魔法戦記ガンダム ~鉄血のウィッチーズ~   作:青の細道

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とは言わないけどもう少し余裕をもって更新できるようになりたい(願望


第四話:夢の欠片

それは彼、トーマ・イズルが魔女の存在する不思議な世界に迷い込んで一週間が経過したある日の事だった。

 

「…………」

少年は両手で顔を覆い隠し、小さくボソリと言葉を呟く。

 

「もうやだこの世界……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事の発端は、俺が担っていた基地における書類等の整理がやや遅れ気味になった日の事。本来であればユーティライネン大尉の仕事である書類整理であるが、やたらと面倒くさがる上に世界は違えど自分以上に階級が高いはずの俺を顎で使う事に面白みを覚えたのか。

ちょっとした雑務を初め、彼女はあらゆる面倒事を人に押し付けた当の本人は朝から酒を呷りに出かけていた。

 

事実上部外者である自分が、軍の内部情報を掌握するような立場に居ていいのだろうかという疑問を抱きながらも、一応命を救われたという恩もあり彼はしぶしぶと雑務をこなしている。哨戒任務の報告書をまとめ上げ模擬戦によるウィッチ達の成長過程や長所、短所などのプロフィール作成、老朽化により破損した機材などのチェックと廃棄処分手続き、更には低い予算内でその穴埋めをする政策。

ユーティライネン名義であれば少なからず上層部は通してくれるだろうなどと彼女は言っていたが。いつの間にかそんなことを平気で許可してくれるほど信頼されていたのかと疑問符を浮かべた。

 

「ふぅ……」

纏めた書類を机の上で縦向きにコンコンと整え、大きな封筒にそれを包装し封蝋を捺す。長時間の書類整理をした疲れからか、グッと目と目の間を指で抑え込む。

長い事デスクワークなんてやっていなかったせいか、普段から一兵卒達などに混じって歩兵の訓練で体を動かす以上に疲れたような気がした。

 

椅子の背もたれに重心を移し体を伸ばす。完全に冷め切ったコーヒーを一口飲み、再び小さく息を吐いた。

 

たった一週間とはいえ、少しずつ慣れてきている。

 

戦争という一線から身を引いたからだろうか、どことなく心に余裕が生まれていた。

パラレルワールドに迷い込んだなどという一言でいえば笑い話になってしまうような現象に遭遇した当初こそは困惑したが、今ではすっかりこうしてデスクワークの間にコーヒーを楽しむほどになっていた。

 

だが決してこの世界があの世界に比べて平和であるとは言えない。この世界にはこの世界で深刻な問題が確かにあった。

ネウロイという存在。現状、未だその実物を見たことはないが参考資料として見た写真などから主兵装と呼べるものは無限とも言えるビーム兵器の嵐。そしてその強大な質量を持つサイズ。出生や正体についてはその一切が謎に包まれる『怪異』と呼ばれるもの。

そしてそんな存在に真っ向から戦って有効打を与えられるのが年端も行かない少女達だけだという。

実際に遭遇し、言葉を交わした彼女たちウィッチは、確かに特別な存在なのだろう。魔法力という常人には持つこともできない力を持ち、その中でも選りすぐりな者たちは皆エースと呼ばれ称えられている。

 

向こうの世界では女性は少なくとも前線で戦うような存在ではなかった。俺たちモビルスーツパイロットのように阿頼耶識の手術など受けるわけでもなく、もっぱら医療系の施設で働いていたりというものばかりだった。

部下の中には結婚し、子を育んでいる者も多くいた。誰もかれもが戦いの中で守るべき者の話を語る時はいつも幸せそうだったと記憶している。

 

……そういった経験が無いからか、これといって実感が湧かないが。彼らの「守るために戦う」という意志は彼女たちの「守るための戦い」と同じものなのだろう。

 

自分はどうだっただろう。

確かに俺はモビルアーマーと戦う兵士の一人だった。だが戦う理由について深く考えたことはなかった。言うなれば戦う以外の生き方を知らなかった、と言うべきか。

だがそれも『彼』との出会いで変わった。

 

彼——アグニカ・カイエルの語った理想の世界を実現することに賛同し、その道を歩むことに確かなものを感じていたはずだった。

だがしかし今改めて見れば、それはあくまで彼の後を追うだけだったのかもしれない。

決めたのは自分であるが何かが違うような気がした。

 

この世界で過ごしてからというもの、心のどこかで満たされるものがありながら、ポッカリと穴が空いた感覚があった。

 

平和のために戦っていたのは確かだが、どちらかと言えば戦う理由を後から付け足していたような気がした。

そして今俺は俺自身が戦う理由を失っている……。

 

彼女たちを見ていると自分が小さく見えてしまう。世が世なら彼女たちも歳相応の少女として振る舞い、いずれ家庭を持ち子を育み、幸せというものを手に入れられるだろう。

それでも彼女たちは戦う事を選んだ。その身に似合わぬ銃火器を抱え、死んでしまうかもしれないという恐怖も拭い去り、そしてそれでも笑っている。

 

この世界の女性は強いのだ。

チカラだけではない、心もだ。

 

……そんな彼女たちだからだろうか。その姿を間近で見てしまっていたからだろうか。

力になりたいと思ってしまうのは。

 

 

 

物思いにふけていると、部屋の扉をノックする音が静かな室内に響き渡る。叩く強さからしてこの部屋本来の主である彼女ではないだろう。そもそも彼女はこちらの返事を待たずにズカズカと入ってくるはずだ。……まぁ元々ここは彼女の持ち場のはずなのだが。

 

「どうぞ」

短く聞こえる様に返事を返すと、ゆっくりと扉を開けて様子を伺うように顔を半分だけ覗かせ、こちらの様子を伺うように姿を現したのか淡い金色の髪を短く切りそろえた少女だった。

 

「カタヤイネン曹長、どうかしたのか?」

 

「うっ……」

俺の問いに、何故か影を落とす表情。やたら目が泳いでいる。というよりも何故か部屋に入って来ようとせず扉から顔の半分だけを覗かせたままで留まっていた。

 

一体どうしたというのか?

 

「…………」

 

「……入ってきたらどうだ?」

このまま黙っていたら彼女はずっとそこに居続けるんじゃないかと思い、部屋に入るように促す。座りやすいように客間の椅子を一つ引き、新しくコーヒーを二つ用意する。

 

「失礼します……」

おずおずと部屋に入ってきた彼女の姿を見て、思わず目を細めた。

 

手や衣服を汚す煤の黒色、ところどころ破けた衣類。まとわりついている小枝や葉……そして一番目を引いたのは破れた衣服の綻びに染みついた紅……。

 

「何があった」

落としそうになったポッドを慌てて置き直し彼女へ駆け寄る。

 

「あっいや何でもないんです」

 

「何でもないわけないだろう! 怪我をしたのか!?」

肩を掴み、慌てて傷を確認するが、怪我をした様子も後もなかった。じゃあこの血は一体?

 

「あの……私には『固有魔法』があって……」

 

「固有魔法……?」

そう言えばウィッチについて知識程度に知っておこうと色々と書物を漁っている中にそんな項目があったのを思い出した。一般的なウィッチの中には『固有魔法』と呼ばれる大きく分けて三種の特別な才能を持つウィッチが少なからず存在するらしい。

全員が持っているわけではなく、ごく稀に開花させる能力らしく貴重な存在であるとか。

たしか『念動系』『攻撃系』『感知系』の三つだったか?

 

「うん……じゃなくって、はい。それで、私の固有魔法は治癒魔法の一種で、傷の再生速度が普通の人よりも優れてるというか……とにかく私『は』大丈夫なんです!」

自身が大丈夫というのなら大丈夫なのだろうが。その割にはやたら焦っているというか……何かを伝えようとしているが言い出せないといった様子で……。

 

…………。

 

…………ん?

 

 

 

 

 

私『は』?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはまた盛大に壊したな」

 

「うぅ~……」

場所は変わってガレージ。慌ただしく走り回る整備兵たちを他所に、俺とカタヤイネン曹長は目の前に置かれた一個のガラクタを眺めながらため息を吐いた。ボロボロになったその二本のガラクタはそれはもう高価なものだった。もちろん過去形である。

もはや修理できる状態じゃない。

整備班の責任者である初老の男性、おやっさんは呆れた様子でそう言った。

 

ストライカーユニットは貴重である。

 

「わ、私が壊したんじゃないんだよ!? 訓練中に突然壊れたんだもん!」

彼女の通称『ツイてないカタヤイネン』という異名を俺は侮っていたのかもしれない……。

 

不服そうな彼女を横目で見ながら、俺は頭を抱えた。

また仕事が増えた……。

 

ストライカーユニットの損失届と新しいユニットの支給届を含め、面倒な書類とにらめっこしている内に外はすっかり暗くなっていた。

ユーティライネン大尉が面倒くさがるのがよく理解できた一日だった。

 

「ア゛-」

約半日以上を椅子の上で過ごしたのは流石に始めてだった。

ただでさえ補給の滞りが悪いこのスオムスでストライカーユニットを一機新しく仕入れる余裕も無ければ予算もない。かといってウィッチ一人の戦力はその予算を上回る以上に痛手である。申請書を出して返事が来るのに数日、更に承認されたとしてユニットが届くのもさらに先の事……。

 

「もうこんな時間か」

時計を確認すると既に時針は11時を指し示していた。書類整理の集中力を途切れさせないために濃いコーヒーを止めどなく飲み続けたせいか軽い不眠症のような症状が出ているのか、睡眠欲がまったく出てこない。

 

「ん? あれは……」

ふと窓から外の雪景色を眺めていると、四つの影がこそこそと何処かへ向かうのが見えた。外灯が無くとも微かに見えたそれに見覚えがあった俺は、なんとなく気になったため借り物の外套を手にその影を追う事にした。

今日も外は冷える事だろう。少し用意もしておいた方がいいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今年は無事見れそうだね」

四人の少女は忍ぶように雪の中をかき分けていく。吐く息は白く、白い世界で歩を進める四人の少女はどこか楽し気な面持ちだった。

 

「去年は曇ってた上にねーちゃんに見つかってこっ酷かったからナ~」

 

「あの時は色々あってアウロラさんも機嫌悪かったし災難だったね~」

 

「バルバロッサ作戦……か」

四人はかつて起きた大きな戦いの記憶を蘇らせた。ネウロイが出現する『巣』と呼称された巨大な積乱雲にもにた黒い雲の塊。ネウロイはそこから現れると言われていた。

当時ネウロイとの戦いで激戦区になっていたペテルブルクへの進行作戦。彼女たち四人を含め、スオムスはほぼすべての戦力を投入してこの作戦に尽力した。

 

しかし作戦は失敗。中止となり前線は後退し、スオムスを初め近隣諸国の舞台にも多くの損害を齎す戦いは敗北に終わってしまった。

 

「いつか絶対、ネウロイを倒して平和な世界にしたいね」

その言葉は本心からの願いだった。ニッカだけではない。エイラも、ハンナも、ラウラも、そしてスオムスだけではない世界中の人間がそう願っている。

夢では終わらせない、いつか絶対に実現してみせる。

 

その願いを叶えるために彼女たちは戦ってきた。これまでも、そしてこれからも。

 

夜空を眺める四人が、決意を新たにしていると少し離れたところから声がする。一瞬エイラは姉であるアウロラに消灯時間外に外出したのがバレたのかと肩を大きく震わせるが、その声が姉ではなく男性の声であると判断しその方角へ視線を向ける。

 

「なんだトーマか……脅かすなよナ~」

安堵し息を吐くエイラに「何の話だ?」と疑問符を浮かべる少年、トーマは雪国であるスオムス軍特有の真っ白な厚手の外套に身を包んでいた。制服のままの四人に対し厚着しているトーマの方が一見寒がりに思えるが、それはスオムス人でありウィッチである彼女たちの体質と違うだけで氷点下の中で平然としている彼女たちがおかしいのだ。

そんな四人を見てトーマは「どうして寒がらないんだコイツら」という疑問の眼差しを向けている。

 

一週間という短い期間であるが、トーマはベルツィレ基地に慣れ親しんでいた。彼の将校としての有能さを利用……もとい重宝したアウロラを中心に、優れた人材を良く思わない人物などおらず、階級を意識せず気さくな性格で誰にでも平等に接する彼は一般の兵士や整備班、そしてウィッチ達からも親しみやすいともっぱら話題だった。

それはエイラ達四人にも同様である、下士官である彼女たちに取って将校は立場上の関係からどうしても改まってしまう部分がある。

堅苦しく居心地の悪い、頭の固いと噂の上級将校たちと違って、彼は自身の階級を「ただの飾りだ」と一蹴していた。

彼の生い立ちは未だ公表されていないとはいえ、素の性格で対等に接するのはトーマ自身楽であると感じているため何も言う事はなく、むしろ好ましいとすら思っている。

 

「どうしたんですかこんな夜更けに」

ハンナの問いに小さく「それはこっちの台詞だ」と一笑する彼は頬を掻きながら、窓から四人を見つけて気になって追いかけてきたと正直に答えた。

 

「消灯時間はとっくに過ぎているぞ、ユーティライネン大尉にでもバレたら怒られるんじゃないか?」

既に経験済みである四人は彼の問いに苦笑するだけだった。誤魔化すように話題を逸らそうとしたニッカは都合よく、トーマが引っ提げた大きめの水筒に目を止め。それが何なのかと聞くと、彼は懐から四つのコップをそれぞれ四人に渡し。水筒の中身を注ぎ込んだ。

持っていたコップからじんわりと熱が伝わり、少女たちの手を温める熱が広がっていく。

小豆色と泡状になった微かに白い模様が浮かんでいた。

 

「おお! ホット・チョコレート! 気が利くナ、トーマ」

暖かく甘い飲み物に、四人は歳相応の幼い少女らしさのある笑顔を見せコップに口をつける。

 

「で、結局お前たちは夜中に何してるんだ?」

暖かい飲み物で少女たちのご機嫌取りをするトーマ。特に隠すほどの理由でもないが、顔を見合わせ悪戯っぽく笑みを浮かべるエイラ達。

 

「ん、そろそろだぞ」

持っていた懐中時計で時間を確認していたラウラの言葉に、他の三人が今か今かと空を見上げていた。

 

「何がそろそろなん……」

釣られて空を見上げたトーマは言葉を失った。

雲一つない夜空。満天の星空は美しさの一言だが、そこに更なる光景が加わる。

 

「すげぇ……」

無意識の内に彼の口から言葉が漏れた。

大気の発光現象と呼ばれるそれはさしずめ自然界のカーテンのように空を漂い、緑と紫の二色に輝くそれは『オーロラ』と呼ばれる自然現象。

 

太陽から発せられる太陽風と呼ばれるプラズマの流れが地球に吹きつけ、これにより地球の磁気圏が太陽とは反対方向、つまり地球の夜側へと吹き流されている。太陽から放出されたプラズマは地球磁場と相互作用し、複雑な過程を経て磁気圏内に入り、地球磁気圏の夜側に広がる「プラズマシート」と呼ばれる領域を中心として溜まる。

このプラズマシート中のプラズマが何らかのきっかけで磁力線にそって加速し、地球大気へ高速で降下することがある。大気中の粒子と衝突すると、大気粒子が一旦励起状態になり、それが元の状態に戻るときに発光する。

科学的に表してしまえば何とも浪漫のない話ではあるが。

 

しかしそんな学術的理論を忘れさせるほどの美しさに、トーマは息を吞んだ。オーロラを見るのは初めてではなかった。小規模ではあるが元の世界でも少しは目にした記憶があるが、戦う事ばかりを考えていた彼が風景を楽しむというのはこの世界に来てようやく覚えた楽しみの一つでもあった。

 

ゆらゆらと揺れるオーロラは神秘的で幻想的な美しさを魅せる。

 

「毎年この季節になると見れるんだよ」

スオムス生まれで十年以上この地で生きてきた彼女たちに取ってオーロラは見慣れた景色ではあったが、この大規模なオーロラ現象には特別な思い入れがあった。年に一度と言われた絶景。これを目にする度に彼女たちは、その景色をまた皆で見るためにがんばろうという気持ちになる。

いつか、本当に平和を勝ち取った時、笑ってこの景色を眺めるために。

 

「…………」

 

「っおいどうしたんダヨ!?」

不意にエイラがトーマの顔を見て驚きの声を上げる。空を見上げていたニッカ、ハンナ、ラウラの三人も彼女の言葉に釣られ、彼の顔を見ると驚いていた。

 

「……あれ?」

無意識だったのか。トーマ自身も頬を伝う涙に驚いたのか、慌てて袖で拭い去る。

 

「なんだこれ、別に悲しいわけじゃないんだが」

恥ずかし気に微笑を浮かべる彼を心配してか、四人が不安そうな顔で彼を見ている。

 

「そんな顔するな、せっかくの綺麗な景色が勿体ないだろう」

もう一度その美しい空を見上げ、トーマは何かを思うように言葉を続けた。

 

「この空を……君たちは守り続けてきたんだな」

「なぁ」と四人に声を掛け、全員の視線が集まる。彼は神妙な面持ちでそれぞれの顔を見やる。

 

「お前たちはどうして戦うんだ?」

その問いかけに、四人は疑問符を浮かべた。なぜ戦うのか、そう質問されたのは何とも初めての経験だったからだ。ウィッチとして戦い始めた当初は確かに戦う理由というものについて考えたが、考える以前から既に答えはあった。

 

それは私がウィッチだから、四人はそう答える。

ウィッチであるから戦うのは必然ではない。場合によっては戦いの中に身を投じずにいる方法もあるだろう。だが彼女たちは戦う事を選んだ。

 

何故かと少年は問う。

 

故郷を守りたいからだと少女たちは答える。

他にも給金で贅沢をするため、両親を喜ばせるため、強くなって有名になりたいなど。理由を探せばいくらでも答えが出てきた。

 

少女達には夢があった。ネウロイを倒して平和な世界を取り戻したいという夢の——。

 

 

 

 

その『先』の夢——。

 

 

 

 

世界中の美味しいものを食べたい、いろんな国のいろんな景色、いろんな人に出会って旅をしたい。楽しい事や嬉しい事を多くの仲間たちと分かち合いたい。幸せな一生を迎えたい。

 

夢の先の願いも無限大。彼女たちは希望という名の可能性をその細腕に抱えきれないほど抱いていた。

 

少年は思う。

自分に無いものを、彼女たちはたくさん持っている。

羨ましいという気持ちが湧き上がるが、それ以上にその夢や願いを語る彼女たちの表情に胸が高鳴っていた。こんなに愛らしく尊い存在である彼女たち。

 

そんな彼女たちが生きるこの世界を、いつしか好きになっていた。

 

この世界に自分の居場所など無いと分かっている。それでも、今ここに居る彼は願いを乗せて夜空に広がるオーロラを眺め続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁああああああああ!??」

絶叫が響き渡る。暖かい談話室の入り口、両手を広げ、普段の冷静沈着な表情は驚愕の色に塗りつぶされていた。

彼の眼には先ほどまでの美しいオーロラとは別の意味で、凄まじい光景が広がっていた。

 

「夜中にデカい声出すなヨー」

片目を瞑り、顔を顰めるエイラとはにかむニッカ。ハンナとラウラは彼が何に対して驚いているのか理解できず小首を傾げていた。

 

談話室の大きな机。四人はカードでゲームを楽しんでいた。

改めて飲み物を用意して戻ってきたトーマが驚愕していたのはもちろんカードゲームというわけではない。正確にはカードゲームに勤しむ15歳のうら若き乙女たちのその姿だった。

 

「何で『下着姿』でブラック・ジャックしてんだよ!」

 

そう、四人の少女は今。普段身に纏っているスオムス軍の制服を脱ぎ肌着姿のままでガードゲームをしていた。

15歳という若い少女がだらしのない格好でいる光景に、17歳の少年は顔を赤くし視線を逸らしていた。

 

戦争の中で生きてきたトーマ・イズルにも最低限、羞恥心というものはある。性欲というものはあまり意識した覚えがないとはいえ女性の肌に興奮しないというわけでもなかったらしい。

 

しかし彼の常識と、彼女たちの常識はまたしてもズレがあった。

 

「下着……? 何言ってんだァ~? オマエー」

心底呆れた様子でため息を吐くエイラ。

 

「いいから服を着ろ服を、お前たちには慎みというものがないのか!?」

飲み物の入ったポッドを近場に置いた彼は足早に部屋を出ていく。彼の常識では、彼女たちの姿はあまりにも刺激が強かったようだが、その他の四人は、何故彼が焦っているのか分からず顔を見合わせていた。

 

「服って……着てるじゃん」

ラウラは自身の胸元を包む薄い生地のインナーをピンと引っ張る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日。ウィッチ達の隠された(?)一面を目の当たりにしたトーマは、アウロラへどういう事か説明を要求したが、アウロラもまたウィッチの一人であり彼の常識の外に居る人物の一人でもあった。

 

 

 

 

 

この世界に『パンツ』という概念が存在しない。

 

 

 

 

 

「何を言っているんだ? これはズボンだ」

そう言いながら自身の履く白い逆三角形のソレを、彼の前で露出させる。

 

この世界に来て一番の非常識に、彼は思わず両手で顔を覆い、泣き出しそうな声で小さく言葉を漏らした。

 

 

「もうやだこの世界……」




どんどん駆け足気味で文面が雑になってきている気がしてならない。
というかそろそろ本筋を進めないといかんでしょ

スト魔女世界での戦闘描写、未だに0。
そろそろ話を進展させないと、いかんでしょ
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