イメージはモンハンの魂石をクリアカラーにした奴だと思ってくれれば良いです。
暗闇に包まれた街を二つの影が走る。
『はぁっ、はぁっ!!』
荒い息を吐きながら、『追跡者』から逃げるのは一体の異形。
ギターやドラム、トランペットを身体から生やしたような怪人…『楽器の記憶』を宿した『インストゥルメント・ホルドープ』は逃走を続ける。
アイドルに対して狂気的なまでの執着心を持つ彼は、力を手に入れる前かライブスタッフである立場を活かして何人ものアイドルにストーキング行為をしていたが、ガイアレコードを手に入れてからは自身の奏でる音波で苦しむ様を見ては悦に浸っていた。
しかし、自分に干渉してきた存在を利用しようと脅迫するための材料を探していたところ、逆に特定されてしまったことで組織のメンバーから逃げている最中なのだ。
『はぁっ、ひぃっ!?』
噴水のある広場まで移動したところで、背後から鳴り響く銃声に思わず動きを止めてしまう。
嫌に聞こえる靴の音に恐る恐る振り向くとそこにいたのは濃いグレーのパーカーを着た一人の少年…。
『はっ!な、何だガキかっ、驚かせやがって…』
「インストゥルメント…お前はライブラリーに手を出した。覚悟は出来ているな?」
彼の言動に気にすることなく、少年は淡々と告げる。
この少年こそがライブラリーの一員であり『ナイト』の称号を与えられた戦士……。
しかし、それを感情を暴走させた怪人は知るはずがない。
『調子に乗るなよっ?俺はアイドルの子たちが恐怖でひきつる表情を観たいんだよっ!!分かったらさっさと伝えてこいっ!』
「正常な会話はもはや不可能、か」
興奮したように一方的にまくし立てるインストゥルメントに冷たい視線を向けたまま、ナイトはソードオフされた中折れ式の猟銃を模したダークグリーンのメカニカルなデバイス『変身一角銃 アインホルンライフル』を構える。
一角獣を紋章が刻まれたそのデバイスの後方のスロットには化石のようなクリアカラーのアイテム…一角獣で「U」を模した同色のガイアレコードがセットされている。
【UNICORN! START UP…! READY…!?】
親指で撃鉄のようなフックを起こし、銃身を押し下げることでスロットが出現する。
その直後、次第に禍々しいものへと変わる独特な電子音声とエレキギターのような待機音声が鳴り響く。
そのままナイトは、槍と甲冑で「B」を象った漆黒のガイアレコードを起動させる。
【BLACK KNIGHT!】
『黒騎士の記憶』が記録されたガイアレコードを正面から見て左側のスロットに装填させると銃身を定位置に戻し、標準を合わせるように真っ直ぐ構えてから短く呟いた。
「
【BAN! UNICORN! / BLACK KNIGHT! BATTLE START…!!】
トリガーを引いて禍々しい不気味な電子音声を鳴らして響かせた瞬間、アインホルンライフルの銃口からダークグリーンと漆黒のエネルギーが螺旋状に発射されると、それはすぐに彼の身体を包み込み、「戦闘開始」を告げる不気味な音声と同時に異形へと変えた。
ツヴァイのような真っ赤に染まった丸い複眼、全身が漆黒のスーツに覆われており、上半身と両腕には白いファーがあしらわれたダークグリーンの装甲と頭部を守る獣の口を模したフェイスメットが装備されており、額には一角獣を連想させるホーンがある。
『さぁ、戦闘の始まりだ…!!』
湧き上がる感情を堪えるような声色で、一角獣の黒騎士『ブレイクホーン』はアインホルンライフルでインストゥルメントを狙撃する。
『どわっ!?』
それに回避することも出来ず、直撃を受けて怯んだ彼と距離を詰めたブレイクホーンはそのまま殴り飛ばしてから至近距離で銃弾を浴びせる。
煙を上げるインストゥルメントは躍起になって攻撃をするが、それを難なく躱された挙句銃床で思い切り殴打される始末。
『…はぁっ!!』
『があああああああああああっっ!!!』
そのまま蹴り飛ばされて地面を転がる羽目になったインストゥルメントに対して、ブレイクホーンはため息を吐く。
少しは成長しているかと期待していたが、とんだ肩透かしだ……。
アインホルンライフルを肩に担ぐその姿に、インストゥルメントは思い切り地面を叩いた。
『ふーっ、ふーっ!!このっ、クソガキがああああああああああああっっ!!!』
自分の欲望すら満たせず、まるで雑魚を相手するかのように振る舞うブレイクホーンに対して感情を爆発させたインストゥルメントは起き上がってすぐに身体から生やしたギターとトランペットなどを鳴らして、爆音による破壊音波を放つ。
その攻撃の射線上にいる彼は、気にすることなくアインホルンライフルに設置されている右側の黒いボタンを押す。
【BAN BAN! BLACK KNIGHT…! SKILL DRIVE…!!】
『……』
電子音声を響かせた途端、アインホルンライフルの銃口に漆黒のエネルギーが蓄積されていく。
そしてインストゥルメントに標準を定めてトリガーを引くと、禍々しい弾丸が発射される。
『なっ!?ぎゃあっ!!』
その弾丸はインストゥルメントの放った破壊音波を貫通し、インストゥルメントの顔面へと命中する。
『こ、このっ、がっ!?』
呻き声をあげるインストゥルメントに気にすることなく、ブレイクホーンは次々と弾丸を撃ってダメージを与え続ける。
そして…。
【BAN BAN! UNICORN…! SKILL DRIVE…!!】
『…ふんっ!』
『ぐおおおおおおおおおおおっっ!!?』
今度は右側の緑のボタンを押して能力を解放すると、一瞬で距離を詰めたブレイクホーンは螺旋を描くように発生した緑色のエネルギーを拳に纏わせてインストゥルメントを殴る。
がら空きとなった胴体が削られたダメージと共に、インストゥルメントは情けない悲鳴と共に吹き飛び、地面を転がる。
『あっ、ああ…!!』
『止めだ』
もはや、逃げることすらも出来ないほど追い詰められた彼を見たブレイクホーンは、フェイスメットを閉じてから同時に二つのボタンを押すと電子音声が響く。
【BAN BAN BAN! EINHORN! MAXIMUM DRIVE…!!】
『……はっ!!』
『ひっ、ああああああああああああああああっっ!!!』
緑と黒の必殺の銃弾『アインホルンシュート』が直撃したインストゥルメント・ホルドープは悲鳴と共に爆散し、ガイアレコードが排出されたことで融合が解除される。
意識が残っていたのか使用者である男性は破壊されたインストゥルメントレコードとブレイクホーンを交互に見ながら、恐怖にひきつった表情で必死に後ずさりをする。
あまりにも情けない姿に、ブレイクホーンは呆れることしか出来ない。
『終わったか?』
そんな彼に声を掛けてきたのは一人の怪人。
神官を思わせるような白いローブを着こなし、左腕がパソコンのキーボードに変異した緑色のメカニカルな異形…『Bデジタル・ホルドープ』は男性を見る。
『……好きにしろ』
ブレイクホーンの言葉を聞いて満足したように頷いた彼は、右腕から黒いケーブルを伸ばして拘束した途端、男性の身体がデータへと変化していく。
「ひっ!?あっ、嫌だっ!助けてっ、助けてっ!!」
『無理だな、お前は俺たちに干渉しようとした。自業自得だと思って諦めな』
「あっ、ああ…っ!嫌だああああああああああああああああっっ!!!」
そのまま彼の身体が完全にデータ状になって完全に消滅したのを確認したBデジタルは「ご苦労さん」と軽く手を振ると姿を消す。
そして最後にブレイクホーンが去った後には、何もない光景がただ広がるのであった。
スキルドライブ:
二つのガイアレコードの力を合わせて『技』という形で引き出す。マキシマムドライブとは異なり、レコードの破壊は不可能。
ブレイクホーン:
ライブラリーに所属する少年『ナイト』がアインホルンライフルと二つのガイアレコードで変身した姿。ユニコーンレコードを起動キーとしているため、使用者は実質ナイト一人。
赤く染まった丸い複眼に全身が漆黒のスーツに覆われており、上半身と両腕には白いファーがあしらわれたダークグリーンの装甲。頭部には一角獣を連想させるホーンが額にある獣の口を模したフェイスメットが装備される。フェイスメットは下ろすことも可能。