『あーくそっ、ついてないぜっ!!』
立ち入り禁止区となっている広場には、黒い機械の怪物が苛々していた。
メカニカルな光沢を持つ鋼鉄の怪人は『ガトリング・トレシャドー』……思考も言動も粗野な彼が苛立っているのには理由がある。
自分たちの頂点に立つ『長老』の方針により、トレシャドーはこの世界から別の地へと活動拠点を移すことにしたのだ。
それ自体に不満などなかったのだが、邪魔者…仮面ライダーに余計なことを感づかれないために何体か陽動を兼ねた見張りを置くことにしたのだ。
それに選ばれたのがペイントと、彼だ。
未開の地へ暴れるのを楽しみにしていたガトリングにとって、これほどストレスのたまることはない。
しかし、長老に逆らうことも出来ず言われるがままにこうして派手なパフォーマンスを起こしているのが現状である。
しかし……。
「動くなっ、トレシャドーッ!!」
『ああっ?』
敵意を含んだ怒声に、面倒そうに視線を動かす。
そこにいたのは紺色の警官服に身を包んだ一人の青年。
中性的だが短い黒髪と鋭い視線から精悍さを抱かせるが、弱い人間が現れたことにガトリングはさらに苛立ちを募らせる。
そんな彼の心情など知る由もなく、青年『
「人々をこれ以上、危険な目には合わせない!」
そう叫んだ彼が取り出したのは赤の装飾やラインがある白い奇妙な物体……長方形のような形をした接続部分があるそれを腰の前に当てると、黄色いベルトが伸びて桜の腹部に完全に固定される。
何かのベルトのようになったデバイス『バーサスドライバー』をセットしてから、今度は片手サイズの物体を取り出す。
見た目は白いラインのある青いバイクだが、ガンマン風のデザインが特徴の『バーサスギア』をドライバーの接続部分に右側からスライドするようにセットする。
【HERO A・RISE!!♪ ARE YOU READY!?】
ノリの良い軽快な音声が鳴り響いた後、気にすることなく桜は左側にあるグリップハンドルを握ってロックボタンを押しながら回す。
そして、自身にみなぎる熱い感情に従うように叫んだ。
「変身っ!!」
【ガチャリ!百発GUNMAN! FEVER!!】
前の開く音と共に新たな電子音声が響き渡ると同時に桜の身体を青いスーツと装甲が装備される。
そうして変身を遂げた瞬間、最後の電子音声と共に打ち上がった青い花火がその姿を照らした。
警察官を思わせるようなブルーカラー……しかし、メカニカルなウェスタンハット型の頭部とブーツからは西部劇のガンマンを思わせるようなデザインとなっている。
「『仮面ライダーガードレット』ッ!!貴様の排除を開始するっ!」
宣言と共にパトカーを模した白と赤の専用武器『執行拳銃ビリー・ザ・リボルバー』を召喚し、両手で構えてからトリガーを引く。
発砲音と共に、弾丸の形となったエネルギー弾は容赦なくガトリングの身体へと命中する。
『くそっ!ポリ公が図に乗りやがって…やっちまえっ!!』
その言葉に呼応するように現れた戦闘員『ポーンズ・トレシャドー』が襲い掛かるが、それに慌てることなくガードレットは後ろから迫る攻撃を躱すと振り向きざまにカウンターの銃撃を浴びせる。
正面からの攻撃は片手で捌き、一・二体のポーンズに足払いをして転ばせて弾丸を放つ。
型にはまりながらも、何処か変則的なガン=カタにポーンズの数は確実減らされていく。
【RAPID SHOT!!】
粗方の数が減ったのを確認したガードレットはドライバーにセットしていたバーサスギアにあるボタンを押した瞬間、音声が響く。
そしてトリガーを引きっぱなしにすると、空いた手で素早く撃鉄を何度も起こす。
『ギャッ!?』
『グギャッ!!』
頭部や心臓へと必中したポーンズうめき声と共に消滅する。
バーサスギアは乗り物と神話や歴史などの英雄が担った兵種が力として宿っており、付属のボタンを押すことで能力が解放されるのだ。
精密かつ素早いガンプレイに周囲のポーンズたちの数は瞬く間に減っていき、最後の一人を撃ち抜いたところで残りはガトリングだけとなってしまう。
『こ、のっ…クソ野郎があああああああああああっっ!!!』
激昂したトレシャドーは左腕をガトリングの銃身へと変形させると、そのまま高速回転を始めて無数の弾丸を放つ。
命中精度こそ低いが、弾丸の雨は周囲のオブジェクトを破壊していく。
だがガードレットは彼を挑発するように一発だけ銃撃をすると、そのまま相手をかく乱するように移動を始める。
彼が変身しているバーサスギア『ガンマンプラモ』はバイクの力も宿しているため、ローラースケートの要領でスピーディな走行が可能となっているのだ。
弾丸の雨を前転で回避するが、その合間にもビリー・ザ・リボルバーから放たれる弾丸によってガトリングの身体から火花が散る。
「止めだっ!!」
【ガチャリ!JUDGEMENT!!】
グリップハンドルを握って再び回した瞬間、電子音声と共に膨大な青いエネルギーが銃口へとチャージされる。
しっかりとガードレットは両手でビリー・ザ・リボルバーを構えて引き金を引いた。
「はぁっ!!」
『こ、こんなはずじゃあ…ぎゃあああああああああああっっ!!』
最後の最後まで抵抗したガトリング・トレシャドーは強烈なエネルギー弾による一撃が直撃し、元の器物である玩具の銃へと戻る。
戦闘が終わったのを確認したガードレットは無線機で上司へと連絡する。
「トレシャドーの撃退を確認。これより帰還します」
また一つ、市民を脅かす存在から人々を守ることが出来た……。
その事実を改めて感じながら、桜は報告を済ませるべくその場を後にするのだった。
だが、彼はまだ知らない。
トレシャドーたちが忘れられた存在が住まう地で暗躍を始めたことも、そこで二人の仲間が出来ることも。
そして…。
「動くな!怪盗…僕の信念に基づいて君たちを拘束するっ!!」
「俺の信じる正義、止められるなら止めてみなよー……警察っ!!」
自らの信念と真っ向から対立する、正義の怪盗と邂逅することも……。
まだ、誰も知らない。
仮面ライダーガードレッド 名前の由来……ガード+バレット
市民の安全を守るべく、トレシャドーと戦う警察官『朝花桜(あさばなサクラ)』が変身した姿。名前で勘違いされやすいが青年で高校卒業と同時に警察官となった。真面目な熱血漢で大儀よりも目の前の人間を助ける警察官になるべくしてなった男。姉と暮らしているがゲロまずの料理を作るため、意外と手先が器用。
両手で構えた専用武器『ビリー・ザ・リボルバー』による精密かつ高速な射撃と空手を組み合わせた接近戦を得意とする。
怪盗である仮面ライダーアルセティルとも真っ向から対立するが、どちらかと言えばルパン三世と銭形警部のような関係で時に敵対し、時に共闘するといった場面もしばしばでアルセティルの正体が未成年であることからも「危険な行為をさせないために更生させる」といった理由で証拠を残さない彼を現行犯で捕まえようとする。