ライドカメンズのネタバレが自粛されている今だからこそのオリジナル設定増マシマシで好き勝手に考えました。
これを機にライドカメンズに興味を持ってくれたら地味に嬉しかったり。
神々しい青い仮面が照らす光だけが、その部屋を照らしていた。
美しい輝きによって見えてくるその場所は宛ら博物館のようで、いくつものガラスケースが配置されている。
しかし、その展示物は標本や絵画などの文化品ではない。
『仮面』だ。
白いマネキンの顔を隠すように被さった仮面は様々な形状があり、動物を象ったものや無機物を模した物まで多種多様に存在している。
顔を隠す役割を持つ仮面でありながら、まるで自らを声高く主張しているようにも見えた。
「運命とは散らばったパズルピースのようなものだ」
壮年とも若年とも取れるような声が、仮面だらけの部屋に響く。
その主は渦を巻いたような黄色い仮面を被り、中央にある神々しい仮面へと目を向けている。
体格や年齢すらも読み取れない黒いフードと仮面で姿を隠した男は、言葉を続ける。
「下らぬ建前を脱ぎ捨て、その先にある剥き出しになった己の運命に万物は引き合い、やがて本能を形作っていく」
気付けば、男の周囲には何人もの人物が集まっていた。
植物の葉を思わせる緑色の仮面を腰に下げた青年、筋骨隆々の肉体を赤いジャケットで隠した眼鏡の男性……人種も何もかもバラバラだ。
「丁度一人、面白い者がいたのでパズルを託しました。平和のためにまた悲劇が生まれると思う度、心が痛くなりますね」
学士を思わせるような帽子と該当に身を包んだ男は穏やかな笑みを浮かべ、本心かどうかも疑わしい調子で目元を手で覆う。
それに呆れたような溜め息を吐く眼鏡の男性を尻目に、仮面の男は問い掛ける。
「『奴』の対処に関してはどうするつもりだ?」
「ヴェジェスに一任しています」
短いやり取り、便箋上の付き合いだと言わんばかりに仮面の男は再び神々しい仮面の方へと向き直る。
「全ては
そう語る男の声には底知れない野心を滲ませている。
剥き出しになったカオスが、この世界を崩壊へと導こうとしていた。
時刻は昼。
まだまだ人が賑わう街で、爆発が起きた。
突然の光景に多くの人が驚く中、爆心地である小さな銀行を煙の中から一人の男が出てくる。
周囲には大量の札束が散らばっており、舞い散っていく姿を恍惚とした表情で目出し帽を被った男性が見ている。
「金、金だぁ……大量の金が俺の前にあるっ」
手に持ったバックと怪しい出で立ちは、十人中十人が目撃した銀行強盗だと断定するだろう。
しかし、彼が持っていたのは拳銃や包丁などの凶器ではない。
正方形のフレームに、何かを貪っている豚の絵柄が特徴的なアイテムだ。
「この世の金は、全部俺の物だぁっ!!」
【PIG!!】
側面にあるスイッチを起動した瞬間、アイテムから巨大なジグソーパズル状のエネルギーが強盗犯の周囲を旋回する。
それは肉体を覆うように段々と組み上がっていくと、一体の異形が完成した。
白い襟が見える黒い礼服を思わせるような素体に、豚を模したピンクと白の仮面と肥大化した上半身。
異形の名は『エゴアル』……カオスの一部が宿った『カオスパズル』によって本能を刺激された人間が変異した怪人。
『もっと、もっとだ……もっと金を寄越せぇえええええええええっ!!』
本能に支配された雄叫びをあげた『ピッグ・エゴアル』は鼻を鳴らす。
膨れ上がった金銭欲は匂いを嗅ぎ取り、節操なく全てを貪うと行動に起こす。
しかし、それは叶わない。
『……あっ?』
逃げ惑う人々の中で、一人の少年が近づいてくる。
決して怯えることなく、臆することなく歩く彼に機嫌を悪くしたピッグは殺気と敵意を剥き出しにするも、動揺は見られない。
彼の容姿は顔が整っている以外は至って普通だ。
一つだけ変わったことがあるとすれば、腰に装着したバックルだ。
正面の黒いスロットと右側にあるハンマー型のレバーというデザインは奇抜でしかない。
しかし、ピッグの余裕はすぐに消え去ることになる。
【VALMA DRIVER!】
自らの名を告げたドライバーに、少年はコートのポケットからアイテムを取り出す。
それは、仮面を纏った英雄がバイクを駆る絵柄が特徴的なダークグリーンのフレーム……ピッグが使用したのと同型のものだ。
『何だとっ!?お、お前も俺と同じ……』
「一緒にするな」
余裕の態度で否定した彼はスイッチを押して、パズルの名前をコールさせる。
【JUSTICE RIDE!!】
カオスパズルの一種『ライドパズル』を起動させた少年は中央のスロットにドライバーを装填。
待機音声が響き渡る中、目の前の標的に目を反らすことなく『あの言葉』を口にした。
「変身」
【CHAOS UP!】
ハンマー型のレバーを倒し、宛ら完成させたパズルをバラバラにするようなギミックアクションと共にジグソーパズルが出現。
パズルピースは黒いスーツとなった少年の身体に装着されていき、飛蝗を思わせるような仮面を被ることで変身が完了した。
【SHORAI・LET'S GO! JUSTICE RIDE! RIDE ON!!】
首筋から伸びた赤いマフラーが変身の余波で靡く。
ダークグリーンの機械鎧に胴体と両手足を覆われ、フルフェイスメットに被さるような赤く巨大な複眼の仮面が標的を睨む。
彼はエゴを制御する戦士、エゴを剥き出しにされた怪人を鎮める仮面ライダー。
『仮面ライダーヴァルマ ジャスティスライドカオス』
暗躍する謎の組織『カオスイズム』に立ち向かう者だ。
ヴァルマが地面を蹴ってエゴアルへと迫る。
強化された身体能力は怪人との距離を瞬く間に詰め、そこから強力なキックを相手に繰り出す。
『がっ!?こ、このっ!』
動揺で混乱していたピッグも負けじと応戦するが、膨れ上がった腕から繰り出す攻撃は単調そのもの。
ヴァルマは難なく躱し、風を纏った一撃を叩き込みながら連続してダメージを与えていく。
そして強烈な延髄蹴りがピッグを捉え、相手を大きく吹き飛ばした。
『ぷぎゃあっ!?』
ボールのように転がるエゴアルに対し、ヴァルマは早々に終わらせるべくハンマー型のレバーに触れる。
その時だった。
「ぐっ!?」
背後から激痛と火花が散る。
不意を打たれたダメージに膝をつき、後ろを振り向けば散弾銃らしき武器を構えた人物がいる。
刃物を握り締めたような紫色の仮面を被った人物に、ヴァルマは心当たりがある。
「『復讐のエゴ ヴェジェス』……!」
「平和のエゴからの命令だ、邪魔をさせてもらうぞ」
【DOMINATION!!】
紫色の四角いフレーム、蜘蛛の巣で玉座に腰を下ろした蜘蛛の絵柄で構成されたライドパズル『ドミネーションパズル』を起動させたリーヴェは腰に装着した『リベンジドライバー』のスロットへ映画フィルムのように装填。
瞬間、映写機から紫色のメカニカルな蜘蛛が実体化し、周囲を威嚇するように牙をギチギチと鳴らしていた。
「変身」
【CRANK IN!】
ドライバーにあるスイッチを押し込んだと同時に蜘蛛はヴェジェスに覆い被さると、糸を吐き出しながら首筋に噛み付く。
しかし彼は顔を歪めることなく、それどころか噛み付かれた個所を起点に黒い瘴気が全身を汚染するようにスーツを、蜘蛛の糸は鎧を形成していく。
蜘蛛はやがて紫色の蜘蛛の巣を模した仮面に変化すると、その顔に装着された。
【復讐するは支配にあり!DOMINATION REVENGER! COMES OUT!!】
毒々しい青い複眼を持つフルフェイスの上半分を覆うような紫色のラインが走る仮面に牙を思わせるクラッシャー。額に伸びる一本角のようなホーン。
両肩には蜘蛛の筋足の如き鋭い紫と黒の装飾が両肩に動きに支障がない程度の長さでそれぞれ二本ずつ生えており、上に向かって伸びる構造は正面から見れば全てを掌握せんとする人間の手を連想させる。
右脚にあるホルスターには二つの銃口が水平に並んだソードオフショットガン型のウェポン『ドミナショット』が装備されていた。
『仮面ライダーリーヴェ ドミネーションリベンジャー』
カオスイズムの仮面ライダーである。
「まずは大人しくしてもらおうか」
【MOVE ON!】
ピントを調節するようにドライバーにあるダイヤルを捻り、ホルスターから引き抜いたドミナショットのトリガーを弾く。
銃口から発射されたのは銃弾、などではなく紫色のエネルギーを纏った白い蜘蛛の巣であり、意表を突かれたヴァルマは瞬く間に絡め取られてしまう。
「やべっ!?」
初戦で受けたことのあるヴァルマは、この糸の厄介さを知っている。
リーヴェが放出する糸には『支配』の概念が宿っており、時間こそほんの数秒だが本来のスペックが大幅に弱体化されてしまうのだ。
宛ら鎖に繋がれた奴隷のように、蜘蛛の巣に絡め取られた獲物のように、支配の復讐者であるリーヴェに捕まれば全てが致命的となる。
絶体絶命……自分の迂闊さに怒りと焦りを抱きながらもどうにか拘束を解こうと藻掻き始めた時だ。
【必中必殺!DRAGONUS SPEAR!!】
高貴な威厳のある音声が響き渡り、凄まじい衝撃が周囲を揺らした。
土煙で視界が眩む中、緑色の一閃がヴァルマを支配していた糸の拘束を断ち切る。
『危急存亡……というには大げさかもしれませんが、危ないところでしたね』
加工された声ながらも、何処か品のある口調と佇まいの戦士が地面に刺さった己の得物である青龍刀型ウェポンを引き抜く。
デジタル時計のような機械仕掛けの白いスーツとフルフェイスマスクに全身を包み、その上には東洋の龍をあしらった緑色の鎧を纏った戦士。
空を飛ぶ龍を象った仮面に宝玉を思わせる紫色の丸い複眼を輝かせた姿は百戦錬磨のベテランを思わせる。
「『仮面ライダータワード』ッ!何であんたが……」
『それよりも先に、貴方にはやるべきことがあるのでは?』
ヴァルマの疑問を断ち切るように、タワードは青龍刀をエゴアルへと向ける。
自分に味方する謎の仮面ライダーの言わんとしていることに気付いた彼はすぐさま立ち上がり、目まぐるしく戦況が変わる様子に混乱していたピッグに強烈な飛び蹴りを叩き込む。
当然、それを許さないリーヴェは舌打ちと共に銃口を向けようとするが素早く武器を振り下ろしてきた
タワードによって妨害されてしまう。
『貴方の相手は私がしましょう』
「ほざけっ!」
二人の仮面ライダーがぶつかり合う中、ピッグの攻撃を避けてからカウンターキックを放ったヴァルマは今度は赤いフレームに赤と白の鬼が互いに睨み合い、それを紫の鬼が腕を組んで見守っている絵柄のライドパズルを取り出して起動する。
【MAD GUY!!】
取り外したジャスティスライドパズルの代わりに『マッドガイパズル』を装填してハンマー型スロットを下ろす。
「マスクチェンジ!」
【CHAOS UP! SAIKYO・IKARI・BEAUTIFUL! MAD GUY! RIDE ON!!】
ダークグリーンの装甲が消えたスーツの周囲に赤い鬼火が灯り、それは重厚な鎧となって装着されていく。
複眼はそのままに骸骨を思わせるような赤いクラッシャーに紫色の角を二本生やした赤い仮面に武者鎧や極道を思わせるような和風のローブを靡かせる。
「そら、よっ!」
『ぷぎぃぃぃぃぃっ!?』
強烈な一撃がピッグの顔面に叩き込まれる。
その威力はエゴアルの重量を無視するかのように軽々と吹き飛ばし、肉体が凹むほどに凄まじい。
直撃を受けたピッグは悲鳴と共に地面を転がり、激痛で起き上がることすら出来ないでいる。
「さぁ、こいつで決めるぜっ!」
宣言と同時にヴァルマはハンマーを三回叩き、必殺技を発動する。
紫色の鬼火が右腕を覆い、それはやがて巨大な拳となって膨大な熱量を放つ。
【FINAL PIECE! ONISHIKI ENGOKU!!】
握り拳を振り上げれば炎はそれに合わせて動き、満身創痍となっているピッグに照準を合わせている。
やがてエゴアルが起き上がり、逃げようとした時には既に遅い。
「はぁぁぁああああああああああっ!!」
『ぴっぎゃああああああああああああああああっっ!!?』
鬼火の拳が、鉄槌の如く振り下ろされた。
当然それを躱す術も防ぐことも出来ないピッグ・エゴアルは悲鳴と共に爆散。砕け散ったパズルピースの中から強盗犯が倒れるように気を失った状態で倒れる。
同時に、カオスパズルも完全に消滅するとリーヴェは忌々しそうに鍔迫り合いをしていたタワードから距離を取ると撤退。タワードの方もお役御免とばかりに音もなく姿を消す。
「……後始末は俺がやれってか」
未だに正体も分からない神出鬼没なライダーに呆れたような溜め息を吐くと、ヴァルマも変身を解除するのだった。
本作の設定としてカオスイズムはショッカーのような秘密結社ではなく、ゲルダム団のようなカルト宗教寄りの組織となっており、神々しい仮面は組織の象徴となっています。
また、こちらのアルセブンとはエゴアルが進化した果てにある姿のことで「七体の強い本能を持ったエゴアル」のことを指します。それを集めるのが彼らの第一目標にもなっています。
オリジナルライダーはライドカメンズに登場するクラスをモチーフにしています。流石に十六人分の形態を考えるのは難しかったので、クラスが掲げるテーマがライダーの能力となります。
ヴァルマの名前の由来は「バラバラ+アニマ(魂)」をそれっぽく混ぜ合わせてヴァルマ。ヴァルバラドっぽい感じになってしまいましたが、そこは自分のネーミングセンスがなかったのだと思ってください。
ちなみに。主な使い分けとしては。
仮面ライダーヴァルマ
ジャスティスライド……スピードと格闘戦重視のバランス型。
マッドガイ……真正面から殴り飛ばすパワー型。
スラムデイズ……トリッキーなテクニック型。
仮面ライダータワード(白い魔法使いポジション)
タワーエンムブレム……基本形態。
ウィズダムシンクス……索敵特化型。
仮面ライダーリーヴェ(敵ライダーポジ、アルセブンがモチーフ)
ドミネーション……基本形態。毒や糸によるデバフ。