オリジナルライダー設定集   作:名もなきA・弐

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 懲りずに短編です。
 様々な作品に触発されたオリジナルライダーとなっております。

2023/10/2
基本フォームのカラーリング及び変身音声を変更しました。


仮面ライダーレクイス

それは、突然のことだった。

時刻は昼……とある街にある繁華街で、大きな爆発が起きた。

 

『ひひ、ひゃははっ。俺の天下だ……誰もが俺にひれ伏す、最高の気分だ!』

 

人々が逃げ惑う中、この爆発を引き起こした犯人……否『怪人』は笑う。

それは一言で表現するならば、人型になった蝋燭だろうか。灰色の蝋で構成された身体と心臓の部分に該当する箇所には炎を象った紋章が輝いている。

その上半身は橙色の歪な装飾が貼り付けられており、蜥蜴の舌を包帯のように巻き付けた頭部と蜥蜴の顔を模した火炎放射器を両腕を装着している。

その姿は宛ら伝承に登場する火の蜥蜴・サラマンダー……それを連想するパーツや要素が蝋燭の身体に飾り付けられているのだ。

怪人の周囲には、頭部に炎を灯したような白い人型の蝋燭が燭台を思わせる黒い軽鎧に身を包み、親玉らしき火蜥蜴の蝋燭怪人に従っている。

 

『もう誰にも媚びへつらったりしない。俺が、俺が街を支配するんだぁああああああああっ!!』

 

湧き上がった高揚感に身を任せた怪人は、雄叫びをあげる。

獣の如き咆哮が街の中に木霊し、逃げ続ける人々は恐怖する。

怪人の名は『ディストーチ』……人工的に錬成した妖精や幻獣の力を封入した道具によって人間が変異した存在。

その在り方はまるで人間が抱く理想の灯りに惹かれた妖精のように、伝承の力に取り憑かれてしまった彼らは人類に災厄を撒き散らす。

サラマンダーを宿した怪人『サラマンダー・ディストーチ』は、上機嫌に街を歩きながら右腕から火炎を放とうとする。

その時だった。

 

『あぁっ?』

 

折角の上機嫌に水を差さされたように、怪訝な表情を浮かべるサラマンダー。

逃げ惑う人々とは反対に、バイクに搭乗した少年が一人いた。

少年の衣装は黒いコートに白い手袋、山高帽を思わせる小さな帽子……まるで一昔前の紳士や探偵を彷彿させる出で立ちの少年で、首元にはマゼンタカラーの奇妙なトイカメラを吊り下げている。

しかし、その顔立ちは少女のような可憐さを併せ持っており、何処となく背伸びをしているような印象を与える。

だからこそ、解せない。

サラマンダーから見て、明らかに非力なコスプレ紛いの少年が自分の道を妨げている……それが気に食わない。

 

『おい、邪魔するんじゃねぇよ……焼くぞ』

 

軽く炎を吐き出しながら、陰湿な笑みを浮かべたような声色で脅す。

一見すると威嚇のようだがサラマンダーには相手を見逃すという選択肢は既にない。

慌てて背中を見せた少年を、生きたまま火炙りにしてやろうと考えているのだ。

しかし、少年の表情は恐怖でも狼狽でもない。

はっきりとした、敵意だ。

 

「やってみろよ、そのちんけな炎でな」

 

挑発するように言い放った言葉に、サラマンダーの頭が一瞬で熱くなる。

妖精を憑依したことで思慮が短絡的になったディストーチはお望みどおりに両腕の火炎放射器を向ける。

しかし、そこから炎が放たれることはなかった。

 

【REQUITH DRIVER!】

 

首元に下げていたマゼンタで彩られたトイカメラ……否、バックルをストラップから外して軽く腹部の前に添える。

瞬間、オレンジ色のベルトが伸びて少年の腰へと完全に固定される。

トイカメラ型バックル『レクイスドライバー』を装着した彼は、次にベルトの腰に出現したホルダーから筒状のアイテムを取り出す。

カメラのフィルムや弾丸にも見えるそのアイテムの中央には可愛らしいキャラクターが描かれている。

灰色に彩られた四枚の大きな翼を持つ道化師の如きポップな紫色のフードを被る幽霊のイラストが印象的なアイテム『フェアリーシリンダー』の上面のスイッチを押し込む。

 

【WRAITH!】

 

スコットランドの伝承に存在する亡霊を再現した『レイスシリンダー』を起動した少年はドライバーの右側面にあるスロットへ装填。

待機音声を響かせながら、左腕を自らの右肩辺りに重なるように前へ出し、逆の右手でシャッターボタンを切る。

 

「……変身」

【PASHUT EQUIP!】

 

緑色のフラッシュが焚かれ、左側の液晶画面に翼を動かす幽霊のアニメーションが動くと、突如として吹かれた風が彼の身体を包む。

同時に紫色のスーツが全身を包むと、右側に竜巻や風車などの風を連想させる灰色の軽い装甲が装着されていく。

そうして、左右非対称のデザインを統一させるように緑色のマフラーが風で靡かれながら出現したことで変身が完了した。

 

【WIND & POISON! JOKER WRAITH!!】

 

赤く丸い複眼を光らせ、軽装な出で立ちは余計な荷物を持たない気ままな道化師……しかし、その妙な存在感はまるで亡霊であることも連想させた。

 

『な、何だお前はっ!?』

「仮面ライダーレクイス」

 

動揺するサラマンダーに、それ以外は必要ないと言わんばかりに自らの変身した姿を名乗る。

そして街の支配者を気取っていたディストーチへ向ける。

 

「さぁ、罰の時間だ」

 

宣戦布告にも似た言葉を相手へと向けると、サラマンダーへと歩み寄る。

その姿勢に焦りは見られない、むしろ格闘技の経験者が粋がることしか出来ないチンピラと相対しているような余裕さえも感じられる。

 

『っ!姿が変わったからって、どうしたってんだよっ!!』

 

それを挑発行為と捉えたサラマンダーが炎を放出しながら突進する。

そうして、両腕から放つ火炎を纏った一撃を繰り出そうと拳を振り上げようとする。

 

「遅い」

 

しかし、その一撃は仮面ライダーレクイスには届かない。

強烈な蹴りを叩き込んで強引に攻撃を中断させ、そのまま逆の脚で蹴り飛ばす。

見た目に違わない軽快な動きから繰り出される蹴り技は宛ら嵐の如く降り注がれる。

華麗なハイキックやサマーソルトキックを叩き込んだかと思えば、今度は荒々しい膝蹴りやヤクザキックがサラマンダーの身体を抉る。

 

『くそがぁあああああああああっ!!』

 

一方的な展開に屈辱を覚えたサラマンダーが両腕から火炎を放射してレクイスから距離を取ると、待機させていた蝋燭兵『トーチドール』に指示を与える。

零れ落ちた蝋から構成されたトーチドールたちはそれぞれ武器を構え、ゆっくり近づいてくる。

 

『よくも俺を虚仮にしやがったな……ボコボコにして生きたまま火葬してやるよっ!』

「……はっ」

 

しかし、レクイスに焦りは見られない。

数を増やして調子を取り戻した小悪党に嘲笑すると、ホルダーから新たな赤いフェアリーシリンダーを取り出す。

中央には銀色の槍を振り上げた、ボールのように丸く太った赤い鶏のキャラクターが描かれており、極彩色の尻尾が特徴的だ。

 

【PHOENIX!】

「きついお灸を据えてやる」

 

上面のスイッチを押し込んで起動させてレイスシリンダーと入れ替えるようにスロットへ装填、間髪入れずにシャッターボタンを切る。

 

「グラデーションチェンジ!」

【PASHUT EQUIP!】

 

赤いフラッシュが焚かれ、液晶画面に可愛らしく動く鶏……否フェニックスが映し出されると同時にレクイスのスーツがメタリックな輝きを放つ黒へ変わり、右側に装甲が追加されていく。

燃え盛る炎と翼を象った重厚かつ赤いアーマーはまるで鎧武者のような無骨さを誇り、装着が終わると同時に火の粉を散らしながら同色の陣羽織が出現する。

 

【FREE YOUR HEAT! METAL PHOENIX!!】

 

熱き鋼の不死鳥武者『フェニックスフィルム』へと切り替えたレクイスは出現した巨大な槍『ヒートスピア』を肩に担ぎ、ゆっくりと歩いていく。

メタリックシルバーの重量感溢れる柄と赤い輝きを放つ槍を難なく振るう度に火の粉が舞う。

その様子が、サラマンダーの歪んだプライドを刺激した。

 

『うざってぇ……その仮面ごと焼け爛れろおおおおおおおっ!』

 

感情に任せた火炎放射がレクイスを包み、それに続いてトーチドールたちが武器を突き立てる。

レイスフィルムの状態であったならば、致命傷となっていたであろう。

しかし、その攻撃は全て防がれていた……防御姿勢を取ってすらいないレクイスにだ。

ヒートスピアで群がる連中を吹き飛ばし、そのままサラマンダーへと距離を詰める。

 

「そらっ!」

『あっづううううううううううっっ!!?』

 

火炎を宿す拳が蜥蜴の顔面に叩き込まれた。

宛ら焼き印のようなその一撃は、耐熱性を持つサラマンダーに強烈なダメージを与えて地面に転がす。

再び攻めてきたトーチドールを蹴って強引に距離を取ると、背後からの奇襲を試みる個体に向きを変えないまま拳を振り上げた。

 

『あ、なっ』

 

砕けた鈍い音が響くと同時に、ふらついた足取りで立ち上がったサラマンダーが絶句する。

何の変哲もない普通の裏拳がトーチドールの頭を叩き割ったのだ。後から続く兵隊も同様に殴り倒し、ヒートスピアを大きく振り回して蹴散らしていく。

フェニックスフィルムの固有能力は単純なパワーとディフェンスの強化……拘束する相手や力強い敵と相対するのに使用する。

欠点としてはエネルギーの放出を抑えられない短期決戦型のため長時間による活動は難しいのだが、それを補う効果が付与されている。

 

「オラァッ!」

『ギッ!?』

 

穂先を突きつけてトーチドールを貫くと、そこから漏れた炎がレクイスへと取り込まれていく。もう一つの特性であるエネルギーの吸収能力によって活動時間を引き延ばすことが出来るのだ。

雑兵を片付け、エネルギーをある程度チャージしたレクイスは満足に動けないサラマンダーへと近づいていく。

 

『ひっ!?』

 

この時点で、既に戦意は削がれていた。

自分の身体すらも焼き潰す火力、無数にいたはずの兵隊、その全てが瞬く間に崩れ去っていく姿に恐怖すら感じてしまう。

 

『た、助け……誰か助けてくれええええええええっ!』

「逃がすか、よっ!」

 

慌てて火の蜥蜴は背中を向けて逃げ出そうとするも、当然見逃されるはずがない。

持ち方を変えて、穂先に炎を纏わせたヒートスピアをレクイスはあろうことか全力で投擲した。

 

『ぐっげええええええええええええっ!?』

 

刺し貫かれたサラマンダーは悲鳴をあげ、内部から自分の生成したものとは異なる火炎によって焼かれる激痛に耐え切れず地面を転がる。

勝機を捉えたレクイスは、すぐさまドライバーの操作を開始した。

 

【PASHUT OUT! THE PHOENIX MAXIMUM!!】

 

必殺技を告げる音声と共に軽くその場で跳ねる度に、ドライバーを通して右脚に霊力がチャージされていく。

やがて炎が灯るまで充填が完了すると、串刺しにされたサラマンダー目掛けて走る。

宛らジェット噴射の如き勢いで一気に距離を詰めたレクイスは必殺の一撃を叫んだ。

 

「フェニックス・インパクトッ!」

 

ようやく起き上がったその首元に炎を凝縮させた強烈な後ろ回し蹴りを叩き込み、役目を終えたヒートスピアも煙のように消滅する。

吹き飛ばされたサラマンダーは数メートルまで地面を転がると、辛うじて起き上がり……。

 

『ぎゃああああああああああああっ!!!』

 

絶叫と共に爆散した。

サラマンダー・ディストーチが立っていた場所には金髪の青年が気を失った状態で倒れており、その付近にはレクイスが使用していた物と酷似したシリンダーが砕け散っている。

 

「後は、警察の出番だな」

 

一仕事を終えて軽く息を吐く。

彼は仮面ライダーレクイス……妖精の力を元に戦う仮面の戦士。




仮面ライダーレクイス
妖精を再現した道具『フェアリーシリンダー』で変身する仮面ライダー。霊力と呼ばれるエネルギーで製造した妖精関連の事件を解決する探偵が主人公。探偵イメージはエルキュール・ポワロとエラリー・クイーンのような紳士探偵。

フェアリーシリンダー
秘術によって妖精を人工的に製造し、筒状のアイテムに封入したアイテム。上面のスイッチと中央にポップなキャラクターイラストが描かれている。
妖精とは霊的存在を指し、人狼や龍のような幻獣や日本の妖怪なども妖精として該当する。

レクイスドライバー
トイカメラ型ドライバーで、普段はストラップで首元に下げている。シャッターボタンを押すことでフェアリーシリンダーの妖精を一時的に解放し、鎧やスーツとして投影することで変身する。
裏設定:レクイスドライバーの設計者は仮面ライダーWとディケイドの資料を読んで一目惚れし、バックルやライダーのデザインに組み込んでいる。

ディストーチ
本作の怪人。蝋燭のような灰色の身体に妖精の伝承を連想させる装飾を貼り付けたような特徴をしている。戦闘員である『トーチドール』を生成する能力を持つ。

設定協力者
ミスタータイムマン様(https://syosetu.org/user/156641/
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