光次元ゲイムネプテューヌ~聖なる祈りと極光の守護神~   作:EDENCROSS

41 / 87
光ネプ第40話

《前回までのあらすじ》
ある男に会うため、アリオ高原にやって来たエルクとエスーシャ。
高原を進むなか、エルク達は一つの小屋を見つける。



♯ 40 誓いと約束

僕とエスーシャは、ワープ装置で例の男がいるとされる

アリオ高原の一番高い高台にたどり着いた。

こうして見ると、入り口で見た景色よりも見晴らしがよく、

まるでアリオ高原全体を見渡せるみたいだ。

だからこそ、ここに小屋を建てたのかもしれない。

 

 

エスーシャ

「着いたぞ、エルク。

 これが例の男が住んでいる小屋だ

エルク

「確かに人の気配を感じる・・・間違いないみたいだね」

 

エスーシャ

「よし、入るぞ」

 

 

エスーシャは扉の取っ手に手をかけてゆっくりと開く。

するとそこにあったのは、大きな壺のような物体だった。

 

 

エルク

「なんだろう、これ? 何かの道具かな?」

 

???

「あら、だ~れ~? お客様かしら?」

 

 

僕がそれに触れようとしたその時、

小屋の奥から小太りでピンクのノースリーブの服と、

イエローの半ズボンを穿いたスキンヘッドの男が出てきた。

 

 

???

「あら、エスーシャちゃんじゃない。

 どうしたの? あたしになにか用?」

 

エスーシャ

「ああ、錬金術師のお前に用があって来た」

 

エルク

「えっと・・・二人は知り合いなの?」

 

エスーシャ

「前に住んでいた街にあった酒場のマスターだった男だ」

 

ジン

「あたしはジン。 よろしくね、坊や」

 

エルク

「はじめまして、エルクと言います。

 こちらこそよろしくお願いします」

 

ジン

「あらぁ、礼儀正しくていい子じゃない! 気に入ったわ!」

 

エルク

「は、はぁ・・・」

 

 

両手を両頬に当てながら体を軽く捻りながらウインクするジンさん。

所謂お姉キャラってやつかな? 

ゲイムギョウ界には色んな人がいるんだな・・・。

 

 

エスーシャ

「数ヶ月久しぶりだな、ジン。

 あの酒場はどうした」

 

ジン

「あの酒場なら信頼できる知り合いの子に譲ったわ。

 前々からこっちに転職しようと思っていたから、いい機会だと思ってね」

 

エスーシャ

「そうか」

 

ジン

「で? こんな世話話をするために来たんじゃないんでしょ?」

 

エスーシャ

「ああ、イーシャの件で来た」

 

ジン

「・・・やっぱり、諦めてなかったのね・・・」

 

 

どうやらジンさんもエスーシャとイーシャさんの事を知ってるみたいだ。

 

 

エルク

「あの、ジンさん。 この大きな壺みたいなのってなんですか?」

 

ジン

「ああ、これ? これは壺じゃないわ。

 錬金釜って言って、錬金術に必要なものよ」

 

エスーシャ

「そういえばいつの間にそれを手に入れた?

 前は持っていなかったはずだが・・・」

 

ジン

「実はね、ある親切な女の子から貰ったのよ」

 

エルク

「女の子?」

 

ジン

「ええ、古風な喋り方をしたちょっと変わった子だったけど、

 とてもいい子だったわよ。

 もしかして、エルクちゃんのお知り合い?」

 

エルク

「いえ、前にルウィー駅で似た人に会ったことがあるから」

 

 

古風な話し方をする女の子・・・。

あれ以来会っていないけど、まさかね。

 

 

エスーシャ

「そんな奴のことなんて興味ないね。

 それより、イーシャの件だ。 ジン、頼めるか?」

 

ジン

「そうだったわね。 ええ、任せといて!

 ・・・て、言いたいとこなんだけど・・・」

 

エスーシャ

「なんだ、何か問題でもあるのか?」

 

ジン

「ええ、素材が一つの足りないのよ」

 

エルク

「それは、なんていう素材なんですか?」

 

ジン

「このアリオ高原の奥地に生えてる【エアリスの霊草】って言う素材よ」

 

エスーシャ

「ここにあるならお前がそれを取りに行けばいいだろう」

 

ジン

「それができるならとっくにやってるわよ」

 

エルク

「どういうことですか?」

 

ジン

「その【エアリスの霊草】が生えてる場所はね、

 上位危険種モンスターの縄張りなのよ。

 もしも、このか弱いあたしが行ったらいいエサになるだけよ」

 

エルク

「つまり、その上位危険種モンスターを倒さないと、

 【エアリスの霊草】は手に入らないってことですか?」

 

ジン

「そういうこと」

 

エスーシャ

「・・・そうか。

 なら、私とエルクの二人で取りに行こう」

 

ジン

「でも、本当に危険よ?」

 

エスーシャ

「危険なのは承知の上だ。

 新たな体を造ってそれに私の魂を移せば、イーシャにこの体を返すことが出来る。

 イーシャのためなら、どんなに危険だろうがやるだけだ」

 

ジン

「エスーシャちゃん・・・」

 

 

上位危険種・・・ジンさんの言っていることは本当だ。

以前プラネテューヌでそのモンスターを討伐する際、

ネプテューヌとネプギアの女神様はもちろん、

ギルドの名のあるハンター達と協力して行った時、

たった一体のモンスター相手に苦戦を強いられて被害が出たものの、

二人の女神様がいてなんとか倒す事が出来た相手だ。

僕とエスーシャは今から同等の力を持つであろうモンスターと戦おうとしている。

それだけエスーシャの意志と決意と覚悟が固く、

イーシャさんへの想いが強いってことなんだろう。

 

 

ジン

「・・・わかったわ、そこまで言うなら止めはしないわ。

 でも、無理だけはしないでちょうだい。

 あたしだって、イーシャちゃんと同じようにエスーシャちゃんの事も

 大切なお友達だと思ってるわ。

 だから、危ないと思ったら迷わず逃げなさい。

 いのちをだいじに、よ」

 

エスーシャ

「・・・ああ、分かった。

 この体はイーシャの体だからな。

 私も死ぬつもりはない」

 

 

そう言うと、エスーシャは先に小屋を出る。

 

 

ジン

「ねえ、エルクちゃん」

 

エルク

「はい、なんですか?」

 

ジン

「エスーシャちゃんのこと、お願いね。

 あの子、ああ見えて結構無理するタイプだから」

 

エルク

「そうなんですか?

 そういうふうには見えないですけど・・・」

 

ジン

「普段は何事にも無関心で興味ないなんて言ってるけど、

 イーシャちゃんの事になると周りが見えなくなっちゃうのよ」

 

エルク

「でも、それは・・・」

 

ジン

「ええ、わかってるわ。

 それもこれも、全てイーシャちゃんのためってことはね。

 だからこそ、あたしはあの子に無理しないで欲しいのよ。

 一人のお友達としてね」

 

エルク

「ジンさん・・・」

 

ジン

「あたしがまだ前にいた街で酒場のマスターをやってた時、

 どこで知ったのかエスーシャちゃんがあたしに錬金術で

 新しい体を造ることは出来るかと聞いてきた時は変な子って思ったけど、

 話を聞いているうちに可愛そうになってきてね。

 それで、あの子の力になってあげようって決めたの」

 

エルク

「それじゃあ、この錬金釜も?」

 

ジン

「さっきも言ったけど、それは女の子がくれたのよ。

 なんていったかしら、確か【禁忌錬金(オーバーアルケミー)】って言ってたかしら?

 その子が言うにはそれ相応の物があればなんでも造れちゃうらしいわ」

 

エルク

『【禁忌錬金(オーバーアルケミー)】・・・?

 ユリウス、これってもしかして・・・』

 

ユリウス

『ああ。恐らく、【古代魔法道具(アーティファクト)】だろうな』

 

 

ジンさん曰く、古風な話し方をする女の子からこの練金釜を貰ったって言ってたけど、

それがもし、ルウィー駅で会ったあの子だとしたら、あの子は一体何者なんだろう?

 

 

ジン

「エルクちゃん、どうしたの?」

 

エルク

「エ? ああ、なんでもないです。

 でも、なんでもってことは、人の体も造り出せるってことですか?」

 

ジン

「ええ、あたしもそれを聞いて驚いたんだけど可能らしいわ。

 本来ならそれで生物を造るのは禁忌とされてるんだけどね・・・。

 で、それに必要な素材のうちのひとつをその子から貰ったのよ。

 ほら、これ」

 

 

ジンさんが懐から取り出したのは、

淡いピンク色に光る美しい宝石のような丸い石だった。

 

 

エルク

「綺麗な石・・・。 ジンさん、これは?」

 

ジン

「これは【セフィロストーン】って言って、

 錬金術で生物を造り出すのに必要な超レアアイテムよ」

 

エルク

「その【セフィロストーン】と【エアリスの霊草】があれば・・・!」

 

ジン

「その通りよ。 でも、それだけにエスーシャちゃんはきっとまた

 無理無茶しちゃうんでしょうねぇ・・・。

 だって、これがやっと見つけた方法なんだから」

 

エルク

「大丈夫ですよ、ジンさん。

 エスーシャにそこまで無理はさせません。

 いざとなったら僕がエスーシャを守りますから!」

 

ジン

「あら! それは頼もしいわねぇ!

 あなた、男らしくて素敵よ。

 正直、あたしのタイプだわ。 うふふふっ・・・」

 

エルク

「エっ!? えっと、あの・・・」

 

ジン

「冗談よ、冗談。

 さあ、外でエスーシャちゃんが待ってるわ。

 あの子のこと、どうかお願いね」

 

エルク

「はいっ!」

 

 

僕は小屋を出て、外で待っていたエスーシャと合流する。

 

 

エスーシャ

「遅かったな。

 ジンと何か話でもしていたのか?」

 

エルク

「今から取りに行く【エアリスの霊草】がどんな物なのか聞いてただけだよ」

 

エスーシャ

「そうか、ならば早く行くぞ。

 夜になるとモンスターは狂暴になる。

 その前に奴を倒したい」

 

エルク

「分かった。 それじゃあ急ごう、エスーシャ」

 

 

僕とエスーシャは、【エアリスの霊草】が生えているとされる

アリオ高原の奥地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらく歩いたりワープ装置を使ったりして移動すること約一時間。

日が暮れ始め、だんだん辺りが暗くなってきた。

 

 

エルク

「結構奥まで来たけど、もうそろそろかな?」

 

エスーシャ

「そうだな・・・。

 っ! 見ろ、エルク。 恐らくあれだ」

 

 

エスーシャが指をさした所を見ると、なにやら白く光る花が群生していた。

 

 

エルク

「ジンさんの言ってた花の特徴と一致してる。

 じゃあ、あれが?」

 

エスーシャ

「ああ、あれが【エアリスの霊草】だろう」

 

 

早速僕達は【エアリスの霊草】を持ち帰ろうとそれに近づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                グオォォォォォッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルク·エスーシャ

「「っ!?」」

 

 

その時、頭上から大きな雄叫びが響き、上を見ると白く不気味な仮面をつけた

大きな魚のようなモンスターが現れ、それを見た僕とエスーシャは後退すると

僕達の前にゆっくりと降りてきた。

 

 

______________________________________

戦闘曲

ファイナルファンタジーⅦ

更に闘う者達

ボス戦闘曲

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

エスーシャ

「なるほど、上位危険種というのはこいつの事だったのか」

 

エルク

「知ってるの?」

 

エスーシャ

「奴はリヴィルヴル。

 以前ギルドの連中が話していたサーペントの上位種だ」

 

エルク

「上位種・・・エンシェントドラゴンの亜種のファフニールみたいなものか・・・」

 

エスーシャ

「だが、奴は上位種。 強さなら亜種のそいつよりも遥かに上だ。

 油断するなよ、エルク」

 

エルク

「・・・うん!」

 

 

僕とエスーシャはそれぞれ武器をコールして構える。

しかし、奴の仮面を見てみると、まるで武器か何かで傷付けられた痕があった。

きっと、他の人達もあの【エアリスの霊草】を求めて多くのハンターや冒険者達が挑んで

返り討ちにあったんだろう・・・。

 

 

エスーシャ

「だが、奴の付けているあの仮面、なかなか硬そうだな。

 私が奴の注意を引く。 エルク、壊せるか?」

 

エルク

「・・・やってみる」

 

エスーシャ

「よし、行くぞ!」

 

 

エスーシャはリヴィルヴルに斬り掛かるも、奴の硬い鱗によって防がれてしまう。

初撃を防がれたエスーシャは、一度距離を取って様子を見ることにした。

 

 

リヴィルヴル

「ッ!」

 

 

するとリヴィルヴルは、触手のようなものからエスーシャに向けて電撃を放った!

 

 

エスーシャ

「っ!」

 

 

エスーシャはそれを紙一重で回避した。

 

 

エルク

「エスーシャ!」

 

エスーシャ

「私なら大丈夫だ! お前は今のうちに奴の仮面を割れ!」

 

エルク

「分かった!」

 

 

リヴィルヴルの攻撃がエスーシャに集中している今のうちに、

僕は彼女の言う通り、奴の目の前まで迫る!

 

 

リヴィルヴル

「オオォォォッ!」

 

 

そんな僕に近づくな通り言わんばかりに電撃を放つが、

それを掻い潜りながら更に接近する!

 

 

エルク

「鎧徹し!」

 

 

納刀した神威を仮面に殴るように押し当てて、

右手の平で神威を叩きつけた事によって生じた打撃と衝撃を与える。

 

 

ビキキッ・・・

 

 

すると奴の硬い仮面が音を立ててヒビが入った。

 

 

 

リヴィルヴル

「グオオォォォッ!」

 

エルク

「うわっ!」

 

 

リヴィルヴルの力強い抵抗で押し戻された。

 

 

エルク

「後少しだったのに・・・!」

 

エスーシャ

「大丈夫か、エルク」

 

エルク

「うん、平気。 エスーシャは?」

 

エスーシャ

「あの程度、問題ない」

 

エルク

「ねえ、エスーシャ。

 なにもあの仮面にこだわらなくたって、直接奴を攻撃した方がいいんじゃない?」

 

エスーシャ

「・・・本来なら私もそうしたいが、そうもいかない理由がある」

 

エルク

「どういうこと?」

 

エスーシャ

「私の初撃が防がれたのを覚えているか?

 それは奴が付けているあの仮面にある」

 

エルク

「あの仮面に?」

 

エスーシャ

「ああ。 どうやらあれは、自分の守りを高める効果があるようだ」

 

エルク

「だからエスーシャの攻撃が効かなかったんだね。

 でも、本当にそんなことが・・・」

 

ユリウス

「エルク、奴のあの仮面からは何か特殊な力を感じる。

 エスーシャの言っている事も間違いではないようだ」

 

エスーシャ

「だが、さっきのお前の技で仮面にダメージが入ったことで

 奴の守りが弱まり、私の攻撃が効くようになった」

 

 

リヴィルヴルの体をよく見ると、あちこちに剣で斬られた痕があった。

いつの間に・・・。

 

 

ユリウス

「しかし、奴にダメージを与えるようになったとしても、

 やはりここは念を入れて破壊しておくべきだろうな」

 

エスーシャ

「私もユリウスに同感だ」

 

エルク

「所謂パーツブレイクってやつだね?

 けど、そうしようにもあの触手の電撃が厄介だ。

 まずはそれから片付けない?」

 

エスーシャ

「・・・そうだな、確かにあれがあっては面倒だな」

 

ユリウス

「決まったようだな」

 

エスーシャ

「なら、私も本気を出すとしようか」

 

 

エスーシャはそう言って右腕をあげると、黄金の光が彼女を包み込み、

その光の中から現れたのは、黄金の剣を携え右肩には翼を、

左手には黄金の盾を、そして足には黄金の具足と

頭に黄金の王冠のような物を装備して武装したエスーシャだった。

ゴールドサァドの中で最もエスーシャが黄金の戦士って感じがする。

 

 

エルク

「それがエスーシャのゴールドフォーム・・・」

 

エスーシャ

「行くぞ、エルク!」

 

エルク

「了解!」

 

 

そして、再び奴に向かって駆け出す!

リヴィルヴルは触手を伸ばして捕らえようとするも、

僕達はそれは避けながら相手の隙をうかがう。

 

 

エルク

「(今だ!) 輝剣·光牙!」

 

 

僕の放った光牙が、三本の触手に命中してそれを斬り落とす。

しかし、奴は僕を捕らえようと複数の触手を伸ばしてきた!

 

 

エルク

「くっ、しまった!」

 

 

また斬り落としてやろうとしたが、その数が多く捌ききれず捕まってしまう。

 

 

エルク

「ぐああぁぁぁぁっ!」

 

 

僕を捕らえたと同時に、強力な電撃が僕を襲う!

 

 

エスーシャ

「エルク! 邪魔だ、十六刀一閃!」

 

 

 

エスーシャの繰り出す十六刀一閃による十六の斬撃が自分に迫り来る触手と、

僕を捕らえているそれを全て斬り落とし、エスーシャは解放された僕の元まで駆け寄る。

 

 

エスーシャ

「エルク、大丈夫か!」

 

エルク

「う、うん。 なんとかね・・・」

 

エスーシャ

「これを飲め」

 

 

そう言ってエスーシャは、水色の液体を取り出してそれを僕に渡す。

 

 

エルク

「これは・・・?」

 

エスーシャ

「ポーションと言う回復薬だ」

 

 

エスーシャから受け取ったポーションを飲む。

すると体力が回復したのが分かる。

 

 

エルク

「ありがとう、エスーシャ。 助かったよ」

 

エスーシャ

「・・・お前に倒れられたら流石の私でも分が悪い。

 ただ、それだけだ」

 

エルク

「それにしても、あれだけ奴の触手を斬り落としたのに

 全く効いてないように見えるのは気のせいかな?」

 

ユリウス

「いや、気のせいではない。

 どうやら、奴が付けているあの仮面の能力で

 本体以外の受けるダメージを無効化しているのだろう」

 

エルク

「・・・やっぱり、まずはあの仮面を何とかしなきゃだね」

 

ユリウス

「しかし、それでは奴のあの触手が邪魔で近寄れんぞ」

 

エルク

「じゃあ、僕の拘束魔法(バインドリング)で!」

 

エスーシャ

「・・・いや、ここは私の魔法で奴の動きを封じよう」

 

エルク

「エスーシャ? でも・・・」

 

エスーシャ

「確かに魔法に関してはお前の方が上だろう。

 だが、奴の仮面にダメージを与えられるのもお前だ。

 ならここは私が奴の動きを封じ、お前が奴の仮面を叩いた方が効率的だ。

 だから、お前に任せるぞ、エルク」

 

エルク

「エスーシャ・・・。 うん、分かった! 任せてくれ!」

 

 

僕は立ち上がって構えを取る。

 

 

エルク

「ニノ型·刹那!」

 

 

そこから一気に加速し、リヴィルヴルとの間合いを詰めながら

伸ばしてきた触手を斬り払う。

自分に迫る僕を見て距離を取ろうと動き出すリヴィルヴル。

しかし・・・。

 

 

エスーシャ

「バイディング!」

 

 

エスーシャの拘束魔法バイディングでリヴィルヴルの動きを封じ、僕は跳躍して奴に迫る!

 

 

エルク

「(動けない今なら、絶対に外さない!)」

 

 

神威を納刀して水の魔力を集中させ、それに纏わせるように水の渦を作り出す!

 

 

エルク

「水氷剣·波濤断破ッ!」

 

 

逆手に持った神威を思い切り振り下ろし、

その水圧で圧殺するかの如くリヴィルヴルの仮面を叩き割った!

それによって、奴の守りが弱まり動きも鈍くなった!

 

 

リヴィルヴル

「ギャアァァァッ!」

 

エルク

「エスーシャ、今だ!」

 

エスーシャ

「ああ!」

 

 

エスーシャは、手にした黄金の剣を構えてリヴィルヴルに迫る!

 

 

エスーシャ

「行くぞ! 超究極武神破斬ッ!」

 

 

黄金の輝きを纏い繰り出される神速の斬撃が、リヴィルヴルを幾度にも斬り刻み、

トドメに放った強力な斬撃が大爆発を起こした!

 

 

リヴィルヴル

「グアアァァァッ!」

 

エスーシャ

「流石は上位危険種、そう簡単には倒れないか・・・!」

 

エルク

「だったら、今度は僕も一緒に!」

 

エスーシャ

「エルク・・・ああ、分かった。 共に行くぞ!」

 

 

僕とエスーシャは肩を並べて剣を天にかざす。

 

 

エルク·エスーシャ

「「輝くは金色の剣! 我等が魂剣と共にあり!」」

 

 

空中に展開した黄金の魔方陣から無数の雷が降り注ぎ、リヴィルヴルを貫く!

 

 

リヴィルヴル

「グッ! ギャッ! ガッ!」

 

 

そして、その魔方陣から雷が僕達の剣に落ちてそれが宿り、黄金に輝く!

 

 

エルク·エスーシャ

「「ライトニング·クルセイダーッ!!」」

 

 

剣を構えて突撃し、そのままリヴィルヴルを斬り裂いた!

 

 

リヴィルヴル

「グギャアァァァッ!!」

 

 

斬り裂かれたリヴィルヴルは、激しい轟雷に飲まれて粒子となって消え失せた。

 

 

エルク

「ふぅ・・・。 やったね、エスーシャ!」

 

エスーシャ

「ああ、お前もよく私に合わせたな。 いい腕だ」

 

エルク

「うん、ありがとう」

 

エスーシャ

「さて、邪魔者もいなくなったところで、早く【エアリスの霊草】を持ち帰るぞ」

 

エルク

「そういえば必要な数を聞いてなかったけど、いくつ必要なんだろう?」

 

エスーシャ

「とりあえず、可能な限り持ち帰るか」

 

エルク

「うん、そうだね。 それじゃあ、ジンさんの所へ帰ろうか」

 

 

僕達はそこに咲いてあった全ての【エアリスの霊草】を摘み取り、

それをひとつにまとめて持ち帰る事にした。

こうして持ってみると、まるでブーケみたいだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               ━ アリオ高原 ジンの小屋 ━

 

 

ジン

「お帰りなさい、二人とも! 無事でよかったわ!」

 

エスーシャ

「ジン、例の物を持ち帰ったぞ」

 

エルク

「必要な数を聞いてなかったから、あった分だけ取ってきたんですけど、 

 これで足りますか?」

 

ジン

「まあ、すごい数! ええ、これだけあれば十分よ、エルクちゃん!」

 

 

僕はジンさんに全ての【エアリスの霊草】を渡した。

 

 

ジン

「わっ、重いわね・・・」

 

エスーシャ

「ジン、早速頼む」

 

ジン

「ええ、任せといて!」

 

 

そう言うとジンさんは、置いてあった錬金釜に僕達が取ってきた【エアリスの霊草】と、

ジンさんは用意していた【セフィロストーン】を入れた。

 

 

エスーシャ

「イーシャ、もう少しだ・・・!

 もう少しでお前を救える・・・!」

 

エルク

「エスーシャ・・・」

 

 

自分の拳を強く握ってそう言うエスーシャに、

僕は声を掛ける事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジンさんは意識を集中して錬金釜に触れて魔力を流し込み、錬金術を行っている。

錬金術に関しては素人でうまく行っているかわからないけど、

どうやら順調に進んでいるようだ。

 

 

 

ジン

「いいわよいいわよ! この調子なら・・・きゃっ!」

 

エルク·エスーシャ

「うわっ!「くっ!」」

 

 

そう思っていたその時、当然練金釜が眩しく光出した!

 

 

エスーシャ

「ジン、一体何が起きている!?」

 

ジン

「わからないわよ! 今までこんなことはじめてなんだから!」

 

エルク

『ユリウス、これって・・・!』

 

ユリウス

『・・・恐らく、今回使った素材の力が強すぎて互いの力がぶつかり合い、

 暴走を起こしているのだろう!』

 

エルク

『どうしたらいの!?』

 

ユリウス

『これを押さえ込むにはより強大な魔力が必要だ。

 それを流し込む事で二つの力が弱まり、錬成出来るはずだ!』

 

エルク

『分かった!』

 

 

僕はユリウスの言葉に従って、それをジンさんに伝える!

 

 

エルク

「ジンさん! それに魔力をたくさん流し込んで!」

 

ジン

「ど、どういうこと、エルクちゃん!?」

 

エルク

「使った素材の力が強すぎて互いにぶつかり合ってるんだ!

 そうする事で力が弱まって錬成出来るようになるはずだから!」

 

ジン

「あなた、なんでそんなことを・・・?」

 

エスーシャ

「ジン、今はエルクの言う通りにするぞ!」

 

ジン

「ええ、わかったわ! エスーシャちゃん!」

 

 

激しく光り、暴走している練金釜に両手で触れて、僕達三人分の魔力を流し込む。

 

 

ジン

「うっ、ダメね・・・あたしの魔力じゃとても・・・」

 

エスーシャ

「・・・私もさっきの戦闘で魔力が・・・!」

 

 

ジンさんと、先程の戦闘で消耗した僕とエスーシャの魔力では押さえる事が出来ない。

 

 

エルク

『ねえ、ユリウス。

 もしこのままの状態が続いたらどうなるの?』

 

ユリウス

『・・・このまま続くと、互いの力が反発し合って大きな爆発を生む事になる!

 古代魔法道具(アーティファクト)でも耐えられん!』

 

エルク

『そんな! エスーシャがイーシャさんを救う一心でやっと見つけて

 ここまできたのに!』

 

エスーシャ

「くそっ、このままでは・・・!」

 

イーシャ

『エスーシャ、もういいの。

 このままだと貴方も危険だわ』

 

エスーシャ

『イーシャ、私はあの時あのまま死ぬはずだった。

 しかし、お前は禁呪を犯してまで私の魂をこの体に宿らせ救ってくれた。

 だから、今度は私がお前を救う番だ!

 それが・・・お前に立てた私の誓いでもあるから!』

 

イーシャ

『エスーシャ・・・』

 

ジン

「きゃっ!」

 

エルク

「うわっ!」

 

エスーシャ

「くっ!」

 

 

さらに暴走が増し、再び激しく光った閃光による衝撃で吹き飛ばされて、

僕達は壁に叩き付けられる。

 

 

イーシャ

『エスーシャ!』

 

エスーシャ

「大丈夫だ・・・お前のためなら・・・!」

 

エルク

「・・・エスーシャ、ここは僕に任せて。

 君は気絶したジンさんをお願い」

 

エスーシャ

「エルク・・・? 何をする気だ」

 

エルク

「正直僕の魔力もそう多くない。

 でも、僕にはホーリィクリスタルがある。

 その魔力を使って押さえ込む!」

 

ユリウス

「よせ、エルク!

 そんな事をすればホーリィクリスタルの魔力を大きく消費する事になり、

 そなたの体に大きな負荷が掛かる事になる!

 そうなれば、そなたの命の危険が伴う事になるぞ!」

 

エスーシャ

「そうだ! これは私とイーシャの問題だ!

 これ以上、関係ないお前がそんなことをする必要はない!」

 

エルク

「関係なくなんてないよ。 だって、僕達仲間でしょ?

 その仲間が困ってるなら力になりたい。

 それに、エスーシャはイーシャさんを救いたくて色んな方法を模索して

 それを見つけて、あと一歩の所まで来たんだ!

 このままここで終わるなんて、僕は嫌だっ!」」

 

エスーシャ

「エルク・・・お前・・・!」

 

ユリウス

「エスーシャ、エルクは仲間や大切な者のためなら、

 例え自分の命を賭してでも助けようとする。

 そう言う男なのだ」

 

エスーシャ

「・・・っ!」

 

 

エスーシャは地面に両手を付き、うつ向きながらそれを強く握り締めて言う。

 

 

エスーシャ

「エルク・・・頼む・・・!

 私に・・・力を貸してくれ・・・!」

 

 

うつ向いているため表情は見えないが、

声を震わせながら言っているのでエスーシャの気持ちが分かる。

自分が立てた誓いのため、彼女を救いたいが自分の力ではどうすることも出来ない。

それが悔しくて、許せないんだろう。

僕もエスーシャのこれまでの努力を無駄にしたくはない。

なにより、仲間が助けを求めているなら、僕は命を賭けて助ける!

 

 

エルク

「うん、任せてくれ! 君の想い、絶対に無駄にはしない!」

 

 

エスーシャの肩に手を置いてそう言った僕は、

今にも爆発しそうに暴走している練金釜に両手で触れる。

 

 

エルク

「ユリウス、頼むよ」

 

ユリウス

「エルク、本気なのだな・・・?」

 

エルク

「うん、本気も本気。

 エスーシャと約束したんだ、最後まで協力するってね」

 

ユリウス

「・・・そうか、ならば私からはもう何も言わん。

 では、ホーリィクリスタルの魔力を一時的に解放するぞ!」

 

 

ユリウスはホーリィクリスタルの魔力を解放する。

するとリミッターが外れたためか、膨大かつ莫大な魔力が

まるで僕を押し潰そうと一気に流れ込んできた!

 

 

エルク

「~~~~~ッ!!(なんて魔力の量だ! 押し潰されそうだ!

 でも、負けるもんか! イーシャさんを想うエスーシャのためにも!)」

 

 

必死に魔力を操作し、練金釜に魔力を流し込む。

最初に比べ光りも少こし収まり、だんだん安定してきている。

でも、まだまだ気は抜けない。

一瞬の油断や緩みでまたさっきみたいに暴走しかねないからだ。

 

 

エルク

「ユリウス! あとどれくらい!?」

 

ユリウス

「練金釜が安定し始めている・・・。

 エルク、もう少しだ!」

 

 

もう少し、その少しがどのくらいの時間を意味しているのだろうか。

僕の体には血管が浮き出て激しく脈を打ち、まるで軋むかのような感覚と痛みが襲い、

体が悲鳴を上げているのが分かる。

 

 

エルク

「ぐっ・・・あっ・・・!」

 

ユリウス

「エルクっ!」

 

 

しかし、次の瞬間音を立てて血管が切れて血が吹き出した!

目眩も立ち眩みもし始め、正直これ以上耐えれられそうにない。

でも、僕は絶対諦めない!

 

 

エスーシャ

「っ! もういい、エルク! このままではお前は本当に・・・!」

 

エルク

「嫌だ!」

 

エスーシャ

「っ!!」

 

エルク

「エスーシャは・・・今までずっとイーシャさんのために色んな方法を探したんでしょ!?

 ここで諦めたら君は絶対に後悔する事になる!

 僕は絶対に諦めない! お願いだから・・・エスーシャも諦めずに、僕を信じて!」

 

エスーシャ

「エルク・・・! お前はどこまで・・・!」

 

 

血が流れて体中を駆け巡る痛みに耐えながら、僕はエスーシャにそう言う。

そこからさらに魔力を込めると、突然僕の体が光出した!

 

 

エスーシャ

「な、なんだっ!?」

 

ユリウス

「これは・・・ホーリィクリスタルの光!」

 

 

僕を包み込む優しい光が、さらに輝き出す。

 

 

エルク

「(ホーリィクリスタル・・・君もエスーシャの力になりたいんだね?

 じゃあ、一緒に行こう!)」

 

 

そして、その光が次第に小屋全体を包み込む程の大きな光となり、

それに比例して僕の魔力も大きくなる!

 

 

エルク

「うおおぉぉぉぉぉっ!!」

 

 

練金釜にありったけの魔力を注ぎ込むと、

その瞬間白く眩しい光が、僕を含めたその場にいる皆をさらに包み込むと、

練金釜が点滅するように光ると、まるで弾けるように激しい閃光が起きた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

  ───────────────────────────────────

 

       ──────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       ──────────────────────────

 

  ───────────────────────────────────

 

───────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスーシャ

「・・・クっ! エルクっ!」

 

エルク

「う、うーん・・・」

 

 

誰かが僕の名前を呼ぶ声がする。

その声を聞いて目を開くと、そこにはジンさんとローブを纏ったエスーシャがいた。

ちなみに僕は腕や足などに包帯を巻かれ、治療してもらった状態である。

どうやらジンさんも回復魔法が使えるみたいだ。

 

 

エルク

「エ・・・スーシャ・・・? それに・・・ジンさんも・・・。

 っ! そうだ! 錬金術はどうなったの!?」

 

ジン

「安心なさい、エルクちゃん。 あなたのお陰で成功したわ」

 

エルク

「エ? それじゃあ・・・!」

 

エスーシャ

「ああ。 イーシャ、来てくれ」

 

 

小屋の扉が開き、入り口の方に振り向くと、

ヌマンさんとレディさん、そしてイーシャさんが入ってきた。

髪の色と服装は同じだけど、エスーシャの赤い目に対して、緑の目をしていた。

 

 

ヌマン

「いやー本当にワンダフルでミラクルだよ!

 まさかイーシャと対面できる日が来るなんてさ!」

 

レディ

「それもこれもみーんなエルクちゃんのお陰ねん!

 本当に感謝してるわん!」

 

エスーシャ

「ああ。 エルク、お前には感謝している。

 本当に、なんと言ったらいいか・・」

 

エルク

「エスーシャ・・・」

 

ジン

「まったく、エルクちゃんも無茶するわねぇ。

 まあ、気を失ってなんの力にもなれなかったあたしが偉そうに言えないけどね」

 

エルク

「そんなことないですよ。 ・・・そういえば、あの練金釜は?」

 

ジン

「さあ? 気がついたらなくなってたのよ。

 これで、あたしの短い錬金術師生活も終わりね・・・」

 

エルク

「ジンさん、その・・・ごめんなさい」

 

ジン

「いいのいいの! 気にしないで!

 別にエルクちゃんのせいじゃないし、

 お陰でエスーシャちゃんの願いを叶えることができたんだし、万々歳よ!」

 

エルク

「ジンさん・・・」

 

ジン

「そんなことより、今はあの子達の感動の再開を喜びましょっ!」

 

エルク

「・・・はい、そうですね」

 

エスーシャ

「イーシャ・・・遅くなってすまなかった・・・。

 だが、これでようやくお前とこうして話すことができる」

 

イーシャ

「・・・」

 

エルク

「イーシャさん・・・? どうしたんだろう・・・」

 

ジン

「きっと、自分の体からエスーシャちゃんの魂が離れたことで、

 イーシャの魂が少し不安定になってるんだわ」

 

ヌマン

「おいおい、それって大丈夫なのかい!?」

 

ジン

「大丈夫よ、一時的なものだから心配しないで」

 

エルク

「そっか、よかったぁ・・・」

 

 

涙を流しながらイーシャさんに抱き着くエスーシャを見て、僕は本当にそう思った。

今はその副作用みたいなもので話す事が出来なくても、すぐに言葉を取り戻すだろう。

だって、あんなにも自分を想ってくれるヌマンさんが、レディさんが、

そしてエスーシャがいるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルク

「それじゃあ皆、僕はこれで」

 

レディ

「ええ。 またね、エルクちゃん」

 

ヌマン

「オイラからも礼を言うよ。 本当にありがとう」

 

ジン

「エルクちゃん、あなた錬金術の才能があるかもしれないわね」

 

エルク

「いやいや、そんなことは・・・」

 

ジン

「そう? もったいないわねぇ・・・」

 

エスーシャ

「エルク」

 

 

そう名を呼ばれ、エスーシャの方を見ると、イーシャさんと同じ服を着ていた。

 

 

エスーシャ

「お前には大きな借りができたな・・・」

 

エルク

「借りだなんて、そんな・・・。

 僕はただ、君の力になりたくて協力しただけだよ」

 

エスーシャ

「そうか、それがお前ということか・・・」

 

エルク

「エ?」

 

 

それが僕ってどういう意味だろう?

 

 

イーシャ

「・・・」

 

エルク

「イーシャさん?」

 

 

そう思っていると、イーシャさんが見つめるように僕に前に立つ。

さっきの事が影響してまだ話す事が出来ないみたいだけど、

その穏やかで優しい顔を見ると、何を思っているか分かる。

それはきっと、ありがとう、だ。

それに対して僕は「どういたしまして」と返事をした。

そして、僕は皆に別れを告げて、リーンボックス教会に戻るためにその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスーシャside

 

エルク・・・まったく不思議な男だ。

今日会ったばかりの見ず知らずの私のために己の命を危険にさらすのだからな。

だが、そのお陰でイーシャとの約束を果たせ、今、こうして共にいることができる。

さっきも言ったが、お前には大きな借りができたな。

この借りはいつか必ず返す。 

だから、それまで死ぬなよ、エルク。

 

 

エスーシャsideend

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               ━ リーンボックス教会 ━

 

 

エルク

「ただいま、姉さn「エルちゃんっ!」おわっ!?」

 

 

僕が教会に戻ったのとほぼ同時に、姉さんが勢いよく駆けて寄ってきた!

 

 

エルク

「ね、姉さん!?」

 

ベール

「エルちゃんがあまりにも帰りが遅いので心配したんですのよ!?

 こんなになって・・・一体何があったんですの?」

 

エルク

「姉さん・・・うん、ごめん、心配かけて。 実は・・・」

 

 

僕は、エスーシャが錬金術で新しい体を造るのに協力した事を説明した。

 

 

ベール

「そうですか・・・エスーシャに会って欲しいとお願いしたのはわたくしですが、

 まさかそのような事があっただなんて・・・」

 

エルク

「遅くなってごめんね、姉さん。

 でも、放っておけなかったんだ・・・」

 

ベール

「自分がこんなになるまでがんばるなんて・・・。

 わたくしもエルちゃんのこと、放っておけませんわ!」

 

 

そう言うと姉さんはいきなり僕を抱きしめた!

 

 

エルク

「ちょ、ちょちょっ! 姉さん///!?」

 

ベール

「エルちゃんは人のためとなるとすぐ無茶をしますわ!

 貴方は優しい子だということは分かってはいます。

 しかし、少しは自分のことも大切にしてくださいな。

 わたくし、とても心配ですわ・・・」

 

エルク

「姉さん・・・」

 

ベール

「ですから、今はしばらくこのままでいさせてください・・・」

 

 

僕を抱きしめる姉さんの両腕が少し震えているのが分かる。

それだけ姉さんは僕のことを心配してたんだろう。

そんな姉さんの頭を、僕はもう心配ないよと優しく撫でる。

こんなにも自分を心配してくれるなんて、

僕はありがたいと同時に親不孝者ならぬ、姉不幸者だなと思った。

 

 

エルク

「ごめんね、姉さん。

 謝ってばかりだな、僕は・・・っ!?」

 

 

姉さんの熱烈なハグを受けていると、姉さんには見えていないが

妬み100%の目で僕を見ている。

いや、睨めつけているチカさんがいた。

 

 

チカ

「~~ッ!」(ゴゴゴゴゴ)

 

エルク

「・・・っ!」

 

チカ

「~~~~ッ!!」(ゴゴゴゴゴゴゴ)

 

エルク

「・・・っ!!!」

 

 

な、なんて目をしているんだ・・・!

今まさに目からビームが出そうだ!

・・・あれを血眼って言うんだろうか・・・。

だって、目がすんごい充血してるんだもん・・・。

 

 

ベール

「どうしましたの、エルちゃん?」

 

エルク

「エっ!? な、なんでもないよ、姉さん!

 は、ははははは・・・」

 

 

チカさんに睨めつけられながら、そして姉さんに抱きしめられながら冷や汗をかく僕だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前回の投稿から一ヶ月以上経ちました・・・。
遅くなってすみませんでした!
そして超絶今更ですが、ペルソナ5のジョーカー、スマブラSP参戦おめでとう!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。