イメージとしてはブレイドとゼロワンをイメージしています。
異なる場所で、それぞれの理由で戦う戦士たちの活躍を楽しんでいただければ幸いです。
時風町……それは、時代と風の流れと共に進化を続ける街。
シンボルでもある巨大な時計塔があること以外は至って普通の街並みだが、『とある技術』の実験都市としての側面もあるのだ。
近年稀に見るコンピューターウィルスの進化に対応すべく、この世界では「デジタライズ」と呼ばれる技術を生み出した。
それは、特殊なチップや機械に内包されたデータを実体化させることで視覚化に成功したコンピューターウィルスを自身の手でデリートするという技術だ。
一見すれば未来の技術だが、実体化したデータが人間に害を与えるのかなど課題点が多く、またデジタイズを悪用した犯罪も否定出来ない。
それら全ての可能性をシミュレートし、その解決案の提案や実行を任されているのが、この時風町なのだ。
そんな科学の未来を担うその街中で『怪人』の魔の手が忍び寄る。
裏口の居酒屋が立ち並ぶ通り道に悲鳴が響き渡った。
「きゃあああああああああああ!」
女性の悲鳴なのだろうか、悲鳴が聞こえた途端に辺りの談笑は一気に消え失せ動揺へと変わる。
そしてそれが、恐怖へと変わるのに然程時間は掛からなかった。
『うわあああああああああっ!?』
男女の更なる悲鳴が聞こえ、恐怖と不安が伝染すると、一目散に多くの人々が表の通りへと逃げ出した。
中にはその大群に飲み込まれて転んでしまう人もいたが、それでも逃げようとする辺り、やはり必死だった。
しかし、恐怖の根源である『それ』は、気にすることなく食事を続けていた。
『おっふ。これが夢にまで見た有名店の味……何て素晴らしい、何て美味なんだっ』
恰幅の良い身体と牙を生やした顔は正しく人型になった野生の豚そのもの……しかしそのボディは毒々しいピンクであり、まるで肥えた内臓のようだ。
血管のような赤いラインを全身に走らせたその異形は先ほどまで客が食べていた料理を箸で食べやすいサイズまで細かく分けて、口に入れる。
人の食べていた料理を食す姿は日本のマナー以前の問題だが、異形が丁寧な作法で食べている姿はあべこべで何処か滑稽だ。
やがて、食べ終えた豚の怪人は次の『美食』に目を向ける。
先ほど悲鳴をあげた女性が帰り道の途中で購入した、本格中華料理店の中華まんだ。
「あっ、あぁ……!」
女性は腰が抜けて立てない中、それでも必死に這いずり逃げようとしていた。
差し出せば助かる確率は高いのだが、恐怖に縛られている今の状況ではそんな冷静な判断をするのは難しいだろう。
『それも美味そうだ。なぁ、食わせてくれよ。ほんの少しで良いんだ、頼むよ。なぁ?なぁなぁなぁなぁなぁなぁ……!』
そう言いながら、女性の元まで近づいた怪人は鈍く光る巨大なフォークを取り出した。
『それを、食わせろおおおおおおっっ!!』
そして、その分厚いフォークの刃を尖らせて女性を串刺しにしようと手を引いた。
その時。
「ふっ!」
『プギッ!?』
女性を飛び越えて一台のバイクが怪人に向かって突進。
暗闇から乗じて試みた奇襲が相手の意を突き、そのままバイクの前部分に怪人の身体がもたれた。
ヘルメットで顔こそ分からなかったが、服装は紺色の上着に白いシャツと長いジーパンの少女……今時の女子大生らしい服装だ。
「早く逃げてください!」
背後にいる女性に向かって声を飛ばすと、少女は一気にバイクのエンジンをかけて怪人『デジタント』をフロントに叩きつけたまま走り出した。
デジタント……それは時花町に現れた正体不明の電波生命体。
人間の持つ欲望をデータとして取り込み、憑依することで進化するデジタライズとはまた違うイレギュラーで生まれた怪人だ。
少女はそのデジタントから人々を守る組織『GUARD』の協力者として所属している。
「……はっ!」
マシンを加速させて移動を続ける。
余計な被害を出さないよう、人がいない安全な場所へと移動して戦うつもりなのだ。
前から来る風圧によって意識を取り戻した豚のデジタントは手に持ったフォークを杏の顔面に向かって突き立てるが、それを僅かな初動のみで避ける。
『ピギィイイイイイイイイッ!』
(微かなアルコールいや酒の臭い……もしかして酔っているのっ?)
それに気づいたのは突進した時だ。
まるで痛みという感覚が鈍ったかのようにゆっくりと倒れる様子を見た時には見た目の割に打たれ弱いのかと思っていた。
しかし、ここは居酒屋が多く並んでおり駆け付けた時には他の店も襲われた痕跡があった。
ならば、このデジタントは料理だけでなく酒も好む人間に憑依したのかもしれない。
事実、近くで対峙して分かったことだが、デジタントの口らしき箇所からは異なる料理の入り混じったような不快な臭いに紛れて微かにアルコール臭が漂ってるのだ。
「……きゃっ!?」
そんな考察しているところで敵も本格的な戦闘態勢に入る。
バイクを力の限り揺らし、妨害を開始したのだ。
「くっ!」
だが少女もハンドルを強く振り返して威力を相殺し、そのまま路地裏へと突っ込む。
『……ああああああ!好い加減離しやがれごるぁああああああああっ!!』
再び喉元を狙った一撃が怒声と共に迫る。
そろそろ、身体の自由が効かない少女では避けるのも難しくなってきた。
辛うじてこれらを避けると、懐から『ある物』を取り出す。
【JOKER DRIVER!】
それは銀色をメインカラーにした奇妙なバックルのようなデバイス。
所々に赤い装飾があり、右側には横向きにして挿し込むであろうスロット部分とフック型の小さなレバーがある。
デバイス『ジョーカーズドライバー』を腹部に当て、伸びた銀のベルトで完全に固定した彼女は鞘に納めた蒼い刀剣を左腰に出現させる。
「これでも……っ!」
機体のバランスを崩すことなく、逆手による抜刀を行う。
不意打ち気味に放たれた居合による一太刀が豚のデジタントにダメージを与え、牽制の役割を果たした。
「よし!ここならっ」
そして、ようやく人が少ない場所へと辿り着く。螺旋状に作られたとても緩やかな下り坂のようなところだ。
急ブレーキをかけて慣性の法則を利用して豚のデジタント『グルメ・デジタント』だけを正面に吹き飛ばすと、愛機から降りてヘルメットを外して素顔を露にする。
恵まれた長身と凹凸のある体型、そして何処か凛々しさの残る顔立ちに青いツインテールを靡かせた少女はバイクから降りる。
「……今日は大事なゲームの試合があるの、速攻で片をつけてあげるっ!」
宣言した青髪のツインテールの少女『剣立 杏』は、上着から少し分厚いプレートのようなアイテムを取り出した。
それは『ジョーカーズプレート』……様々なクラスと武器でカスタマイズした自身のアバターであり、最高の切り札。
【LIGHTNING DRAGON!!】
マフラーを身に付けた、蒼い龍騎士が描かれたプレートから起動音声が鳴り響いた。
時風町の地下放水路に足を踏み入れたのは一人の青年。
紫のコートに白いシャツ、ズボンといった出で立ちをしており、黒い髪と端正な顔立ちだ。
彼はハエのデジタントが出現した情報を組織時代に身に着けたハッキング技術で知り、居場所を特定し現場へと向かったのだ。
『えっへへへ。ここは俺の城だぁ……やっと辿り着いた、俺だけの秘密の城っ。へへっ、へっへへへへへへへ』
虚ろな声で独り言を呟く姿はまるで自らの場所だと証明するかのように、何処か不安定な飛行を繰り返している。
サイバーチックな白いラインが全身に走っていること以外は等身大になった人型の黒いハエ……真っ赤な複眼の他に身体の至るところに赤く巨大なカメラレンズが埋め込まれており、背中に生やした翅でその身体を浮遊させている。
『しーろ、しーろ。俺のしーろっ、俺だけのお城ぉっ♪』
「……」
目の前で不快な音を立てながら空を飛ぶデジタントに対して、青年『
理想の城へと辿り着いたハエの探索者『シーカー・デジタント』は彼に構うことなく空を飛び続けている。
「……『奴』と戦って分かった」
二年前……『あのデジタント』に敗北し何も出来ずに逃走するしかなかったこと。
仲間であり、先輩を目の前で失ったこと。そして、もう他者を巻き込むまいと組織を抜けたこと……。
もはや今の自分に、仮面ライダーとなる資格はないのかもしれない。
しかし、それでも目の前のことから逃げるわけにはいかない。
あの時の戦いで得たのは最後まで戦う意志。
例え、自分以外の仮面ライダーを倒してでも、必ずデジタントを倒すという覚悟だ。
「俺は……お前たちデジタントを滅ぼす。絶望の仮面ライダーだっ」
【DUEL DRIVER!】
腹部にセットしたのは奇妙なバックル。
ベルトの上部には丸いスイッチがあり、紫色の扉らしき装飾と左右の端には巨大な銀色のネジが縦に二つ並んでいる。
それ『デュエルドライバー』から伸びた紫のベルトが完全に腹部へと固定されると、コートの懐からジョーカーズプレートを取り出した。
悪魔を思わせる黒い双角に、西洋甲冑に変化した剣士らしい骸骨が描かれており、そこにあるスイッチを押して起動音声を鳴らした。
【DESPIER RAIDER!!】
ネクロマンサークラスの剣士が、冥界より反撃の狼煙を上げる……。
人のいなくなった工場跡地には、一体のデジタントがいた。
象を思わせる灰色のボディと黒いライン……しかし頭部には長い鼻の代わりに鎖の長い小型のモーニングスターが垂れ下がっている。
右肩には鋭い象牙に左手にはハンマーを構えた象の『クラッシュ・デジタント』は作業員たちがいなくなったことを確認しハンマーを構える。
『くそがっ、社会の底辺が俺に説教した挙げ句クビにしやがって……こんなくそ工場っ、ぶっ壊してやるよぉっ!!』
叫び、感情のままに振り下ろそうとした時だ。
ふと感じた気配に手を止めて振り返る。
その先には、一人の少女。
桜色の瞳と可愛らしい顔立ち、瞳と同色のショートヘアに黒いカチューシャ……豊満な胸元と華奢な身体にはピンクのラインが施された黒いジャケットとミニスカートを身に着けている美少女だ。
『……「
そう、少女はこの世界で活躍しているアイドル。
しかし何故彼女がここにいるのか、何故デジタントである自分に恐怖することなく、それどころか睨みつけているのか……恐らく一生分からないだろう。
そんな相手の動揺を知る由もなく、刀華は少しばかりの落胆を覚える。
(……GUARDの仮面ライダーも、組織にいた仮面ライダーも来ていない。外れかっ)
幼少のころ、両親も亡くした彼女を引き取ってくれたのが父方の弟である『桜城桜州』だった。
恩人でもありもう一人の父親とも呼べる彼は、ある日突然亡くなった。
分かったのは、叔父がGUARDの仮面ライダーとしてデジタントと戦っていたこと……今自分が所持しているベルトとプレートがその証だ。
しかし、自分のスマホに贈られた動画のメッセージが『ある疑惑』を抱く。
───「GUARDは信用するな」───
ノイズの入った動画で辛うじて聞こえたのは、言葉のみ。
だからこそ、叔父に何があったのか真実を知るべくアイドルとして情報を収集しながら仮面ライダーとして戦っているのだ。
現在GUARDに協力している剣立杏と、元GUARDのメンバー刃柴蓮哉……目的の二人に会えなかったのが痛いが、目の前のデジタントを放っておくわけにもいかない。
蓮哉と同型のデュエルドライバーを装着し、眼前の敵を見据える。
「叔父さん。力を貸して……」
胸ポケットから取り出したジョーカーズプレート……桜の木の下で弓と刀を構える武者甲冑が描かれたプレートのスイッチを押して起動した。
【吸血桜の武者カゲミツ!!】
たった一本の桜に魅せられた狂戦士……刃を振るうは外道のみ。
同時刻、とある地下通路……。
息を切らしながら走るのは、カメレオンのような一体のデジタント……緑色のボディと特徴的な目は確かにそうだが、赤いラインは唐草模様になっており、何処となく泥棒のようにも見える。
『見ーつけた♪』
機械で別の声色へと加工した声が響く。
カメレオンの泥棒『シーフ・デジタント』が慌てて振り向けば、そこにいたのは一人の人物。
体格の判断がつけづらいフードを被り、左側に蜘蛛を模した黒いペイントが施された白い仮面を身に着けている。
デジタントの味方をする正体不明のハッカー……コードネーム『スパイダー』にシーフは震える声で必死に言葉を紡ごうとする。
『ま、待ってくれよっ。俺はただ泥棒しただけだろっ、それなら別に問題じゃねぇだろっ!?』
『残念だなぁ……お前は、上の連中から見込みなしの烙印を押されたんだ。諦めな』
ばっさりと切り捨てたスパイダーは、仮面越しでも分かるような態度で楽しそうに笑うと「さて」と標的を見据える。
『んじゃ……お仕事しますかねぇ』
懐からジョーカーズプレートを取り出す。
そこに描かれていたのは、蜘蛛の脚を背中から生やした神々しくも悍ましい僧侶……邪教のシンボルとなる呪いの蜘蛛。
【SPIDER OF CURSE!!】
起動し音声を響かせると、彼の腰に奇妙なバックルがデータ状のエフェクトと共に出現。
紺色の機体はまるで深い闇を思わせるように染まっており、バックルの中央部分には認証リーダーらしき赤い回路が張り巡らされた丸く白いパーツが装着されている。
まるで血走った人間の眼球を彷彿させるような不気味なデバイスが、その名を告げた。
【CYBER DRIVER……!!】
四つの戦場を見下ろす空の下、四人はそれぞれの想いや野望を旨に戦闘へと入る。
「さぁ、絶望に沈め……!」
蓮哉は起動したジョーカーズプレートを展開し、青白く燃える剣を構えた骸骨剣士の絵柄へと変えると、右斜め前に設置されたスロットへと装填し、両腕を一瞬交差し短く言葉を紡ぐ。
「変身」
そして、デュエルドライバー上部のボタンを拳で押し、紫色の扉を開いた。
【
バックルから紫色の光が放たれると、ディスペアーレイダーのプレートを模したエネルギーのゲートを構成し、戦いの始まりを告げる電子音声が鳴り響く。
自身の方へと迫り来るゲートに臆することなく、蓮哉はそれを潜り抜け、その姿を変えた。
【 I AM JOKER! DUEL START!!】
全身を紫色のスーツで身を包み、その上には骸骨を思わせるような白いプロテクターを装備している。
しかし、装甲部分を見るとネジのようなディティールが目立つなど何処となくプロトタイプを連想させる。
頭部には黒い双角が装備され、丸く青白い複眼が輝いた。
『仮面ライダーディスレイ』……ネクロマンサークラスを宿した戦士は左腰のホルダーに納まった西洋剣を抜刀する。
紫の柄と鍔、そして青白い刀身を持つ『ディスペアーカリバー』を構え、標的に向かって地面を蹴る。
一方で、ドライバーからの音声で侵入者にようやく気付いたシーカーが振り向いた。
『俺の城へ勝手に入るなああああああっ!』
自らのテリトリーに入り込んだ異分子を排除すべく、不快な翅音を立てながら、ディスレイへと飛びかかる。
「はぁっ!」
その攻撃に臆することなく剣士は、黒い探索者との交錯が始まる。
ハエ特有の身軽な動きから繰り出される黒い拳や蹴りを、ディスペアーカリバーで受け流していく。
『ブブウウウウウウウウウッ!』
理性の飛んだ唸り声と共にシーカーの攻撃が激しくなる。
「単純なんだよ!」
その一撃、一撃を払いながら、確実に距離を詰めていく。
次に放たれたシーカーの拳を左手で止めると、その身体をそのまま一回転させた。
『なっ!ぐえっ!?』
力を利用され、地面に背中から叩きつけられるシーカー。
【RISE! 冥界の焔!】
「よっと!」
『ぎゃあっ!?』
デュエルドライバーのボタンを押し、ディスペアーカリバーの刀身と両脚に青白い炎を纏わせると、攻撃を開始する。
剣による斬撃が黒い異形を焼き、強烈な蹴りがその悪意ごと穿つ。
そして、渾身の一撃でとうとうシーカーが吹き飛ばされた。
『ぎぃっ!?この……!』
すぐさま空中で身体を安定させ、翅の音と共に浮遊するシーカー。
全身ある目とカメラレンズを光らせながら、ディスレイを睨み付ける。
もはや理性のないシーカーは目の前の敵を排除することしか考えていない。
それを分かっていたからそこ、彼も必殺の一撃を繰り出せる。
『ブッ、ブブブブブブッ!ブブッ!』
「こいつで終わらせてやる」
冷たく宣言したディスレイはバックルのボタンを三回連続で押し、音声を鳴らす。
【OVER RISE! DESPIER STRIKE!!】
先ほどよりテンションの高い音声が響くと、彼の右脚に紫のエネルギーと青白い炎が収束。
恐怖を怒りで押し殺し、シーカーが弾丸のように突進した瞬間だった。
「……はぁっ!」
『ブブッ!?』
刃の如き上段蹴りがデジタントの顔面を捉えた。
完璧なタイミングで放たれた必殺のカウンターに、防ぐことすらままならない。
吹き飛び、地面に転がり落ちたハエに気にすることなく、ディスレイは背を見せる。
『ブブブウウウウウウウウウウッッ!!』
しばらくして、絶叫と共にシーカー・デジタントは爆散した。
憑依されていた浮浪者らしき男性が気を失った状態で倒れる。
変身を解除した蓮哉は彼を担ぎ外へと出るのだった。
桜吹雪の中心にいる紅い甲冑武者の絵柄へとジョーカーズプレートを展開した刀華は、デュエルドライバーのスロットへ装填。
「……あの人の正義は、私が継ぐ!」
待機音声をバックコーラスにその場で舞うように一回転すると、クラッシュに向けて人差し指を突きつけ宣言する。
「変身!」
流れるような動作で、バックル上部のボタンを押し込んで扉を展開した。
瞬間、蓮哉と同様に刀華の前方に桜色のゲートが展開する。
本来ならデュエルドライバーで造られたエナジーゲートは変身者の方へと移動するのだが、彼女は鮮やかなステップ踏んでゲートを潜り抜けた。
【
現れるは桜を思わせるような鮮やかなピンク色の武者甲冑を身に着けた戦士……。
しかし、そのスーツはまるで鮮血のような深紅に染まっており、まるで秘めた狂気を武士道精神で抑え込んでいるようだ。
やはり甲冑にはネジの装飾が目立ち、刃の如き一本角を持つ兜で覆われたマスクには菱形の複眼が緑色に輝く。
ベルセルククラスの人斬り『仮面ライダー
上のフレーム部分に鋭い銀の刃を備えた『カゲミツアロー』の後部にあるグリップを引き絞ると……。
「……はっ!」
クラッシュに向けて赤い矢を放つ。
しかし、単純な軌道のそれはクラッシュにとって大したダメージにならない。
連続して放たれる矢の雨をハンマーと強靭な体躯で防ぎながら、突進する。
『オラァッ!!』
勢いのまま振り下ろされたハンマーをハザクラは難なく回避する。
しかし、攻撃はこれで終わらない。
『ふんっ!』
左手の武骨な拳が彼女目掛けて迫る。
しかし、彼女は焦ることなくボタンを押して能力を発動する。
【RISE! 血桜の加護!】
瞬間、ハザクラの身体に紅いエネルギーが纏わりつく。
複眼を光らせると、その重い拳を片手で受け止めたのだ。
『なっ!?』
クラッシュは驚く。
この華奢な身体の何処にそんな力があるのだろうか……。
しかし、その動揺が命取りとなった。
「ふっ!」
『ぎゃああああっ!う、腕っ!俺の腕ええええええええええっっ!!?』
力を込めた瞬間、クラッシュの豪腕が容易く握り潰された。
伝わる激痛に喚き、後退りするのを気にせずハザクラはカゲミツアローによる近接戦を仕掛ける。
血桜の加護……それはカゲミツが持つスキルだ。単なる強化だがシンプルな分、今回のデジタントのようなパワー重視の個体には非常に有効なのだ。
「ふっ、はっ!とうっ!!」
『くっ、がっ!ぐおっ!?』
流れるような連撃を受け、がら空きとなった胴体にゼロ距離で狂化の一矢を放つ。
クラッシュは容易く吹き飛び、手に持ったハンマーをも落としてしまう。
「フィニッシュ!」
【OVER RISE! 桜花蹴撃破!!】
宣言と共に必殺技を発動したハザクラはリズムに乗って前進。
そして地面を蹴って高く跳躍すると桜吹雪と共に両脚を突き出した。
「はああああああああっ!」
『ぐおああああああああああっ!』
直撃を受けたクラッシュ・デジタントは悲鳴をあげて爆発。
金髪に染めたチンピラが倒れているのを確認すると、変身を解除した刀華は工場内に落ちていた紐で彼を拘束した。
出現・装着したサイバードライバーの左側にあるトリガーのような赤いスイッチをスパイダーは手袋で覆われた親指で軽く弾き、音声を鳴らす。
【認証開始】
無機質な電子音声と共に、心臓の鼓動を思わせる待機音声が響く。
それは、悪意の力……彼が持つこの世界への憎悪を増幅させるためのベルト。
ジョーカープレートを持っていない左手の指を鳴らし、続ける。
『お前もデジタントの祖……ソロモンの餌になりなぁっ』
つまみ上げるように、ジョーカーズプレートを構えながら、楽しそうな悪意の笑みを浮かべた彼は感情のまま叫ぶ。
『あっははははははは!ひーひゃはははははっ!
そして、認証パスのようにジョーカーズプレートをアイズリーダーにかざした。
【認証完了】
無機質且つ掠れたような電子音声が静かに響くと、禍々しいバグに犯されたゲートがスパイダーを挟み込むように左右に出現。
分割されたゲートは変身者を取り込むように重なると、ノイズのような歪みが発生し彼の身体を作り替えていく。
【KLACK SPIDER.DUEL START……!!】
やがてゲートが溶けるように消滅すると、その戦士は姿を見せた。
黒いスーツに白いローブで全身を覆っており、まるで僧侶を思わせる。
しかし、ローブには蜘蛛の脚を思わせる装飾があり、金色のラインが脈動している。
マスクにある複眼の左側は黒だが、右側は三つの複眼が赤く不気味に輝いていた。
『花火のように散らしてやるよ!』
ビショップクラスの戦士『仮面ライダーカービス』は先制攻撃と言わんばかりに、銃と剣の二つの形態へと変わる複合武器『カースブレードガン』を召喚した。
先制攻撃とばかりに銃のモードへと切り替えて発砲する。
攻撃はそれだけでは終わらない。
【認証開始】
【RISE……CURSE ATTACK……!】
変身時と同じようにスイッチを押してから左のプレートホルダーから抜き取ったカースオブスパイダーのジョーカーズプレートを読み込ませると、擦れような不気味な電子音性が響き渡る。
改めてカービスが銃口をシーフへと向けて再び発砲するもシーフは迎撃すべく、身体から射出した赤い舌のような鞭を使って打ち落とす。
気にすることなく銃撃を続けるもシーフも負けじと迎撃する。
しかし、しばらくして変化が起こった。
『ぐっ、ぎぃ……!?』
シーフが突如苦しみ始めたのだ。
最初は小さな痛みだったが、徐々に立っていられないほどの激痛へと変わったことで思わず膝をついてしまう。
自身の毒が回ったことに気付いたカービスはジョーカーズプレートを今度は二回かざしてライズを開始する。
【DOUBLE RISE……CURSE BIND……!】
今度は剣のモードへと切り替えると、その刃を振るう。
すると刃から白い蜘蛛の糸のような白いエネルギーが纏わりつくと、宛ら蛇腹剣のようにシーフへと襲い掛かる。
透明化して逃げようとするも、意思を持つかのように動いた糸は鋼鉄のように硬貨し締め上げたデジタントを八つ裂きにする。
『ぐっ、おっ、いぎぃっ』
『逆境で進化する見込みもなし、か……さっさと消えな』
まるで玩具に遊び飽きたかのような声で溜息を吐くと、再びスイッチを押してからジョーカーズプレートを展開する。
呪いの言葉が身体中に刻まれた白い蜘蛛のイラストへと切り替えてから、再びアイズリーダーへとかざした。
【最終認証。OVER RISE! CURSE OF END……!!】
必殺の電子音性が響いた瞬間、カービスの両手から白い糸のエネルギーを放出すると同時に高速で移動を開始した。
自身に毒を流し込むことで疑似的なドーピングを可能にした彼は、素早い動きでシーフの周りを動く。
見ればすれ違いざまにデジタントの身体を糸で絡めとり、段々と自由を奪う。
そして完全に拘束した瞬間……。
『ヒャッハーーーーーッ!!』
『ぎゃあああああああああっっ!!!』
強烈なボレーキックがシーフの身体に叩き込まれた。
必殺のキック『カースオブエンド』の直撃を受けたシーフ・デジタントは絶叫と共に爆散。
憑依されていた人間が倒れていたが、気にせず彼は地上へと戻るのだった。
杏は、ジョーカーズドライバーにドラゴンクラスの力を秘めた自身のアバター『ライトニングドラゴン』を右側の横にあるスロットへ装填。
待機音声に合わせるように、ゆっくりと右腕を斜めに上げながら呼吸を整え、あの言葉を叫んだ。
「変身っ!」
叫びと共に、彼女は右下にあるフック型の赤いレバーを弾いた。
【JOKER'S SELECT!】
レバー操作と同時に装填されたジョーカーズプレートが展開し、イラストが蒼雷を纏う剣を居合で構える龍戦士へと変わる。
【YOR ARE BELIEVES! DUEL START!!】
音声と同時に蒼いゲートが前方に出現すると、杏はそれに向かって走るとそれを潜り抜けた。
現れたのは黒いスーツに蒼いアーマーに身を包んだ剣士……左肩には龍の頭部を模した蒼い装飾が特徴的であり、赤い複眼が輝く。
『仮面ライダービリーブス』は鞘に収まった刀剣『ライトニングソード』を構えると前方へと走る。
「はぁっ!」
『プギッ!?』
まずは掬い上げるように鞘に納めたライトニングソードで殴りつけると、完全に不意を突かれたグルメの巨体が揺らぐ。
そこから間髪入れずに鞘による打撃と蹴りで相手を圧倒する。
しかし、体内に回ったアルコールのおかげで痛覚が麻痺しているグルメは負けじと新たに取り出した巨大なナイフで襲い掛かる。
その攻撃を紙一重で躱すとドライバーに配置されているスイッチを押し込んだ。
【RISE! THUNDER SLASH!】
「酔い醒ましの一撃、受け取って!」
瞬間、ビリーブスはライトニングソードを抜刀。
雷撃を纏った刀身がグルメ分厚い肉の鎧を斬り裂いた。
『プギイイイイイイイッ!?』
痺れるような痛みと熱に絶叫するも、雷の如き連撃がダメージを蓄積させる。
やがて鋭いハイキックがグルメの巨体を地面を叩きつけた。
「ファイナルターン!」
【OVER RISE! LIGHTNING TURBO!!】
宣言と同時に、ジョーカーズドライバーのレバーを弾き、必殺技を発動。
蒼い雷を纏ったビリーブスは残像を残しながら電光石火の移動を展開する。
そして、強烈な跳び蹴りを炸裂させた。
「ウェエエエエエエエエイッ!!」
『プッギャアアアアア!!』
必殺の雷撃を受けて吹き飛んだグルメ・デジタントは絶叫し、爆散すると痩せ細った男性が気絶した状態で倒れる。
「……ふぅ」
戦闘が終わったのを確認したビリーブスは変身を解いて一息吐くと、応援が来るまでスマホのカードゲームに興じるのだった。