見事光作戦を完遂した提督たちのその後は…?
では見ていきましょう、どうぞ!
(よぉーし、よおく狙ってェ…)
南西諸島のオリョール海域、潜水艦の資材集めの一幕。
はぐれ駆逐艦群の一隻を、新人の潜水艦が狙いを定めながら舌なめずりしていた。
(…今!てぇ!)
音もなく発射された投げ槍は、吸い込まれるように敵補給艦に命中した。
「ぃよし!」
驚いた駆逐艦群は、そのまま逃げるように退散した。…もちろん資材を残して。
「やったー!んっふふ~大漁たいりょー♪」
見事に獲物を仕留め、ご機嫌上々の潜水艦娘…「伊14(イヨ)」
彼女が編入されて、2週間が経ったが…
「こらー!新人ちゃん、資材をドラム缶につめるでちー!!」
海に散在された資材を、ドラム缶の中にかき集める潜水艦娘達。
その筆頭である「伊58(ゴーヤ)」が、仕事をしないイヨを叱っていた。
…というかイヨちゃん、怒られてるのに、すごいイキイキしてるというか…
「んっふふ~了ー解!ゴーヤ先輩♪」
バシャバシャと、資材を集め始めるイヨちゃん。
その様子を、遠くから見つめるゴーヤちゃん、イムヤちゃん。
「…イヨの様子はどう?」
「うーん、やっぱ覚えてないみたいでちね…?」
あの戦いの後、イヨちゃんは宿毛泊地へやってきた。
最終作戦海域の報酬艦として…が、いくつか疑問が残っているのは確かである。
―イヨちゃんと、双子の片割れは同一人物なのか?
提督たちは、これまで様々な海域に挑んでいるが、その経験則として、最終海域のボスと、その海域の報酬艦には、密接な関係があるのではないか…というもの。
果たして、眉唾物であるため、どこまでが本当か定かではありませんが…。
「覚えてないんだったら、それでいいんじゃないでちか?」
「でも…もし、イヨが双子っていうの、の片割れだったら…」
双子は泊地艦隊と凄まじい戦いを繰り広げ、満身創痍となって、海の底に消えた…。
イヨちゃんと雰囲気が似ているのは「黒」。だとしたらもう一人は…おや?
「むきー!!生意気なのねー!!」
「…ああ、またでちか?」
見ると、青いトリプルテールの「伊19(イク)」ちゃんを、イヨちゃんがからかっていた。
「どうして子供扱いするのー!っていうかイクは先輩なのね!敬うのね!」
「えー、どうしてってぇ、う~ん…」
「…」
「…お姉ちゃん、だから?」
「ドーシテそーなるのねぇー!!!」
「まぁまぁ、二人とも、落ち着いて。」
二人のケンカを、見かねた金髪の眼鏡っこ「伊8(はっちゃん)」が止めに入る。
「イヨちゃん、ダメですよ?ちゃんと、仲良くしましょう。」
独特のペースの喋り方で、イヨちゃんに注意を促すはっちゃん。
「はーい!はっちゃん先ぱーい!」
「ちょーっと待つのね?なんではっちゃんが先輩になるの!?」
「え~、わかんない?番号だよー?」
「は?バンゴウ??」
「そう、伊”8”と、伊”14”、それから伊”19”で、いい感じの並びデショ!」
あ~、番号順で、姉か妹か、先輩後輩を決めている…と。
「じゃあおかしいのね!なんでゴーヤは先輩呼ばわりなの!?」
「ゴーヤ先輩が、ゴーヤ先輩だから♪」
「むぅきぃーーー!!!」
もはや怒髪天を衝くといった感じで怒り吠えるイクちゃん…イヨちゃん、ほどほどにしようね?
「んっふふ~♪」
任務を終えたイヨちゃんたちは、無事泊地へ帰投した。
「提督、たっだいまー!」
「おぅ、おかえりぃ。」
提督が手を挙げて出迎える。隣にはタオルを持った吹雪ちゃんが。
「みんな、お疲れ様。はいタオル」
潜水艦娘のみんなにタオルを配る吹雪ちゃん。
「ダンケ、です。吹雪。」
「はっちゃんもお疲れ様!」
「ホントにお疲れ様やにゃぁ、よ~しよしよし!」
「て、提督、少し、痛いです…。」
「テートク、またはっちゃんばっかり。」
「なんにゃ、えいやろ?はっちゃんカワイイやろ?」
「それより提督!聞いてなのね!イヨが!!」
「んン?まぁイク、色々あるやろうけど、こらえてちや。」
「んもぉ~、提督までそんなこと言うのー!!」
両手を振り上げ、精いっぱいの抗議をするイクちゃん。
その様子を見て、楽しそうに笑う一同。
その奥で、イヨちゃんは少し寂しそうにその風景を見つめていた。
「…いいな」
小さく今の心境を呟く。
自分は配属されて間もない。環境に慣れないのは当たり前だ。…だが、何か。
ピースが欠けている感じがした。
(…ま、今でも十分楽しいけどネ♪)
ごまかすように自分に言うイヨちゃん。
「…イヨちゃん、ちょっといい?」
「え?、あっハイ。」
吹雪ちゃんが話しかけてきた。見ると、提督は何処へと姿を消していた。
「一緒に執務室まで、来てくれるかな?」
「えぇ!?」
自分が何かしたのか?とイヨちゃんは思った。
イクちゃんは、い--っとした口で”ざまぁみろ”と言っているようですが…。
「あぁ、大丈夫だよ。大したことじゃないから。」
ホッとするイヨちゃん。こうして吹雪ちゃんに手を引かれ、提督執務室へと急ぐ。
「イヨちゃん、ここの生活は慣れた?」
「ハイ!吹雪さん!!」
「吹雪でいいよ。ここは上下関係って無いからねぇ。」
「はぁ…?」
まぁ、あの提督ですからな。何事も大っぴらな人ですし。
「吹雪さん、あの…用事ですか?」
「ん?あぁ、その、ね…会ってもらいたい人がいて。」
「え?誰ですか?」
「それは着いてからのお楽しみだよ!さ、早くいこ!」
「あ、ちょっと…」
手を引く吹雪ちゃんが早足になり、イヨちゃんもそれにつられて提督室に急ぐ。
(会ってもらいたい人?誰だろ?)
…もしかして自分のファンとか?と、楽観的な思考で答えを想像する。
しばらくして、そんな彼女の前には、一枚の扉と、上に「提督執務室」と書かれた看板が…。
耳を澄ますと、提督の声が聞こえてきた。
『もうすぐ来ると思うきよ、…ってなんで涙目ながよぉ?オマエは!?』
『………ああ、わかったき、落ち着けちや。』
…誰かと話しているのか、どこか落ち着かない様子の提督。
自分も、少し緊張しているのが分かった。
「じゃあ、イヨちゃん。目を閉じて!」
「え!ここで!?」
しかし秘書艦殿がいうならと、目をぎゅっと瞑るイヨちゃん。
「いくよ…(コンコン)失礼します。」
『おう、入りや!』
キィ…とドアを開ける音がした。
コツコツと足音を立てながら、空間の中心に誘われる。
「よーし…イヨちゃん、もういいよ!」
「…!」
その言葉通り、恐る恐る目を開けてみるイヨちゃん。
周りを見る。
提督、照月、磯風、北上、よくわからないロボット。
―その中心に。
「…い、イヨちゃん。」
「………え?」
自分と瓜二つの顔、服装。しかしどこか違う雰囲気。
―彼女は?
「紹介するき!今日からうちで世話することになった…」
「…伊13。「ヒトミ」って呼んでね?」
その言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になっていった。
伊13は、伊14のお姉さん。つまり彼女こそが…
「…どうして?」
「みんながね?頑張って探し出してくれたんだよ?」
「アガメヨ…北神様ヲアガメヨ…」
「「ははぁー!」」
「フフン。」
北神様を囲んで正座、ひれ伏し崇め奉る提督、照月ちゃん、ノリちゃん。
その北神様の横で、何故か磯風ちゃんがドヤっていた。
「いやー、ホンマ”E-4”大変やったけど、よかったにゃぁ。」
「ほんとだよー!ボスに向かって夜戦連撃する北上さん、かっこよかったぁ!」
「それでェ、伊13が出たときヤァ、思わず唸ったネェホッホウ!」
E-4とは、まぁ”堀り”のことですよね。目的の艦娘が出るまでがイベントですので。
この様子だと、わざわざE-3を見回っていたみたいですねぇ。
…で、倒したはずのボスはどういうことなの?…あれですか?シャドウ〇ーヴァント的な奴ですか?
「ふふ…ここの人たち、優しいし、とっても面白いね?…イヨちゃん?」
ヒトミちゃんが声をかけた途端、イヨちゃんは崩れ落ちた。
「イヨちゃん!?」
吹雪ちゃんが声をかけるが、その頬には一筋の涙が…
「……ぅ」
―生きて、いてくれた。
また……「逢う」ことができた。
自分もなぜ、誰かの考えが、まるで頭に流れているようで…
不思議な、しかし確信のある感情だった。
「う”う、ううぅ…」
「イヨちゃん」
ヒトミちゃんは、座り込むイヨちゃんをそっと抱き寄せ、頭を優しく撫でた。
「…ごめんね…?」
「…なんで謝るの?意味わかんないよ…」
泣きながらイヨちゃんは、ヒトミちゃんに指摘する。
言うと、とめどない感情が溢れてくることが分かった。
―悲しみとは違う、喜びの感情の「涙」が…。
「ヒトミィ、…ヒトミィィぃ……!」
「…イヨちゃん……!」
二人は、まるで再会を喜ぶように、泣いた。
目を赤くし、鼻水は流れ出て、声は思うように出なかった。
泣きじゃくりながらも、二人は思った。
―これからは、ずっと離れない、と。
その様子を遠目から見ている泊地一同は、感慨無量になったいた。
「ほいじゃぁ、冬イベント突破を祝してー!」
かんぱーい!!
グラスを各々に、楽し気に鳴らす音が「甘味処間宮」に響いた。
宿毛泊地では、イベントが終わるとこうして、宴を設けて新人たちを祝う。
テーブルには、間宮さん特製の豪勢な手料理、そしてカツオのたたきなど、自然豊かな郷土料理がズラリと並んでいた。
「この郷土料理が、ぜんぶ提督の手料理なんて…」
「みんなぁ遠慮せんと残さずたべよぅ!」
「「「はーい!」」」
提督の意外な特技をいまだに信じられない照月ちゃん。私もです。
そして、祝いの席には、イヨちゃん、ヒトミちゃん、そして…
「はい、松風!いーっぱい食べるのよ?」
「あぁ、ありがと姉貴。」
食べ物をよそった皿を妹「松風」ちゃんに渡す「神風」ちゃん。
ひょいと受け取ると、おいしそうに口に頬張る。
「ん~おいひいへぇ!」
「口にものを入れて喋らない!」ペシッ
「ングッ!?」
思わず口のものを飲み込む松風ちゃん。
「っはあ、ひどいなぁ、いっぱい食べろって言ったの、姉貴じゃんか?」
「限度があるでしょ!?」
怒る神風ちゃんだが、妹が来て少し嬉しそうだ。
その松風ちゃんは、頭に何故かシルクハットをかぶり、顔も態度も某タカラジェンヌのようだった。
…何というか、ボーイッシュを通り過ごしてますよね、これ?
「あの、司令官…」
「やめて」
「新人の艦娘は、もしかして…」
「い、いや」
まだいるよ、と言いたげに厨房を見る。
そこには、忙しそうに盛り付けを手伝う「高波」ちゃんの姿が。
「高波ちゃん、いいんだよそんなことしなくても…」
「だ、大丈夫かもです!高波は頑張るかもです!!」
健気に頑張る、肯定が曖昧な高波ちゃんなのであった。
「…」ジーッ
「やめてぇ…ホントやめてぇ。」
「この前の作戦では山風ちゃん取り逃してるし…」
「忙しいが!提督が!!仕事が!!!」
「ハイハイ」
あきれ気味にそっぽを向く吹雪ちゃん、しかしその顔はどこか嬉しそうだった。
「ふふっ…甲勲章♪」
「……」
そんなやり取りを含めた、正に宴会場の様子を、イヨちゃんとヒトミちゃんは仲良く眺めていた。
「んぐっんぐっ」
「い、イヨちゃん、の…飲みすぎちゃダメ…よ?」
「ぷっはー!これが飲まずにいられるかっテンダー!」
「もう、ふふっ…ほんとに、いい所…」
ここには、敵も味方もない。
戦場における、互いの功績をたたえ合う。ヴァルハラの戦士の休息を彷彿とさせる楽し気な雰囲気。
実際、くうさんや、その他の深海棲艦や「姫」の姿もチラホラ見える。
「ここなら、楽しくやれそうね?イヨちゃん。」
「うん!!」
眩い笑顔を向けるイヨちゃん、先ほどまでの暗い気持ちはもうない。
これからは、二人で一緒に頑張ろう。
そう二人が思っていると、唐突に大淀が入ってきた。
「失礼します、提督。」
「!キタっ」
吹雪ちゃんが目をシイタケにして、勢いよく振り向いた。
大きな箱を持っている大淀は、淡々と祝辞を述べる。
「この度は、光作戦の完遂、おめでとうございます。」
「は、はい」
「そして、いつもの如く運営鎮守府より報酬を預かっています。」
「…はい」
…あれ、これって?
「つきましては、報酬を確認して頂きたく存じます。」
「はい!わたしがやります!!」
吹雪ちゃんの言葉を聞いて、箱をドカッと勢いよく机に置いた大淀さん。(もしかしなくても怒ってますよね?)
吹雪ちゃんが意気揚々と箱を開けた、瞬間…。
「…………………………え?」
箱の中身は、銀色の勲章一個と、「オツカレサマ」と書かれた紙。…あぁ。
「これって…」
「うむ、どうみても勲章だな」ドヤァ
「おいおいぃ。」
「またやっちまったのか?あの野郎は?」
「まー提督だし~?」
「っぷはwwマジウケるwwwぱねぇっすw」
「…提督(ーn-;神通)」
「し……司令かぁああああん!?###」
はい、皆さんご一緒に。
知ってた。
「どこ行ったですかぁ!あの人サマはあああぁあ!?」
「お、落ち着いて吹雪ちゃん!」
「司令は、どこかへ行ってしまったな。」ドヤァ
こ〇亀のエンディングか!?
「うるおらあああぁああ!!!」
吹雪ちゃんが艤装にガトリング銃とか爆弾とか鉄槌とか、とにかく銃火器重武装をつけてコ〇ンドー状態!!?
「いーじゃん吹雪ぃ、”丙”でもクリアはクリアだよ~。」
「北上さん!それ火に油注いでるぅ!?」
「し・れ・い……かぁーん!?!!」
すごい勢いでおっかけてったー!?!?
「…」
最早言葉が出ない一同。しかし…。
「あははは!!」
「うふふ…!」
涙が出るくらい笑いが止まらないイヨちゃん、ヒトミちゃん。
それにつられて、その場は笑顔と笑い声に包まれた―――。
…これが、この泊地の日常。
南国の風が頬を通る、誰が呼んだか「魔境」か「楽園」か…。
あなたはこんな所に行きたいと思いますか?
もしそう思っているなら…わたしは「オススメ」しますよ。
ここには、誰もが忘れてしまった…温かさがあります。
憎しみはなくなりません。だからこそ、思い出してください。
そこには確かにありますよ?…あなたの帰るべき場所にも…ね?
………あ”あ”あ”ああああああぁぁぁぁぁ…………!……
…忘れましょう?いいね?
お疲れさまでしたー。
いかがでしたか?これからもこんな感じでイベント編を頑張って書いていきたいと思います。
…うん、とりあえず1年は頑張る。
それでは最後に、こんな作品をここまで見て下さって…
ありがとうございました!
…藤波、きてほしかったなぁ。