べるクレスのダンジョン無双單   作:慧春

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出発

 

 

 転生しました――何言ってるのか解らない?

 安心しろ。オレも良く解らん。

 

 ある日、突然死んだオレは、気が付けば元居た世界とは違う世界に転生していた……別に神様に会った記憶とかは無いんだがなぁ……

 

 しかも、驚いたことにオレの容姿が完全に別人になっているのだ。

 

 癖の強い白髪に、圧倒的な筋肉の搭載された巨岩のような肉体、強面という次元を超越したゴツい顔――オレの前世で例えると一番近いのは『Fate/stay night』で登場する『バサクレス』こと、英霊『ヘラクレス』だろうな。

 いや、近いというか、まんまだ。

 

 今のオレは、白髪であるという点を除いたら完全にバーサーカーさんである。

 

 だが、当然ながら『宝具』は無い。

 

 

 しかし――流石は、魑魅魍魎が跋扈する第5次聖杯戦争で合法ロリータを護るために闘ったロリコンの――げふんげふん!――紳士の鏡だ。

 

 その力は素晴らしいの一言に尽きる。

 

 だってワンパンだもん。ワンパン。

 一撃殴っただけでゴブリンとかコボルトとかが爆散するのだ。

 武器を手に暴れたらモンスターごと武器が爆散するので、今では大抵の場合は素手で闘うことにしている。

 

 しかし、なんというか……インファイトドラゴンとか言うそこそこの大きさの竜種のモンスターを絞め殺し、その巨大な死体を前にふと思う――ふぅ、虚しい。

 最初はこの身に宿った巨大な力に浮かれたが、この力は強すぎる。なんせ大抵の相手は軽いワンパンで爆散するし、人間ならばタメがのない凸ピンで吹き飛ばすことができる。全力で地面を殴ればめちゃくちゃでかいクレーターが出来るし、全力で蹴れば風圧で家が瓦礫の山になる。

 そうだ……オレが全力で暴れたら災害が発生するに等しい被害を周囲に与えてしまう。自らの巨大な力と相反するようにそれを全力で振るうことのできない状況にジレンマを抱く。そして、我が身の未熟を曝すことになるが、この有り余る力をオレは上手く扱えない。

 

 そう――このワガママボディ(物理的)は全く手加減が効かないのである。

 

 更に、オレにとっては不完全燃焼な満たされない戦いであっても戦闘は戦闘なのか、この英雄の体は貪欲に成長を続けた。そう――闘えば闘うほどオレは強くなった。やはりギリシャ神話最強の英雄の力はオレの様な凡人には相応しくないのかもしれない。

 今ならば、某一撃男の気持ちがわかるかもしれない。

 

 

 そして、十四才になったある日……何時ものように住んでいる村をモンスターから護っていたのだが、いい加減雑魚モンスター相手に無双するのは飽きたオレは一念発起して村を出た。

 ハイライトの消えた眼で泣きながらオレを引き留める祖父の懇願を無視して、こことは比べ物に成らないほどに強者達が集うと話に聞くオラリオを目指してモンスター達の群れを無双しながら迷宮都市に向かって突き進む。

 

 後ろから『お前が行ったらオラリオが大騒ぎになるから!! マジでやめたげてぇ!?』という祖父の声が聞こえた気がしたが気のせいだろう。

 あれはきっと孫を思う祖父の激動に違いない。

 常々、祖父はハーレムは男のロマン!と言って憚らなかった。ならば、己に釣り合うライバルや未だ見ぬ強者を追い求めるオレの気持ちが解る筈だ。

 

 

 

 そんな訳でオレはオラリオへと向かう――そこにあるロマンを求めて。

 

 

 言い忘れてたがオレの今生の名前は『ベル・クラネル』。

 数えで14才のちょっぴり力が強すぎることと肉体のサイズ(2m越え成長中)が悩みの青少年だ。

  

 これは、そんなオレがオラリオでも結局変わらずに夢想し、無双するお話である。

 

 

 

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