もしもフォーゼの技術を利用した新たなライダーと怪人が現れたら?もしも、悪魔の祖たるギフが現代まで眠っていなかったら。
そんな世界観や設定が、日記という体で語られます。
あの時の感動は、まるで昨日のことのように思い出せる。
1971年、若輩者ながら探検隊のリーダーとして選ばれた当時の私は南米のジャングルに潜んでいるとされた遺跡の発掘調査を行っていた。
文字通り野を超え山を越え、そうして辿り着いた遺跡の奥深くに眠っていた存在が私の価値観を変えたのだ。
骸骨と石物を混ぜ合わせたような禍々しいミイラ……まるで崇めるように配置された『それ』を当時の民が神として信仰していたのだと判断した私は弔いも兼ねて回収することにした。
その時点では単なる石像かと思っていたが、解析を進めていく内に違う材質であることが判明した。
いや、「違う存在だった」と表現するのが正しいか。
『それ』は石像でも未知の材質で造られた遺物などではなく、地球上にいるどの生物にも該当しない『生命体』であることが分かった。
私は遺跡に眠っていた文献や周辺を調査することで、遥か昔に地球へ降り立った超生命体であることを結論付けた。
超生命体……当時の民から『ギフ』と呼ばれていた彼(便箋上、そう称する)は僅か数ヶ月で現地の住民たちと流暢なコミュニケーションを行っただけでなく、その地から溢れ出ていたエネルギーを餌として食していたらしい。
そのエネルギーを生まれた時から吸っていた住民たちは自らの負の感情と混ぜ合わせたエネルギーを献上し、その対価としてギフから人間を超える力を授かったらしい。
その文明は幸福に暮らしていたが、怪物を崇めて笑い踊る姿は『まるで悪魔と眷属そのもの』だったという。
しかし、その生活は続くものではなかった。
族長らしき人間が記した内容では、いつものように多量のエネルギーを食らっていたギフが突如苦しむ始めたらしい。それからして彼は命を落としたと思われる。
私がそう書いているのは記録が途中で止まっていたからで、恐らく族長を含む住民たちはギフの加護を長期間与えられていたことで感覚が共有し、ギフの消滅と同時に彼らも消えたのだろう。
そこまで調べ、私は「ギフが地球で餌としていたエネルギーは何だったのか」と疑問を持った。
文献から人間の持つ負の感情を何らかの方法で自らの糧としていたのは分かる……しかし、文献の内容では住民たち自身が何らかの方法でエネルギーを差し出していたように思える。
私は遺跡から回収した遺物を調べ直し、住民たちの秘密に気づくことが出来た。
ギフの祭壇にあった巨大な石の破片……老朽化した際に落ちた物だと思っていたが、改めて解析すると月の石であることが判明した。
専門外の分野だが、宇宙に漂うとされる神秘『コズミックエナジー』……経緯は不明だが、地球に落ちた月の石から溢れたコズミックエナジーを現地の住民が見つけ、それを知らず知らずの内に体内へ取り込んでいたのだろう。
コズミックエナジーは生物の感情によって質や量が変動するとされている。
閉鎖的なコミュニティによる純粋なまでの生存本能と信仰心、余所の文明も排斥してでも生き残るという排他的な感情は古来より伝わる悪性となり、それがギフの眼に掛かったのだろう。
あそこは伏魔殿、人間が禁忌を踏み越えた先にある楽園だったのだ。
私は確信している。
ギフはきっと蘇る、ギフならば必ず我ら人間を救ってくださるはずだ。おお、ギフ様。どうか愚かな我らに、貴方様の御加護を。
2012年、父の日記を元に悪性エネルギーによる人類の進化に必要なツールの開発に成功。
内容は要領を得ない妄執ばかりで時間の無駄だと思っていたが、あんな狂った男でも少しは自分の役に立ったらしい。
我望光明らが研究していた内容からゾディアーツスイッチ及びゾディアーツの特性、そして独自に調査したギフの加護を与えられた人間(これを「ギフテクス」と仮称)の性質から解放した悪性エネルギーをコズミックエナジーでマテリアライズ化する技術を定義し、度重なる実験を経て成功。
『解放』という概念から既存のスイッチではなく入国するためのパスポートやロックを解除するパスキーを参考に『アルターパス』を協力者と共に作成。
「アルター」とは「祭壇」を意味しており、これから人間性を捧げる悪魔に相応しい名前であろう。
形状は縦長のプレート型を想定し、使用者の罪悪感や嫌悪感を減らすためにカートゥーンチックなデザインが望ましい。全体的に両扉が開いたところからモチーフが顔を覗かせているデザインなら尚良いだろう。
実験の結果、アルターパスを用いた人間の変異に成功。
側面のスイッチを押して起動後、人体に出現した扉から悪性エネルギーを具現化させたらコズミックエナジーが悪魔を象って出現。それが覆い被さるような形で異形へと変異させた。
姿としては合成獣と表現した方が正しいだろうか。パスに組み込んだ生物の情報と人間の獣性が織り交ざったものだと思われる……下半身部分は悪魔のような蹄のような白と黒の素体に打ち付けるように生物を象った機械パーツが埋め込まれているような独特な姿だ。
誕生した悪魔の如き怪人の名称を『デモリス』と名付ける。
人類の進化は必ず為される。
これは僕の祖先が遺した業であり、僕自身の罪滅ぼしでもある。
日本人として生まれた僕の家族は厳密には純日本人ではなく、南米に住む現地住民だったらしい。
何らかの理由で日本に移り住み、そこで生きていることを決めたということだ。
両親もだが当時の僕も気にしたことはなく、学校の課題で確認した際に分かった程度の話だった。
成人し、素敵な女性と職場で出会って自分の家族が出来たある日、妙な人物が自分を訪ねて来た。
何でも僕の祖先について少しばかり教えてほしいことがある……特に断る理由がなかったのと、研究者らしい出で立ちをした人物の言葉に、僅かな好奇心を覚えた僕は二つ返事で了承した。
当時、コズミックエナジーを研究をしていた僕は新しいアプローチを探しており、その人が話す内容に胡散臭さこそあったが興味を引かれたのも事実だ。
研究の傍ら、自分のご先祖様に興味を持った自分はそれと関連がある代物を探し、ようやく埃被っていた物を見つけることが出来た。
文献らしき物は専門外のため知り合いの手を借りながら読み進めていたが、その内に恐ろしい物であることに気づいた。
僕の祖先はギフと呼ばれる悪魔を崇拝していた部族だったこと、それを恐れて悪魔の加護を受けたフリをしていたこと……その消滅を切っ掛けに日本へ逃げたことが記されていた。
恐らくこれは僕しか知らない。もし両親がそれを知っていたら隠し場所を考えるはずだからだ。
同時に、僕が関わってしまった『あのアイテム』が……アルターパスが悪魔を呼び出すための道具だと気づくのに時間は掛からなかった。
僕は、逃げた。
かつての祖先のように、悪魔に魅入られて悪魔と化してしまった者たちから必死に。
妻にはメッセージを残してある。奴が人質を取ることを考えて保険も残してある……だが、僕自身が捕まるのも時間の問題だろう。
だからこそ、悪魔を持って悪魔を制するシステムを制作した。
アルターパスに宿る過剰なエネルギーを濾過し、純粋な感情によって増幅したコズミックエナジーで戦う強化型疑似ギフテクス『仮面ライダー』だ。
ゾディアーツを打倒した仮面ライダーフォーゼはドライバーを紛失、仮面ライダーメテオも海外で活躍する今、伝手もない自分では呼び出すことは難しい。
それに、これは僕自身が招いてしまった問題。好奇心という自分の悪性を抑えきれなかった自分の業でデモリスとの戦いに彼らを巻き込むのは筋違いだろう。
作成したドライバーには僕がアルターパスの研究がてらに開発したナビAIを導入する。家族との思い出をベースに作ったこの子なら変身者の選抜も行ってくれる。
願わくば、このメッセージが善良なる者の手に渡ることを。そして、平穏に暮らしてほしい息子たちに渡らないことを祈る。
────信楽純太より。
この世界線ではギフが人間から経由して与えられたコズミックエナジーを食しており、それを対価に住民たち全員をギフテクス、側近にはギフデモスの力を授けていました。
しかし、コズミックエナジーは宇宙の神秘……多量のコズミックエナジーを摂取したことでギフは別宇宙に存在する力が高まっていた並行同位体の自分。即ちリバイス本編の第46話のギフと感覚を同期・共有してしまい、五十嵐ライダーズがそのギフを撃破したことで命を落としました。ギフの加護を受けていた住民たちも亡くなり、加護を受けなかった者たちは二度と目覚めぬように墓石として遺跡の不覚に眠らせ、それぞれ違う地で生活を始めました。
ギフスタンプも消滅しているためバイスタンプも生まれず、フォーゼの技術で無理やり再現したことがアルタールパスです。