしくありませんわ」

 

 

満面の笑みでそう言う姉さん。

きっと、それは姉さんにとって大袈裟な話じゃなかったんだろう。

僕も初めてネプギアにお兄ちゃんって呼ばれたあの日、

最初は照れくさかったけど嬉しかった。

だから、姉さんの気持ちは分かる。

 

 

ベール

「では、今日の仕事は終わったことですし、ティータイムといきませんか?

 美味しい紅茶と茶菓子がありますの」

 

エルク

「うん、分かった」

 

 

僕と姉さんはパソコンの電源を落としたら後、姉さんの自室へ向かった。

そういえば以前、ネプテューヌ達がリーンボックスに遊びに行った時、

姉さんの自室はゲームで溢れかえってて、

その中にはBLっていう物があったって言ってたけど、BLってなんだろう?

実際に行ってみれば分かるかな?

 

 

ベール

「ここが、わたくしの自室です。 さあ、お入りになって」

 

エルク

「う、うん・・・お邪魔します」

 

 

そして、姉さんが扉を開いて僕を招き入れる。

するとそこには、どこもかしこもゲームハードとゲームソフトで溢れかえっており、

大きな戸棚の中にもそれらでいっぱいだった。

部屋の壁にはなにか剥がした後があるけど、その後からしてポスターかな?

・・・ネプテューヌの言った通り、姉さんは重度のゲーマーかもしれない。

 

 

ベール

「どうですか、わたくしの部屋は?」

 

エルク

「なんていうか、ゲームがたくさんあって凄いね。

 これも全部姉さんの私物なの?」

 

ベール

「ええ、そうですわ。 ゲームは女神の嗜みですから」

 

エルク

「そ、そうなんだ。

 ちなみに、1日何時間プレイしてるの?」

 

ベール

「だいたい、36時間ですわね」

 

エルク

「エ、36時間?

 それって、丸一日以上って事なんじゃ・・・」

 

ベール

「女神にとって徹ゲーなど当然のスキルですわ」

 

 

断言しよう、重度のゲーマーだ。

ゲームばかりしていたネプテューヌでさえ36時間プレイするなんて不可能だ。

ていうかイストワールさんがそうはさせないと思う。

重度のゲーマーの姉さんだからこそこなせる事なんだろうな。

 

 

エルク

「・・・」

 

ベール

「エルちゃん、どうかしまして?」

 

エルク

「あ、いや、女の人の部屋に入るのは初めてだから、緊張しちゃって・・・」

 

ベール

「ふふ、顔を赤くしちゃってカワイイですわね。

 けれど、わたくし達は姉弟なのですから緊張する事などありませんわ」

 

 

姉さんはそう言うけれど、実際初めてなのだからどうしてもそうなってしまう。

だって、姉さんは綺麗で美人だし、

それにこの部屋だって高級感溢れるいい香りがするし・・・。

 

 

ベール

「では、こちらへどうぞ。

 今、美味しい紅茶と茶菓子をご用意しますから、

 エルちゃんはイスに座って待っててくださいな」

 

エルク

「それなら僕も手伝うよ。

 姉さんばかりにしてもらうのも・・・」

 

ベール

「エルちゃんは優しいんですのね。

 でも、わたくしは好きでやっている事なので、気にしないでくださいな」

 

エルク

「・・・ありがとう、姉さん。 じゃあ、お言葉に甘えて」

 

ベール

「ええ、お任せください」

 

 

姉さんは部屋の奥へと消えていった。

 

 

エルク

「・・・」

 

 

あらためて部屋を見渡すと本当にゲームばかりだ。

リーンボックスのゲームハードとゲームソフトはもちろん、

プラネテューヌ、ラステイション、ルウィーの物まである。

このゲーム量を見ると、ネプテューヌ以上にゲームをしているだろうから

女神様の仕事は大丈夫なのかと心配になる。

チカさんの話では仕事の方は滞りなくきちんとやっているらしいけど、

1日、ていうか36時間もの長時間ゲームをしているのに、

どうやって仕事をしているんだろう?

 

 

ベール

「エルちゃん、お待たせいたしました」

 

 

そう思っていると、姉さんが紅茶と茶菓子を乗せたトレイを持ってきた。

 

 

ベール

「さあ、お熱いうちにどうぞ」

 

 

その紅茶と茶菓子を僕の前に出して姉さんが自分の座る席にも置いた後、

僕と向き合うように椅子に座る。

 

 

エルク

「ありがとう、いただきます」

 

 

僕はまず紅茶をいただく。

火傷しないように気を付けながらすすると、独特な爽やかな香りと

キリッとした渋味とスッキリとした後味が口いっぱいに広がった。

 

 

エルク

「美味しい! 姉さん、これはなんていう紅茶なの?」

 

ベール

「それはダージリンという紅茶ですわ」

 

エルク

「ダージリン?」

 

ベール

「ええ、紅茶の中でも特に香りを重視される紅茶で、

 香りを楽しむストレートティーで飲まれることが多く、

 わたくしのお気に入りの紅茶ですわ」

 

 

エルク

「そうなんだ。

 僕、紅茶は初めて飲んだけど、とても美味しいよ」

 

ベール

「ありがとうございます。 こちらの茶菓子もどうぞ」

 

 

姉さんが出したのは、黄色い生地に茶色の皮のようなものが乗ったお菓子だった。

なんだろう・・・初めて見る食べ物だ。

 

 

エルク

「ねえ、姉さん、この食べ物は?」

 

ベール

「これは、リーンボックスの名物のカステラというお菓子ですわ。

 甘いカステラにダージリンの渋味とスッキリとした味わいが

 とても相性がいいんですのよ」

 

 

このカステラというお菓子も姉さんのお気に入りのようだ。

リーンボックスの名物らしいけど、他国にもこういった名物ってあるのかな?

 

 

ベール

「そうだ、ユリウスさんもご一緒にどうですか?」

 

ユリウス

「そうだな。 折角のお誘いだ、いただくとしよう」

 

 

そう言ってユリウスは、その小さな両手でカステラを抱えると、

テーブルの上に座ってカステラを食べる。

 

 

ユリウス

「・・・うむ、これは美味いな」

 

ベール

「ユリウスさんのお口にも合ってよかったですわ」

 

 

確かにこのダージリンという紅茶とカステラの組み合わせは美味しい。

もちろんお世辞ではなく素直な感想だ。

それにしても、こうしてカステラを食べているユリウスがリスみたいでカワイイ。

そして、僕達は雑談などをしてティータイムを過ごした。

それからどれだけ時間が経っただろうか。

1時間? 2時間? 気が付けば時計が午後3時を指していた。

 

 

エルク

「姉さん、今日の分の仕事は全部終わったんだよね?」

 

ベール

「ええ、今日中にやるべき仕事は全て終わりましたわ。

 本当なら時間が掛かるものだったのですが、

 エルちゃんが優秀なお陰で早く終わらせる事が出来て助かりましたわ。

 でも、それがどうかしまして?」

 

エルク

「いや、これから剣の鍛練がてら危険種を討伐しようと思ってね」

 

ベール

「まあ、それは凄いですわね。

 それは毎日やっているんですの?」

 

エルク

「毎日っていうか、仕事が終わって空いた時間があったらそうしてるんだ。

 僕はもっともっと強くなりたいから」

 

ベール

「努力家ですのね、エルちゃんは」

 

ユリウス

「ああ、その甲斐あって、エルクの剣の腕は中々のものだ」

 

ベール

「そうなのですか。

 それでしたら、ヘイロウ森林なんてどうでしょうか?

 ギルドからの報告によると、凶暴なモンスターが現れたそうですから」

 

エルク

「ヘイロウ森林だね? ありがとう、姉さん。

 さっそく行ってみるよ」

 

ベール

「お持ちになって、エルちゃん。

 ヘイロウ森林の場所がどこか知っていますの?」

 

エルク

「うっ、知らないです・・・」

 

ベール

「では、わたくしが案内いたしますわ」

 

エルク

「エ? でも、いいの?」

 

ベール

「ええ、これから積みゲー・・・いえ、今日はもうお休みになろうと思いましたけど、

 可愛い弟の勇姿を見たいと思いまして」

 

エルク

「うん、分かった。

 それじゃあ、案内よろしくね、姉さん」

 

ベール

「はい、お任せください」

 

 

その日のうちに仕事を終わらせた僕は、

姉さんの案内でヘイロウ森林にいるモンスターの討伐へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまで!
にしても、前に比べて文字が段々少なくなっているのは気のせいでしょうか・・・?
リーンボックス編ということはあのゴールドサァドも登場します。
どうやってエルクと絡ませようかな・・・。

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