涼宮ハルヒで妄想   作:神納 一哉

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過去にどこかに投下したかもしれないものを加筆・修正しました。


キョン「…お前可愛いな」

はじめは、ただからかってみようと思っただけだった。いつもハルヒには振り回されっぱなしだったから。

 

―――本当に、軽い気持ちだったんだ。

 

「…ん…キョン…」チュ

 

「…」

 

俺は今、ハルヒとキスしている。

 

正確に言えば、ハルヒに唇を奪われている、か。

 

まあ俺の気持ちは伝えたから、ハルヒの答えを待っているわけなんだが。

 

いったい何故こうなった?

 

いつもと変わらない放課後のはず、だったんだが。

 

――――――――――

 

文芸部室兼SOS団団室の扉をノックして、麗しい朝比奈さんの応えを待つ。

 

だが、待てども暮らせども、中からの応えは無い。

 

「…誰もいませんか?」

 

ドアノブに手をかけ回すと、扉はすんなりと開いた。

 

そっと中を覗き込み、誰もいないことを確認して体を滑り込ませる。

 

鍵をかけ忘れるとは珍しいこともあったものだ。

 

いや、待てよ。灯りはついている。

 

ということはだ、誰かが来て、何らかの理由で部屋を開けているということであろう。

 

俺は部屋の一角に目を向け、予想が正しいことを確信した。

 

コンロの上のやかんが無い。すなわち、朝比奈さんが水を汲みに部屋を出たということだ。

 

今日も美味いお茶にありつくことができるな。

 

いつもの席に腰を下ろし、机の下に鞄を置く。

 

長門と小泉は掃除当番か何かだろうか?

 

ふとそんなことを考えていると、結構な勢いで部屋の扉が開かれた。

 

「到着~っと、あら、キョン、あんただけ?」

 

「見てのとおりだ」

 

「珍しいわね、まあいいわ。よいしょっ、と」

 

「…」

 

勢いよく扉を閉め、ハルヒは俺の前を横切って手に持っていたやかんをコンロの上においた。

 

「…めずらしいな、お前が水を汲んでくるとは」

 

「なによ?悪い?」

 

「別に悪いとは言ってない。珍しいなって言ったんだ」

 

「たまにはね、みくるちゃんにばっかりやらせるのも悪いじゃない」

 

それは殊勝な心がけだ。

 

しかしまた何故そんなことに思い至ったんだ?

 

「ちょっと珍しいお茶を手に入れたからみんなで飲んでみようと思って」

 

「珍しいお茶?」

 

「色が出ないお茶よ!一見ただのお湯にしか見えないの」

 

「それはまた珍しい」

 

「感謝しなさい、あんたにもあげるわ」

 

「へいへい」

 

まったく、よくもまあけったいなものを見つけてくるもんだ。

 

その行動力には感服するよ。

 

「みんな来ないわね、いったい何してるのかしら?」

 

「大方、掃除当番とか日直なんだろ」

 

「まったく、団員としての自覚が足りないわ!」

 

「おいおい、掃除当番や日直は仕方ないだろ」

 

「そんなもの気合でパッパと済ませればいいのよ!」

 

「無茶言うな」

 

「喉渇いたのよ!」

 

「じゃあ先に飲めばいいだろう」

 

「駄目よ。せっかく珍しいもの持ってきたんだから、みんなで飲まないと」

 

「じゃあ我慢しろ」

 

「う~」

 

ぷうっと頬を膨らませて席に座る。

 

やれやれ。

 

「…」

 

「…」

 

特に話すことも無いので必然的に静まり返る部屋。

 

考えてみればこいつと二人きりになったことなんてそんなに無いんじゃないか?

 

見た目もいいし、成績だって結構いいし、なんだかんだで面倒見もいい。性格はちょっとアレだけどな。

 

「…何よ?」

 

「別に…」

 

「団長命令よ!素直に言いなさい」

 

「何をだ!?」

 

「今思ってること!はい、10秒前」

 

まったくこいつは…。

 

楽しそうにカウントダウンをするハルヒ。

 

俺たちはいつもこいつに振り回されている。

 

まあそれも悪くは無いと思うこともあるが、たまにはこいつを驚かせてやっても罰は当たらないんじゃないか?

 

「よ~ん………さ~ん…」

 

「…」

 

「に~ぃ………い~ち………ゼロっ!!さあ言いなさい!」

 

「…お前かわいいな」

 

「…は?」

 

「ハルヒは、かわいい、って言ったんだ」

 

「な、なによ急に!?」かぁっ///

 

「何って、思ってることを言ってるだけなんだが」

 

「そ、そう…うん、確かに言えって言った…けど」

 

「なんだ?照れてるのか?そんな風にされると、頭撫でてやりたくなるんだが」

 

「…!!」

 

おいおい、何で真っ赤になって黙り込むんだ?

 

そこは、『妹ちゃんと一緒にしないで!』と怒鳴るところだろうが?

 

「…いい…よ」

 

「何がだ?」

 

「…撫でても」

 

「は?」

 

「撫でたいんでしょ?撫でていいって言ってるのよ」

 

「ん、あ、そうか。うん」ナデナデ

 

「…」///

 

「サラサラだな」ナデナデ

 

「当たり前じゃない…ちゃんとお手入れしてるもの」

 

「…」ナデナデ

 

「…」///

 

「お前は今、何を思ってるんだ?」

 

「っ!」

 

「ああ、言いたくなければいいんだけど、俺はこういうのもいいなあって思ってるんだが」

 

「そ、そう…」

 

「いい手触りだ」

 

「…」///

 

「…」ナデナデ

 

「…キョンの手っておっきいね」

 

「そうか?」ナデナデ

 

「…ん。なんか悪くない…よ」

 

「…」ナデナデ

 

うーん。このままずっとハルヒの頭を撫で続けなくてはいけないのか、俺は。

 

悪くは無いんだが、まあ、なんだ。

 

ハルヒのやつがしおらしく見えたりして、これはこれで新鮮なんだが、髪の匂いとか、おとなしく撫でられているハルヒの顔とか反応を見ると、

 

健全な男子なら胸の奥からわきあがる感情ってものがあるわけで…。

 

ハルヒのやつは美少女、だからな。ポニーテール姿なんぞ、俺にとってはどストライクな超絶美少女だ。

 

いやいやいや、何を考えてるんだ俺!

 

「キョン?」ウワメヅカイ

 

「な、なんだ?」ナデナデ

 

「ちょっと実験。撫でるの、止めて」

 

「ああ…」

 

実験?何をする気だ?

 

「あたしも撫でる」ナデナデ

 

「な、なんだよ、いきなり」///

 

「うーん。これは…」ナデナデ

 

「…」///

 

なんだ?ハルヒのやつ、俺の頭を撫でながらなにか考えている。

 

撫でられてみるとわかるが、これって結構、恥ずかしいな。

 

それにしても、そろそろ誰か入ってきてもいい時間だが、一向に誰も来ない。

 

「キョン、目を閉じなさい」

 

「なんでだよ?」

 

「ちょっと顔を触りたいのよ。あんたは黙って言うとおりにすればいいの」

 

「…へいへい」

 

どうせ逆らっても無駄なので、俺は素直に目を閉じる。

 

少ししてからハルヒの手が俺の頬に触れたかと思うと、鼻、唇を指先がなぞっていき、顎の下で離れた。

 

ギシッ―ハルヒが座るパイプ椅子だろうか―と、が軋んだかと思うと、両手が俺の頬を挟むように置かれ…

 

柔らかな感触が俺の唇を塞いだ。

 

「!」

 

「…」

 

俺、今ハルヒにキスされている。

 

お互いの唇が触れるだけのキス。

 

両手でがっちりとおさえつけられているから逃れることもできず、俺はただなされるがままにハルヒを見つめていた。

 

「…ふぅ」

 

「…」///

 

「…なによ、ずっと見てたの?悪趣味ね」

 

「悪趣味って、お前なあ、いきなりそんなことされれば誰だって…んむっ!!」

 

「…」チュ

 

「!!!」///

 

ちょ、ちょっと待てハルヒ!なぜまたキスをする!!

 

しかも今度は舌を入れてくるのか!

 

これはいったい、どういうことだ?

 

だめだ、頭がボーっとする。

 

「…」///

 

「…んっ」

 

「…」

 

「…ふぅ」

 

人差し指で唇を拭い、小さく笑うハルヒ。

 

机越しの奇襲に完全に面食らった俺は、ただ顔が熱くなっているのを感じながら相手を見ることしかできなかった。

 

「へへ。キス、しちゃった」ニヤッ

 

「…ああ」

 

「あんたに頭撫でられていてドキドキが収まらなかったの。それで、あたしも撫でてみればどうかなと思って撫でてみた」

 

「…」

 

「そしたら余計ドキドキが大きくなったから、あんたの顔に触れてみたら、自然に体が動いたわ」

 

「…そうか」

 

「あんた、何でそんな冷静なのよ」

 

「驚きすぎてリアクションができねえんだよ」

 

「そ、そう」///

 

「そうだ」

 

「あんたらしいっていうかなんていうか…まあいいわ。…私が言いたいのは」///

 

上目遣いで俺を見るハルヒ。

 

不覚にもドキッとさせられた。

 

「…責任、取ってよね」

 

「はぁ?」

 

「あんたのせいで病気になったんだから、責任取りなさい!」

 

「病気!?俺のせいかよ!?」

 

「そうよ!あんたのせいよ!」

 

「何で俺がお前の病気の面倒見なきゃいけねえんだ」

 

「馬鹿キョン!キスまでしといてわからないなんて最低!」

 

「お前が奪ったんだろうが!」

 

「嬉しいでしょ!こんな美少女とキスできて!」

 

「もっとムードってものがあれば嬉しかったかもな」

 

「…」シュン

 

「どうした?」

 

「…キョンは、嬉しくないんだ」

 

「は?」

 

「あたしは、キョンとキスできて嬉しかった」///

 

「…ハルヒ」///

 

「…」グス

 

「!!」

 

これはいったいどういうことだ?

 

あのハルヒが俺の目の前で涙を浮かべている。

 

それになんて言った?

 

―――キョンとキスできて嬉しかった。

 

確かにそう言った…よな?

 

「なあ、ハルヒ」

 

「…なによ」

 

「…お前の病気って、アレか?前に言っていた精神病の一種」

 

「…」コクン

 

「そっか」///

 

「…」

 

やれやれ。そういうことか。

 

言葉にはしないんだな。

 

まあハルヒらしいって言えばそれまでだが。

 

「…まったく。それならキスの前に言うことがあるだろうが」

 

「なによ」

 

「まあ、お前らしいけどな」スッ

 

「…!!」

 

ハルヒの頬に手を置くと、俺はハルヒの唇に自分の唇を重ねた。

 

一瞬身じろぎしたものの、ハルヒは抵抗せずに受け入れる。

 

「…お前の真似だ」

 

「…馬鹿」

 

「確かにドキドキするな」

 

「うん」///

 

「好きだぞ、ハルヒ」

 

「!!」///

 

言葉にすれば簡単なのに言葉にしないのがハルヒらしいよ。まったく。

 

やれやれ…だ。

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