デュッセルドルフの針金師たち   作:kirimonji

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プロローグ

(あらすじ)

 

君達のパパとママとの出会いの頃。あの懐かしい70年代がよみがえる。ベトナム、ヒッピー、ビートルズ。ヨーロッパを舞台にした愛と冒険のセミドキュメンタリー放浪ロマン小説です!

 

 

(プロローグ)

 

 

 

 

北陸福井駅前の西武デパート向かいの地下に、”ファンファン”という古風なジャズ喫茶がある。カウンターに2ボックスで京都のブルーノート風でとても良い。ひげを生やした中年のマスターも渋い。

 

 

 

 

ここで2001年3月某日23年ぶりに学生時代の悪友黒川明夫に再会した。仕事で北陸出張の折ひょっとしたらと思い電話帳をめくったら黒川明夫とあるではないか。確か福井の出身だったはずだ、劇団何とかと書いてある。まちがいない。奴はあの当時言ってた如く愚直に演劇活動を続けていたのだ。

 

 

 

 

少し興奮気味に電話をしてみた。やはり黒川だ。「若林?あの若林治か?」ということで、お互い生きてたのかと23年ぶりにその晩”ファンファン”で再会した。

 

 

 

 

白髪は増え、年はとりつつも不思議と23年前にタイムスリップして、しこたま近況を報告しあった後、黒川は若林に聞いた。

 

 

 

 

「1970年10月21日の国際反戦デーのあとお前は行方不明になった。海外に逃避したという噂はあったが、その数年間、何ヶ国回って一体何をしてたんだよ?お前の言う第三幕てなんだ?もうこんなに白髪交じりになって、さあこれからだなんてもう何かむなしく響く」

 

 

 

 

てなことを言ったので即答できず。

 

 

 

 

「その件に関しては後日手紙を書くから」

 

 

 

 

と別れて白樺湖にいる間の一ヶ月、いろいろと思い出して書き始めたらこんな長文になった。読むほうは大変だろうがこちらはわが青春の総括ができて大いに感謝している。持つべきものはやはり親友だ。共にさらに長生きをして頑張ろう。

 

 

 

 

前略

 

 

 

 

黒川明夫へ。長い付き合いになりそうだ。23年ぶりの再会。縁とは不思議なものだとつくづく思う。お互いとにかく長生きしよう。

 

 

 

 

さて先日の黒川からの質問。あの頃何ヶ国回って一体何をしてたんや?さあこれからだの意味は何や?と聞かれて即答できなかったのでこれはいい機会だと、ここ白樺湖でわが来し方を振り返ってみることにした。

 

 

 

 

髪に白髪混じるともさあこれからだの意味は、青春という第一幕は当の昔に降り、還暦間近の今まさに第二幕最終場の幕がおりかかっていると感じる。

 

 

 

 

第三幕、人生最終章の幕開けとでもいった意味だ。一緒に演劇やってたとき、俺はとっつけの大道具だったが皆は真剣だったな。「どんなにごたごたがあろうとも、当日午後6時には幕が上がるんだ!」と叫んで皆はよく言い合いのけんかをしてたよな。

 

 

 

 

俺は部外者だったがうらやましかった。あんなことで真剣になれるなんてと。しかしよく考えてみると今なら分かる気がする。その時はいまだ!さあこれからだ第三幕が上がるのは!・・・というような意味かな。

 

 

 

 

さてあの年1970年8月から旅に出た。10.21反戦デーのデモを最後に、朝昼晩と必死にアルバイトをして金を貯めた。それから丸3年半、旧ソ連から北欧に入り西ドイツを中心にヨーロッパくまなく歩いた。

 

 

 

 

その後とにかく行った国まで含めると30カ国以上になる。その間何をしていたのかということになると、ちょっと一言では書けないので順を追って細かく思い出してみる。まあ、大変だろうがじっくりと読んでみてくれ。

 

 

 

 

                             敬具

 

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