光次元ゲイムネプテューヌ~聖なる祈りと極光の守護神~ 作:EDENCROSS
《前回までのあらすさじ》
ギルドでルビィという少女からある依頼を受けたエルクは、ネプテューヌ、ネプギア、
イストワールと共に、彼女の実家であるプラネテューヌで名のあるガーネット家に
向かう事となった。
「皆様、ようこそガーネット家へ。
私はガーネット家にお仕えしているゴンザレスと申します」
エルク
「はじめまして、エルクと言います」
ゴンザレス
「貴方様がエルク様ですか。 ご活躍は耳しておりました。
お会いできて光栄にございます」
ルビィから依頼を受けたその日の翌日、エルク、ネプテューヌ、ネプギア、
イストワールの四人は、ガーネット家の門の前で白く長い髭が特徴のゴンザレスと言う執事と話しをしていた。
事の発端は三日前、エルクのスマホにあるメールが届いたことが始まりだった。
時折ギルドから討伐依頼のメールが届くこともあるが、差出人不明のメールだったため
不審に思い、それに指定された日の昨日、アイエフと共にギルドへ行くと今回の依頼についての事だった。
ゴンザレス
「エルク様につきましては、先日の突然のメール、大変失礼いたしました」
ネプギア
「メール? なんのこと、お兄ちゃん?」
エルク
「実は今回の事を話す前、匿名でメールが届いたんだ。
詳しいことはギルドで話すってことでね」
イストワール
「なるほど。 すでにその時からエルクさんに打診していたということですね」
ゴンザレス
「その通りでございます、イストワール様。 お屋敷にてローズ様がお待ちです。
さあ、ご案内します」
眼前の大きな鉄の門が開き、ゴンザレスは四人を招き入れる。
そこには噴水があり、色とりどりの花によるフラワーアーチやガーデニングといった
乱れのない美しい庭園があった。
ネプテューヌ
「ここはいつ来てもキレーだよね。 わたしもはじめて来たときはびっくりしたよ」
ゴンザレス
「ありがとうございます。 お二人もご息災でなにより。
初めてお越しくださったのはルビィ様のお誕生日パーティーでしたね」
ネプテューヌ
「そーそー。 あれからけっこう経つけど、ルビィちゃんは元気?」
ゴンザレス
「はい。 お陰様で日々を過ごされております。 特に昨日からはエルク様のお話ばかりで」
エルク
「僕のですか?」
ゴンザレス
「昨日エルク様とギルドでお話しされた時の事を嬉しそうに言っておられました。
以前プラネテューヌに侵攻してきたあの巨大な黒いモンスターを倒した英雄と
直接話す事ができたと」
エルク
「英雄なんて、そんな・・・。 あれを倒したのは僕だけの力ではありませんから」
ゴンザレス
「ご謙遜を。 今やガーネット家はもちろん、プラネテューヌで貴方様の名を知らない
者などおりません。 かくいうこの私も、こうしてお話しができることを嬉しく思います」
ネプテューヌ
「さっすがわたしたちのエルくんだね! わたしもメインヒロインとして鼻が高いよ!」
ネプギア
「確かにみんなで戦って得た勝利だけど、お兄ちゃんがいなかったら勝たなかったからね」
イストワール
「その他にも、エルクさんは本当によくやってくれています。
本来ならそうする必要のない教会の仕事も手伝ってくれていますし」
ゴンザレス
「執事、特にメイド達でも貴方様のお話しで持ちきりですよ。
誰もが口を揃えて一度は会ってみたいと申しておりますから」
エルク
「そ、そうなんですか? なんだか少し、照れますね///」
ネプテューヌ
「ゴンちゃんも言ってたけど、エルくんは謙遜しすぎなんだって。
もっと自慢気にしてもいいと思うよ、わたしは」
ネプギア
「そうだよ、お兄ちゃん。 お兄ちゃんはそれだけの実力も実績もあるんだから」
エルク
「いや、僕だって別にいたずらに謙遜してるってわけじゃ・・・ってネプテューヌ、
ゴンちゃんってゴンザレスさんのこと?」
イストワール
「ネプテューヌさん、それは失礼ではないかと」
ゴンザレス
「ほっほっほっ、構いませんよ。 私も女神様にこうしてフレンドリーに接していただける
のは嬉しいことですから」
「流石にはじめは恐れ多かったのですがね」と付け加え、執事長のゴンザレスは言った。
ちなみにそれと同時にネプテューヌからは「執事なのに名前がセバスチャンじゃないんだね」とツッコまれだそうだ。
その後も彼と話しながら庭園を歩き、扉の前に着くと、改めて屋敷内へ招かれた。
「「「「「いらっしゃいませ、ネプテューヌ様、ネプギア様、イストワール様、エルク様」」」」」
そこには多くの執事とメイドが一行を出迎えた。
磨き抜かれた大理石の床、天井に輝くシャンデリアと、屋敷というよりも宮殿のような
豪華な内装の広間の奥の階段から一人の女性が降りてきた。
ローズ
「お久し振りです、ネプテューヌ様、ネプギア様、イストワール様。
そして貴方がエルクさんですね? はじめまして、私の名はローズ・ガーネット。
現ガーネット家の家長をしております」
ネプテューヌ
「久しぶり、ローズさん!」
ネプギア
「こんにちは、ローズさん」
イストワール
「お久しぶりです、ローズさん。 今回はお世話になります」
彼女の名はローズ。 娘のルビィと同じ赤い髪に真紅のドレスを着た、
気品と威厳に溢れた美しい女性である。
執事とメイド達の間に敷かれた赤いカーペットを真っ直ぐ進み、
そのままネプテューヌ達に挨拶と、エルクに自己紹介をした。
エルク
「はじめまして、エルクといいます。 今回はお話があるということですが・・・」
ローズ
「それについては応接室にて説明させてもらいます。
では、こちらへどうぞ・・・」
一行はローズについていき、話はそこで聞かされる。
ー ガーネット家 応接室 ー
ローズ
「まず初めに、今回の件を引き受けていただいてありがとうございます。
女神様方にもご迷惑をおかけします」
ネプギア
「迷惑だなんてそんな! どうか気にしないでください、ローズさん」
ネプテューヌ
「そうだよ、困った時はお互い様ってね!
それにルビィちゃんとは知らない仲じゃないしね」
イストワール
「今回の件でプラネテューヌ全体に関わる事なら、私たちも無関係ではありません。
なので協力させてもらいます」
エルク
「僕も同じく協力は惜しみません」
ローズ
「・・・ありがとうございます。 お話しというのは今回、我が娘のルビィがサファイア家
の長男オライトさんからプロポーズされたこと、そしてその背後にある事についてです」
イストワール
「あること・・・それは噂にもなっているある犯罪組織のことですか?」
ローズ
「はい、その通りです。 噂は所詮噂ですが、それは噂ではなく疑惑となりました。
以前我が屋敷に来た犯人が使っていた短刀に、サファイア家の家紋がありました」
ネプギア
「だ、大丈夫だったんですか!?」
イストワール
「教会や警察の方にも報告はありませんでしたが・・・」
ローズ
「幸い負傷者も盗まれた物もなく、両家との事もありますのであまり大事には
しないようにと捕らえた後警察に引き渡しましたので、教会の方に報告は
行かなかったのでしょう。
そして後日、取り調べによって犯人がある組織と関係していることが分かりました」
エルク
「やはり、大きな犯罪組織組織ですか?」
ローズ
「その名はウロボロス。 窃盗、誘拐など様々な犯罪を請け負う者達のようです」
ネプテューヌ
「ウロボロス・・・? いーすん知ってる?」
イストワール
「いいえ、データベースにそのような名の組織犯罪ありません」
ローズ
「おそらく、組織と言っても小規模なものなので、結成されたばかりのものなのでは
ありませんか? 逆に足取りが掴みにくいのかもしれません。
自供した男が言うには、ある人物から頼まれたそうです」
エルク
「その人物の正体は?」
ローズ
「それも不明です。 メールでのやり取りのみだったらしく、それを辿って特定しようと
試みましたが、痕跡は完全に消されており、それも叶いませんでした」
エルク
「でも、なんでガーネット家に犯人を送ってきたんだろう?
ある物を手に入れるためとか?」
ローズ
「こちらとしましても分からないことだらけで、正直困惑しています。
いったい何が目的で来たのか・・・」
ネプギア
「その捕まえた人はサファイア家の家紋が入っていた刃物使っていたってことでしたけど、
その家の人達はなんて言っていたんですか?」
ローズ
「「確かにそれは我が家の物。 いつ失くしたか分からないままだったが、盗まれていたとは」
とのことです」
ネプテューヌ
「あくまでそれは盗まれたってこと? なんか怪しいな〜」
エルク
「家紋が入っていたんならサファイア家の物に間違いないけど、
警察に証拠品として押収されたから手元にないし、
盗まれたのも本当なのかもしれないな」
ネプギア
「だからってそれが捕まった犯人の背後にいるウロボロスとサファイア家が
繋がってるっていう証拠にもなりませんのよね。
ウロボロスがサファイア家の仕業と見せかけるために、盗んだ凶器を犯人に持たせて
襲わせたっていう可能性もあるかもしれませんし・・・」
エルク
「もしくは、警察にサファイア家の息のかかった連中がいるかもだね。
そういう事として片付けて捜査の手がかからないようにした、とか」
ローズ
「ええ。 サファイア家も我がガーネット家と同じく名の知れた一族。
おそらく警察の方に顔が利くのでしょう」
ネプテューヌ
「こういうの前に刑事ドラマで見たことがあるよ。
圧力をかけて強引に真実を捻じ曲げたり捜査を打ち切ったりするやつ」
ネプギア
「ルビィちゃんにプロポーズしたオライトさんは、どんな人なんですか?」
ネプテューヌ
「きっと、父親譲りの腹黒い性格の幼女好きな大人だよ。
だって、犯罪組織やらなにやらをちらつかせてこの家を乗っ取ろうとしてるかもって
連中だよ。 まだほんの10才のルビィがその毒牙に・・・!」
エルク
「ネ、ネプテューヌ・・・」
ローズ
「・・・私もはじめはそう思い心配していました。
我が家に賊が入る前とは言え、あのようなことがありましたから。
ですが、そのオライトさんと言う方は大人ではなく、小さな子供でした。
歳はルビィと同じく10才だそうです」
ネプテューヌ
「オライトさんじゃなくて、オライトくんだったとは! で、どんな子だったの?」
ローズ
「名のある家に生まれた者らしく真面目で真っ直ぐな目をした少年でした。
なんでも、ルビィには一目惚れだったそうで、プロポーズした時も真っ直ぐあの子の
目を見てそうしていました」
ネプテューヌ
「おー! まさかの真面目キャラ! 本当にルビィちゃんのことが好きなんだね!」
ローズ
「歳も同じなのか、二人は打ち解け合い、まるで以前からの友達のようでした。
なのであの子もプロポーズを受けたのも満更でもない様子でして・・・」
エルク
「それじゃあなんでギルドで僕に偽の婚約者を演じて欲しいなんて言ったんだろう?」
ローズ
「・・・それは我が家を考えてのことでしょう。
たとえ相手が気の合う殿方だったとしても、今回のような事があれば、家を守るため
自分の気持ちよりもそちらを優先する子です。
ほんの10才ながら、家を守りたいという意思と覚悟がすでにあの子の中にあるので
しょう。 しかし、私はあの子には幸せになって欲しい。
いつか家督を継ぐ大事な跡取り以上に、大切な一人娘なのですから。
幼少の頃より厳しく教え育ててきましたが、それでも私はあの子の、
ルビィの母ですから・・・」
エルク
「ローズさん・・・」
と、ローズは悲しい目をしながらそう言った。
将来家督を継ぐ者としてそう言い聞かせ、時に厳しく時に優しく接してきたとしても、
ルビィは10才というまだまだ心身共に幼い少女。
そんな愛娘が家を守るために危険を承知で行動を起こす姿に、実母のローズとしては
心配になるのは当然のことだった。
ネプテューヌ
「立派だね、ルビィちゃん・・・! わたしも全面的に協力しちゃうよ!
だからなんでも言ってね、ローズさん!」
エルク
「実際に二人の様子を見たローズさんの話しを聞いた限りだと、相手のオライトさんは
純粋にルビィちゃんのことが好きなんだと思う。
そこに裏があるとも思えない」
イストワール
「はい。 きっと彼も知らずに利用されているのでしょう」
ネプギア
「実の子供を目的のために利用するなんて!」
ローズ
「サファイア家の家長のトーマが仕組んだという証拠はありませんが、
可能性は高いでしょう。
何らかの方法で彼等を探ることができればいいのですが・・・」
ネプテューヌ
「それなら大丈夫だよ、ローズさん。 もう手は打ってあるから」
ローズ
「そうなんですか? それは一体どのような?」
エルク
「ルビィちゃん・・・ルビィさんからサファイア家は今、人手不足でメイドを
募集しているという話しを聞いて、仲間がそちらに向かいました」
ネプギア
「だぶん今頃、メイドとして潜り込んでいる頃だと思いますよ」
ローズ
「お仲間を疑うわけではありませんが、犯罪組織と繋がりがあるかもしれない所に
潜入して大丈夫なのでしょうか?」
ネプテューヌ
「もちろんだよ。 ぷるるんとピー子も乗り気だったし、二人はとっても強いからね!」
ー 遡ること約1時間前 ー
プルルート
「サファイアっていうお家って、ここで合ってるのかな〜?」
ピーシェ
「ここであってるよ、ぷるると。 ぴぃ、ちゃんとかくにんしたから」
プラネテューヌの東部に目立つようにある大きな青い屋敷があった。
門の間から覗かせるのは、修練所のような場所で、そこには警護の者達が剣を振って
励んでいる。 名のある屋敷なので優雅なものを想像していた二人だが、
その様子から見るにまるで基地のようだ。
そんなサファイア家の門の前に、プルルートとピーシェの姿があった。
プルルート
「ここに来るようにって話だったんだけど、誰もいないね、ピーシェちゃん〜?」
ピーシェ
「ぴぃたち、いつまでここにいればいいんだろ?」
???
「お前達が、我がサファイア家で働くメイドの希望者か?」
プルルート
「そうだけど、どちら様〜?」
リィル
「俺の名はリィル、サファイア家の執事長を務める者だ。
で、メイド希望者か?」
プルルート
「うん、そうだよ〜。 お友達からの紹介で来たんだけど〜、
まだ募集してますか〜?」
リィル
「ああ、それはもちろん。 当家では常に有能なメイドや執事を求めている。
だが昨今、どいつもこいつも無能者ばかりで人手不足に悩まされている。
お前達が希望者なら話が早い。
早速今日この日からメイドとして働いてもらおう!」
二人に声を掛けた男はリィルというサファイア家に仕える執事長の男だった。
青の執事服を着た黒髪に青いフレーム眼鏡を掛けた高圧的な態度が目立ち、
その眼鏡越しからの鋭い眼光で睨みつけるように見るが、
二人はそんなものには動じず、彼によって開かれた門を通って屋敷の中へと
招かれた。
ガーネット家と同じく床は大理石で、広々としたメイドや執事達が忙しそうに
右往左往していた。
プルルート
「ほえ〜。 大っきい家だね〜」
ピーシェ
「ぷるるとのところよりひろーい!」
リィル
「当たり前だろう、一般的な家と比べるな。 さあ、お前達も早くこれに着替えろ」
プルルート・ピーシェ
「「はーい」」
そんな人達を横目に、二人は更衣室で青いリボンが特徴的なメイド服に着替えた。
プルルート
「どう〜、似合ってる〜?」
ピーシェ
「おおーっ! ぷるるとかわいいーっ!」
プルルート
「ありがとう〜。 ピーシェちゃんも似合ってるよ〜」
リィル
「・・・ほう、中々様になってるじゃないか。
まさか幼女がメイド服を着ることになるとは思はなかったが、
これなら我が当主もお喜びになるだろう」
ピーシェ
「とーしゅ? その人ってえらいの?」
リィル
「その通りだ、幼女よ! その名はトーマ・サファイア様!
サファイア家の当主にして武に秀でたお方!
過去に様々な功績を収められた武人であり、それによって多くのコネクションを築き上げ、
一代でここまで一族を大きくなされたお方である!」
プルルート
「おー! すごい人なんだね〜!」
リィル
「ふふん、凄いなんてものではない。 あれこそまさに武の化身!
いつかこのプラネテューヌを支配する日が来るのかもしれんな!」
鼻息を荒くして興奮しながらだいそれた事を言い出す始末。
どうやら当主にかなり心酔しているようで、サファイア家の家訓によれば
「武力こそ正義」らしく、そのためには自己研鑽はもちろん、様々な繋がりも作るようだ。
ギルドや警察にも顔が利くためか、権力者のように振る舞い、
それを武勇伝のように語り出す。
素性を隠して形式上新人メイドとして潜入している女神である自分達にそんなことを
言ってもいいのかと内心思いながらも、今度は当主に挨拶するため執務室へ向かうその
道中で―――
プルルート
「そういえば、このお屋敷ってなんだから青いものが多いよね〜?
青いメイド服なんてはじめて着たし〜」
リィル
「いい質問だ。 我等がサファイア家にとって【青】とは力の象徴!
何者にも負けず屈さずという意思の表れでもあるのだ!」
ピーシェ
「しょうちょう? いし? ぴぃ、むずかしいことわかんない・・・」
リィル
「まあ、幼女には難しい話かもしれんな。
ともかく【青】」とは、それほどの意味を持っているのだ。
いや―――“在り方”と言っていい」
プルルート
「あたしもよくわかんないけど〜、いろいろあるんだね〜」
リィル
「・・・そうだな。 いろいろあるんだよ俺も、この家にも、な」
プルルート・ピーシェ
「「?」」
会話の最後に、リィルの表情が少し暗くなった。
今で誇らしげに語っていたのが一変してそうなったのがきになりつつも、部屋の前に着いた。
リィル
「着いたぞ、ここが当主のトーマ様の執務室だ。 くれぐれも粗相のないようにな」
プルルート・ピーシェ
「「はーい!」」
リィル
「・・・本当に大丈夫なのか? コホン、トーマ様、新人のメイドを二名お連れしました」
「うむ、入れ」
リィル
「はい、失礼します」
扉の向こうからそう聞こえたの男の声。
招かれるまま扉を開いて中へ入ると、青い角刈りの髪に青い髭を生やした
隻眼の威圧感のある大柄な男が椅子に腰を掛けてそこに居た。
トーマ
「お前達が今日我が屋敷に来たメイドか。
なかなか使えそうだが・・・そっちの幼女はなんだ、お前の妹か?
それにしては似てないが」
プルルート
「ううん、違うよ〜。 ピーシェちゃんはあたしのお友達なの〜」
ピーシェ
「よろしくね、おじさん!」
リィル
「こ、こらっ! トーマ様になんて口の利き方を!」
トーマ
「構わん、リィル。 だが、このワシを前にして顔色ひとつ変えんとは、
見かけによらずなかなか肝が据わっているな。
大抵の奴はワシを見ただけで恐れて何も言えなくなると言うのに」
プルルート
「えへへ、そうかな〜」
トーマ
「故にワシはお前達を気に入った! 二人はワシ専属のメイドにしてやろう!」
プルルート
「ありがとう、トーマさん〜」
ピーシェ
「やったー! でも、ちょくぞくってどういう意味かわからないけど、
ぴぃもぷるるとといっしょにがんばる!」
リィル
「・・・よろしいのですか、トーマ様?
確かに使えそうではありますが、それはあまりにも優遇過ぎるかと・・・」
トーマ
「ワシは新人だろうが幼女だろうが、能力のある者は歓迎する。
リィル、お前は我がサファイア家の家訓を忘れたのか?」
リィル
「いえ、とんでもございません! それは「武力こそ正義」です!」
トーマ
「そうだ。 それは同時に実力主義ということでもある。
それともお前はワシの判断が間違っているとでも言いたいのか?」
リィル
「滅相もありません! そういった家訓をお決めになられたのも、
全て一代で貴方様のお力で一族を大きくしたトーマ・サファイア様のご判断に
間違いなどありません! あろうはずが御座いません!」
トーマ
「うむ、わかればいい。 ワシとて何の根拠もなしに言っているわけではない。
長年の戦いの中で培った直感で、この者達は只者ではない。
流石にワシには及ばないが、それなりの強者だ」
リィル
「こんな少女と幼女が・・・? ま、まさか女神!?」
トーマ
「いや、そのはずはない。 プラネテューヌノ女神はネプテューヌとその妹のネプギア
だけだ。 確かな情報だ、間違いない」
リィル
「プラネテューヌのみならず、他国の女神はもちろん、ゴールドサァドといった名の知れた
者達は全てリストアップされておりますが、そこに二人の名前はありません。
よって女神ではないということですね」
トーマ
「そういうことだ。 特にあのエルクとか言う小僧。
何やら妙な技を使う剣士のようだが・・・」
リィル
「はい、私も知っています。 加えてプラネテューヌだけではなく、他国の女神達からの
信頼も厚いようです」
リィル
「それだけではない。 奴め、どうやって女神に取り入ったか知らんが、どうやら国民達
からの信用もあるようだ。 ハンター共に至ってはその小僧の話で持ち切りだ。
あんなヒヨッコのどこの何がいいというのだ、気に入らん!」
プルルート
「(あれ〜? ひょっとして、エルくんの悪口言ってる〜?
なんだかムカムカしてきちゃったかも〜・・・!)」
ピーシェ
「えるくはとってもつよいよ! めがみとおんなじくらいつよいんだもん!」
プルルート
「・・・ピーシェちゃん?」
それまでにこやかだったプルルートと表情が段々険しくなっていったその時、
突然ピーシェが大声でそう言いながらトーマに詰め寄った。
ピーシェ
「えるくは今までいっぱい悪いモンスターをやっつけたすごい人だもん!
だからえるくの悪口いわないで!」
リィル
「な、なんだ急に、この幼女は・・・」
トーマ
「・・・」
この時、部屋全体が張り詰めた空気になった。
プルルートはピーシェの行動に驚きながらも、そんな状況でもマイペースでのほほんと
しているが、腹心であるリィルは内心ハラハラして冷や汗をかいていた。
リィル
「あ、あの、トーマ様。 所詮は幼女の戯言、お気になさらずとも―――」
トーマ
「ガハハハっ! まさかこのワシがこのような幼女にここまで言われるとはな!
こうも面と向かって言われたのは随分久しいわい!」
プルルート
「トーマさん、なんで笑ってるの〜?」
ピーシェ
「ぴい、なにかへんなこと言った?」
トーマ
「いやいや、なにもおかしなことなど言っとらん。
確かにワシはエルクとか言う者を気に入らんとは言ったが、
実力を否定しているわけではない。 お前達の言う通り、奴は強い。
先程言ったハンターや国民もそうだが、なによりプラネテューヌに侵攻してきたあの
黒い巨人を女神と共に倒したとの報告を部下達から受けた。
あの女神達と肩を並べて戦えるほどの実力を持っているとは、それほど奴の力は本物だ」
プルルート
「ピーシェちゃんに怒ったんじゃないの〜?」
トーマ
「怒ったと言うよりも改めて気付かされた、だな。
もし奴が女神の教会に住んでいなければ、すぐにでも我が部下に迎えたのに、
残念だ・・・」
プルルート
「気に入らないのに部下にしたいって、なんで~?」
リィル
「トーマ様を仰っていただろう。 例えそんな相手でも、トーマ様に認められる程の力が
あれば、そうなることもある。 俺がそうだったからな」
ピーシェ
「おじさんもつよいの?」
リィル
「お、おじさんっ!? 俺はまだ―――」
トーマ
「まあ、つまりはそういうことよ。
ワシは弱い奴は嫌いで信用ならんが、奴の―――エルクの実力なら申し分ない。
一度会ってみたいものだが、今はそれよりも大切なことがある」
リィル
「はい。 すでにオライト坊ちゃまはガーネット家へ向かわれました。
今頃はご到着されているかと」
トーマ
「うむ。 我が息子オライトはガーネットのルビィ嬢をとても気に入ってる。
っというよりあれは一目惚れしているようだな。
父としてなんとかしてやりたいが・・・」
リィル
「こればかりはオライト坊ちゃまご本人次第かと。
お二人はまだまだお若い身、いくらでも機会はあるでしょう」
トーマ
「・・・そうだな。 武術ならともかく、恋愛ばかりはワシの専門外だ」
プルルート
「あはは~、あたしも二人のこと応援するよ〜」
ピーシェ
「ねーねー、ぴぃたちはなにをすればいいのー?」
トーマ
「そうだったな。 お前達にはワシとオライトの私室の掃除を頼みたい。
あそこは信用できる者に頼んでいる。 任せたぞ、プルルート、ピーシェ」
プルルート・ピーシェ
「「はーい」」
トーマ
「リィル、二人を案内してやれ」
リィル
「はい」
トーマとの話が終わり、部屋を出た三人は、彼の案内でオライトの部屋へ向かう。
その道中―――
リィル
「しかし、トーマ様があれほど楽しそうに話しをされたの本当に久し振りだ」
プルルート
「いつもあんな感じじゃないの〜?」
リィル
「ああ。 トーマ様をも仰っておられたが、執事やメイドが萎縮してしまってまともに
会話が出来んことがほとんどだ。 そんな時は俺が変わりに用件をお伝えするんだが、
ご自身の圧力をもろともせずに真正面から話せるお前達が気に入られたようだ」
ピーシェ
「でもあのおじさん、なんかかなしそうな目をしてたよ」
リィル
「なに? どういうことだ」
ピーシェ
「んーと・・・よくわかんないけど、そんな気がしたんだ。
えるくもそんな目をするから」
プルルート
「たしかにエルくんも時々そんな目をしてかも〜」
リィル
「そうか。 そいちつにも大切な人を亡くした悲しみを持ってるんだな・・・」
プルルート
「え? リィルさん、なにか言った〜?」
リィル
「な、なんでもない! オライト坊ちゃまの部屋はすぐそこだ。
ちゃんとついてこい」
―――――――――――――――
ー サファイア邸 オライトの部屋 ー
リィル
「さあ、ここが坊ちゃまのお部屋だ。
わかってるとは思うが、ここに置かれている物を傷付けたり壊したりするなよ」
リィルにそう言われ、プルルートとピーシェは早速掃除に取りかかった。
部屋にある本棚に並んでいる本を見ると、政治や経済といった難しい本ばかりで、
壁には高価な剣が飾られていたりと、とても10才の少年の部屋とは思えない場所だった。
プルルート
「ここがオライト君のお部屋〜?」
ピーシェ
「むずかしい本ばっかで、ぴぃ、つまんなーい」
プルルート
「男の子のお部屋に入ったことあるけど〜、エルくんのお部屋とは違ってなんだか
窮屈な感じがするな〜」
リィル
「口ではなく体を動かせ。 終わったら声をかけろ。
さっきも言ったが、どれも貴重な物ばからりだから絶対に傷付けたり壊したりするなよ。
ここが終わったらトーマ様執事室だ。 頼んだぞ」
リィルが部屋を出て行ったのと同時に、手がかりとなるものの捜索を兼ねて
改めて掃除を開始した。
―――――――――――――――
プルルート
「リィルさん、お掃除終わったよ〜」
リィル
「そうか、思いのほか早かったな。 ならば見せてもらおうか―――っ!?」
リィルは部屋に入るなり驚いた。
なぜならそれは床はもちろん、窓、壁、壁やそこに飾られていた装飾や家具の裏側や
ベッドの下や天井にあるシャンデリアにいたるまでホコリひとつなく綺麗に
磨かれていたのだから。
ピーシェ
「どう? どう? ぴぃとぷるると、がんばったんだよ!」
リィル
「ああ、なかなかやるようだな。 まさかベッドメイクまでやっているとはな。
以前どこかでこういう仕事をやっていたのか?」
プルルート
「実はある人に教えてもらってたんだ〜。 掃除ができるようにってね〜」
リィル
「ほう。 それはさぞ優秀な人物なんだな。 まあいい、次は執事室だ、ついてこい」
ピーシェ
「(ねえぷるると、そこでてがかりっていうのを見つけるんだよね?)」
プルルート
「(そうだよ、ピーシェちゃん〜。 ここには何もなかったけど〜、
そこになにかあればいいね〜)」
リィル
「どうした? 何もなければ早く行くぞ」
再びリィルの案内で、今度はトーマの私室へ向かうためオライトの部屋を後にした
プルルートとピーシェだった。
Switch2落選した・・・。(絶望)