…お前たちには、前作で「シリアスは無い」といったな?
アレは嘘だ。
『本当に申し訳ない。』
…なんか謝ってばっかですね、自分。
※ここより急激なシリアス展開、並びに超独自解釈、設定注意報です。
実際の展開とは異なっていますので、ご注意ください。
果たして、シリアスになるか、”しりある”になるか…
では、どうぞ!
「ようやく辿り着いたがよ」
提督はいつものような、しかし何時にもまして感慨深いような感想を呟く。
様々な試練、航路、周回(という名のレア艦掘り)を乗り越えて、最終決戦に臨む…これこそが、艦これイベントの醍醐味というもの。
―しかし今回は特に特殊な状況だった。
………………………………………………
発動!光作戦(e-3)
「光」作戦が発動された!
輸送用に分解された「彩雲」をトラック基地に輸送し、同方面の戦略偵察を敢行せよ!
このイベントの元となった作戦「光作戦・嵐作戦」は、終戦間際、トラック基地に高速偵察機「彩雲」を輸送し、当時の連合艦隊の重要拠点であったウルシ―環礁を偵察、同時に奇襲するというものでした。
今回の場合は、ウルシ―環礁付近に現れた”新種の”深海凄艦群の規模を偵察。
基地航空隊の整備が完了次第、接敵し攻撃を開始する、という内容ですが…
「そっちはどうな?榛名?」
『はい、問題ありません提督。』
輸送を終え、深海凄艦群の元へ舵を急ぐ、宿毛泊地連合艦隊。
水上打撃部隊の旗艦である榛名の報告を、提督は固唾を吞んで聞いていた。
『途中で機動部隊と何度かの交戦がありましたが、何とか撃退しました。』
「ほうか、よかったわ。」
ホッと胸をなでおろす提督。彼女達に何かあったらと肝の冷える思いだった。
「無理するなや、疲れたらいつでも戻ってきぃや!」
『ふふっ、それでは作戦になりませんよ?』
提督の冗句を聞いて、女神のような微笑を浮かべる榛名。事実彼女は、提督にとって特に大切な艦娘の一人だった。
その証左となる「もの」は、彼女の左手の薬指でキラキラと光っていた。
…今はシリアスなのであまり言いませんが、そういうことです。
「そういうなや、オレはオマエらが心配なだけながやき。」
『あら、そういうセリフを提督は一体何人の娘に言ってきたんです?』
榛名はそういうと、少しだけ頬を膨らませた。
「あ~ごめんちや…気ぃ悪ぅしたかよ?」
『…なんて、冗談、ですよ♪』
冗句のお返しと言わんばかりに榛名は片目でウィンクし控えめに舌を出した。
―何事においても、先頭に立つ者のコンディションは、艦隊運用において重大要素。
切羽詰まるほどその緊張は、部下並び下の者に伝染する。
ならば榛名のこの余裕は、積み重ねた戦闘回数の賜物であろう。
「その様子やったら、まっこと杞憂みたいやにゃぁ。」
『はい、榛名は大丈夫です!』
それでは、と報告の続きを促す提督。
『先程、「姫」旗艦の敵航空部隊と交戦したのですが…』
「お?どういたがよ?」
『いえ、うまく言えないのですが…』
榛名は言葉を濁しながら続ける。
『照月ちゃんのカットインが”当たりすぎていた”…というか、まるで本気でなかっような…』
「榛名」
提督は真面目に、本当に何時になく真面目な顔つきになっていた。
「ほれやったら、オマエの”好きに”しぃや。」
『!…』
榛名は、提督の考えの”何か”を察したように頷いた。
『はい…行ってきます、提督!』
「おう!気ぃつけてな…」
―勝利を、提督に!!
榛名旗艦の連合艦隊は、今まさに最終局面へと赴いていた。
カチャ
「司令官、準備完了しました。」
「お?ほうか、すまんにゃぁ。」
秘書艦吹雪は完了の合図を告げると、いそいそと外へ出て行った。
そして、提督も軽く身支度を整え、外へ出る。
「…うし、やるかよ。」
いつものように軽く、そして少しの重みがある言葉。
そんなコトを誰に言うでもなく、ドアを閉める提督であった。
………………………………………………
―ボス戦・会敵―
「泊地」到達…
深海泊地
深海双子凄姫
「「ノコノコ…キタノネ…歓迎シマショ…」」
かつての激戦の海に、有象無象の深海凄艦群が、正に海を飲み込まんとしていた。
前方に護衛の水雷戦隊、さらに奥には、空母・戦艦がギラリと目を光らせていた。
そしてその更に奥…旗艦と思われるのは、双子と思われる、あどけない少女たちだった。
「「フフフ…」」
不敵に笑う双子の背中は、禍々しい巨なる艤装が、まるでこちらを睨みつけるように佇んでいた。
そんな恐ろしいモノの口から這い出した球体型の深海艦載機は、不気味にケタケタ笑いながら浮遊していた。
「神通ちゃん、お願い」
『はい、榛名さん。』
通信で、旗艦である榛名と会話しているのは、川内型軽巡「神通」である。
「……」
吹雪たちと同時期に建造された、いわゆる古参勢の一人であるが、その落ち着き払った物腰と姿勢は、まさしく頼りがいのある古強者だった。
…榛名との通信を切ると、神通は双子に対し勧告を行った。
「我々は、宿毛泊地より派遣された、水上打撃連合艦隊!その第二艦隊の旗艦「神通」です!」
「「…」」
「我々は運営鎮守府より、貴艦隊の規模の調査、及び敵性の有無の判断を任されています…先ずは、そちらのご意思を確認させてください。」
―意思の確認などしなくても、敵の殺気、及び憎悪は明らかだった。
世界中に海網を張り巡らせ、シーレーンや経済に深刻な打撃を与え続けてきた深海凄艦。
軍を動かすにも、彼女らの侵攻により生じた様々な問題が重なり、各国とも指を銜える他なかった。
そんな状況において、比較的軽傷だった日本は艦娘を”開発”し、深海凄艦の打倒を掲げた。
数年の歳月を経て、日本近海及び主要国を襲っていた深海凄艦群の撃破に成功。後は減衰する一方だった…。
しかし、ある深海凄艦の消滅を切っ掛けにして、世界各国に散らばっていた所謂”残存部隊”が集結し、日本近海に出没、ある時は本土に大規模な空襲を行うようになっていた。
…これは、恐らく彼女たちの「反逆」で、脅威を忘れ去ろうとしている我々に対してー
『憎しみに終わりはない』
と、まるで剥き出しの怒りを表すように立ちはだかっている…かもしれない。
「ドウスル…?」
白と黒の相反する色合いの双子、その黒い方が、白い方の意見を聞いた。
「フフ…ドウシヨッカ?」
白い方が問いかけを返す。二人ともガスマスクのようなもので顔を覆い隠しているが、半開きの月目で、狂気に囚われた笑みを浮かべていることが分かった。
その様子から、やはり勧告は無意味だったと見て取れた。
「「ネェ、許シテ欲シイ…?ダッタラ…」」
途端にこちらに振り向き、双子はこちらに対し艦載機を飛ばしてきた…!
「「私タチト…遊ンデヨ!!」」
すかさず神通は、榛名に短く通信を行う。
「やはり、退いてくれません。」
『そう…ありがとう、始めましょう。』
―榛名の合戦の合図により、対連合艦隊戦が幕を開けた。
敵艦発見―攻撃開始!
基地航空隊の航空支援隊が到着した…が、敵の艦載機を牽制するのが精いっぱいだった。
―航空フェイズ
「「ヤルジャナイ…ジャアコレハ!?」」
敵艦隊より、第二次航空爆撃が降り注いだ…正に雨あられと嵐のような激しさだった。
「照月ちゃん、対空砲撃急いで!」
「は、はい!」
照月は言われるまま、航空爆撃の迎撃態勢についた。
「方位修正、角度、よし!ノリちゃん、お願い!!」
「ぶるあああああぁぁぁぁぁああう!!!」
雄たけびと共に長10cm砲ちゃんより放たれた鉄火の爆砲は、敵艦載機を捉えたが―
「「フンッ!」」
数機が弾幕をすり抜け、照月に爆撃を見舞う―
「!―きゃあああぁぁ!?」
「照月ちゃん!?」
「…だ、大丈夫です!」
「照月ィ、あんま無茶すんじゃねぇゾ!」
神通、ノリちゃんに心配されながらも、なお立ち上がる照月…しかし服はボロボロで、艤装も動かすのがやっと、”中破状態”となっていた。
(まともな戦闘はもう無理…でも)
敵艦載機の数は、目で見ても明らかに減少していた。
双子もさすがに焦りを隠せず、苦い顔をしているようだった。
(へへっ、防空駆逐艦は伊達じゃないよ!)
照月は心で相手に挑発をかけながら、戦闘続行した。
………………………………………………
―戦闘フェイズ
第一艦隊に配置された戦艦4隻の砲撃が炸裂する―
旗艦は言わずもがな「榛名」、練度は宿毛泊地随一だ。
続いてドイツの生んだ名戦艦「ビスマルクdrei」
イタリアの高速戦艦「ローマ」
更に旧日本軍の誇る大戦艦「大和」も投入。
これぞ最終決戦にふさわしい面子だったが…
「皆さん、いきますよ!主砲!砲撃開始!!」
ズン”ッと胸に振動が直に響くような砲爆撃は、敵艦を、確かに捉えた…が。
「「コンナモノナノ…?」」
敵戦艦2隻撃沈、空母も中破・大破と大打撃を与えていたが、肝心の双子は煙幕の晴れる中ケロッとした姿であった。
傷も服も、損傷らしいものは見当たらなかった。
「「ジャア、倍ニシテ返スワネ」」
「!?」
瞬間、砲撃・航空爆撃―あらゆる”痛み”が榛名達を襲った…正に倍返しだった。
「くっ…!?」
榛名は、回避行動のため先導し身を引こうとしたが、足に違和感を覚えた。
「え?!」
正面に見えるのは、ニタリと笑っているだろう”一人の”少女―そして足を見ると
「ウフフ…コンバンワ」
白の少女が、自分の足を掴んでいた。
(!!いつの間に―!?)
「早速ダケド…シズンデ…?」
見上げると、既に敵艦載機は、榛名に照準を定めていた…!
「!はあぁぁ!?」
榛名に降り注ぐ、敵の爆撃の雨。
果たして榛名の運命は…?
………………………………………………
―第二艦隊サイド
「っ…榛名さんが…!」
「落ち着いて、照月ちゃん!目の前の敵に集中して!!」
慌てる照月に、必死に声がけをしていく。
言って神通は、頭の中で冷静に状況を整理していた。
(どういうこと…あの子達「潜水艦」なの…?)
潜水艦は、あらゆる砲撃、爆撃が効かない。
なぜなら常に潜っているから、当たり前である。
しかしてそのため、彼女たちの攻撃手段は「雷撃」…つまり魚雷による一撃必殺、又は水上爆撃という限られた方法しかない。
―然りとて双子のスペックは異常…いや異様だった。
砲撃、航空爆撃アリ、雷撃はしない、耐久性は下手な「姫」クラスを上回っていた。
そのほとんどが従来の潜水艦やボスクラスの深海凄艦の法則性を無視していた。
そもそも双子…二対の深海凄艦など聞いたことがない。
(片方が違う艦種とか…?いや)
どちらにしても変わりはない―
神通は心にそう呟き、前を向いた。
「できるだけ、損傷は避けてください!なるべく砲撃を行える人員を残して!!」
「ハイッ!」
「任せて~。」
旗艦の命令を聞き届けると、前歯が特徴的な娘「雪風」とおさげを揺らし気楽に返事する「北上」は、それぞれの標的に狙いを定めた。
―神通の狙いは、夜にあった。
………………………………………………
―敵サイド
ザパァ
「モウ、ダメジャナイ」
「ウフ…ゴメンナサイ」
黒の少女は、白の少女に対し、榛名を仕留め損ねたことを軽く小突いた。
咄嗟に拘束を振りほどき、身を引くのが一瞬でも遅ければ、榛名は沈んでいた。
戦いの経験がこの差を生んだ。…尤も大破は免れなかったが。
「マァ、イイケド、コウナルダロウト思ッテタシ。」
「…ゴメンネ?」
皮肉交じりに言いのける黒い彼女の暴言にも、白い彼女はいたって朗らかだった、
こうしていると、本当に仲の良い無邪気な姉妹にしか見えない。
「「フフ…ウフフフ…」」
…まるで邪悪な笑いがなければ、の話だが。
「「サア、ジャア最後ニ…!?」」
最後の爆撃でもかましてやろう、と艦載機を発艦しようとした直後だった。
「「ナニ!?」」
目の前に、音もなく現れた、海を一直線に進む鉄槍の影。
数本の内2,3本が、彼女たちに向けて発射されていた。
「「雷撃!?」」
ドゴオォン!!―
轟音と爆風と共に、鉄槌のような痛みが彼女達を蹂躙する。
「「…クッ」」
然しもの彼女たちも、攻撃に支障なしといえ、無傷とも言えなかった。
見ると、深海第二艦隊は、完膚なきまでに全滅していた。
「「イツノ間ニ……フフ」」
この場合、一杯食わされた敵に対し、憎々しげに一言洩らすのだが…
「「フフフ…アハハハハハハハハハ!!!」」
彼女たちは、只々笑っていた。
傍から見ても、二人は”怪物”であった―。
「「私タチハ、沈マナイ…沈ムモンカ!!」」
―既に陽は傾き、満月が双子の後ろに出でた。
その様相はまるで、月に吠える野獣そのものだった…。
………………………………………………
―夜戦フェイズ――我、夜戦ニ突入ス!
視界が完全に黒く染まり、それを合図に神通率いる第二艦隊が前に出る。
夜戦は、大破の損害を受けると、そもそも攻撃に参加できない。
こちら側の攻撃可能艦は「神通」「北上」「雪風」の3人だった。
「うぅ…ごめんなさい。」
「面目ネェ…」
「仕方ないわ、それでもあなたは立派よ。」
神通は、大破してしまった照月たちを励ます。
…対して敵側は「深海双子凄姫」「敵空母一隻(中破)」だけだった。
この程度なら、神通が敵空母を砲撃し、残りの二人が双子を撃破するだけだ。
「でも…そう上手くいくかしら…」
思わず小声を洩らす神通。彼女の懸念は二つ。
一つは「砲撃が当たるか」。
夜は視界が霞むため、正確に砲撃を当てるのは難しい。
ぼんやりと影が二つ浮かんでいるが、果たしてどちらが正解か分からない。
そしてもうひとつは「耐える」可能性。
双子の異常な耐久力は、戦艦の砲撃の弾幕をあっさりと凌いだ。
仮に神通の思う通りになったとして、果たして大人しく倒れるか…?
「…ふぅ、仕方ありません。」
…悩んでも仕方ない。私は”神通”、いつも通りやるだけ。
そう思うと、彼女は足に備え付けた「光」を照らした。
「探照灯、照射…突撃します。私に続いて下さい!」
辺りに神通の光が広がる、そして…
「…見えた!」
敵空母の姿が映し出されるや否や、神通は渾身の砲撃を放った。
正に必殺の一撃で、敵は水底に消えた…。
「北上さん!」
「あいよー」
旗艦の合図と共に、砲を構える北上。狙いは光の当てられた”一人”の少女。
「!!」
一人?!、しまっ―
「サァセナイィ!!!」
神通が気付いた刹那、海に潜んだ白の少女が、今度は神通の脚を掴んだ。
「くっ」
「アハハ!仲間ガ沈ムトコロヲ観テルガイイワ!!」
「神通さん!雪風ちゃん!!」
照月が叫ぶ。見ると、黒の少女から放たれた砲撃が雪風を捉えていた。
神通も北上も、突然の出来事で対応が遅れていた。
直撃は免れないだろう…”普通の”艦ならば。
「…雪風は沈みません!!」
雪風は類まれな回避能力と、頬擦れ擦れで仰け反ることのできた、自身の「幸運」で何とか事なきを得た。
「何ッ!?」
「油断しましたね、そして…」
「!」
「次発、装填済みです。」
にっと笑う神通は、白の少女にゼロ距離雷撃を
ニヒルに笑う北上は、黒の少女に全力の一撃を
同時に放ち、爆音の後、同時に倒した。
ワタシタチハ…ソンナ……シズムノ?…マタシズムノ……?
ウそ…ミなもニ…アぁ…キれい……
世界が…。
―宿毛泊地メモ(part4)
〇榛名
提督の”3人の嫁”の一人で、最初に提督とケッコンした。
真面目で奥ゆかしい、正に「大和撫子」だが、その練度、及び戦闘経験は他の追随を許さない。
〇神通
「華の二水戦」を率いた川内型軽巡2番艦。
宿毛泊地では古参の、凛とした雰囲気の侍ガール。
提督に”使われる”ことを何よりの喜びとし、敵に対しては容赦なく、味方には優しく頼りがいがある。
提督も彼女を信頼し、それでも彼女が無茶しないよう呼びかけているが…。
〇北上
軽巡の中でも夜戦火力に特化している「重雷装巡洋艦」に分類される。
ゆったりとした態度からは想像できない火力でMVPを搔っ攫い、艦隊に勝利を与える。
その様からいつしか「ハイパー北神様(誤字に非ず)」と呼ばれるようになった。
〇雪風
最高の幸運を持つ幼女。かつて「呉の雪風」と呼ばれた武勲艦の一人。
艦隊のリーサルウェポン。しれぇ!
〇深海双子凄姫
呼称:双子・二人
片方ずつ―(白・黒)-の少女・-い方・-い彼女
特徴:左右反転の色合いの服装。
二人ともガスマスク(?)で口を覆っている。
深海棲艦の新たな「姫」。しかし歴代の姫に比べて、彼女たちはどこもかしこもイレギュラーで掴みどころがない。
まるで潜水艦のように水中に潜ることが可能。一方が敵側まで潜り、動きを封じている間にもう一方が仕留める、という戦法を得意とする。