オリジナルライダー設定集   作:名もなきA・弐

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 とある方々からの素晴らしいアイディアに感動したのでもう一度リメイクしてみました。


始動するZ / 新たな仮面ライダー

薄暗い街を照らすイルミネーションが飾り付けられた明るいその場所に、一人の『怪人』が降り立った。

高所から着地したにも関わらず、大したダメージを負っていない怪人は周囲を見渡して人気がないことを確認するとゆっくりと息を吐いてから左腕に手を当てる。

そして何かを引き抜くような動作をした直後、その怪人の姿がほんの一瞬だけ淡い光が飛び散るようなエフェクトに包まれる。

そこから姿を現したのは一人の男性だった…ピアスやリングを身に着け、派手なジャケットを羽織った男性で顔つきと服装からお世辞にも品があるとは思えない。

右手に持っていたのは音楽プレーヤーのような外見をしたクリアカラーの物体…ダークブルーのクリアな外装をしているアイテムだ。

プッシュボタンのあるそれは玩具などではなく彼に力を与える悪魔の道具であり多くの人々を苦しめる最悪の存在だ。

かつて一つの街を大きく歪め、今なお価値を高める魔性の小箱『ガイアメモリ』と同様で、奇しくもその性質と特性は「後継機」と呼ぶに相応しかった。

超人の力を手に入れた事実を新たに認識した男性はニヤ付いた顔で目的の場所まで近づき、待ち望んだ『戦利品』との対面を果たそうとした時だった。

 

「っ!?な、何だっ!!」

 

突如視界を阻まんばかりの閃光が男性に襲い掛かる。

眩いばかりの光に男性が両腕で必死に顔を隠す中、一人の少年が現れる。

黒いブレザー、ネクタイに黒いズボンを履いた少年だった。

端正な顔立ちをしており、ハネ毛の黒髪には黒いソフト帽を被っており、ブレザーの下の白シャツが黒い服装とマッチしている。

 

「そこに隠していたんだな、宝石強盗」

「…っ!!」

 

鋭い視線を向ける少年…『左刹那』の言葉通り、男性は宝石店で強盗した物品を気づかれないよう店内とは少し離れた場所に埋めて隠していたのだ。

刹那の手元には鷹を模したカメラのようなガジェット(先ほど男性にフラッシュを浴びせていた正体)が収まっており、証拠も押さえられている。

追い詰められた男性…否宝石強盗は右手に持っていた物体……『地球の記憶』を宿すとされる道具『ガイアレコード』のプッシュボタンを押して起動させる。

 

【DIVE!】

 

渋い男性の電子音声が流れた瞬間、画面には人の脚と水飛沫で「D」を象ったアルファベットが画面に映る。

そのダイブレコードを左腕に浮かび上がった挿入口にセットすると、不気味な音楽と共に黒いシルエット状に彼の身体が歪み始める。

やがて全身に緑色の鮮やかなラインがレコード盤のように刻み終わると先ほどの怪人『ホルドープ』へと変えていく。

ダークブルーのメカニカルな装甲『潜水の記憶』で変異したダイブ・ホルドープとなる。

胸部にやや刺々しい潜水艦を無理やり人型にしたような異形に対して、刹那は驚くことなく真っ直ぐダイブを見据えたまま懐から赤い奇妙な物体を取り出す。

右側に青いレバーと中央に「W」を模した縦に二つのスロットがあるバックルを刹那は腰の前へ軽く押し付ける。

ドラゴン……否、肉食恐竜の頭部を模した『ツヴァイドライバー』から銀色のベルトが飛び出し、彼の腰に巻きつく。

 

 

 

 

 

ほぼ同時刻、刹那の自宅には長い茶髪のロングヘアーをサイドポニーしフード付きのグリーンのパーカーにチェック柄のミニスカートといった服装で、その下に黒いニーソックスを履いている美少女『左瀬奈』は、自分の腰に同型のドライバーが召喚されたのを確認する。

 

(瀬奈!)

「はいはい」

 

繋がった意識から双子の兄である刹那の声を聞いた彼女は、ポケットからガイアレコードを取り出した。

 

 

 

 

 

一方の刹那も同じタイミングでガイアレコードを取り出しており、全体的に濃い紫でカラーリングされた道化師の靴のような意匠の「J」の文字をしている。

それに対して、瀬奈のレコードは全体的に緑色をしており、風で「W」の文字を象っている。

「それはっ!?」と動揺するダイブに気にすることなく、ほくそ笑んだ刹那はレコードのプッシュボタンを押す。

同時に瀬奈もプッシュボタンを押してレコードを起動させる。

 

【WIND!】

【JOKER!】

「「変身っ!!」」

 

ガイダンスを告げる電子音声が鳴り響く。

『疾風の記憶』を宿したウィンドレコードと『切り札の記憶』を宿したジョーカーレコードの起動が確認されると彼らは異なる場所で同時にメモリを構えて叫ぶ。

瀬奈は右側のスロットにウィンドレコードをセットすると刹那のドライバーに自分の意識ごと転送され、同時に彼女の身体は昏倒する。

そして自分のドライバーの右側のスロットに現れたレコードを押し込み、左側のスロットへジョーカーレコードを装填すると両腕をドライバーの下で交差させて右側のレバーを左手で押し込んだ。

 

【WIND! / JOKER! BATTLE START!!】

 

再び電子音声が鳴り、その直後に風を思わせるような爽快な曲と切り札の軽快な音楽が辺りに鳴り響いた。

そして、刹那の身体を緑色と黒い色の粒子が渦を巻きながら彼を覆い隠す。

現れたのは左右非対称の戦士だった……。

中央のプラチナカラーのライン『セントラルパーテーション』を境に左半身『ファンタズマサイド』はジョーカーレコードのように紫色、右半身『ソウルサイド』はウィンドレコードのように鮮やかな緑色をしているのである。

さらにソウルサイドには首に巻いた薄い緑色のスカーフが軽やかに夜風に舞っている。

額にはV字型のホーンが形成され、昆虫のような大きく紅い複眼が緑と紫に映えて輝いていた。

 

『まさか、てめぇは…!!』

 

目の前で変身した仮面の戦士に、ダイブは驚愕した声で一歩後ずさる。

なぜなら彼が変身したのは自分に接触を図った人物が口にしていた『邪魔者』であることに他ならなかったからだ。

そんな彼の様子に気づいているのか、戦士はゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

「『そう、俺(私)たちは…仮面ライダーツヴァイ……』」

 

刹那と、もう一人の相棒である瀬奈の声でそう応えると疾風の切り札の戦士『仮面ライダーツヴァイ』は左手首をスナップさせるとダイブへと指さす。

 

「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

脈々と受け継がれてきた、悪党どもに投げ掛ける『あの言葉』をはっきりと宣言し、一直線にダイブへと走ってから跳び蹴りを仕掛ける。

先制攻撃を受けたダイブも負けじと反撃するが、突き出した腕を絡め捕られたことでバランスを崩し、前蹴りで吹き飛ばす。

 

【WIND JOKER! SKILL DRIVE!!】

『なっ…がっ!?』

 

レバーを再度押し込んだ瞬間、緑色の風を纏ったツヴァイの蹴りがダイブの鳩尾に命中していた。

ツヴァイは最も相性の良いレコードで変身した場合、「スキルドライブ」と呼ばれる両方の特性を併せ持った固有能力を発動することが出来る。

今ツヴァイが発動しているのはウィンドの風を操る能力とジョーカーの格闘技術の底上げによって一時的な加速戦闘を可能とするのだ。

ジークンドーのような素早いキックの嵐を浴びせるツヴァイ……しかし、吹き飛ばされたダイブは自身の能力で地面へと潜り込んでしまう。

 

「ちっ!地面に潜りやがった」

『だったら無理やりにでも叩き出すだけっ!!』

【SPIRIT!】

 

動揺する刹那の声に瀬奈は右側の複眼を点滅させながらそう返す。

彼女の言葉に妙案が浮かんだ彼はジョーカーレコードを外し、二つの霊魂で「S」の意匠がある白銀のガイアレコードを取り出して左側のスロットに装填する。

 

【WIND! / SPIRIT!】

 

レバーを押し込んで電子音声を鳴らすと、ツヴァイの左半身は『霊魂の記憶』を宿した神秘的な白銀の鎧を模したボディに変わる。

青い陣羽織のようなマントを纏ったツヴァイは同時に左側の背中に出現したロッドを手に取る。

 

「せー、のっ!!」

 

先端にハンマーが付いた専用武器『スピリットロッド』を両手で構えた後、思い切り地面へと叩きつける。

瞬間、「暴風」と呼ぶに相応しい風が地面へと駆け巡り…。

 

『どわああああああああああああああっ!?』

 

地面を潜っていたダイブが地面へと弾き出され、数メートルまで飛んだ彼は倒れてしまう。

その隙を逃すことなく、ツヴァイは炎で「B」のアルファベットを模したオレンジ色のガイアレコードを取り出し起動させる。

 

【BURNING!】

【BURNING! / SPIRIT! BATTLE START!!】

 

『灼熱の記憶』を宿したバーニングレコードをウィンドレコードを外した右側のスロットに装填し、レバーを押し込む。

電子音声と共に灼熱の霊魂『バーニングスピリット』へと姿を変えたツヴァイはスピリットロッドを構える。

火炎を模したオレンジ色のボディに青い陣羽織を纏う甲冑ような白銀のボディは宛ら勝鬨を上げる武士のようにも見える。

 

【BURNING SPIRIT! SKILL DRIVE!!】

「ウォラッ!!」

『がはっ!?ぐぶっ!!』

 

振り上げた拳で怯ませた後、ツヴァイは灼熱の重い一撃をダイブの胴体と頭部に叩き込んでいく。

次々と叩き込まれる攻撃…そして最大の一撃を受けて吹き飛ばされたダイブは限界へと追い込まれていた。

 

『兄さん、決めるの?』

「当然、マキシマムドライブだっ!」

 

右複眼を点滅させて尋ねる瀬奈の言葉に刹那がそう返すと、バーニングレコードとスピリットレコードを外してウィンドレコードとジョーカーレコードを装填する。

 

【WIND!】

【WIND! / JOKER! BATTLE START!!】

 

再び両手を交差させてレバーを押し込み、基本形態でもある疾風の切り札…ウィンドジョーカーにチェンジするとすぐにジョーカーレコードをベルトの右側に設けた黒いスロット…マキシマムスロットにセットする。

 

【JOKER! MAXIMUM DRIVE!!】

 

装填されたジョーカーレコード内のディスクが高速回転を起こし、ツヴァイが思い切り跳躍する。

同時に風と紫色のエネルギーがツヴァイの身体を空高く浮かび上がらせると、マキシマムスロットのボタンを押して両脚蹴りの態勢へと入る。

 

「『ジョーカーエクセリオン!!』」

 

二人の声でそう叫んだ直後、急降下するツヴァイはセントラルパーテーションを境にファンタズマサイドである左半身とソウルサイドである右半身とで分断し、二人分の威力を秘めた必殺のキックを浴びせる。

 

『ぐっ、うっ…おおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!』

 

必殺技のジョーカーエクセリオンを躱すことも出来ないまま直撃したダイブは苦し気な悲鳴と共に爆散。

仰向けにゆっくりと倒れた宝石強盗のすぐ傍には音を立てて砕け散ったダイブレコードがある。

変身を解除した刹那は、気絶している彼の元まで近寄るのであった。

 

 

 

 

 

「仮面ライダー…」

 

その遠くで…人気もない光の当たらぬ場所で、ツヴァイがレコードを変えて異なる戦術で圧倒し撃破した様子を観察する少年がいた。

二人で変身する都合上、戦うことはおろか満足に動かすことすら不可能に近いあの仮面ライダー…阿吽の呼吸で究極のバランスを保って戦っていた活躍にある種の敬意と警戒心を抱く。

 

「お前たちが何をしようと勝手だが、ライブラリーの邪魔はさせない…誰であろうとな」

 

冷たい視線でそう呟いた少年は、ソードオフされた猟銃のようなダークグリーンのメカニカルなデバイスを構える。

一角獣を紋章が刻まれた変身一角銃『アインホルンライフル』は中折れ式の構造になっており、後方にあるスロットには一角獣で「U」を模した同色のガイアレコードがセットされている。

 

「…」

【UNICORN! START UP…! READY…!?】

 

親指で撃鉄のようなフックを起こし、銃身を押し下げることでスロットが出現する。

その直後、次第に禍々しいものへと変わる独特な電子音声とエレキギターのような待機音声が鳴り響く。

少年は気にせず槍と甲冑で「B」を象った漆黒のガイアレコードを起動させる。

 

【BLACK KNIGHT!】

 

ブラックナイトレコード…つまり『黒騎士の記憶』を宿したガイアレコードを正面から見て左側のスロットに装填させると銃身を定位置に戻し、真っ直ぐ構えてから短く呟いた。

 

「……撃昂(げきこう)

【BAN! UNICORN! / BLACK KNIGHT! BATTLE START…!!】

 

トリガーを引いたことで禍々しい不気味な電子音声が鳴り響いた瞬間、アインホルンライフルの銃口からダークグリーンと漆黒のエネルギーが螺旋状に発射されると、それはすぐに彼の身体を包み込む。

「戦闘開始」を告げる不気味な音声と共に、少年の姿は異形へと変わる。

ツヴァイのような真っ赤に染まった丸い複眼、全身が漆黒のスーツに覆われており、上半身と両腕には白いファーがあしらわれたダークグリーンの装甲と頭部を守る獣の口を模したフェイスメットが装備されており、左側が根本から折れている額のアンテナは一角獣を連想させる。

 

『戦闘の始まりだ…!!』

 

憎悪をにじませた声色で、『ブレイクホーン』はフェイスメットを下げると別の場所で暗躍をしている怪人の元へと地面を駆けるのであった。




 というわけで、半ば実験的にツヴァイをガイアレコードというディスク型アイテムに変更し、アインホルンも魔進チェイサーポジへと変えました。
 ホーンハンターは、あれです…「Wの世界にナイトローグや魔進チェイサーが登場したらどんな感じだろう」と妄想した結果こうなりました。ライフルにしたのは完全に趣味です(笑)
 何か、アドバイスがありましたらお願いします。ではでは。ノシ


ガイアレコード
アカシック・レコードの一部を『音のデータ』として抽出した携帯音楽プレーヤーのようなアイテム。クリアカラーになっているのが特徴。
人体にセットすることで怪人…ホルドープへと変異させる。
抱え込んだ願望に反応して「主」とも呼べる生物の元へと勝手に移動する性質を持っており、成長を続ける特性も併せ持つ。
生物の増幅された性質を読み取り、願望の形を覚えることでマキシマムの威力でも破壊することは困難なほどの強度となる。

ホルドープ
ガイアレコードによって変異した生命体。名前の由来は「レコードホルダー(記録保持者)」と「ドーピング」
使用者が持つ願望の形によって様々な姿へとなり、内包されたデータと合わさった能力を発現することが可能となる。共通点は胸部に存在する刺々しい紋章のようなコア。

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