オリジナルライダー設定集   作:名もなきA・弐

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ある都市にばら撒かれた新世代ガイアメモリ。その名も「T3ガイアメモリ」。
それは小さくも確実に、ある都市を蝕んでいった。
これは、その全てを破壊する少年と少女の物語…。


T3仮面ライダーズ
Iを止めろ / 仮面ライダーは二人で一人


某都市の裏路地には、一体の怪人が一人の男を見下ろしていた。

怪人の姿は一言で表すならトンボ、巨大化し人間の姿に近くしたものならばおそらくこうなるであろう。

しかし、細部はまるでトンボと言うにはあまりにもかけ離れたものだった。

両腕は甲虫のような腕、胴体はクモが張り付いたような模様をしており、両足はバッタの脚を模した棘のついた足といった宛ら昆虫のキメラのような姿をしていた。

怪人は恐怖で震えている男の元まで近寄り、胸倉を掴みあげた。

 

「う、すまなかった…!俺が、悪かった。だ、だから戻ってくれ……」

 

掴みあげられた男はかすれた声で謝罪をした。

怪人『ドーパント』の正体は彼の息子だった。

どうして?

男はそう自問自答する。

息子に教育をしていただけなのに、いじめられないよう強くさせるために少々手荒いやり方もした。

男にとって、それは当然のことだと思っていたのだ。

それと同時に、こうすれば母を亡くしても息子は強く立派な人物になれると、そう信じていた。

だが、それは間違いだったのだと分かったのだ。

そうでなければ、息子が自分のことを、怪物にまでなって殺そうとはしないだろう。

きっかけは家の入り方だった。

「入り方がなっていない」と男は叱り、いつものように息子の頭をはたいた。

だがその瞬間、息子は狂ったように叫び、ズボンのポケットからカブトムシと二匹のセミが組み合わさったような意匠の「I」と書かれた灰色のUSBメモリを取り出しそのボタンを押した。

 

【INSECT!】

 

メモリから音声が鳴り、額に挿した途端、息子の姿は変わり、男を掴みあげ窓ガラスを破ってここまで連れてこられたのだ。

そうして、現在に至るのである。

 

『うるさい…うるさい!!僕を殴るお父さんなんか、僕をいじめるお父さんなんか…もういらない!!』

 

怒りに声をにじませながら、ドーパントはもう一方の手でクワガタムシのアゴを生成し、男の首元につきたてようとする。

 

「やめろっ!」

 

一人の少年の声が裏路地に響いた。

ドーパントは男を掴んでいた腕を離し、声の方向を向いた。

そこにいたのは、黒いブレザー・ネクタイに黒いズボンを履いた少年だった。

端正な顔立ちをしており、ハネ毛の黒髪には黒いソフト帽を被っており、ブレザーの下のシャツが黒い服装にマッチしていた。

 

『お兄ちゃん……』

 

ドーパントは驚いたような声を出した。

何しろ彼は、自分に優しくしてくれた知り合いの刑事だったからだ。

だからこそ驚き、なぜここにいるのか問いかけようとした。

だがそれを言う前に少年『左刹那』はドーパントに話しかける。

 

「もうやめるんだ。大人しくメモリを捨ててくれ」

『いやだっ!!こいつさえいなくなれば、もう僕は辛い思いをしなくて済むんだっ!!もう殴られたり、理不尽に怒られることもないんだっ!!!』

 

彼の説得に耳を傾けようとはせず、ドーパントは叫ぶ。

その叫びに刹那は辛い表情をしながらも、彼はドーパントに近づいた。

瞬間、鷹の姿をした青いメカ『ホークショット』が現れると、中心部のレンズから閃光を放つ。

それに驚いたドーパントは顔を覆って光から避けようとすると、刹那と違う方向から人影が飛び出しそのまま男を確保した。

男を救った人影は少女だった。

長い茶髪のロングヘアーをサイドポニーしフード付きのグリーンのパーカーにチェック柄のミニスカートといった服装をしており、その下には黒いニーソックスを履いている美少女だ。

 

「兄さん」

 

男を地面に突き飛ばすと少女『左瀬奈』は刹那の右側に並び立つ。

 

「止めてやるよ。俺が…いや、『俺たち』が……」

 

刹那は懐から緑色のバックルを取り出した。

二つのスロットがあるそれを刹那は腰の前へ軽く押し付ける。

バックル『ツヴァイドライバー』から銀色のベルトが飛び出し、彼の腰に巻きつくと同時に、瀬奈からもツヴァイドライバーが腰に召喚される。

そして、彼らは懐から薄い緑色の端子をしたUSBメモリ…『地球の記憶』を宿すとされる道具『T3ガイアメモリ』を取り出した。

刹那のメモリは全体的に黒い色をしており、道化師の靴のような意匠の「J」の文字をしていた。

対して瀬奈のメモリは全体的に緑色をしており、風の意匠をした「W」の文字のメモリだった。

 

『それって…!!』

 

それを見たドーパントは明らかな動揺を見せる。

構わず瀬奈と刹那はそれぞれのガイアメモリのプッシュスイッチを押す。

 

【WIND!】

【JOKER!】

 

渋い男性の声をした電子音声が鳴り響く。

『疾風の記憶』を宿したウィンドメモリと『切り札の記憶』を宿したジョーカーメモリの起動が確認される。

音声が鳴り終わると彼らはメモリを構え、同時に叫んだ。

 

「「変身っ!」」

 

瀬奈は右側のスロットにウィンドメモリを挿入し、刹那のドライバーに自分の意識ごと転送され、同時に瀬奈の身体は昏倒する。

刹那は右側のスロットに現れたメモリを押し込み、左側のスロットへジョーカーメモリを挿し込み、バックルを「W」の形に展開させ両手を広げた。

 

【WIND! / JOKER!】

 

再び電子音声が鳴り、風を思わせるような爽快な曲と切り札の軽快な音楽が辺りに鳴り響いた。

そして、刹那の身体を緑色と黒い色の粒子が渦を巻きながら彼を覆い隠す。

現れたのは左右非対称の戦士だった……。

中央のプラチナカラーのライン『セントラルパーテーション』を境に左半身『ボディサイド』はジョーカーメモリのように黒い色、右半身『ソウルサイド』はウィンドメモリのように緑色をしているのである。

さらにソウルサイドには首に巻いた薄い緑色のスカーフが軽やかに夜風に舞っている。

額にはV字型のホーンが形成され、大きく紅い複眼が緑と黒に映えて輝いていた。

 

『仮面、ライダー……?』

 

呆気にとられたドーパントは刹那が変身した姿に問いかける。

 

「『そう、俺(私)たちは…仮面ライダーツヴァイ……』」

 

二人の声でそう応えると疾風の切り札の戦士『仮面ライダーツヴァイ』は左手首をスナップさせると一直線にドーパントへと走り、とび蹴りを仕掛けた。

 

「せいっ!はっ!!」

『く、くそ!』

 

ドーパントは困惑しながらも応戦すべく腕をカマキリの鎌に変化させツヴァイへと立ち向かう。

だが、それは全ていなされ逆に蹴りを叩き込まれる。

 

『兄さん。前もって調べておいたけど、メモリの正体はインセクト。「昆虫の記憶」を宿したメモリよ』

「そうか、だったら!」

 

二人の声でそう言うとツヴァイはバックルを閉じ、ウィンドメモリだけ引き抜くと代わりに炎を思わせるようなオレンジ色で炎の意匠をした「B」の文字のメモリを取り出し、起動させる。

 

【BURNING!】

 

そして、右側のスロットに『灼熱の記憶』を宿したバーニングメモリを装填させ、再びバックルを展開した。

 

【BURNING! / JOKER!】

 

再び電子音声が鳴り、ギターのような音色と切り札の音色と共にソウルサイドはオレンジ色へと変化する。

灼熱の切り札『バーニングジョーカー』へと姿を変わったツヴァイは突進してきたドーパント『インセクト・ドーパント』の攻撃を最小限の動きで避けると炎を宿した右ストレートを相手に叩き込んだ。

 

「ゥオラッ!」

『うあああああ!!?』

 

そこから続けてツヴァイは高熱を纏ったソウルサイドによる連続パンチを浴びせる。

さらに渾身の一撃をくらい、遂にインセクトは数十メートルぐらい吹っ飛び、コンクリートの地面を転がり続けた。

 

『くそっ!くっそおおおおおおおおおっ!!何で、何で邪魔するんだよぉ!!!全部、全部こいつが悪いんだっ!僕を道具みたいに扱うこいつがああああっ!!』

『同情はするわ…だけど、それで人を殺したらあなたはその瞬間大嫌いなそいつ以下になるのよ!バカなことは止めなさい』

 

起き上がり、癇癪を起こしたようにインセクトは男を指さし地団太を踏みながら叫ぶ。

ツヴァイは右側の複眼を点滅させ、瀬奈の声で諭すとインセクトは雄たけびを上げながら、トンボのような翅を広げ、バッタの脚で跳躍した。

 

『僕を捕まえることなんて絶対に出来ないっ!!ここまで来るなんて不可能だろっ!!!』

「ははっ、それはどうかな?」

 

余裕の態度でツヴァイはバックルを閉じ、スロットからバーニングメモリを引き抜く。

そして、幻想的な雰囲気を思わせるような水色で雲と玩具の意匠をした「D」の文字をのメモリを取り出し、起動させる。

 

【DREAM!】

【DREAM! / JOKER!】

 

右側のスロットに『夢想の記憶』を宿したドリームメモリを装填させ、バックルを展開させる。

電子音声が鳴り、オルゴールの音色と切り札の音色と共にソウルサイドが水色へと変わった。

夢想の切り札『ドリームジョーカー』は空中にいるインセクトに向けて右腕を伸ばすと右腕は人体の限界を超え、空中へ逃げて安心していたインセクトの身体を捉えるのと同時に、右腕は大蛇へと変化し、その身体を絡めとった。

 

『なっ?!ぐああああああああああああ!!!!!?』

 

何が起こったのか理解出来ぬままインセクトは地面へと叩きつけられる。

引きずり降ろされた衝撃で悶絶しているインセクトにツヴァイは悠々と左手首をスナップさせるとドリームメモリを引き抜き、ウィンドメモリを取り出した。

 

【WIND!】

【WIND! / JOKER!】

 

そして再び、ウィンドジョーカーへと戻る。

 

「『これで決まりだっ!』」

 

宣言し、ツヴァイはバックルを展開したまま左側のスロットにあるジョーカーメモリを引き抜き右側にある黒いスロットへと挿入し、スイッチを叩いた。

 

【JOKER! MAXIMAM DRIVE!!】

 

電子音声が鳴り響くとツヴァイの目の前に緑の竜巻を発生させ、その力と自身の跳躍力で宙に浮き上がりようやく起き上がったインセクトドーパントに向かって急降下していく。

そして、セントラルパーテーションから分割され、時間差で両足蹴りを叩き込んだ。

その名も…。

 

「『ジョーカーエクセリオン!!』」

『ぎゃああああああああああっ!!!』

 

ツヴァイの必殺技を受けたインセクト・ドーパントは爆散。

それと同時に変身していた少年の身体からメモリが排出されると音を立てて砕けた。

ツヴァイはスロットからメモリを抜き取り、ツヴァイドライバーを腰から外すと変身を解除した。

男はわき目もふらず少年に駆け寄ると少年の身体を抱きしめ涙を流しながら謝罪の言葉を繰り返していた。

それを見た刹那と瀬奈は男の背に向けてある言葉を口にした。

 

「「さぁ、お前の罪を数えろ……」」

 

そう呟くと彼らは裏路地から姿を消した。

後に残されたのは、罪を犯そうとした少年と自分の行いを悔い、彼に謝罪をし続けている1組の親子だけだった。

仮面ライダーツヴァイ、彼らの目的はこの都市に散らばったT3ガイアメモリを破壊すること。

あの少年は、偶然にも「T3インセクトメモリ」と適合し、歪な復讐心と共に怪物へと姿を変えてしまったのだろう……。

仮面ライダーの去ったその裏路地は、まるで彼らの和解を望むかのように、雲の隙間から太陽が覗き辺りを照らしていた。




 いかがでしたか、仮面ライダーツヴァイ。
 ツヴァイはドイツ語で「2」を意味していて、ダブルと同じくメモリを組み替えて戦う仮面ライダーです。もう少しダブルと差別化を図りたかったと少し反省してます。
 T3のライダーの名前は基本ドイツ語にしています。いやダブル系の仮面ライダーは使用するメモリで名前が決まるんで被らず中二カッコイイ感じを模索した結果、ドイツ語になりました。
 タイトルにもあるようにメインとなるのはタイプスリー…通称『T3ガイアメモリ』です。見た目は純正メモリやT2と同じですが、最大の違いは使用するごとに「メモリが成長していく点」です。完全に成長し覚醒すると、ゴールドメモリと同じスペックになり、メモリブレイクが不可能になります。しかしその分メモリの毒素も強くなります。それが街中にばらまかれてるって…やばいですね(笑)
 ツヴァイの変身者は例によって言及しません。双子の兄妹ですが詳しくは感想欄で質問ください。可能な限り答えます。
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