光次元ゲイムネプテューヌ~聖なる祈りと極光の守護神~   作:EDENCROSS

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光ネプ第71話

《前回までのあらすじ》
皆の前に姿を現したクロノスと一騎討ちとなったエルク。
何故か彼女が持っていたとされる記憶を取り戻したが、
アフィモウジャスとステマックスの助けにより、
一行はアフィベースに気を失ったエルクを乗せてその場を離脱するのであった。


♯ 71 ユリウス

           ━ アフィベース ブリッジ ━

 

 

気を失ったエルクを運び、アフィモウジャスが保有する戦艦アフィベースのブリッジに、

ネプテューヌ達は居た。

そこには大きな艦長席があり、10席の操縦席、そして前360度見渡せるブリッジから

それまでの天候が曇りに変わり、大きな暗雲が視界を覆い尽くしていた。

 

 

エルク

「・・・」

 

 

ブリッジに運ばれ横になっているエルクは、

まるで深い眠りについているかのようだった。

そしてネプテューヌは、コンパとロムに回復魔法で治療を受けている彼の手を取り、

他の仲間達も心配そうに看ることしか出来なかった・・・。

 

 

ネプテューヌ

「エルくん・・・」

 

ネプギア

「お姉ちゃん・・・」

 

うずめ

「今はそっとしておいてやろうぜ、ぎあっち。

 俺だってえるっちの事は心配だが、今はどうすることもできねえからな・・・」

 

 

自分の姉の事はもちろん、大好きな義理の兄であると同時に

異性でもあるエルクの事が心配である。

いつも優しく時には自分を励まし勇気付けてくれる彼が、

目に前で目を覚まさずに横たわっている。

特にネプテューヌにいたっては常に元気いっぱいでハイテンションな姉が

こんなにも悲しい顔をするのかと、ネプギアは心の中でそう思った。

 

 

アフィモウジャス

「・・・あの黒い巨人を倒したと思いきや、

 よもやエルクがこのような状態になっていようとはな・・・。

 お主達が相手にしているクロノスと言う者、やはりただ者ではなさそうじゃな」

 

ステマックス

「拙者も実際にその者と対峙したで御座るが、

 見た目は小さな少女でもかなりの圧力を感じたで御座る」

 

イストワール

「あれほどの巨人を造り出せるのでしたら、その力も納得ですね・・・」

 

海男

「ああ。 そしてその正体が古のゲイムギョウ界に混沌を招いた

 闇の女王(オプスキュリア)だったとは・・・」

 

ユリウス

「・・・」

 

重く苦しい空気の中、アフィモウジャスが口を開いき、

ステマックス、イストワール、海男がそれぞれ続いて会話する。

クロノスの強さ、それは対峙したで者だけが知っている。

いや、思い知らされた。

加えて力の半分も出していなかったため、彼女の実力はまだまだ未知数である。

 

 

イストワール

「アフィモウジャスさん、敵の追撃は?」

 

アフィモウジャス

「うむ、今のところレーダーに敵影を捕捉しておらん。

 どうやら撒いたようじゃな」

 

ブラン

「撒く、と言うよりも見逃してもらったと言った方が正しいわね」

 

ノワール

「・・・そうね。 悔しいけど、ブランの言う通りだと思うわ」

 

ロティ

「あたしたちは師匠みたいに戦ったわけじゃないけど、

 あいつの力はあんなものじゃないと思うよ」

 

ビーシャ

「うん。 結界に閉じ込められてたけど、それ越しに伝わってきた圧がすごかった」

 

イーシャ

「そんな相手をエルクさんは一人でも戦っていたんですね・・・」

 

ユニ

「神衣化・・・だっけ?

 あの状態のお兄ちゃんでもまったく歯が立たなかった」

 

ベール

邪力(タナトス)を通して視ていたと言っていましたが、どういう意味なのでしょうか?」

 

シーシャ

「そのままの意味だと思うよ。

 奴はそれであたし達やエルク君のこれまでの戦い方を視ていたんだ」

 

エスーシャ

「だから、エルクの技が奴に通用しなかったということか・・・」

 

ロティ

「そんな・・・それじゃあどうしようもないじゃん!

 それって、あたしたちの事全部あいつに知られてるってことでしょ!?

 そんなのってずるいよ・・・!

 何かにする前に負けてるみたいじゃん・・・!

 あたし悔しいよ、師匠をこんなにした奴に手も足も出ないなんて・・・!」

 

シーシャ

「ロティちゃん・・・」

 

ラム

「わたしもロティと同じ気持ちよ!

 あのクロノスってやつ、許せないわ!」

 

ロム

「わたしもおにいちゃんの仇をとる!(ぐっ)」

 

うずめ

「仇はともかく、その意気だぜ二人共」

 

ネプテューヌ

「ねえコンパ、エルくんの様子はどう?」

 

コンパ

「さっきの戦闘で受けた傷は治って命に別状はないです。 でも・・・」

 

ネプギア

「でも・・・なんですか、コンパさん?」

 

コンパ

「理由は分かりませんが、なぜか目を覚まさないです。

 体のどこにも異常はないですが・・・」

 

ネプテューヌ

「そう・・・。 ありがとう、コンパ、ロムちゃん」

 

アイエフ

「それじゃあ、なんでエルクは起きないの?

 どこにも異常はないんでしょ、コンパ」

 

コンパ

「はいです。 きちんと検査したので間違いないです」

 

ノワール

「なら、なんで・・・」

 

クロワール

「そりゃあやっぱ、クロノスの奴が関係してるんじゃねえか?」

 

ネプテューヌ(大)

「どういうこと、クロちゃん?」

 

クロワール

「思い出してみろよ。 あいつがエルクに触れた瞬間何をしたか知らねえが、

 急に頭抱えて苦しみだしただろ?」

 

ケーシャ

「そういえばあの時、エルクさんの記憶がどうとか言ってましたね」

 

アイエフ

「でも、その記憶って確か・・・アルトスって言う集落で暮らしていた記憶だったかしら」

 

イストワール

「はい、わたしもエルクさん本人からそう聞いています」

 

ネプギア

「あれ? だとしたら少し変じゃないですか?

 記憶を失っているお兄ちゃんのそれをクロノスが知っているなんて・・・」

 

イーシャ

「まるでエルクさんの過去を知っていると言うより、

 奪ったって言う意味に聞こえましたね」

 

アイエフ

「記憶を奪った? 一体何のために?

 っていうかそんなことが本当にできるの?」

 

クロワール

「まあ、オレもイーシャと同じ感じだな。

 でもオレたちがここでうだうだ考えるより、

 あいつを知ってる奴に聞けばいいんじゃねえか?

 なあ、ユリウスの旦那?」

 

ユリウス

「・・・」

 

ブラン

「ねえ、教えてユリウス。 あなたとクロノスの事を」

 

ユリウス

「・・・ああ、そうだな。

 だがそれは教会へ戻ってからでいいだろうか。

 もったいつけるわけではないが、エルクの事もある。

 落ち着いた場所で話がしたい」

 

 

クロワールの言葉に皆がユリウスに振り向き、

それに続いてブランがユリウスにそう問う。

これまで沈黙を貫いていたユリウスは、重い口を開いて皆にそう言い、

一行を乗せたアフィベースはプラネテューヌ教会へと進路を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ━ プラネテューヌ教会 ━

 

 

教会に帰還した一行は、エルクを自室へ運んだ後リビングに集まっていた。

そこにはアフィモウジャスとステマックスの姿もあった。

 

 

アフィモウジャス

「ユリウス殿が話をする前に一応聞いておくが、

 我々もこの場にいてもいいのか?

 場違いなような気もするが・・・」

 

ステマックス

「確かに・・・。 拙者達には関係のない話なのでは?」

 

ノワール

「何言ってるのよ、あなた達が協力してくれたお陰で戦うことができたのよ?

 二人も十分関係者よ」

 

ユニ

「そうよ、ステマックス。

 それにあの時アンタが来てくれなかったら危なかったわ。

 助けに来てくれてありがとう」

 

ステマックス

「ユ、ユニ殿・・・!」

 

アフィモウジャス

「あいわかった! ならば我等もお主達の戦列に加わろう!

 今後必要とあらばいつでも声を掛けるがよい!」

 

ステマックス

「拙者も微力ながら協力させてもらうで御座る!」

 

ユニ

「アンタたち・・・」

 

ロティ

「これで、仲間が増えたね!」

 

イストワール

「はい、そうですね。 ではユリウスさん」

 

ユリウス

「ああ。 クロノスも言った通り、私は今から1万年前の旧ゲイムギョウ界で

 奴と、当時の四女神達と共に戦った極光の守護神だ」

 

アフィモウジャス

「1万年前とは・・・。 何とも途方もない話じゃな」

 

ネプテューヌ(大)

「うん、一体どんな世界だったんだろう」

 

ベール

「もちろん、それも気になりますが、それよりも初代四女神ですわね」

 

アイエフ

「そうですね。 確かエリスって言うのが、プラネテューヌの初代女神なのよね?」

 

ユリウス

「ああ。 そして、ソニア、ロッタ ヒルダはそれぞれラステイション、ルウィー、

 リーンボックスの初代女神だ」

 

ブラン

「ロッタ・・・やっぱり聞いたことのない名前ね」

 

ロム

「わたし、その人に会ってみたい。 絵本読んでくれるかな?」

 

ラム

「わたしもわたしも!

 きっとすごい魔法を使うに決まってるわ!」

 

ノワール

「エリス、ソニア、ロッタ、ヒルダ。

 この四人が私達の国の初代女神ってことね」

 

ユリウス

「そうだ。 そして私は彼女達と共に長きに渡り続いた聖魔戦役を駆け抜け、

 クロノスと戦って奴を封印した」

 

ネプテューヌ

「でも、エルくんの話だとはじめて会ったのはルウィーって聞いたけど、

 ユーくんはその時に気付かなかったの?」

 

ユリウス

「・・・あの時は当時の姿と魔力が異なっていたため気付かなかったが、

 今回の事で確信した。

 間違いなく奴は私と戦った闇の女王(オプスキュリア)だ」

 

うずめ

「聖魔戦役に闇の女王(オプスキュリア)か・・・。

 わけ分かんねえ事だらけで頭パンクしそうだぜ・・・」

 

プルルート

「そうだね~。 あたし眠くなってきちゃったかも~」

 

海男

「ユリウス、そもそも聖魔戦役とは一体何なんだ?

 名前からして大きな戦争だと言うことは理解できるが・・・」

 

ユリウス

「海男の言う通り、聖魔戦役とはゲイムギョウ界の命運を賭けた戦争だ。

 当時ホーリィクリスタルに選ばれその宿主となった私は、

 クロノス・・・闇の女王(オプスキュリア)の事を知り、エリス達と共に戦った。

 それは我等聖女神連合と、クロノスの使役する邪力(タナトス)モンスターとの

 天と地を埋め尽くす程の規模の大戦争だった」

 

ケーシャ

「天と地を埋め尽くすほどの大軍勢・・・。 今では想像できませんね」

 

ビーシャ

「子悪党同士の小競り合いが可愛く感じちゃうね」

 

シーシャ

「ゲイムギョウ界の命運を賭けた大戦争って言うくらいだ、

 かなりの犠牲者も出たんじゃない?」

 

ユリウス

「・・・ああ、戦いに志願した者、女神を信仰し忠誠を誓う者、その数は幾千万だという」

 

ロティ

「い、幾千万っ!? その戦争でそんなに人が死んだの・・・?」

 

ユリウス

「そしてそれは人々に限った話ではなく、

 それによって大地は荒廃し、草木と言った植物は全て枯れ果て、

 動物達も死に、加えて邪力(タナトス)による汚染もあり

 人類だけではなく全ての生命がそれを全うするには難しい環境だった。

 だが私達は、ホーリィクリスタルの光の力で邪力(タナトス)を浄化し、

 次にシェアエネルギーを集め、国を、そして大地を復興した」

 

ステマックス

「将軍も仰っていたで御座るが、1万年前にそのような出来事があったとは、

 途方もない話で御座るな」

 

ブラン

「ルウィーにあるゲイムギョウ界の歴史について書かれた文献通りね。

 そしてその後、あなたは四女神たちと一緒にゲイムギョウ界の平和を

 守っていったということね」

 

ユリウス

「・・・確かにそれにはそう書かれていたな。

 しかし、ひとつだけ間違いがある」

 

うずめ

「間違いってどういう意味だ?

 ゆりっちはそうしたんじゃないのか?」

 

コンパ

「そういえばあの時、クロノスがユリウスさんのことを卑怯者って言ってたです」

 

エスーシャ

「ああ、そんなことを言っていたな」

 

アイエフ

「それじゃあ、その事と何か関係してるってこと?」

 

ユリウス

「あの時、皆も奴からそう聞いたと思うが、

 私は一人ホーリィクリスタルに逃げ出した卑怯者だ」

 

海男

「ユリウスが卑怯者ってどういうことだ?」

 

ユリウス

「本来なら私も、そのままの彼女達と共にゲイムギョウ界の平和を守って行くべきだった。

 だが私は世界を復興した後、もう自分の役目は終わったと勝手に思い込み、

 全てを彼女達に押し付たのだ」

 

ネプギア

「それでもクロノスはあの時、ユリウスさんを卑怯者って・・・」

 

ユリウス

「クロノスの言葉に間違いはない。

 まったくもってその通りだ。

 勝手にそう思い込み、彼女達を信じることが出来なかった。

 全ては私の心の弱さのせいだ・・・」

 

一同

「「「「「・・・」」」」」

 

 

当時の出来事を聞き、それによって自分を責めるユリウスに、

その場に居る誰もが彼に掛ける声をなくす。

自分達が生まれ育った時代よりも1万年前という遥か昔の時代の出来事故に

想像しかできない彼女達がそうなるのも無理もなかった。

 

 

シーシャ

「・・・でも、もうひとつ気になる事と言えば、エルク君とクロノスの関係だね」

 

イーシャ

「はい、彼女はエルクさんの事を花婿と呼んでいましたが、

 ひょっとしてこれはエルクの失った記憶と何か関係があるのでしょうか?」

 

アイエフ

「確かにその可能性もあるわね」

 

ネプギア

「ユリウスさん、その・・・大丈夫ですか?」

 

ユリウス

「ああ、済まない。 私なら大丈夫だ。 ありがとう、ネプギア」

 

 

その沈黙を破るかのように、シーシャとイーシャとアイエフの三人。

そして自分を責め、傷心しているユリウスを気遣うように、ネプギアが声を掛ける。

 

 

ユリウス

「今は私の事などより、エルクだな。

 シーシャ達の言っていた通り、彼の記憶に関係している」

 

ネプテューヌ

「それじゃあ、ルウィーで会う前にクロノスはエルくんの事を知ってたってこと?」

 

ユリウス

「ああ。 と言っても、エルクは奴を知らないだろうがな」

 

ロティ

「あたしは新参者だからよく分からないけど、

 クロノスはどこで師匠のことを知ったの?」

 

ユニ

「そうよね。 お兄ちゃんも言ってたけど、あいつとはルウィーで初めて会ったって

 言ってたし、それ以外でどこで知ったんだろう?」

 

ユリウス

「ロティとユニの疑問は尤もだ。

 それはエルクは()()()()()()()()()()()からだ」

 

海男

「この時代の人間ではない・・・?

 それはどういう意味なんだ、ユリウス」

 

ユリウス

「言葉通りの意味だ、海男。

 エルクは聖魔戦役時代の・・・つまり1万年前の過去の人間だ」

 

 

ユリウスの言葉に、皆が驚きの声でざわめく。

自分の住んでいた場所の記憶を失い、女神や教祖達の知らない力を使って

邪力(タナトス)モンスターという未知の敵と戦っているという

これまで共に過ごしてきた者が、実は1万年前の人間だという

ユリウスの言葉を聞くまで知る由もなかったネプテューヌ達の反応は

当然のものだった。

 

 

ステマックス

「エルク殿が1万年前の人間・・・?

 ユリウス殿、それは真で御座るか?」

 

ユリウス

「ああ、紛れもない真実だ」

 

ネプギア

「そういえば、パソコンを初めて見たって感じだったよね・・・」

 

ネプテューヌ

「うん、特にテレビやゲームなんかは中に人が居るって驚いてたよね。

 最初はアルトスでの出来事を忘れたせいって思ってたけど、

 まさかそういうことだったなんて・・・」

 

イストワール

「では、アルトスという集落も・・・」

 

ユリウス

「ああ、それも実在した小さな集落だ。

 だがそこはただの集落ではなく、ある使命を持った一族の集落だ」

 

ブラン

「ある使命? それは邪力(タナトス)と関係しているの?」

 

ユリウス

「・・・こればかりは口頭よりも、実際に観てもらった方がいいだろう。

 皆、もう一度エルクの部屋へ行こう」

 

 

ユリウスの言葉に従い、ネプテューヌ達はエルクが眠っている彼の自室へと場所を変える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ━ プラネテューヌ教会 エルクの部屋 ━

 

 

エルクの部屋へ場所を移した一行は、彼の眠っているベッドを囲うように

その身を安じていた。

本来なら賑やかになる場所だが、しかし今はそのような状況ではなかった。

 

 

アフィモウジャス

「ユリウスよ、エルクの部屋で何をするというのだ?」

 

ユリウス

「今からホーリィクリスタルを通して、エルクの精神世界に入る」

 

コンパ

「それは、エルクさんの心の中に入るってことですか?」

 

アイエフ

「何気に凄いこと言ってるけど、本当にそんな事が出来るの?」

 

ユリウス

「ああ、可能だ。

 しかしそのためにはネプテューヌ、ノワール、ブラン、ベール、

 そなた達四女神の力が必要だ」

 

ロティ

「さっき観た方が早いって言ってたけど、そこで師匠の過去が観れるってこと?」

 

ユリウス

「ああ、だがそれだけではない。

 クロノスによって記憶を取り戻した事で、

 エルクは今、自分の心の奥底に眠っている状態だ。

 それと同時に集落で起きた出来事で闇に囚われている」

 

ノワール

「囚われてるって、どういうこと?」

 

ネプギア

「きっと、その出来事というのに関係しているんだと思いますよ」

 

ネプテューヌ

「どうすればいいの、ユーくん?」

 

ユリウス

「まず、私がホーリィクリスタルに干渉し、

 次にそなた達の持つシェアエネルギーでエルクの精神世界への扉を開く」

 

ベール

「精神世界・・・ですか。

 何が起きるか分かりませんわね・・・」

 

ブラン

「そうね。気を引き締めて行きましょう」

 

ユリウス

「では、協力してくれるか?」

 

ネプテューヌ

「うん、もちろんだよ!

 わたしの・・・わたしたちの力でエルくんを助けられるんなら!」

 

ノワール

「それに、私個人としてもエルクの過去を知りたい。

 彼と本当の意味で向き合うために!」

 

ブラン

「今までわたしたちは、エルクに助けられてきた。

 だから今度はわたしたちがエルクを助ける番ね」

 

ベール

「ええ、迎えに行きましょう。 皆で一緒に!」

 

 

四女神のその言葉に、皆が強く頷く。

 

 

アフィモウジャス

「では、ワシとステマックスは戻るとするかの」

 

ビーシャ

「えっ? 一緒に来てくれないの?」

 

ステマックス

「そ、そうしたのは山々・・・なので御座るが、その・・・」

 

ビーシャ

「?」

 

アフィモウジャス

「つまり、この気に乗じてあやつが仕掛けてくる可能性もある。

 それ故我等は、教祖達と協力して守備に回ることしたのじゃ」

 

ロティ

「確かにそうだね。

 あたしたちが行ってる間は無防備だから、

 その間守ってくれる人がいたら安心かも」

 

ユニ

「それじゃあアフィモウジャス、ステマックス、アタシたちがいない間、頼んだわよ!」

 

アフィモウジャス

「うむ、任せておけっ!」

 

ステマックス

「ユニ殿もお気を付けて!」

 

アフィモウジャス

「では行くぞ、ステマックス!」

 

ステマックス

「はっ!」

 

 

アフィモウジャスとステマックスの二人は、

エルクの部屋を出て戦艦に乗り込んで飛び立って行った。

 

 

ロティ

「大丈夫かな、あの二人」

 

ビーシャ

「大丈夫だよ、ロティ。 中身はあれだけど、実力は確かだから」

 

アイエフ

「守りはあっちに任せて、私達は出来る事をしましょ」

 

イストワール

「そうですね。 ではユリウスさん、お願いします」

 

ユリウス

「ああ。 では、準備はいいか?」

 

ブラックハート

「ええ、いつでもいいわ!」

 

ホワイトハート

「こっちもいけるぜ!」

 

グリーンハート

「皆さん、シェアエネルギーをひとつに!」

 

 

女神化した四女神は、それぞれ腕を前に出して集めたシェアエネルギーを放出すると、

それが虹色の光となって皆を包み込む。

 

 

パープルハート

「待っててね、エルくん! 今、迎えに行くから───!」

 

ユリウス

「では、行くぞ───!」

 

 

そして、ユリウスが自身を宿したホーリィクリスタルに干渉し、

エルクの心の中へとダイブした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 ━ ??? ━

 

 

ラム

「なに、ここ? 白いだけでなにもない」

 

ロム

「まるで、ルウィー雪原みたい(キョロキョロ)」

 

 

光の包まれ、次に皆が目を覚ました場所、

それは以前エルクがあの遺跡で致命傷を受けて訪れた白い空間だった。

ネプテューヌ達の頭上には、アスタリスクの形をしたホーリィクリスタルが

太陽のように輝いており、神聖さを感じさせるの同時に静寂に包まれているせいか

寂しさすら感じる。

 

 

アイエフ

「そういえば、前にエルクが言ってたわね。

 一度ここと似たような場所に来たって」

 

コンパ

「それじゃあ、ここがエルクさんの言っていた白い空間ってことですか?」

 

イストワール

「ユリウスさん、ここは一体・・・」

 

ユリウス

「ここはエルク心と精神世界を繋ぐ境界線だ。

 そこへ行くには更に先へと進む必要がある」

 

うずめ

「先って・・・どう見ても行き止まりにしか見えねぞ、ゆりっち?」

 

 

うずめの言う通り、ユリウスが指をさした場所には道がなく、

まるで崖のように地面が途切れていた。

 

 

ユリウス

「問題ない。四女神のシェアエネルギーを結集すれば、道を作り出せるはずだ」

 

ネプテューヌ

「それじゃあ、ここへ来た時と同じようにやればいいんだね?

 なんか女神化が解けてるのは気がしなくもないけど、わたしたちに任せて!」

 

ノワール

「あなた、今まで元気なかったけど、もう大丈夫なの?」

 

ネプテューヌ

「あはは、大丈夫って言えば嘘になるけど、でも落ち込むのはもうやめたんだ。

 だって、明るい顔でエルくんを迎えに行きたいからね」

 

ネプギア

「お姉ちゃん・・・」

 

ネプテューヌ(大)

「うん、そうだね。 小さいわたしの言う通りだね。

 こういう時こそ明るく行かないとね!」

 

クロワール

「ま、オメェはいつも明るいっつーか、能天気なだけなんだがな」

 

ネプテューヌ(大)

「なんだとーっ!?」

 

ノワール

「はいはい、ケンカしてる場合じゃないでしょ?」

 

ブラン

「とにかく今は、道を作ることに集中しましょ」

 

ベール

「ですわね。 ネプテューヌ、ノワール、ブラン、はじめますわよ」

 

ネプテューヌ

「あいあいあさー!」

 

 

四女神は途切れた場所に立ち、再びシェアエネルギーを集めてそれを放出する。

そしてそれが光輝く虹の橋となり、新たな道が拓かれた。

 

 

うずめ

「よし、成功だな!」

 

ロティ

「すごい、橋になった・・・」

 

プルルート

「うん、綺麗だね~」

 

イーシャ

「では、この先がエルクさんの・・・」

 

ユリウス

「ああ、彼の精神世界への入り口だ」

 

エスーシャ

「よし、渡るぞ」

 

ユリウス

「皆、その前に言っておきたいことがある」

 

 

ネプテューヌ達がシェアエネルギーで作り出した虹の橋を渡ろうとしたその時、

ユリウスが皆に声を掛けた。

 

 

ネプテューヌ

「どうしたの、ユーくん? 言っておきたいことってなに?」

 

ユリウス

「先程も言ったが、ここから先はエルクの精神世界へと繋がっている。

 つまりそれはエルクの過去を観るのと同義だ。

 そなた達にとって、それは辛いものを観ることになるだろう。

 それでもこの先へ進むか?」

 

一同

「「「「「・・・」」」」」

 

 

ユリウスのその言葉に、ネプテューヌ達は沈黙する。

それによって自分達の中のエルクの何かが変わってしまうかもしれない。

なぜならそれは彼の過去とその真実を知ることになるからだ。

しかし、それでもエルクを想う彼女達は───

 

 

ネプテューヌ

「・・・そんなの、考えるまでもないよ。

 だってエルくんの過去がどんなに辛いものだったとしても、

 エルくんはエルくんだから」

 

ノワール

「そうね。 それに私はエルクの過去を知りたい。

 その上で、彼を受け止める覚悟はできているわ」

 

ブラン

「エルクとは短いようで長い付き合いだから、

 今さら過去がどうとかで彼を否定したりはしないわ」

 

ベール

「わたくしも同じですわ。

 それに、エルちゃんの姉としてここで引く手はありませんわ」

 

 

ネプテューヌ達の言葉に、皆も強く頷く。

確かにこのまま進めば彼の過去を知ることになるだろう。

しかし、彼を愛した彼女達の瞳には一片の迷いのない強い意思があった。

 

 

ユリウス

「・・・そうか、分かった。

 どうやらそなた達にとって聞くまでなかったようだな。

 エルクは精神世界の最奥に居るはずだ。

 共に彼の下まで行こう!」

 

 

一同

「「「「「おおーーっ!!」」」」

 

 

皆は心をひとつにし、エルクを迎えにいくために虹の橋を渡り、

彼の精神世界へと足を踏み入れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




PSO2NGSがサービス開始されてから早三週間、
皆さんはもうクリアしましたか?
最近アプデでギガンティクスエネミーが追加されましたが、あれマジ強すぎw
倒したプレイヤーさんっていますか?





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