オリジナルライダー設定集   作:名もなきA・弐

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少しばかり設定を修正しました。


仮面ライダーSHADOW

日常は、破壊された。

仕事で革靴をすり減らすサラリーマン、両親と共に遊ぶ子ども、誰もがいつもと変わらぬ生活を送っていた彼らの生活は突如現れた存在によって蹂躙の始まりが始まろうとしていた。

白い煙……身体を震わせるような冷気を吐き出し、それによって凍結されたタイルを砕きながら現れたのは人ではなく、一体の異形……。

人型になった白熊やイエティと連想すれば良いのだろうか、雪原のような白い毛布を全身に纏った鋭い氷柱が両肩と頭部に生えている。

そして何よりも異質だったのは、胸元に存在している液晶画面だ。

長方形のようなそれは埋め込まれるように身体の一部に組み込まれており、楽譜のような映像が映し出されている。

一言で表すなら『怪人』。

明らかに日常を謳歌する人間に対して友好的ではない怪人は逃げ惑う彼らを見てほくそ笑む。

誰もが自分を恐れる、誰もが自分に注目する……。

そして、それを引き起こすことが出来る絶対的な力を持っている……。

 

『くっ、はっははは……』

 

笑いが止まらない、興奮が抑えられない。

自分の力に酔いしれ、まともな思考も出来ない怪人は冷気を更に撒き散らそうと身体を動かそうとした時だった。

風を切る音とエンジン音が彼の集中力を途切れさせた。

 

『あっ?何だこのお…ぎゃあああああああああああああああああっっ!!?』

 

聞こえるはずのない奇妙な音に、首を傾げる怪人…だがその瞬間、赤い五線譜をあしらった黒いバイクによる突進攻撃が雪男のような氷の怪人を吹き飛ばした。

絶叫と共に地面を転がるも、すぐさま起き上がって自分の楽しみを邪魔した乱入者に敵意を露わにする。

 

『痛ってぇなああああああああっっ!!!何なんだてめぇっ!!?』

「何なんだ、か……如何にも三流の悪役らしいチープなセリフだな」

 

怪人の悪意に満ちた殺気に臆さず、ヘルメットを被ったバイクの運転手は軽い態度を隠すことなく相手を挑発する。

アシンメトリーを基調とした、自分のファッションセンスを前面に押し出した青年に、怪人『スコアリプス』は苛立ちを更に募らせていた。

無敵ともいえる、それこそ神のような傲慢とも呼べる歪んだ価値観を相手にぶつける。

だが、それでもなお態度を変えない運転手はヘルメットを外し、ややパーマで赤みがかった髪型の素顔を見せると、赤い結晶のような装飾がある黒いバックル『シンフォギアドライバー』を取り出して軽く腰に当てる。

そして、上着の内ポケットからペンダントサイズのスケルトンキーのようなデバイスを取り出す。

黒く輝く……射手座の星図が刻まれたアイテム『ゾディアックキー』を取り出すと、そこにあるスイッチを押して起動した。

 

【SAGITTARIUS SHADOW!!】

 

黒い結晶のような『サジタリアスシャドウキー』を構えた青年はシンフォギアドライバーの中央部へとセットする。

 

【HENSHIN STANDBY!】

 

電子音声が鳴り響き、J-POPのような軽快な待機音声が変身者の戦意と闘志を上げていく。

同時に、目の前には射手座を裏表に反転させた星図のエフェクトから、黒い甲冑を全身に纏ったケンタウロスが出現しスコアリプスを威嚇する。

そしてバイクに乗ったまま彼は……。

 

「変身っ!」

 

バックルの左右に存在する再度ハンドルを両手で交差させるように押し込んだ。

 

【MUSIC! SAGITTARIUS SHADOW TRON! SHOW TIME!!♪】

 

音楽が鳴り響き、黒い五線譜と音符で構成された旋律のようなエネルギーがベルトから具現化される。

禍々しい…負の感情を増幅させるような呪われた旋律が青年の身体へと覆っていく。

だが、それでも彼の精神が歪むことはない。

水晶のような相応しい正義の心は、決して砕けることはないのだから……。

やがてケンタウロス型のアーマー『星鎧』が全身に装着されることで変身が完了した。

全体的に獣の牙を連想させる刺々しくもシャープなデザインをした黒いスーツとアーマー、一本のホーンに赤い複眼とクラッシャー……ヘッドホンのようなマスクからさながらバッタのようにも見える。

余計な装飾のない、黒い戦士は右手に柄と鍔がトランペットのようになっている取り回しの良いサイズの剣『トランセイバー』を持っている。

 

「俺の名はシャドウ……『仮面ライダーシャドウ』。勝利の旋律、聴かせてやるよ!」

 

氷の怪人『アイス・スコアリプス』へと宣言したシャドウは、バイクから降りると、トランセイバーを構えて走る。

 

『っ!カッコ付けてんじゃねぇよっ!!』

 

突然の出来事に混乱するも、相手への敵意が限界まで膨れ上がったアイスは氷柱を全身に生やし、それらを勢いよく射出する。

普通の人間ならば躱すことなく貫かれるが、シャドウはトランセイバーを振るって氷柱による攻撃が防ぐ。

それでもスピードを削ぐことなく直進する彼に、余裕の表情がなくなったアイスは続けざまに氷柱も放つもシャドウは段々と距離を詰めていく。

やがてシャドウの斬撃がアイスの身体を切り裂いた。

 

『がぁっ!?こ、このっ』

「はっ、オラッ!」

 

トランセイバーの剣撃と、蹴りと拳による打撃を織り交ぜた連続攻撃にアイスの身体には火花が散る。

サジタリアスシャドウの能力によって元来持つ高い戦闘力を底上げしており、反撃する時間さえも与えられない連撃は、着実にアイスに余裕を失わせる。

更にシャドウは中央にセットされたキーを捻る。

 

【SHOOTING!】

「そらっ!!」

『がっ!?』

 

紫色のエネルギーを纏い、まるで放たれた矢の如き威力と速度で攻撃を叩き込んだ。

サジタリアスの力を一時的に開放したシャドウの連撃によるダメージが蓄積されるアイス。

しかし、ほんの少し出来た僅かな隙が生まれた。

 

『っ、あああああああああああああああっっ!!!』

「ちっ!」

 

口から吐き出した冷気がシャドウの黒いボディを凍てつかせた。

白く凍り付き、身動きの取れなくなった彼にアイスの余裕が最初のような悪意に満ちた余裕へと変わる。

 

『ひゃっははははははははははははっっ!!!どうだよ真っ黒野郎っ!こうなったらお前はもう逃げることも出来ないぜっ』

 

シャドウの両脚も地面ごと凍結されており、両手は僅かに動くものの回避することは難しいだろう。

「散々自分を馬鹿にしたツケを払え」とアイスは相手に見せつけるようにわざを拳を高く構える。

 

『粉々に砕けなっ!!』

 

勝利を確信したまま、拳を振り下ろそうとした時だった。

 

【TAURUS ALCHEMIST!!】

【HENSHIN STANDBY!】

 

しかし、シャドウは赤いスケルトンキー『タウラスアルケミストキー』をドライバーにセット。

すぐさま再度ハンドルを押し込んでギアに内包された『音』を開放する。

 

【MUSIC! TAURUS ALCHEMIST TRON! SHOW TIME!!♪】

『ぐおおおおおおおおおおっっ!!?』

 

ロックのような激しい音楽と共に、爆風のような風圧がアイスの身体を吹き飛ばす。

シャドウの身体からは炎が噴き出し凍結された身体を徐々に溶かしていく。

刻まれた星図は反転された牡牛座……そこに召喚されるのは黄金の角を持つ猛牛が激突し、やがてパーツ状に分解された星鎧と真っ赤な旋律がシャドウへと装着される。

現れたのは深紅に染まったスーツと重厚なアーマーに身を包んだ戦士……左肩には黒い裏地のあるマントを羽織っており、頭部にある黄金の角は強大な力を隠そうとしない。

『仮面ライダーシャドウ ミュージックタウラス』……シャドウの持つパワー形態。

 

「……来な」

『くそったれがああああああああああああっっ!!!』

 

怒りで頭に血が上ったアイスは冷気を噴き出しながら、再びシャドウを凍らせて砕こうとする。

しかし、冷気には霜がつくだけで効果がなく、アイスの攻撃も重厚な装甲の前では何の意味もない。

シャドウは専用武器……メトロノームをモチーフにした『メトロハンマー』を召喚し、そこにある錘を一番下に下げる。

 

【UP TEMPO! TANTANTAN!♪】

 

メトロハンマーに火属性と風属性の旋律が纏っていく。

やがてアイスの鳩尾に掌底を打ち込んで、ほんの少しだけ怯んだ隙を逃すことなくシャドウがハンマーを構える。

 

「粉々に砕けな」

 

その言葉…先ほどの意趣返しと言わんばかりのセリフと共に、スコアリプスの身体が強烈な灼熱と衝撃によって、吹き飛ばされた。

 

『ぎゃあああああああああああっっ!!?痛いっ、痛いっ!!』

「まだまだ行くぜ、オラッ!!」

 

激痛により、地面をのたうち回るアイスの戦意は削がれていく。

しかし、シャドウは気にすることなくメトロハンマーを掬い上げるように振り回して追撃を始める。

 

『がっ!がっ、ぎぃっ!?』

「そらよっ!!」

 

ハンマーによる重い一撃に苦しむアイス。

それだけではない、シャドウは炎と風を纏った拳を時折叩き込み再びアイスを地面へと這いつくばらせる。

再び地面に叩きつけられた怪人の精神は、既にへし折れていた。

故に。

 

「さぁ、酔い覚めの一撃だ。強烈なラストコールをプレゼントしてやるよ!」

『ひっ!ひいいいいいいいいいいいっっ!!!』

 

シャドウの宣言に、アイスは背を向けて逃げ出そうとする。

とにかくこの場から離れたかった、もう知らない……。

生存本能による逃走が思考の大半を占める中、シャドウは「逃がさない」と言わんばかりに水属性の錬金術で発生された冷気でアイスの両脚を封じる。

そして、シンフォギアドライバーから外したゾディアックキーをメトロハンマーのスロットにセットにし、錘を一番上へとスライドした。

 

【FINAL CODE! OK ALCHEMIST!!】

 

ゆったりとしたテンポの音が流れる、メトロハンマーには火・水・風・土のエレメントが一つの旋律となって徐々に蓄積されていく。

そのままジェット噴射の要領で勢いよく地面を滑ったシャドウは勝利の旋律を奏でる必殺技を相手へと繰り出した。

 

「ぶっ飛べえええええええええええええええええっっ!!!」

『ぶべええええええええええええええええええええっっ!!!?』

 

フルスイングされたメトロハンマーの一撃『アルケミックインパクト』を顔面に叩き込まれたアイス・スコアリプスは爆散。

地面に摩擦熱を作りながらも、スピードを完全に殺したシャドウはメトロハンマーを肩に担ぎ、振り返って自らが作った爆心地の方を見る。

そこには一人の男性…これといった特徴のない平凡な人物が痙攣しながらも、気を失って倒れていた。

その彼の近くには結晶のような黒と紫色の物体『スコアリプスキー』が粉々に砕けた状態で散らばっている。

 

「まっ、後は警察やらがどうにかしてくれんだろ」

 

そう独り言ちた彼は、倒れている男性を拘束すべく歩くのであった。

 

 

 

 

 

「あーあ。負けちゃいましたか」

 

その戦いを、誰にも気づかれずに観察していた人物がいた。

赤いジャケットとズボンにカジュアルなメガネをかけた青年は、双眼鏡を下ろして息を吐く。

遠くから仮面ライダーとスコアリプスの戦闘を眺めていたその青年のスマートフォンに着信が入る。

 

「はいはーい?」

 

態度を変えることなく、青年は自身と同格であり『先輩』でもある電話の相手に応対する。

 

『……その様子では、アイスは負けたようじゃのう』

「ええまぁ。旦那の予想通りと言うべきか、期待が外れてしまったと言うべきか。こっちはわざわざ『毒』までプレゼントしてやったのに……」

 

アイス・スコアリプスだった人間の醜態に呆れたような声を出す彼に、電話の相手である男性は「構わない」と言いたげな様子だ。

自分たちが欲しいのは、あくまでも同士……アイスのように感情をただ爆発させるだけのスコアリプスなど手駒程度の価値しかない。

冷徹とも言える彼の人間性に気にすことなく、青年は指示を仰ぐ。

 

「どーします?何だったら私が直接出向いても良いですけど」

『必要ない。帰還せい「イチイバル」』

「りょーかいしましたよ。『天羽々斬』の旦那」

【SCORELYPSE STANDBY……!!】

 

短い通話を終えた青年、イチイバルはスコアリプスキーを起動し、怪人の姿へと変貌すると自らの赤い身体をヘドロ状に液体化させてその場から消えるのであった。




スコアリプスキー
人間に超能力または錬金術を扱えるようにするエネルギーが内包されたアイテムで、スケルトンキーのような形をしている。スイッチを押すことで変身が可能となる。
ただし、エネルギーを直接人体に送り込むため姿が怪物じみてしまう、変身中は精神状態の昂揚による人格の変化がエゴの増幅などデメリットが多い。

スコアリプス
スコアリプスキーで変身した怪人。共通した特徴として、身体の一部に楽譜のような液晶画面が存在している。
名前の由来は「スコア(総譜)」と「アポカリプス(ギリシャ語で暴露するの意など)」の造語。
また最大の特徴として、「調律を乱す」・「乱れた旋律では倒せない」という能力がある。スコアリプスは言わば、感情という音を大音量で流している状態ためその音は耳には聞こえないが、周囲に影響を与える。例え、肉体的強さがあっても音が乱れた人間には倒せない。
ただし、仮面ライダーのシステムはスコアリプスの音をシャットダウンし、音を自動的に調律する機能があるため撃破可能。
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